国内外の100組を超えるクリエイターらが集結――紙モノや本好きが熱狂した『Art Book Osaka 2026』
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Art Book Osaka 2026
Art Book Osaka 2026 2026.5.30(SAT)~5.31(SUN) 大阪・シーサイドスタジオCASO
5月30日(土)、31日(日)の2日間、大阪・シーサイドスタジオCASOにて『Art Book Osaka 2026』が行われた。『Art Book Osaka』は、2024年に大阪で誕生した関西最大級のアートブックフェア。「誰でもチャレンジできる場」「作家と気軽に交流ができる場」「印刷の魅力を体感できる場」をコンセプトに、国内外のアーティスト、出版社、書店、ギャラリーが集い、アートブックを中心とした創造的な出会いと挑戦を提供する。「本」という媒体の面白さを存分に味わえ、作家本人と直接対話できるマーケットイベントとして人気を博し、今回で3度目の開催となる。まさに本や紙好きにとっては垂涎のイベントで、筆者もものづくりの素晴らしさにワクワクして思い切り楽しんでしまった。本記事では2日目の模様をレポートしよう。
シーサイドスタジオCASO
午前11時、大阪メトロ中央線・大阪港駅から徒歩7分の場所にあるシーサイドスタジオCASOに到着すると、来場者が続々と入場を始めていた。中にはファミリーで訪れている人も。受付を済ませて中に入ると、多くの出展者と来場者で活気にあふれていた。
Art Book Osaka 2026
今回はエントリー総数270組以上の中から、厳正な選考を経て103組を選出。初めて本づくりに挑戦する人からアートブックフェア出展経験が豊富なクリエイター、現役学生、作家を紹介・応援するギャラリーや出版社など、国内外14の国と地域で活動する、多彩で魅力あふれる出展者が集結した。会場内はA〜Eの5つのルームにわかれており、出展者はそれぞれが趣向を凝らしたディスプレイで各自のブースを彩った。
Art Book Osaka 2026
Art Book Osaka 2026
公式SNSには、搬入日に行われた主催と出展者の懇親会の様子や丁寧な出展者紹介などが投稿され、本イベントが愛をもって運営されている様子が伝わってきた。おそらく、そんなリスペクトと「異なる背景や視点を持つ出展者が一堂に会することで、新たな出会いや刺激が生まれる場になることを願っています」という主催者の想いが伝わり、「この場を実りあるものにするぞ」というポジティブな空気が醸成されていたのだと思う。
無料でもらえるお土産もたくさん
もちろん、来場者が楽しめる創意工夫がもりだくさん。協賛に印刷会社が名を連ねていることから、空押し加工のフライヤーや活版印刷のイラスト入り手提げ封筒、ポスターなど、印刷見本も兼ねた、無料で持ち帰れる紙モノがあちらこちらに用意されていた。
本を作りたい人に役立つガイドも
集めて完成させる参加型企画「ミニアートブック」
特筆すべきは、当日受付で入場証代わりに渡される「ミニアートブック」の表紙だ。会場内に設置された「出展者作品ページ」を集めることで、無料でミニアートブック作りが体験できた。本文となる作品ページは全17枚あり、この日の出展者68組が制作したイラストやデザインがあしらわれていた。
本文になる作品ページを集める
参加者は思い思いにルームを回って好きなページを集め、中綴じ製本と断裁をして、オリジナルのミニアートブックを完成させていた。作品ページを集めるコレクター心が刺激され、本作りの精神的ハードルが下がり、また、後で見返すことで改めて『Art Book Osaka』の思い出を振り返ることができる、素晴らしい試みだった。
銀色の箔が贅沢に使われた表紙に本文を挟んで、製本
自分だけのミニアートブックが完成!
他にもガリ版印刷のワークショップやミニノート作りなど、実物に触れながらものづくりができるブースも多数あった。
HAGURUMAのミニノート作り
謄写印刷集団ガリ番地のワークショップ
我らが「UNKNOWN ASIA」のブースも
見本誌コーナー
Art Book Osaka 2026
会場内には休憩スペース、トイレ、ドリンク販売コーナーが完備。会場の外にはキッチンカーと喫煙スペースもあり、ホスピタリティの高さに驚いた。
ワークショップとトークが広げる素材と表現の深度
トークイベントの模様
午後にはトークイベントも開催された。この日13時から行われたのは『印刷と紙を愛する女子たちが語る「印刷&紙トーク」』。
「gamoyon art labo」の藤川順子氏、「TSUGU(寺平美術平版)」の西元彩乃氏、「紙もの雑貨スキカッテ」のふくだあいこ氏が、印刷と紙に魅了された時のことや、制作の裏話などコアなトークを展開。トークに出てきた紙を直接触れる時間もあり、参加者は興味津々で食いついていた。
印象に残った出展者3組を紹介しよう。
TANUKI PROJECTのブース
カラフルなオリジナル熊手がハッピーオーラを放っていたのは「TANUKI PROJECT」。制作者の田村さんは幼少期に「まるでJ-POPのようだ」と百人一首に魅せられ、自ら描いたイラストと共に現代語訳した言葉をカードにして販売。
TANUKI PROJECTの百人一首カード
また大の猫好きで、猫絵馬や猫アイテムの売上から22%(にゃんにゃんパーセント)を猫の保護団体に寄付しているそう。自身の活動について「日本の文化をポップに受け入れてほしい」と語ってくれた。
TANUKI PROJECTの猫絵馬
多様な出展者が見せるそれぞれの表現世界
Kinchoi LAMの作品
海外からの出展者も多数。香港出身のKinchoi LAMさんは、柔らかな水彩タッチのイラストで香港の風景や人々を描き、絵本で香港の歴史や生活、文化を紹介している。
Kinchoi LAMの作品
「自分の想いを知ってほしい」とイベントに参加した理由を語り、本を開いてひとつひとつ丁寧に説明をする彼の表情は誇らしげで、故郷と大切な人への愛があふれていた。会場には通訳スタッフもいるため、海外の作家とも問題なくコミュニケーションを取ることができた。
Remember EVEREST!のブース
壁にかけられた登山用ウェアがひときわ目を引いていたのは、コピーライターの伊東さん、グラフィックデザイナーの原田さん、安村さんによる「Remember EVEREST!」
Remember EVEREST!のZINEとVR体験。カラビナは実際に登山家が使っていたもの
昨年、伊東さんが8年前にエベレスト登頂した際の記憶と冒険談をZINEにまとめ、その後伊東さんの話にコラボする形で、原田さんと安村さんがそれぞれZINEを制作。
Remember EVEREST! 安村さんのZINE。今回に合わせて作成した
エベレストと日本の山の高さを比較した目標達成のためのロードマップ、エベレスト登頂前にお茶を飲む習慣にヒントを得て「無理せず進む」極意をまとめた本が並んでいた。また、臨場感あふれるエベレスト登頂のVR体験もすることができた。
世界にひとつだけの本も
Art Book Osaka 2026
Art Book Osaka 2026
結局、約5時間夢中になってしっかりとイベントを満喫したSPICEの営業担当と筆者。大満足で取材を終えたのだった。
筆者の戦利品の一部
Art Book Osaka 2026
取材・文・撮影=久保田瑛理
イベント情報
会場:〒552-0022 シーサイドスタジオCASO 大阪府大阪市港区海岸通2丁目7-23
交通:Osaka Metro 中央線 大阪港駅 ⑥番出口より徒歩7分
主催:Art Book Osaka実行委員会
協力:アート特区(株式会社大伸社ディライト、PLANT/ART Lab OMM)