「これで終わりじゃなく、ここから何をやろうか?」Base Ball Bear、『Lyrical Tattoo』ツアーでみせた成熟度とダイナミズム、未来へ突き進む高揚感
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写真=オフィシャル提供(撮影:藤川 烈)
『Base Ball Bear Tour「Lyrical Tattoo」』2026.7.10(FRI)福岡DRUM Be-1
2026年7月10日(金)、福岡DRUM Be-1で、『Base Ball Bear Tour「Lyrical Tattoo」』のセミファイナル公演を観た。確かめたいことはいくつもある。最新ミニアルバム『Lyrical Tattoo』の、長いツアーを経ての成熟度。ライブハウスの小空間だからこそ体感できるダイナミズム。そして結成25周年、メジャーデビュー20周年のバンドの現在地。博多祇園山笠で、山笠が街を駆け抜ける博多は最高気温36度。会場内も期待と熱気でいっぱいだ。
1曲目はミニアルバムの冒頭と同じ「Lyrical Tattoo」。音合わせのようなラフなイントロから、カウントを入れて曲になだれ込む、オープニングからいきなりかっこいい。ギターを持ち替えて「short hair」、フィードバックノイズを生かした「ランドリー」へ、アップ/ミドルの曲を連ねて豪快に飛ばす。堀之内大介(Dr)は表情と腕と足をフルに使って豪快に、関根史織(Ba)は微笑みを絶やさずしなやかに、そして小出祐介(Vo.Gt)は多彩なエフェクターを駆使して、ギタリスト数人分の役割をやってのける。4か月前、東京で見た時よりも明らかに表現力と結束力が増している。
「福岡公演にご来場いただき、誠にありがとうございます。Base Ball Bearです」(小出)
まずは久しぶりの福岡の観客に挨拶を済ませ、ついでに開演直前の関根のとある言い間違いをいじり倒し、和やかな空気になったところで、次のセクションは『Lyrical Tattoo』からの「caramel dog」でスタート。『Lyrical Tattoo』のギターについて小出は“ジューシーな歪みたっぷり”と表現していたが、目の前で浴びる音はまさにジューシー&フレッシュ。堀之内の鳴らしっぱなしシンバルが気持ちいい「メタモルフォーゼ真っ最中」、関根の極太ベースラインに惚れる「TIME SHIFT GIRL」、ミドルテンポの心地よいグルーヴを持つ「ヘヴンズドアー・ガールズ」と、四つ打ちダンスロック「USER UNKNOWN」は、踊れる曲だがどこかに悲しみと切なさを潜ませて、ただ楽しいだけじゃ終わらない。得も言われぬ深みがある。
街は博多祇園山笠の真っ最中ということで、次の小出のMCはその話題。しかも山笠ならではの「お尻丸出しについての考察」という話題で笑わせたあと、『Lyrical Tattoo』から、関根の歌うアコースティック曲「Remains」を、美しくしっとり聴かせて違和感がない。小出がアコースティックギターとハーモニカでノスタルジックなメロディを奏でる「WHITE ROOM」、エレクトリックに持ち替え、素晴らしくエモーショナルなソロを聴かせる「ドライブ」と、緩急織り交ぜたスロー/ミドルテンポを組み合わせ、ぐいぐい引き込んでゆく。
「結成25周年、メジャーデビュー20周年で、たくさん作品を作ってきましたが、その中でもすごく気に入っている1枚です。しかも、これで終わりじゃなくて、ここから何をやろうか?というワクワクを感じれる作品になりました」
今はすごくいい調子で、いい40代になれていると思います。最新作『Lyrical Tattoo』について語る小出の言葉は率直だ。そんな我々を見届けるために、みなさんも健康でいてください。観客に呼びかける言葉は親密だ。長く続くバンドは、ファンを含めて、多くの人生を巻き込む生活や生き方の共同体になってゆく。Base Ball Bearはすでに、その域に入っている。
最後のセクションも、『Lyrical Tattoo』の曲から始まった。小出のギターの爪弾き、堀之内のシンバルのさざめきからカウント一閃、「夏の細部」が始まる瞬間のかっこよさに、ロックバンドの旨味がしっかり詰まってる。「夕日、刺さる部屋」から「BLUE、たる」へ、おおきく振りかぶってスネアをひっぱたく、堀之内の鬼神のドラミングに痺れる。関根が最前線に飛び出して、観客の歓声を一身に浴びている。「LOVE MATHEMATICS」では、珍しく小出が観客にクラップを求め、フロアいっぱいに温かい一体感が生まれる。盛り上げる、というより、自然に盛り上がるのを待つ、Base Ball Bearのライブにはそんな空気がいつもある。
最後は、20年近く代表曲の座を譲らない「ドラマチック」と、『Lyrical Tattoo』のラストソング「(The rise of) Offline Souls」を演奏して、90分のロックショーはフィナーレを迎えた。『Lyrical Tattoo』の収録曲を曲順通りに並べ、その世界観を補完する楽曲を散りばめ、作品の完全版を見せるような見事なセットリスト。様々な時代の楽曲たちが、一つのコンセプトの元に集まり、すべてが2026年のバンドサウンドとして生き生きと鳴り響いている。
さらに、鳴り止まないアンコールに応え、「GIRL FRIEND」と「Power (Pop) of Love」をプレゼントして、堀之内の「福岡のみなさん、愛してます!」の叫びと共に、ツアーのセミファイナル公演は幕を下ろした。開演前に考えていた、確かめたいことの答えは出た。最新ミニアルバム『Lyrical Tattoo』の、長いツアーを経ての成熟度は予想以上だった。小空間だからこそ体感できる、ダイナミズムを堪能した。そして結成25周年、メジャーデビュー20周年のバンドの現在地は、ここが終わりじゃない、未来へのワクワク感に溢れるものだった。
この後、バンドは夏フェス出演を経て、9月4日(金)にLINE CUBE SHIBUYAで開催される『SHIBUYA NONFICTION Ⅲ』、そして11月1日(日)にSGC HALL ARIAKEで 開催される『25th Anniversary「 (This Is The) Base Ball Bear part.4」』へと突き進む。『バンドBについて』を始め、2006年リリースのCD5作品の初アナログ化も決定した。『Lyrical Tattoo』についても、ライブではただかっこいいという感想しか浮かばないが、インターネット内の“不在”について詩的に考察した歌詞の深みを、さらに多くの人に知ってほしい(インタビュー:https://spice.eplus.jp/articles/343798)。お楽しみはこれからだ。アニバーサリーイヤーはまだまだ続く。お楽しみはこれからだ。
取材・文=宮本英夫 写真=オフィシャル提供(撮影:藤川 烈)
セットリスト
2026.7.10(FRI)福岡DRUM Be-1
01.Lyrical Tattoo
09.Remains
12.夏の細部
encore
ライブ情報
日程:2026年9月4日(金)
会場:LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:全席指定 6500円(税込)
出演:Base Ball Bear、岡村靖幸、RHYMESTER、accobin(福岡晃子
)、Ryohu、valknee
日程:2026年11月1日(日)
会場:SGC HALL ARIAKE
時間:OPEN 16:00 / START 17:00
料金:全席指定 7,500円(税込)
詳細:https://www.baseballbear.com/live/