タクフェス『北の島から』宅間孝行&鈴木杏樹インタビュー 5年ぶりの新作公演で描くのは“家族” 「観終わった後に、登場人物が愛おしくなり、温かい涙を流せる作品」に
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(左から)宅間孝行、鈴木杏樹
宅間孝行が主宰するエンターテインメントプロジェクト「タクフェス」待望の最新作、第14弾『北の島から』の上演が決定。 2026年11月より、名古屋、大阪、小樽(北海道)、東京の4都市を巡演する。舞台は、雄大な自然に囲まれた日本最北の島・礼文島。静かな島で暮らす一人のおやっさんと、彼を慕う若手漁師たちのリーダーを中心に物語は動き出す。平穏な日常を一変させたのは、リゾートバイトとしてやってきた一人の美女。島中を巻き込んだ大パニックの中、都会へ出ていた息子や娘、強烈な個性のスナックのママ、サボり癖のある島医者など、クセ者たちが入り乱れる大騒動へ発展する。笑いと喧嘩の絶えない騒動の果てに待つのは、まさかの感動と、事件の裏に隠された切なくも温かい「家族の真実」だった。
この度、タクフェスの主宰で、作・演出、そして、長男・隆を演じる宅間と、隆の妹・直美を演じる鈴木杏樹のインタビューが到着した。
ーー宅間さんにとって、5年ぶりの新作公演になります。まず、本作が生まれたきっかけや本作への思いを聞かせてください。
宅間:数年前にロバート・デ・ニーロ主演の『みんな元気』という映画を観て、こういう作品も素敵だなと思ったんです。調べてみたら、その作品は僕の大好きな『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督が1990年に撮った同名映画のリメイクでした。さらに、そのトルナトーレ監督版は、小津安二郎監督の『東京物語』へのオマージュとして作られた作品でした。僕はトルナトーレ監督の作品はどれも観ていたので、『みんな元気』も知っていていいはずなのに、当時は全然知らなくて。『東京物語』も昔に観たことがあったのですが、当時はそれほどピンときていなかったんです。ですが、3年前に父が亡くなり、自分の子どもも大きくなったことで、改めて家族の話に取り組んでもいいのかなと思うようになりました。家族の物語が沁みてくるようになったんですよ。起承転結がはっきりとしていて、ドラマチックな展開の物語も良いのですが、今回は、人間や家族にフォーカスをした物語に向き合ってみようかなと思っています。
(左から)宅間孝行、鈴木杏樹
ーー礼文島を舞台にしたのはどんな理由からですか?
宅間:『東京物語』のような作品を作ろうと思ったときに、東京からは行きづらい、遠い街を舞台にしたいと思ったんです。それで考えたとき、九州や四国を舞台にした物語は作ったことがあったんだけど、北海道はなかったなと。それから、僕の公演では、毎回、前説で「どこから来ているの?」とお客さんに聞いて、1番遠くから来た人を探すということをやっているんです。ただ、札幌公演のときは、東京から来た人が一番遠くなってしまいがちなので、北海道の人が北海道のどこから来ているのかを聞くようにしています。
鈴木:確かに、同じ北海道で距離は近くても、交通手段が大変な場合もありますよね。電車でも5、6時間かかることがあるのが北海道みたいなので。
宅間:そうなんですよ。それで、前説で聞いたら、この何年か礼文島から来てくださっている方がいて。それが本当に時間がかかって大変なんです。フェリーに乗って、そこからバスに乗って札幌まで来るそうなんですが、冬だと雪でフェリーが止まってしまうかもしれないから、2日前から札幌入りをするのだと。そうした話を聞くまで、恥ずかしながら、礼文島がどこにあるのかもよく分かっていなかったのですが、それほど行きづらい場所にある礼文島を舞台にしたら面白いのではないかと考えたんです。それで、いろいろと調べたら、実はそのお客さんは、礼文島で宿をやっていて、宿泊するお客さんにタクフェスの宣伝をしてくださっていたことが分かったんですよ(笑)。大阪で公演したときのお客さんだったと思いますが、アンケートに「北海道の礼文島に行ったときに泊まった宿の方に勧められて来ました」と書いてくださった方がいて(笑)。「あれ、あの人じゃない!?」って。
鈴木:繋がりましたねー(笑)。
宅間:そういう繋がりも嬉しいですよね。そこまで一生懸命応援してくださっている。どこか東京から遠く離れた場所を舞台に書くということしか決まっていなかったので、どうせなら一生懸命、足を運んでくださるファンの方がいる礼文島にしてみようと思って、今回の舞台となりました。
ーー鈴木さんは、今回、宅間さんの演じる花村隆の妹という役どころです。出演のお話を聞いていかがでしたか?
鈴木:宅間さんとは20年以上の付き合いなんです。東京セレソンデラックス時代、そしてタクフェスを観させていただいていて、ずっとファンでした。以前にもタクフェス春のコメディ祭『わらいのまち』という作品に出演させていただいたので、舞台では今回が2作目になりますが、どんな作品であれ宅間さんとご一緒できることが嬉しくて、すぐにお引き受けいたしました。今回、『東京物語』のような家族をテーマとした物語だと聞いていたので、ちょっと安心しました(笑)。プロレスの物語ではなくて良かったなと(笑)。宅間さんの作品で好きなところは、楽しいシーンが続いた後に、胸の奥に染み込んできて、「自分の中にもこういうことってあるな。こういう感情を忘れていたな」と感じさせてくれるところです。思い出したら、涙が出てくるような、心に響く物語ばかりです。今回も、誰もがどこかで感じているものが散りばめられていて、観終わった後に「家族を大事にしよう。いつでも帰ることができると思ったら大間違いだ」と思ってもらえるのではないかと思いますし、1日1日を大事にしようと思い直すのではないかと思います。
(左から)宅間孝行、鈴木杏樹
ーー宅間さんは、鈴木さんに直美という役をお願いしたことにどういった思いがありましたか?
宅間:僕が最初にテレビドラマを書いたときにも出演してもらっているんですよ。それから、ずっとうちの作品を観にきてくれて、ご飯にも行ったりもする仲間であり、腐れ縁のような関係です。そういう意味では、この役にハマっていると思います。
鈴木:妹役だからね!
宅間:そう、お互いの家族のことも知っているので、一番腑に落ちる配役だなと。
鈴木:確かに付き合いも長いし、関係性も近いから、そうだなと思います。
ーー鈴木さんは直美というキャラクターについて、今の時点ではどう感じていますか?
鈴木:まだこう演じようという具体的なことは考えていませんが、お兄ちゃん、直美、そして弟の健の三人でわちゃわちゃと話すシーンを楽しみにしています。兄弟らしく言い合いをしながらも、面白くなればいいなと。
宅間:とにかくお客さんに楽しんでいただけるシーンにしたいですよね。笑わせるにしても、グッとくるにしても。兄弟のあり方や親との関係性を台本では描いていますが、きっと稽古をしていくうちに足したり引いたりするところがたくさん出てくると思うので、お互いにリアルな空気感で作っていけたらと思います。お客さんがこの家族や島の人たちを愛してくれたら勝ちだと思っているので、そうなれるように作っていきたいです。
ーー関口メンディーさん、モト冬樹さんをはじめ、豪華な共演者が揃っています。これまで共演されたことがある方はいらっしゃいますか?
鈴木:(石垣)佑磨くんくらいです。佑磨くんとは活読劇でご一緒したことがあるんですよ。それから、メンディーさんとは音楽番組などでお会いしたことはあります。
宅間:僕は、お馴染みのメンバーも多いですね。石垣くんは初めてなので、いい人だったらいいなと。
鈴木:いい人ですよ! 真面目な方です。
宅間:初めて出演される方も緊張しているとは思いますが、実は僕も新しい方とご一緒するときは怖がっているんですよ(笑)。今回は、メンディーも頑張ってくれそうですし、石垣くんも杏樹さんがおすすめするなら安心ですね。
鈴木:共演後もお付き合いがあるくらい尊敬できる方です! 年齢、男女関係なく、尊敬できる方とはお付き合いがずっと続いていきますが、彼はそんな一人です! なので、今回、私もまたご一緒できると聞いて嬉しかったです。
ーー今回は、東京のほかに、名古屋、大阪、小樽での上演も決まっています。ツアーの楽しみを教えてください。
鈴木:北海道は、今回は小樽なんですね。どうして小樽だったんですか?
宅間:札幌の会場が取れなかったんですよ。2010年から毎年、札幌に行っていたので、それを途切れさせたくなくて、なんとか北海道でやりたいと思っていたら、小樽でできる場所が見つかったので、小樽になりました。
鈴木:そうなんですね。特急で40分くらいで、札幌から行きやすいなと思ったことがあります!
宅間:うん。なので、札幌の人たちも喜んでくれています。ほかの会場も、いつも使わせていただいているところです。今回、小樽は初めてなので、初めてという楽しみもありますし、毎回行くところもまた、楽しみですね。
(左から)宅間孝行、鈴木杏樹
ーー改めて公演への意気込みと読者へのメッセージをお願いします。
宅間:王道ど真ん中をてらいなくやろうと思っています。物語に起伏があるわけではないので、とにかく役者が魅力的じゃないと成立しないところがあるのですが、今回は、安心してご覧いただけるメンバーが揃っています。観終わった後に、登場人物が愛おしくなり、温かい涙を流せる作品です。初演は、当たり前ですが1回しかありません。「あの『北の島から』の初演を観たんだ。立ち会ったんだ」と自慢していただくべく、私たちも頑張るので、ぜひ初演に立ち会ってください。再演するときに初演のメンバーが全員集まるというのはなかなか難しいことなんですよ。そういう意味でも、今回のオリジナルメンバーを観ていただける貴重な機会になると思うので、ぜひ立ち会っていただきたいと思います。
鈴木:最近の宅間さんの作品を拝見していると、テンポ感をすごく大切にされているのを感じます。ただ、お客さんとして観ていると、そのスピード感と熱量に圧倒されて、すごくエネルギーを使う時があって。観終わったときに、お客さまが心地よく物語に浸れるほどよいテンポ感を見つけられたらいいですね! この作品は、あたたかくてほんわかして、心に優しい物語なので、お客さまにもこの作品ならではのタクフェスの空気感を味わっていただけたら嬉しいです。
公演情報
2026年11月20日(金)〜22日(日)
愛知県 アマノ芸術創造センター名古屋(名古屋市芸術創造センター)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
北海道 小樽市民会館
東京都 サンシャイン劇場
作・演出:宅間孝行
小坂翼:関口メンディー
華蓮:矢島舞美
花村健:石垣佑磨
良太先生:浜谷健司
凛子ママ:石田亜佑美
大迫直美:鈴木杏樹
花村清三郎:モト冬樹
花村隆:宅間孝行
【HP】 https://takufes.jp/kitanoshimakara/
【公式X】 @TAKU_FES_JAPAN