世界初演一人ミュージカル『BLACK BOX』制作チームが“ブラックボックス”発明家の息子にインタビュー 父・デイビッドの素顔とは

2026.8.12
インタビュー
舞台

(左から)デイビッド・ウォーレン氏の長男ピーター・ウォーレン、渋谷真紀子、大音智海、柴原直樹

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2026年10月28日(水)~11月1日(日)浅草九劇にて、Luna Hana Theatre Company主催の世界初演版の一人ミュージカル『BLACK BOX』が上演される。

本作は、航空事故の原因究明に欠かせないブラックボックス(フライトレコーダー)を発明したオーストラリア人科学者デイビッド・ウォーレンの実話をもとにしたミュージカル。この度、ブラックボックス(フライトレコーダー)の発明家の息子にインタビューを実施。主演の大音智海、柴原直樹もオンライン参加した模様を紹介する。

“ブラックボックス”発明家の息子が語る、父・デイビッドの素顔

世界初演に向け、Luna Hana Theatre Companyの渋谷真紀子率いる制作チームがオーストラリアを訪問。“ブラックボックス(フライトレコーダー)”の原型を発明した科学者デイビッド・ウォーレンの長男ピーター・ウォーレン氏を取材した。

ピーター氏の案内で、デイビッドゆかりの地や資料を訪ね、ブラックボックス誕生の背景を調査。さらにインタビューには、日本からオンラインでデイビッド役を演じる主演・大音智海と柴原直樹(New Voiceキャスト)も参加し、発明家としてだけではない「父・デイビッド」の素顔と家族の記憶を直接聞いた。

今日8月12日は「航空安全の日」。

航空事故が起きた時、事故原因を解明し、同じ悲劇を繰り返さないための重要な手がかりとなるのが、航空機に搭載された「ブラックボックス」。
一人ミュージカル『BLACK BOX』は、その原型を生み出したデイビッド・ウォーレンの実話をもとに、世界の航空安全を変える発明に人生を捧げた一人の科学者と、その家族の物語を描く作品。2026年10月28日(水)~11月1日(日)、浅草九劇にて一人ミュージカル版を世界初演する。

「父が成し遂げたことを、私たちはとても誇りに思っています」

(左から)デイビッド・ウォーレン氏の長男ピーター・ウォーレン、渋谷真紀子、大音智海、柴原直樹

オンラインインタビューで大音智海と柴原直樹が尋ねたのは、「発明家デイビッド・ウォーレン」だけではなく、その内側にいた一人の人間としてのデイビッドだった。

どんな話し方をする人だったのか。何に怒り、何を喜んだのか。ブラックボックスの開発に没頭していた時、家族からはどのように見えていたのか。

ピーター氏は、父について「非常に明確で、論理的」な人物だったと振り返ります。他人からどう思われるかをほとんど気にせず、自分が正しいと考えたことを貫く人。一方、ブラックボックスの開発は通常の業務ではなかったため、研究は夕方から夜にかけて続けられ、幼いピーター氏にとって「父が夜、家にいない」ことは大きな問題でもあった。

子どもの頃には、いてほしい時に父がいない寂しさもあった。しかし年齢を重ね、自分自身が父の当時の年齢に近づいた今、「なぜ父があのような選択をしたのか」を理解できるようになったと言う。

そして、もし今、父が目の前にいたら何を伝えたいかという問いに、ピーター氏はこう答えた。

「父が成し遂げたことを、私たちはとても誇りに思っています」

(左から)ピーター・ウォーレン、渋谷真紀子、デイビッド氏の孫マーク・ウォーレン。ビクトリア博物館の収蔵場所入口にて

「一銭も得られなくても構わない」——求めたのは、空の安全

取材から浮かび上がったのは、利益や名誉ではなく、「この発明が航空安全のために機能すること」を求め続けたデイビッドの姿だった。

デイビッドの本来の仕事は、オーストラリア政府の航空研究機関で航空機用燃料を研究する科学者。ブラックボックスの開発は正式な業務ではなく、試作品を作りその必要性を訴えても、当初返ってきたのは「必要ない」という反応でした。

それでもデイビッドは諦めず、事故の後にも「声」と「記録」が残り、原因を未来へ伝えられる仕組みを追求し続けた。

オーストラリア現地調査で、最初期のブラックボックスと対面

今回の現地調査では、デイビッドが発明の着想を得るきっかけとなった小型録音機「Minifon」や、ビクトリア博物館が収蔵する最初期のブラックボックスのプロトタイプを調査した。

さらにピーター氏が、家族のもとで長年保管され、デイビッド自身も晩年まで大切にしていた最初期プロトタイプに関係する電子回路基板を持参。博物館収蔵のプロトタイプとともに確認する、貴重な機会となった。

「失われても、声と記憶は残る」

デイビッドの発明の大きな特徴の一つが、飛行データだけでなく、パイロットの「声」を記録するという発想だった。

事故によって多くのものが失われても、そこに至るまでの「声」と「記憶」を残し、未来の安全へつなげていく。

一人ミュージカル『BLACK BOX』では、その思想を舞台表現そのものに重ねる。

舞台上に立つ俳優は一人。主人公以外の登場人物は録音された「声」として存在し、映像、音楽、サウンドデザインとともに、ブラックボックスに残された記録を再生するように、一人の人間の人生を辿っていく。

現地で制作チームが調査した資料と、家族から直接受け取った証言。その双方を10月の世界初演へとつなげる。

航空事故のあとに残された声が、未来の命を救う。

8月12日「航空安全の日」に、改めてその意味を見つめる。

メルボルンにあるビクトリア博物館に収蔵されているデイビッド・ウォーレン氏の初期試作品。写真の真ん中のものが貯蔵されており、下部は、約70年間自宅で保管され、今回の訪問で博物館に贈呈された       クレジット:Museums Victoria

翻訳・訳詞・演出 渋谷真紀子 コメント

写真で何度も見ていたデイビッド・ウォーレン氏の長男ピーター氏と初めてお会いした時、その姿や話し方があまりにもデイビッドに似ていて、本当にご子息とお話ししているのだと感動しました。
ピーター氏とご家族に二日間ご一緒させていただき、Minifonや最初期のブラックボックスに関する実物資料に触れ、ゆかりの地を訪ねることで、台本に書かれている場面が一気に色鮮やかに甦りました。
舞台は、実在した人物に再び息を吹き込み、その時間を蘇らせることができます。今回ご家族から受け取った記憶や、オーストラリアで感じたことを、演出や脚本の言葉選びにも織り込みたいと思っています。
ぜひ劇場で、空の安全を実現するために走り続けたデイビッドの半生を体感し、ご自身が今、耳を傾けるべき“声”にも繋がっていただけたら嬉しいです。


今回のオーストラリア現地調査や、デイビッド・ウォーレンのご子息ピーター・ウォーレン氏へのインタビューの様子は、Luna Hana Theatre Company公式LINEでも公開。公演『BLACK BOX』の最新情報や、作品づくりの舞台裏も随時発信される。

公演情報

日豪友好50周年記念一人ミュージカル『BLACK BOX』

【出演】
デイビッド・ウォーレン  大音智海
             柴原直樹(New Voice Cast)

【Voice Cast】
ルース・ウォーレン   北川理恵
ローレンス・クームズ他   戸井勝海
ピーター・ラングフォード他 ひのあらた
エリー・ウォーレン他   今泉りえ
タイク・マーフィールド他   金子大介
ヒューベルト・ウォーレン他 千葉一磨
 
【脚本・作詞・作曲】 Paul Hodge
【演出・翻訳・訳詞】 渋谷真紀子
【歌唱指導】 今泉りえ 水野里香
【振付・ステージング】 小石川茉莉愛
【音響】 牧嶋康司
【照明】 小野寺純子
【映像】 九頭竜ちあき
【美術】 根來美咲
【衣裳】 大東万里子
【ヘアメイク】 MAKEOVER TOKYO(小川実桜)
【演出助手】 田中雅樹
【舞台監督】 仲里良
【キャスティング】 川﨑眞樹
【制作・票券】 伊藤沙耶
【制作協力】 和田由紀子
【宣伝デザイン】 1.2.3.design
【アクセサリー協力】 Nijinokakera
【訳詞制作協力】 橋本薫子
【アシスタントプロデューサー】 根本真子
【協力】インキュベーションスタジオ「EIGHT」
【企画・主催】 Luna Hana Theatre Company

公式HP=https://www.makikoshibuya.com/blackbox2026
ハッシュタグ=#BLACKBOX #日豪50周年 #AUJP50 #LUNAHANA
 
【あらすじ】
スミソニアン博物館で、アメリカ人の発明と展示されていたフライトレコーダー。それよりも前に彼が発明し、イギリスで使われ始めていたことを証明するため、記憶の旅が始まる。
8歳の時、飛行機事故で父を亡くしたデイビッド。父がくれたラジオで音楽を聴くのが大好きだった。父がどうやって亡くなったのか?1953年のオーストラリア最大の航空事故の際に、ラジオを手にフライトレコーダーを思いつく。
しかし、オーストラリアの防衛研究所(ARL)で研究員をする彼の発明は、オーストラリア国内では冷淡に扱われ、その重要性を見出したのはイギリス人だった。この発明に没頭している間、4人の子供たちの世話を妻に任せっきりにし、家族を箱の外に追いやっていた。
世界中の航空安全を守るために発明を続けたが、父の死の記憶に閉じ込められていた自分に気づき、今からでも自分の家族との記憶を残していきたいと、自らのブラックボックスを壊していく。
 
<日程>
2026年10月28日(水)~11月1日(日)
 
<スケジュール>
・10月28日(水)18:30 ◇
・10月29日(木)14:00 ◇
・10月30日(金)14:00 ★/18:30 ◇
・10月31日(土)13:00 ◇
・11月1日(日)14:30 ◇
◇:大音智海 出演回
★:柴原直樹(New Voice Cast) 出演回
開場:開演30分前
上演時間:90分(予定・休憩なし)
 
<会場>
浅草九劇
  • イープラス
  • 大音智海
  • 世界初演一人ミュージカル『BLACK BOX』制作チームが“ブラックボックス”発明家の息子にインタビュー 父・デイビッドの素顔とは