有沙瞳、ミュージカル『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』オルカ役への覚悟ーー「守るものがある強さってかっこいい」
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有沙瞳 撮影=福岡諒祠
2023年の初演、2025年の再演に続き、新たなエピソードを描くミュージカル『SPY×FAMILY』シリーズ第2作『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』。9月9日(水)の開幕に向けて稽古が進むなか、『豪華客船篇』の主要キャスト、オルカ・グレッチャーを演じるのが有沙瞳だ。もともと原作ファンでもある彼女に、ミュージカルとしての『SPY×FAMILY』の魅力、そしてオルカ役に込める思いを語ってもらった。
「アーニャが好きすぎてグッズを集めていた」
有沙瞳
──初めに『SPY×FAMILY 2』への出演が決まった際のお気持ちからお聞かせください。
すごく嬉しかったです。元々『SPY×FAMILY』は好きで……特にアーニャが好きすぎて(笑)、一時期アーニャグッズを集めていたこともあるんですよ! ミュージカルとしてももちろん知っていました。メインキャストさんたちが素敵なのはもちろんなんですけど、私はアンサンブルのみなさんがすごく活躍される公演だなと思っていて、「みんなが主役」というか、一人一人にしっかり役割がある。そういう舞台のあり方も素敵ですし、老若男女問わず幅広い層に観ていただける、とても入りやすいミュージカルだとも感じています。そこに自分も参加できるのは本当に嬉しいです。
──クールとシリアスとコメディが同居するこの作品ならではの空気も、すでに原作からしっかりと受け取っているんですね。
はい。スパイものですが生活感があって、登場人物の関係性も家族や周囲の人に対する深い気持ちを描きつつ、キャラクターものということもあって語り口は割とポップ。重くなり過ぎないところもこの作品の良さかな、と思っています。
強さと優しさ、オルカが抱える二面性
有沙瞳
──ご自身が演じられるのはオルカ・グレッチャー。裏社会に君臨した「グレッチャー・ファミリー」の生き残りであり、幼い息子のグラムを守りながら、追手から逃れるため新しい顔と偽の身分を手に入れ……という、かなりワケありのキャラクターです。
自分が演じるまではすごくミステリアスであり、かつ女性らしい優しさがある印象だったんですね。だけど実際にお稽古していくとその加減がすごく難しくて。顔を変えている状態ではあるんですが、心の内は顔を変える前の自分のままだからこの顔のイメージにとらわれてちゃいけないというか……。外見上は優しい素振りをしているのですが、元はやっぱりマフィアの娘という人生を生きてきたので、隠していたとしてもそれを滲ませる姿勢や目つきは今も必ずあるはず。とはいえ、それが多過ぎてただキツかったり強くなったりするのもまた違うなと思って。
──彼女が背負っている二面性のバランスですね。
そこの塩梅はすごく模索しています。ゼブ(オルカに帯同している元構成員)に対する言動もそうですし、あと、ボディガードをしてくれているヨルさんに対してはどこか母性のような思いもあるのかなと思いますし……。女性が女性を包むというか、その関係の素敵さがアーニャが出すほっこりさとはまた違う柔らかさとして舞台上に出ていたらいいな、という思いもあります。
有沙瞳
──最終的には子どもと一緒に海を渡り別の国へと逃亡を図る。ものすごい勇気と決断のもとで行動する強い女性だなぁと感じます。
すごい覚悟。自分はやっぱりまだその実感までは理解しきれていないのですが、「母」というか、「守るものがある強さの覚悟がある人」ってかっこいいな、と。「私とこの子しかいない」っていう責任と、自分自身も大切な家族や夫を亡くしてものすごく複雑な思いがあるとは思うんですけど、でもそこばっかり注目して表現していると暗い人という印象になってしまうので、それはまたちょっと違う。ホント、凛としていて美しい。そして、内面はすごくマグマのように燃えている人。なんかちょっと男っぽいというか、肝が据わっている感じも大事にしたい。オルカさんみたいな女性になりたいなと思いつつ、お稽古しています。
──現場での様子はいかがですか?
グラムちゃん、舞台上ではお人形ではあるんですけど、でもみなさんによりリアルに思っていただけるようしっかり仲良くなりたいな、というのはすごくあって。あと、やはり原作ものはどうしてもキャラクターの「側」からお芝居を固めちゃいがちなんですけど……「原作のあのイメージを」みたいな。もちろんそこも崩しすぎはしないけれど、演出のG2さんも制作の方々も私が演じることで命を吹き込んだ役になればいい、ということをおっしゃってくださるのがとても励みになっています。いい意味で自由さが増えると言いますか、役として息が吸えるなと感じて、いろいろ発見もできています。
──『豪華客船篇』は原作でもヨルの“裏の顔”にフィーチャーしたエピソードですね。
家族なのか、仕事なのか、オルカはそういうヨルさんの大事な揺らぎのキーになる役でもあるのかなと思うので、同じ女性としてヨルさんにいい意味で影響を与えられる存在でもあれたらいいなと思います。我が子を守る母のその強さから、もう一つ、ヨルさんとは違う器の大きさのようなものも表現できたら深みが増すかなと。劇中私が主に関わるのはヨルさんかゼブになるのですが、この2幕を通して、初めと終わりでオルカ自身のこの人たちに対する関係性とか距離感が変わっていくなというのをすごく感じるので、お客様にはそこも楽しんでいただけたらいいですね。
「背中にクッと一本筋の通った存在感でありたい」
有沙瞳
──劇中ナンバーもとても楽しみです。
オルカは大きいナンバーが3曲あるんです。まず2幕が始まってすぐにオルカ自身の過去を話す歌があって、あの曲だけを聴いているとちょっと暗いイメージで問いかけるような印象になってしまうんですが、でもあの場面にあの歌があるというところでちょっとカラッと歌った方がいいのかな、と。そうすることで「実はこの人悲しそう」という表とは反対の内面が見えてくるように思えるので……。まあそこもまだ模索中、たぶん本番を続けている間にもいろいろ発見があるのかなとも思うのですが、でもその“反対を行く素敵さ”が、初めの歌にはあるかなと思います。あと、ゼブと歌うナンバーは、私にとって久しぶりのデュエットで、それもめっちゃ嬉しい! あえて突き放している人が向き合ってくれた誠実な思いに素直に喜ぶオルカの純粋な気持ち、そしてちょっと不器用な大人の恋心というか、ゼブとオルカの幼い頃も思い出しつつ、歌いたいです。
──原作でのあのエピソードも印象深く……。
そうなんです! だから初恋に戻ったちょっと甘酸っぱい気分もありつつな、大人のデュエットができたらいいな。あのナンバーでゼブの気持ちも受け取った上での、次からのゼブとのやりとりも見てほしい。そして最後のヨルさんに対する思い、感謝の願いの歌はぜひ本当にじっくりと聴いてほしいですね。どう感情が流れていったかでその歌が決まるので、自分の気持ちの叫びのままで歌いたいな、と思います。
──そこがミュージカルならではの味わいですね。ほかに有沙さんおすすめの見どころというと?
いっぱいあります。もう、目が足りないと思います! まずアーニャはもう最高に、腰が抜けるほどかわいいんですよ! 見過ぎちゃって出遅れそうなぐらい本当にかわいくって(笑)。オルカとしてはあんまり柔らかい部分ばかり出しちゃダメなんですけど、どうしてもアーニャを見てると心が緩んじゃって、なんか優しくなっちゃう。そこは気を引き締めてオルカとして役目を果たしたいなと思います。アーニャ役はトリプルキャストで、3人それぞれに全く違った良さがあるので、その癒やしを観ていただきたいですね。そしてやはりアンサンブルの方も本当にいろんな場面で大事な役目を見せてくださってるので……。普通の町の生活がある、この世界の平和というものを彼らが表現してくださってますし、2幕では立ち回りもすごいので、本当に燃えますよ。舞台全体から癒やしとかっこよさと、この世界はいろんな人がいるから成り立ってるというすごく深くて濃いメッセージを受け取れるのではないでしょうか。それを、受け取ったお客様にも自分の『こうなりたい』という思いを力に変えていただけたら。じーんとくるものをそれぞれに感じていただけたらいいなと思います。
有沙瞳
──豪華客船がどんなふうに表現されるのかも、ワクワクしながら、想像しています。
セットがすごく豪華で、隙がない。音楽もですし、無音だから出せるセリフの空気感ももちろんあるんですけど、この世界観、この物語を途切れさせないこだわりは随所にすごく詰まっていると思うので、観ていてあっという間なんじゃないかな。演じていてもあっという間ですし、いろんな立場のいろんな人にフィーチャーして楽しめる作品。しかもダブル、トリプルと、キャストが変わればやはり雰囲気も全然変わるので、いろんなパターンで何度でも観ていただきたいなと思います。私はシングルなんでね、ずっといますよ。そこが嬉し〜いっ! フフフッ(笑)。なのでしっかり集中して、マフィアのファミリーの一員なので、背中に「クッ」とね、一本筋の通った存在感であれたらいいなって。うん、ホントに頑張ります! いつでも劇場で待っています(笑)。
取材・文=横澤由香 撮影=福岡諒祠
公演情報
ロイド・フォージャー(凄腕スパイ:コードネーム〈黄昏(たそがれ)〉)
森崎ウィン/木内健人 ※Wキャスト
ヨル・フォージャー(殺し屋:コードネーム〈いばら姫〉)
唯月ふうか/真彩希帆 ※Wキャスト
アーニャ
泉谷星奈/古座野叶/真野麗花 ※トリプルキャスト
キース・ケプラー(学生テロリストグループのリーダー)
磯野亨
オルカ・グレッチャー(東国〈オスタニア〉のマフィアのボスの娘)
有沙瞳
ゼブ(グレッチャー組の組員)
楢⽊和也(梅棒)
マシュー・マクマホン(ヨルの部長であり、裏の組織〈ガーデン〉の一員)
吉野圭吾
シルヴィア・シャーウッド(〈鋼鉄の淑女〉の異名を持つ〈黄昏〉の上官)
朝夏まなと/真瀬はるか ※W キャスト
新井海人 荒川湧太 石田彩夏 岩下零時 依里
大津裕哉 大場陽介 小倉優佳 鎌田誠樹 桑原柊
島田彩 Taichi 丹宗立峰 堤梨菜 西村実莉
長谷川暢 般若愛実 本間健太 増山航平 武者真由
望月寛斗 山口将太朗 山野靖博 吉﨑裕哉 玲実くれあ
(50音順)
swing
加藤葉子 萩原麻乃 小宮山稜介
CREATIVES
原作:遠藤達哉(集英社「少年ジャンプ+」連載)
脚本・作詞・演出:G2
作曲・編曲・音楽監督:かみむら周平
製作:東宝株式会社
日程・会場:
2026年9月9日(水)~11日(金)プレビュー公演 ウェスタ川越 ヤオコー大ホール
2026年9月22日(火)~10月29日(木)東京公演 東京建物 Brillia HALL
2026年11月7日(土)~22日(日)福岡公演 博多座
2026年12月1日(火)~6日(日)兵庫公演 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2026年12月13日(日)~19日(土)愛知公演 御園座
2026年12月27日(日)~29日(火)山形公演 やまぎん県民ホール
https://www.tohostage.com/spy-family2/
ミュージカル『SPY×FAMILY』公式X
@spyfamily_stage
『SPY×FAMILY』集英社公式サイト
https://www.shonenjump.com/j/rensai/list/spyfamily.html
アニメ『SPY×FAMILY』公式サイト
https://spy-family.net/
(C)遠藤達哉/集英社