土屋太鳳が歌だけで魅せたスペシャルライブは、シンガーとしての期待も高まる素敵な一夜に
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『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』2026.08.03(mon) 恵比寿BLUE NOTE PLACE
8月3日、恵比寿BLUE NOTE PLACEで土屋太鳳スペシャルライブ『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』が開催された。俳優として輝かしい経歴を持つ彼女だが、歌だけで魅せるコンサートはこれが初めてだ。1日2回公演、午後9時スタートのセカンドステージは、同年代の女性を中心に熱烈なファンで満員に埋まった。
ピアノ、ウッドベース、ドラムスが奏でる心地よい4ビート、爽やかなアペリティフ代わりのインストを経て、軽快なイントロに乗って客席後方から登場した土屋太鳳。ワンショルダーの真っ赤なドレスを身にまとい、2階席から見下ろすファンにも笑顔で手を振り、ステージに上がっておもむろに歌いだす。曲は「Lead Your Partner」、彼女が声優を務め歌唱も担当した映画『アイの歌声を聴かせて』劇中歌を、アップテンポに乗せて歌う姿に華がある。張りと艶のある声に力がある。
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
「みなさんこんばんは、Mo' swingな夜へようこそ。私の本職はお芝居ですが、今につながる子供の頃の空気や音楽を、今日はみなさんとご一緒したいと思います」
「Rules feat.土屋太鳳」はTAIKING(Suchmos)の作品で、彼女がゲストボーカルで参加したメランコリックなスローバラード。俳優らしく表現豊かに、手を伸ばし視線を変え、ウィスパーを交えて語るように歌う姿から目が離せない。「2回目のステージだけど緊張します」と言いながら、表情からは嬉しさが溢れ出す。バンドマスターを務めるドラムのTAIKIMEN、ウッドベースのMarty Holoubek、ピアノの高橋佑成、頼れるメンバーを紹介する声がはずんでいる。
「『Mo’swing』は、母が私ぐらい年齢の時に主催していた、父と、塩田のりさんというアーティストの方と3人でやっていた、ジャズイベントのタイトルです。その頃に出会った方で、私が小さい頃から遊んでもらっていた、素晴らしいゲストをお呼びします。TOKU!」
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
旧知の仲を超えてもはやファミリー、TOKUのフリューゲルホルンをフィーチャーした「美しく燃える森」は、東京スカパラダイスオーケストラと奥田民生が歌った曲のカバー。途中で歌の入りを間違えても笑顔で乗り切り、「音に聴き入っていて、ファーストステージでも同じところで入りそびれました」と告白して笑いを誘う。芝居ならNGやり直しでも、ライブは人間性が伝わればOK。MCではバーテンダー野間真吾によるオリジナルカクテルを紹介する。ライブが始まった時の緊張感も消え、伸び伸び歌う姿を、誰もが優しい笑顔で見守っている。
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
スタンダードナンバー「Fly Me To The Moon」はTOKUの歌をメインに、二人見つめ合いながらデュエットへと展開する、それはまるでミュージカルのワンシーン。プレイヤーたちのソロの見せ場もあるが、実はファーストステージではウッドベースとドラムのソロはなかったらしい。ステージごとにアドリブを加えて表情を変える、それがジャズライブの醍醐味だ。続く「Where Do You Go From Here?」は彼女が出演した映画『帰ってきた あぶない刑事』挿入歌。「タカ&ユージに捧げます」と紹介して、ムーディーなスローナンバーに情感を込めて歌う。音に乗りながら、音をリードするように、たっぷりと間をとって歌う姿に貫禄がある。とても初ライブとは思えない。
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
「みなさん、フラメンコをご存じですか? スペインで辛い境遇の人たちが隠れて歌い踊った、魂の叫びがフラメンコです」
短いブレイクを経て、靴を履き替えてステージに戻って来た土屋太鳳が披露する、情熱のフラメンコダンス。シューズで床を踏み鳴らし、両手を振り上げて力強く舞い、視線はきっと前を見つめ、言葉にならない感情を全身で表す激しくも艶やかなダンスを、息を呑んで見つめるオーディエンス。「フラメンコの持つ泥臭くてリアルな感情は、私が演者として伝えたい思いと似ている気がします」という言葉に、俳優・土屋太鳳の哲学が見える。歌の中に演じることが、演じることの中に歌がある。
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
ここでもう一人のゲスト、シンガーのZABUこと西川雄三郎を呼び込み、エリック・ベネイ「The Last Time」をデュエット。ソウルフルなボイスで甘いラブソングを歌うZABU、ピアノに寄りかかるようにして聴きながら、踊るようにステージを横切る土屋太鳳。最後は手を取り合ってのデュエットへ、全てのシーンが絵になる美しさだ。
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
ここで親友・杉咲花が撮影を担当した、日めくりカレンダー発売決定の朗報を伝えたあと、ライブはいよいよ佳境へ。ZABU、TOKU、太鳳のボーカルで日本のスタンダード「上を向いて歩こう」を歌ってフィナーレへ、のはずが、「歌詞間違えました!もう一回やりたい!」ということで、まさかのテイク2に突入。予期せぬハプニングをチャンスに変えて、オーディエンスのコーラスを味方につけて、今日イチの盛り上がりを作ってしまう、歌手・土屋太鳳の魅力は自由奔放。天性のものだ。
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
11年前の出世作、NHK朝の連続テレビ小説『まれ』主題歌「希空~まれぞら~」をしっとりと歌い上げた後、『Mo' swing』のラストを締めくくるのは80年代のスタンダード曲「We Are The World」だ。「地球を包むものは愛だと思います」と言いながら、TOKU、ZABUに加えてジャズシンガーのマリーン、弟の土屋神葉を迎え入れて5人でマイクをリレーする、歌の中にメッセージがある。1日2公演を終えて疲れも見せず、メンバーに、スタッフに、オーディエンスに、そして自分に、拍手を送る笑顔が輝いている。
親の代から続く音楽とジャズへの思い、ダンスやフラメンコといった自らのルーツ、そして俳優としての信条や伝えたいメッセージなど、すべてを凝縮した記念すべき初ライブ。土屋太鳳にはジャズのステージがよく似合う。今後の歌手活動への期待がさらに高まる、素敵な一夜に乾杯を。
『TAO TSUCHIYA presents-Mo’swing』
ライブ情報
2026年8月3日(月)ブルーノート・プレイス
Dr/Par:TAKIMEN
Ba:Marty Holoubek
Key:高橋佑成
Vo/F-hrn:TOKU
Vo:ZABU