Fujii Kaze、XG、ハイスタ、マッシヴ・アタックらが興奮の渦を巻き起こす!『フジロック'26』を振り返る

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(C)宇宙大使☆スター

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新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催された『FUJI ROCK FESTIVAL '26』(以下、フジロック)は、7月23日の前夜祭から26日までの4日間で、延べ123,500人が来場。国内外から180組を超えるアーティストが出演し、土曜日の1日券と3日通し券が完売するなど、開催29回目の今回も大きな盛り上がりを見せた。

 

■今年は“雨のフジロック”に

(C)宇宙大使☆スター

初日は日中から強い陽射しが照りつけ、夜まで汗ばむ陽気に。ところが2日目は朝から雨となり、一時は土砂降りに見舞われ、その後も夜まで降ったり止んだりを繰り返した。雨の影響もあって日中は比較的涼しく、夜には寒さを感じるほど。3日目も朝から雷雨となり、川が増水するほどの雨に見舞われたが、昼過ぎには雨が上がり、その後は曇り空が続いた。初日こそ夏らしい暑さとなったものの、3日間を通してみれば比較的涼しく、過ごしやすい気候だった。久しぶりにレイングッズが活躍する場面も多く、今年はまさに“雨のフジロック”となった。

期間中、取材をしていて印象的だったのが、雨に対する来場者の捉え方の違いだ。初参加の来場者からは「雨で残念」「雨だからテンションが低め」といった声が多く聞かれた。一方、リピーターは「雨が降ったから涼しい」「このくらいの天気がちょうどいい」と一様に口を揃え、一般的には歓迎されにくい雨を、むしろ快適なものとして受け入れていた。この対照的な反応は、天候の変化も自然の一部として受け入れ、その環境ごと楽しむという、「自然との共存」を掲げる『フジロック』ならではの光景といえるだろう。

 

■Fujii Kaze、XGが初登場、Hi-STANDARDは27年ぶりの帰還――存在感を放った日本勢

Fujii Kaze (C)Yosuke Kamiyama

海外の大型フェス『Lollapalooza』や『Outside Lands』への出演を経て、満を持して『フジロック』初出演を果たしたFujii Kaze。そんな彼の苗場でのステージは今夏の国内フェスで最も注目されていたアクトのひとつと言っても過言ではないだろう。その呼び声どおり、2日目のグリーンステージには彼の登場を待つ人々が溢れかえった。サックスを吹きながらの登場から、「死ぬのがいいわ」や「Prema」を経てラスト「Hachikō」の一挙手一投足に至るまで、巨大なセットとバンド、コーラス、ホーン隊を伴い独自の世界観を表現するパフォーマンスに注目が集まった。それと重なる時間帯には、同じく世界的な音楽フェスへの出演を重ね、グローバルに存在感を高めるXGが全身黒の衣裳に身を包んでホワイトステージに初降臨。こちらも大注目アクトであったため、ホワイトに向かう道中からごった返し、「WOKE UP」で幕を開けると大歓声が響いた。

XG (C)Masanori Naruse

Hi-STANDARD (C)Masanori Naruse

そして1999年以来、実に27年ぶりに出演したHi-STANDARDが初日のグリーンステージに堂々登場。終盤には「Stay Gold」も披露され、時間枠を使い切る「I Can’t Stop Loving You」まで一気に駆け抜けた。熱いパンク魂を轟かせたその勢いのまま、結成30周年を迎えたASIAN KUNG-FU GENERATIONを観ようとする群衆の大移動がはじまり、ホワイトステージまで大渋滞が続いた。「新世紀のラブソング」が始まり、もみくちゃ状態の中で、ふと思ったことがある。

ASIAN KUNG-FU GENERATION (C)Taio Konishi

歴史もスタイルも異なる同世代の日本のロックバンド2組にオーディエンスが立て続けに沸く光景からは、長きにわたり洋楽メインのフェスとして認知されてきた『フジロック』の変化もうかがえた。そして、もはや洋楽・邦楽という枠でくくること自体がナンセンスであることを改めて知らしめてくれた。アジカン終演時には後藤正文が「OUR GENERATION MUST END THE WAR」と書かれたプラカードを掲げ、強いメッセージを残した。そんな2組の雄姿は、同世代の一人として誇らしくもあり、同時に「まだまだいける、もっといける」と背中を押してもらった。

平沢進+会人  (C)Taio Konishi

平沢進にも触れないわけにはいかない。2019年のレッドマーキー、2021年のホワイトステージでのヘッドライナー出演を経て、今回も会人(EJIN)を伴い、グリーンステージにおいて唯一無二の平沢ワールドを展開した。72歳という数字すらも超越する異次元の世界。まったくもって圧巻のショーだった。

 

■The xx、クルアンビン、マッシヴ・アタック――三者三様のステージで魅せた海外ヘッドライナー

The xx (C)Masanori Naruse

音楽好きが心躍らせたラインナップとなった2026年、『フジロック』最大ステージであるグリーンステージのヘッドライナーを飾ったのは、The xx、クルアンビン(Khruangbin)、マッシヴ・アタック(Massive Attack)の3組だった。初日に登場したThe xxは2010年から『フジロック』にコンスタントに出演し、バンドの成長と共にステージ規模が段々に拡大されていった軌跡を持つアーティストのひとつである。9年ぶりに苗場にカムバックした3人は「Loud Places」「Enjoy Your Life」「On Hold」などを次々に届け、苗場に極上の音空間を創り上げて時に静かに、時に熱くオーディエンスを魅了した。

KHRUANGBIN (C)Jackie Lee Young

2日目のトリを飾ったのは、初出演となった2019年のフィールド・オブ・ヘブンでの出演以来、7年ぶり3回目の出演となったクルアンビン。メンバーの背後に映し出された大きな月に見守られながら、幻想的で透明感のあるサウンドが充満していくように放たれた。やがて頭上には本物の月も輝きだして、「Dern Kala II」ではオーディエンスが歌う声も大自然と融け合った。まるで異世界へ連れて行かれたような感覚を残す、美しいショーだった。

MASSIVE ATTACK (C)宇宙大使☆スター

最終日は、2010年以来16年ぶりの出演となったマッシヴ・アタック。変わらぬ姿勢、変わらぬメッセージがオープニングから怒濤の勢いで発信されていく。イスラエルによるガザ地区への侵攻、戦争、トランプ、企業、フェイクニュース、AIによる監視技術への警鐘。日本語字幕も多用され、ラストの「Teardrop」で巨大スクリーンが消えるまで、聴く者、観る者を逃がさず問題を提起し続けた。よくあるフェスの最後の盛り上がりとは一線を画し、後味もなかなかに凄まじい。

今回彼らが初めてライブ配信を許可したことも話題になっていたが、現地でさえ受け止めきれないほどの膨大な情報量。それが配信では画面を通して一対一で突きつけられるわけで、一体どう見えて、どう感じられるのか。どちらも味わうことはできないだけに、実に興味深いと思った。

TURNSTILE (C)Masanori Naruse

ANGINE DE POITRINE (C)Ruriko Inagaki

180組以上のアーティストが出演した今回、ここでは触れていないアーティストやアクティビティの方が圧倒的に多い。すべてを紹介しきれないが、前回出演時以上の盛り上がりを見せたターンスタイル(Turnstile)や、入場規制がかかったアンジーヌ・ドゥ・ポワトリーヌ(Angine de Poitrine)、ザ・ケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)のトム・ローランズとオーロラ(AURORA)によるトモーラ(TOMORA)など、ほかにも語り尽くせないほどの見どころがあった。

TOMORA (C)Masanori Naruse

また、ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA(feat. 大江慎也、甲本ヒロト、浅井健一、トータス松本)では、長年グリーンステージのMCを務めたスマイリー原島氏を追悼。甲本ヒロトがルースターズを歌い、原島氏について「ロック好きは変われんのよ」と語る場面が印象的だった。ドノヴァン・フランケンレイター(Donavon Frankenreiter)と平井 大によるセッションも実現したほか、曽我部恵一が戦争と平和をテーマに語り、忌野清志郎の楽曲を歌い継ぐなど、世代やジャンルを越えた共演やメッセージが随所に見られた。

 

■今年の傾向と変化

キッズランド (C)宇宙大使☆スター

森のピアノ (C)宇宙大使☆スター

ライブステージのほかにも、キッズランド、森のピアノ、朝ヨガ、THE PALACE OF WONDER、復活した富士映劇など、アクティビティやワークショップが多数実施され、幅広い世代や国籍の来場者が楽しんだ。また、Amazonによる全世界向けの無料ライブ配信や、湯沢町と連携した余剰食材・ドリンクの寄付活動も行われた。

THE PALACE OF WONDER (C)宇宙大使☆スター

富士映劇 (C)宇宙大使☆スター

取材を通して印象的だったのは、今回が初参加という人が国内外問わず非常に多かったことだ。なかでも、海外からの来場者への取材で多く聞かれたのが「音響の良さ」について。「どうやったら、こんな野外のオープンスペースでこれほどいい音が出せるの!?」と興奮気味に話す人もいた。また、20数回参加してきた中でも初めて目にする光景があったりして、そうした場面からも『フジロック』の変化を感じた。一方で、これまでほとんどストレスを感じることのなかった『フジロック』において、オーディエンスの移動による渋滞で観たいステージが思うように観られなかったことが一度ならず数回あった。これまでの経験から見込んでいた移動時間では通用しない場面もあり、それもまた新鮮だった。今年の『フジロック』の特徴のひとつとして挙げておきたい。

文=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

 

イベント情報

FUJI ROCK FESTIVAL 2027
7月23日、24日、25日
新潟県 湯沢町 苗場スキー場

▼ FUJI ROCK FESTIVAL  オフィシャルサイト
https://www.fujirockfestival.com
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