デビュー15周年を突き進むLiSA、その歩みのなかで今歌に託すものとは
LiSA
デビュー15周年を突き進むLiSAが、新曲「ソフィリア」を9月25日に配信リリースした。映画『マッチング TRUE LOVE』の主題歌として書き下ろされたこの曲にLiSAが込めたのは、傷ついてもなお、自分が信じるものを手放さない人への温かな眼差し。そんな「ソフィリア」をきっかけに、話題は、LiSA自身が15年の歩みのなかで受け取ってきた愛、誰かを信じることの意味へと広がっていった。かつては大人を信じられず、捨て猫のような目をしていたという少女は、今、懸命に日々を生きる人に〈大丈夫だよ〉と伝えるために歌っている。誰かを信じること、そして愛すること。その意味を知った先で、LiSAが今、歌に託すものとは。
――デビュー15周年おめでとうございます。15周年に因んで15個の企画を進行中ということで、本当に盛りだくさんの1年ですね。
15周年をどんなふうに迎えようかと想像しながら、去年1年、すごく準備をしてきました。10周年がちょうどコロナの時期で。会えなかった時期を経験しているので、15周年はしっかりお祝いしたいなと思って。そしていざ15周年を迎えた今は、『LiVE is Smile Always~15~(iCHiNiTSUiTE GO)』というタイトルでライブもしましたけど、本当に駆け抜けている感覚があって。(指を折りながら)5、6、7……まだ3ヶ月しか経ってないのが信じられないなって(※取材は7月下旬に実施)。みんなとサイン会でお話ししたり、ライブ会場でお祝いしていただいたりしながら、15周年をしっかり実感してます。みなさん「15周年がゴールじゃない」「位置についてゴー!」という私の意気込みを受け取ってくださって、一緒に未来に向かって走っている感覚がありますね。
――そんな中で、新曲「ソフィリア」が9月25日に配信リリースされました。映画『マッチング TRUE LOVE』の主題歌ですね。
『マッチング TRUE LOVE』は、いろいろな形の歪な愛が交錯している作品で、真実の愛じゃないものが裁かれていくというサスペンスでもあるんですけど。いろいろな雑音や関係値、それぞれの正しさがあるなかで、主人公の輪花と吐夢には自分たちの信じる愛情を貫いてほしいなと願いながら、この「ソフィリア」という楽曲を作りました。
――歌詞は、田中秀典さんとの共作なんですね。「至泡瀬」と書いて「しあわせ」と読ませる当て字が印象的でした。
この部分はまさに、ヒデさんの真骨頂で。今回の作詞のしかたは、私が自分の想いをバーッと文章で書いて、そのあとヒデさんが言葉尻を調整したり、似合う言葉を入れてくれたんですけど、この部分は私は最初、普通に「幸せ」と書いてました。だけどその前に「流れ流れたどり着いた」という海の中をイメージさせるような歌詞があるので、そこからヒデさんが「至泡瀬」と書いてくれて。波打ち際の泡ってすぐになくなっちゃうし、幸せも目には見えないけど、それ以上に信じている心の中の本当に深いところにある思いはきっとなくならないよね、みたいな。天才だなと思いました。
――主題歌制作にあたって、映画チームから何かオーダーはありましたか?
まず、バラードというオーダーをいただきました。でも、それくらいかも。今作はシーズン2にあたるんですけど、制作にあたってまず、私もヒデさん(共作詞の田中秀典)も、シーズン1(2024年公開の映画『マッチング』)を観て。今作の映像はまだ出来上がってなかったんですが、撮影されたものを拝見させてもらって。そのあとヒデさんと一緒に、「もし自分が輪花の立場だったら」と想像した時に湧いてきた感覚や感情を紐解きながら、歌詞を書いていきました。
――LiSAさんから見た輪花はどんな人物で、どのようなところが自分とは違うなと思いますか?
輪花はすごくまっすぐで、正義感が強くて、大きな母性がある女性なんですけど、前作でお父さんもお母さんも亡くなってしまって。さらに、自分が唯一愛した吐夢が、お父さんと不倫相手の間にできた子どもだと知って。自分が同じ状況だったら、こんなにもまっすぐに正義感を貫けるだろうか、自分が信じたい真実や愛したいものをちゃんと愛せるだろうかと考えたら……多分、何も信じられなくなりますよね。私だったら「一番近くにいた家族すら、私に嘘をついてたってこと?」「あの時、吐夢が急に近づいてきたのは、実は私を殺そうとしてたから?」って不安になっちゃうと思う。それでも輪花の中にある吐夢や家族への愛情は、全然ブレなくて。
――強い女性なんですね。
でも、本当は心の中で泣いていたり、誰かに傷つけられることに敏感になっていたりするのかなと思って。そこに対して私は、「大丈夫だよ」と言ってあげたいというか。寄り添い方っていろいろあると思うんですけど、「あなたのその傷、分かるよ」じゃなくて「いろいろあっただろうけど」みたいな感じで、ちょっと肩の力を抜いてあげられるような温かさが、この曲にあったらいいなと思いました。この曲に対して、輪花役の土屋太鳳さんと吐夢役の佐久間大介さんが「母性を感じる」とおっしゃってて。そう言われて、「自分にも母性ってあったんだ」と思って(笑)。
――かつてのLiSAさんが知ったら、驚くかもしれませんね。「母性がある? 私に?」って(笑)。
そうですね(笑)。私、中学2年生の時に今の事務所に入ったんですけど、その時に拾ってくれた偉い人が「誰のことも信じていないような、捨て猫の目をしてた」って言うんですよ。なぜそんな目をしていたかというと、自分以外、全員敵だと思っていたからで……(笑)。
――なかなか尖っていたと(笑)。
だから15年~16年前に初めてアニメに関わった時に、作品のファンの人たちから愛情をもらったことにすごく驚いたんです。みんな私のことなんて知らないはずなのに、「ありがとう!」って手を広げて受け入れてくれる。まだCDを出してもない私のことを「LiSA!」って呼んでくれる。その経験は、私にとってすごく大きなものでした。それ以降は、「今から戦いに行くんですね! 私も、できることを頑張ります! いろいろ教えてください、先輩!」という気持ちで。パーティーに参加したばかりの下っ端みたいな感じだったから、母性からは程遠かったかも。
――パーティーの下っ端って、いい喩えですね。
デビューした当初は、「頑張ってきた自分を信じる」という感じで。やっぱりライブの日が一番緊張するから、当日までにきちんと練習して、ずっとライブのことを考えてきた自分を信じて、当日はステージに立つ。そのやり方は今も変わらないし、私にとってしっかり準備することは験担ぎであり、それをやらなければ、自分のポリシーとして、ステージに立つべきではないと思っているんですけど。15年前は「ファンの方の期待に応えたい」という気持ちが自分の力にもなっていたし、プレッシャーにもなっていました。だけど今は、頑張ってきた自分プラス、私のことを一緒に信じてくれるみんなのことも含めて、信じられています。ライブで生を体感するのを楽しみに来ているのは、私だけじゃなくて、みんなも一緒だから。自分一人だけじゃなく、お互い愛情を持っていて、みんなで同じゴールを目指している。それを信じたいと心から思っているし、信じながらステージへ向かえるようになりました。
LiSA『ソフィリア』MUSiC CLiP (映画『マッチング TRUE LOVE』主題歌)
――とても大きな変化ですね。
15周年のアリーナツアーのファイナルで、アンコールラストの「NEW ME」を歌っている最中に、マイクトラブルで急に声が出なくなっちゃったんですよ。そしたら、客席のみんなが代わりに歌ってくれて。ハプニングって急に起きるから、みんなはそのフレーズを歌うことになるなんて全く思ってなかったわけじゃないですか。それでもとっさに歌い出してくれたから……みんながどれだけ大きな思いを楽曲やライブに向けてくれているのか、その瞬間すごく感じて。「何があってもみんなが支えてくれる」「一緒にこの日を最高にしてくれる」という信頼も増しました。
――今回の「ソフィリア」の歌詞の一つの特徴は、愛の実感が身体的な感覚を通して描かれていることだと思うんです。例えば〈離さないでよ 繋いだ手の真実/伝わった温度が私を守ってるの〉というフレーズでは触覚や温度感覚が、〈覚えてる匂いだけ頼りに あなたと巡り逢えたんだ〉というフレーズでは嗅覚が、相手の存在を感じられる根拠になっていますよね。こういう表現が出てくるのは、ライブを通じて、ファンのみなさんと生身のコミュニケーションを交わしてきた経験が、LiSAさんの土台にあるからなんだろうなと思いました。
そうですね。私、目の前の人がなんとなく話しているのか、心で話してくれているのかって、わりと気づいちゃうかも(笑)。子供の頃、ちょっとマセている女の子だったから、大人に対して「この人たちは本当に分かってないな」と思っていたんです。でも大人になった今、それは、母や学校の先生たちが赦してくれていただけなのかなと。私が何かを言ったり、反抗的な態度をとっても、「そういう時期もあるよね」「そういう感情も大切だよね」「自分で経験してみたらいいよ」みたいな。自分より多く経験を重ねている人に、赦しを与えてもらっていたんだなと思います。それから実際にいろいろな経験をして。自分でいろいろな感情や感覚を体感して、信じられるものを見つけていって。
――その“信じられるもの”の一つが、ファンの方々なんですよね。そしてかつてお母さんや先生がそうしてくれていたように、今度は自分が、大人として誰かを見守る立場になったと。
私と同じくらいの年齢の人たちは、仕事の中でも後輩ができたり、「下の世代をちゃんと育てていかなきゃいけない」という意識が芽生えるような経験をしている方が多いと思うんですけど、私もそういう立場にいるのかも。それを母性と呼ぶかは分からないですけど、そういう感覚が生まれてきた気がします。ファンのみなさんに対して、デビューしたばかりの頃は「みんな、私のことだけをずっと思ってて!」「いろんな人を推すとか、マジ考えられない! そんな愛、信じられない!」と思ってました。でもみんなは私が必要な時にいつもそばにいてくれたから、今はみんなが必要な時に選ばれたらいいな、そうやってそばにいる役割ができたらいいな、と思っていて。信じていることが、とても大切だなと。こうやって話していると、大人になったんだなと自分でも思いますね(笑)。
LiSA 全国ホールツアー「LiVE is Smile Always~LACE UP~」
――アニバーサリーイヤー、この先はどのように過ごしていきたいですか?
「待っていてくれる人たちに喜んでもらえるんだったら、行きたい! 会いたい!」という気持ちでずっと活動しているから、初めてのヨーロッパツアーはすごく楽しみですし、そのあとの日本のホールツアーでも、島根や大分、富山、北海道の帯広など、行ったことのない土地に行けるので、「やっと来られたよ!」って気持ちです。宣言通り、15周年は派手にお祝いし尽くします。みなさんも健康に気をつけて、遊びに来てほしいです。
――LiSAさんも健康に気をつけてくださいね。ツアーの日程を見て、ハードスケジュールだなと思ったので。
本当ですよね。いつリハするの?って感じ(笑)。
――ホールツアーのファイナルは岐阜なんですね。
そうなんです。なので、この15周年は、日本武道館から始まって、アジアツアーをして、ヨーロッパツアーをして、日本全国を回って、地元の岐阜に帰るんですよ。すごくドラマチックじゃないですか? 最高な1年ですね。
――ちゃんと練習して本番に挑むのがポリシーだという話がありましたが、LiSAさんが努力をするのは、心配性で臆病な自分がどこかにいるからだと思うんです。そこは依然として変わらずという感じですか?
そうですね。
――でも、アルバム『LACE UP』の収録曲「Patch Walk」では〈ただサボらずに進んだだけ/ここまで来れたことが誇らしい〉と歌っていて。LiSAさんは15年かけて自分のことを褒めてあげられるようになったんだなと感じて、私はなんだか嬉しかったんですよね。
この15年間で私が守り抜いてきたこと、続けてきたことって、嘘をつかず誠実に、自分なりの精一杯をちゃんと注ぐこと。自分の心配性なところをずっとマイナスな要素だと思っていたけど、最近は、私がここまでできるのは心配性だからだなと感じていて。私は心配を解消するために努力ができる。心配性だからこそ、人の感情の細かい動きも感じ取れる。ダメな自分を認めるだけじゃなく、ちゃんと理解して、そのうえで努力できたことはきっと素晴らしい。自分を律して進んでこられて本当によかったなと思うし、「Patch Walk」という曲は、「だから自分を褒めてあげたいな」「それぞれの場面で支えてくれたみんなに感謝を伝えたい」と思って書きました。
――「みんなに感謝を伝えたい」という気持ちも、やっぱりセットになっているんですね。
そうですね。私を応援してくれるみなさんは、すごく優しいんですよ。さっきも言ったように、私は「みんな敵じゃない」「むしろ味方だし、同じゴールを目指そうとしている」ということが嬉しくて。もらった愛情を倍にして返したいという気持ちがあるけど、やり方は全然、不器用だと思うから……とにかく一生懸命に伝えようとしている私を、ちゃんと受け止めて、感じ取ってくれるみなさんが、きっと優しいんだと思います。私の一生懸命さや気持ちを受け取ってくれるみなさんは、どこに行っても絶対大丈夫だと思う。だから、「大丈夫、行ってこい!」って感じです。「自分の日常へ行ってこい!」みたいな。こんな私のことを理解して、気持ちを受け取って、愛情を返してくれるのだから、君たちは絶対に大丈夫ですって。なぜだかそう思うんです。
取材・文=蜂須賀ちなみ
リリース情報
作詞:LiSA、田中秀典
作曲:her0ism、Ryuto
編曲:出羽良彰
https://LISA.lnk.to/Sophilia
ツアー情報
10月18日(日) YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)(開場 14:45/開演 15:30)
10月24日(土) グランキューブ大阪(開場 17:00/開演 18:00)
10月25日(日) グランキューブ大阪(開場 16:00/開演 17:00)
11月1日(日) 福岡サンパレスホテル&ホール(開場 17:00/開演 17:45)
11月3日(火祝) iichiko グランシアタ(大分)(開場 17:00/開演 17:45)
11月13日(金) 帯広市民文化ホール(北海道)(開場 17:45/開演 18:30)
11月15日(日) 札幌文化芸術劇場 hitaru(北海道)(開場 17:00/開演 17:45)
11月21日(土) レクザムホール(香川県県民ホール)(開場 17:00/開演 17:45)
11月23日(月祝) 松山市民会館(愛媛)(開場 17:00/開演 17:45)
12月12日(土) 砺波市文化会館(富山)(開場 17:00/開演 17:45)
12月13日(日) 本多の森北電ホール(石川)(開場 17:00/開演 17:45)
12月18日(金) 広島文化学園 HBG ホール(開場 17:45/開演 18:30)
12月20日(日) 米子コンベンションセンター BiG SHiP(鳥取)(開場 16:45/開演 17:30)
【2027】
1月9日(土) TOYOTA ARENA TOKYO(東京)(開場 16:00/開演 17:00)
1月10日(日) TOYOTA ARENA TOKYO(東京)(開場 15:00/開演 16:00)
1月16日(土) 仙台サンプラザホール(宮城)(開場 17:00/開演 17:45)
1月17日(日) 盛岡市民文化ホール(岩手)(開場 17:00/開演 17:45)
1月28日(木) Niterra 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(愛知)(開場 17:45/開演 18:30)
1月30日(土) 長良川国際会議場メインホール(岐阜)(開場 17:00/開演 17:45)
※東京会場のみ...指定席 11,000 円(税込) /TERRACE SUITE 席 13,200 円(税込)