早乙女太一・早乙女友貴、受け継いだ夢を次の世代へ 劇団☆新感線『髑髏城の七人 LAST STAND』で兄弟対談
-
ポスト -
シェア - 送る
(左から)早乙女太一、早乙女友貴
劇団☆新感線の代表作『髑髏城の七人』。1990年の初演から36年、11バージョンを経て、いよいよ『髑髏城の七人 LAST STAND』と銘打ち、劇団として最後の上演を迎える。
4度目の『髑髏城の七人』で、初めて主演・捨之介を演じる早乙女太一と、本作に初参加で天魔王役に挑む早乙女友貴。かつては作品の観客側だった2人が、今度は演じる側としてその舞台に立つ。
長く愛され続けてきた作品の魅力、それぞれが向き合う役柄、そして兄弟だからこそ見える互いの姿とは。最後の髑髏城に懸ける想いを聞いた。
「観る側」から「演じる側」へ
ーー今回のオファーがきたときの気持ちと、兄弟での出演をどう受け止めているのかを聞かせてください。
太一:嬉しかったですね。(松本)幸四郎さんや古田(新太)さんをはじめ、劇団☆新感線の作品には僕にとってのヒーローがいっぱいいるんです。そういった役割を、今度は自分が担えることへの喜びと、感謝があります。自分たちがもらった夢や感動を、次の世代へ届けられたらいいなと。兄弟での出演も、やっぱり嬉しいですね。託してもらえることに「ありがとうございます!」という感じ。兄弟共々、頑張ります。
早乙女太一
友貴:僕は劇団☆新感線との出会いが『髑髏城の七人〈アオドクロ〉』(2004年)だったんです。自分が最初に観た作品の最後に携わらせてもらえるということへの感謝と、純粋に嬉しい気持ちがありました。新感線に出演することは、自分たちが目指してきたもののひとつだったんです。今回、兄貴が主役として真ん中に立つということ、そして2人で髑髏城に出演できること、どちらもすごく感慨深いものがあります。
ーー真ん中に立つという点で、太一さんはやはり覚悟みたいなものはあるのでしょうか?
太一:覚悟と言いますか……主演と聞いたとき、第一に「お客さん入るかな?」という心配もあったんです(笑)。でも『髑髏城の七人』自体がすごく力強くて、みんなに愛されている作品だから、そんなに考えなくても大丈夫なのかなって。いつか真ん中でもお客さんが入るようになりたいなと、目標にしていたところもありました。『髑髏城の七人』という懐をお借りしてですけれど、こうして任せてくれたことはありがたいですね。
ーー劇団☆新感線としては最後の髑髏城になると聞いたときは、どう思いましたか?
太一:あ、ついに終わりを迎えるんだなあって。これまでも、終わりそうなタイミングは結構あったと思うんですよ。前回、ステアラ(IHIステージアラウンド東京 ※)であれだけ上演して、もうやることないんじゃない? というところからの最後だったので。
※『髑髏城の七人』“花・鳥・風・月・極”全5シーズン6作品(2017〜2018年)。累計55万人を動員。
友貴:最初にお話を聞いた時点で「もしかしたら最後になるかも」と、ちらっと聞いていたんです。「最後」と言いつつ、またやるんだろうなと思っていました。でも改めてお話をいただいたとき、タイトルに「LAST STAND」とついていたので、本当に最後なんだと寂しい気持ちもあって。同時に、滑り込めてよかったなあとも思いました。最後の髑髏城に関わらせてもらえることに、感謝しています。
早乙女友貴
なぜ『髑髏城の七人』は愛され続けるのか
ーー36年間、何度も上演され続けてきた本作の魅力はどこに感じますか?
太一:登場人物の背景まで浮かび上がってくるような、しっかりとしたキャラクター造形ですね。だから観る人によって主役が変わる。思い入れを持てるポイントがたくさんあるんです。それがこの作品の強みだと思います。こうして長く続いてきたのは、作家の(中島)かずきさんや演出のいのうえ(ひでのり)さんが、再演ではなく、毎回新しいチャレンジをされてきたことも大きいと思います。同じ役を演じても、決して同じ役にはならない。役者の個性によって、その時々でキャラクターの関係性やストーリーに変化が生まれるんです。
友貴:作品のストーリー自体は、すごくキャッチーなんですよね。少年漫画のような王道の主人公がいて、仲間が集まって、みんなで悪に立ち向かうという、すごくシンプルなお話。その中に、それぞれのキャラクターの見せ場や、骨太な物語がしっかり描かれているんです。どんな年齢の方でも楽しめるという点も、大きな魅力だと思います。
ーー太一さんは4度目の『髑髏城の七人』となりますが、どんなところに大変さを感じましたか?
太一:ステアラでの上演のときは、その前の『髑髏城の七人』(2011年)で作ったものを超えられるのか、そして短い期間でどう変化をつけていくのか。そういったことを考えるのに苦労しました。でも今はもう自分の中でどこか吹っ切れていて、すごく新鮮に挑めています。
ーー『髑髏城の七人』に初参加となる友貴さんは、役者として作品に触れてみていかがですか?
友貴:ひとりのキャラクターにフォーカスして触れるのは初めてだったのですが、その中で発見がありました。天魔王という人物は、すごく可能性のある役だなと改めて思ったんです。今回は新キャストも多いので、本読みの段階で今までとは違う印象を受けました。僕自身初めての『髑髏城の七人』なので、すごくフレッシュな気持ちでいます。
(左から)早乙女太一、早乙女友貴
捨之介と天魔王——「受ける」男と「過去に縛られる」男
ーー捨之介と天魔王という役に対して、現時点で抱いている印象をそれぞれ教えてください。
太一:捨之介は非常にフラットで、飄々とやっているように見えます。でも実は、過去の過ちや後悔を捨てきれずにいる。心の奥底には、ものすごく強い何かを持っているような印象があります。蘭兵衛や天魔王と違って、捨之介はみんなの想いを受ける側なんですね。受けて受けて、その想いを持って髑髏城へ向かっていく。そういったスタンスは、僕自身も大事にして、気張らずにいこうと思っています。
友貴:天魔王は、破壊者であり支配者。でも、人間の心の弱さや臆病さを根本に持っている人物。そして過去に縛られ、過去に生きている人物でもあります。彼自身は自分を「悪」だと思ってやっているわけではなくて。狂気的なポジティブとでも言うんでしょうか。狂った要素もありつつ、意外と人間らしい弱さを持っているキャラクターだと思っています。その辺りを、稽古をしながら詰めていけたらいいなと。
ーー中島さんといのうえさんから、今回の作品や役を託すにあたっての言葉はありましたか?
太一:特にないですね。でも多分、すごくベーシックなところを目指しているのかなと思っています。捨之介は今までいろんなキャラクター性で変化を遂げてきましたが、割と原点回帰と言いますか。そういったところを軸に置きながら、稽古場でちょっとずつニュアンスを探していくんじゃないかなあ。
友貴:ステアラでの上演がエンタメ色の強いものだったので、そういう印象を受けた方も多いかもしれませんが、元々は王道の歌舞伎の要素もある作品なんですよね。なので、こざかしいことはせず、まっすぐやってみても面白いのかなと考えています。いのうえさんと話したときに「1回、好きなようにやっていいよ」と言われました。いろいろ試してみて、それを壊して再生させていく作業になると思います。
ーー捨之介と天魔王、お互い相手の役に期待することはありますか?
太一:僕が天魔王を演じたとき(※)、天魔王をどうするかの前に、福士(蒼汰)くんの捨之介と戦うならどんな天魔王なのか、というところから始めたんです。いのうえさんが今回どう作っていくかはわかりませんが、縛りなく自由に、どうやってもいけるんじゃないでしょうか。
※2017〜2018年に上演された『髑髏城の七人』Season月《上弦の月》
早乙女太一
友貴:兄貴は歴代の捨之介の中でおそらく一番体が動くと思うので、見せ場でもある100人斬りのシーンは10分ぐらいやってもらいたいですね。
太一:戦えないだろ天魔王と。
友貴:いやあ、でもそこは期待してしまいますね。兄貴なので、いのうえさんも思う存分やらせたいんじゃないかなと。10分くらいやって捨之介がヘトヘトになったところで、僕が登場します。
尊敬できるところ、負けないところ
ーーお互いに役者として尊敬しているところを教えてください。
太一:自分の立ち位置を把握する力、ですかね。例えば、稽古場で周りの共演者を見て自分のポジションを見つけていくとか。そういったフットワークの軽さやバランス感覚に長けていて、それが年々上手くなっているように感じています。
友貴:仕切ったり、まとめたりするところですね。最近は演出もやるようになって、違う角度から物事を見るようになったと思うんです。それによって、演じる側になったときの見せ方も変わってきている。そうやって、いろんな角度で作品や自分を見ることができるところは尊敬しています。
ーーでは、「これだけは負けないぞ」というものはありますか?
太一:うーん、何かあるかなあ。あ、お酒の強さは多分負けないかな。
友貴:ゲームなら負けないですね。今やっているわけではないんですけど、コツを掴むセンスはあると思います。
早乙女友貴
最後の髑髏城、それぞれの挑戦
ーー最後の髑髏城に向けて、お互いへエールを送り合うとしたら?
友貴:新感線で、しかも『髑髏城の七人』で真ん中となると、きっと背負うものが大きいと思うんです。体力もメンタルも含め、普段の舞台以上に、目に見えないものも背負わないといけないので。まあでも、楽しんで、のびのびやってほしいなと思います。
太一:「頑張れ」しかないですね。天魔王は肉体がきついというより、内臓がきついことの方が多いんじゃないかな。天魔王って、出てきたら人の言葉を聞かずにずっと喋っているようなやつなんですよ。僕は以前やったときに、それで肺がギュンギュンしてきちゃって。でも、内臓ってなかなか鍛えられないでしょう。だから「頑張れ」としか言えません(笑)。
ーー最後に、今回の公演を通しての挑戦を教えてください。
友貴:新感線の中での役割としては、今まで演じてきた役とは違うタイプの役柄なので、それ自体が挑戦ではあるんです。天魔王は、この物語の事の発端の人物でもあるので、舞台上でいかにかき乱して、どう暴れ回れるか。そして悪の部分を表現しながら、しっかり天魔王という存在を作っていけたらいいなと思います。
太一:錚々たる人たちの中で、捨之介としてしっかり真ん中に立つことを、まず大事にしたいです。捨之介って、周りに濃い人たちがいっぱいいるので、シンプルに真ん中にいられる強さがないと成立しないんです。だから僕自身も、稽古場でみなさんのお芝居や気持ちをしっかり受け止めて、それを持って髑髏城へ向かって、最後は友貴と戦う。そういった、シンプル・イズ・ベストみたいなものができたらいいなと思います。
(左から)早乙女太一、早乙女友貴
■早乙女太一
ヘアメイク:奥山信次(barrel)
スタイリスト:Motoki Ogata
衣装:ジャケット ¥207,900、パンツ ¥119,900 /ともにDRESSEDUNDRESSED(DRESSEDUNDRESSED 03-6379-1214)
その他 スタイリスト私物
■早乙女友貴
ヘアメイク:奥山信次(barrel)
スタイリスト:八尾崇文
取材・文=松村蘭(らんねえ) 撮影=山崎ユミ
公演情報
お問い合わせ サンライズプロモーション北陸 025-246-3939(火~金12:00〜16:00/土 10:00〜15:00)
お問い合わせ サンライズプロモーション北陸025-246-3939(火~金12:00〜16:00/土 10:00〜15:00)
後援 FM802/FM COCOLO