YONA YONA WEEKENDERSが今抱く“未来への予感”――結成10周年、「続けた先に何かが待っている」
-
ポスト -
シェア - 送る
YONA YONA WEEKENDERS 撮影=浜村晴奈
結成10周年イヤーを駆け抜けるバンド・YONA YONA WEEKENDERS。“ツマミになるグッドミュージック”を奏で続ける彼らが、7枚目のEP「想い出の予感」をリリースした。10年の歩みからみえてきたもの、同じ方向を向く仲間達との旅路とはーー。結成当初から大切にしているライブへの想い、生活から滲み出る感情に想いを寄せたEP「想い出の予感」について、そしてどんな心持ちで『"OMOIDE NO YOKAN" Release Tour』へと向かうのか。楽しい”夜”を奏でてきた彼らの今を、 磯野くん(Vo.Gt)にFM802 DJ 田中麻希が訊いた。
生活と地続きで歩んできた10年、変化の中で見つけた新しいバンドの形
――まずは今年結成10周年イヤー、おめでとうございます! 振り返ってみて、どんな10年でしたか?
もともとは自分のためにやっていたバンドのような感じだったんですが、関わってくれる人がどんどん増えてきて、僕達だけじゃなく、いろんな人の人生が交わるプロジェクトになっている。正直こんなにもいろんな方が関わってくれ、愛されるバンドになると想像していなかったので純粋に嬉しいです! よくここまで来られたな、という感じです。
――インディーズデビュー直後にコロナ禍もあり、もどかしさもあったと思いますが、メジャーデビューして初めての全国ツアーのことも覚えてらっしゃいますか?
めちゃめちゃ覚えていますね。まだコロナ禍で制限があって、みんなマスクをつけていて。マスク越しにも、お客さんの期待感が目の輝きから伝わってきて。こんなにも待ってくれている人が全国に居るんだ、というのが初めて実感できたので、とても印象深いです。
――プライベートでは、10年の間に、転職、お子さんが誕生したりなど、変化があったと思います。YONA YONAは生活と地続きのバンドだと思うのですが、ご自身の環境の変化というのは音楽に反映されていますか?
めちゃ反映されていますね。大きくいうと人生を歌っているような。そのときの環境だったり、自分の心持ちなんかで、生まれる楽曲が変わっていっているなと。曲の着想は普段生活をしていく中で起こった出来事が基になっていたりするんですが、このスタイルを守り続けてきてよかったな、と思います。
――およそ1年前にEP 「予酔いの宵」をリリース(3人体制になってから初の作品)、ツアーもあり、今回のEP「想い出の予感」制作と、この1年激動だったのでは?
2025年は新しい体制に慣れるフェーズというか、バランスを取りながら、日々試行錯誤していた感覚がありますね。ライブでいうと、脱退したギター(キイチさん)が、センターにいてバンドの核となる人だったので。どう新しい魅せ方をしていくかというところは、チーム一丸となって試行錯誤しながら、立ち位置を変えたり、いろいろ議論しました。作っては壊し、という作業を繰り返してきた感じがありますね。
<この灯火は消さない>愛おしい未来への眼差しが詰まったEP「想い出の予感」
YONA YONA WEEKENDERS「夜半の月」Music Video
――そんな1年を経て、今回のEP「想い出の予感」は、どんなバンドのムードの中、制作されましたか?
10周年というタイミングもあったので、“夜のバンド”として始まったバンドが、今もう一度“夜”を表現するのはどうか、というところから進めていきました。最初に「夜半の月」「トキオ・ダンジョン」のデモができました。制作を進めるうちに、どんどん夜とは関係ない曲が出来ていって(笑)。でも結局「生活と地続きの曲ができる」というのは変わらないし、そこが自分達の強みだなと改めて思いました。過去を振り返るだけでなく、「これから20年、30年と長く続けていられるバンドでありたい」というところにみんなで意識が揃ったときに、“未来への期待”だったり“未来への予感”みたいなところも一緒に詰め込めたらいいよね、とこういうEPになりましたね。
――「夜半の月」にある<この灯火は消さない>という一節がとても力強いです。
続けた先に何か起こるんじゃないか、と信じてずっとやってきたところはあるので。“希望の光”といいますか、そんな存在になれたら嬉しいです。僕らが常にそこに立っていることによって、誰かの人生が少しでも変わったらいいな、って。“だから続けていくよ、俺たちは”そういう意志を込めていますね。
――”ライブへの讃歌”でもありますね。
10年やってきてコロナ禍であっても、体制が変わっても“ライブを止めたことがない”ということが誇りです。今ってサブスク、AIの時代じゃないですか。そんな今こそ、“生で音楽を鳴らすことの価値”が上がってきている、と思っていて。「僕らはこの先の未来もライブを続けていくから、そこに共鳴してほしい」という想いを綴った曲になりましたね。
――グルーヴ感も心地良いです。メンバー間でどんなコミュニケーションをとっているんでしょうか?
原型は僕が打ち込み等で作っているんですけど、みんなでスタジオに入って、僕が「夜っぽい感じにしたい」とか「ここは、ステージで僕にピンスポが当たってるみたいな感じ」とかを伝えて。
――イメージを伝え、メンバーが汲み取って、形になっていくんですね。そのイメージの共有は、続ける中でスムーズになったところもありますか?
そうですね。逆に、一時期そこのコミュニケーションがおざなりになっていた時期があったんです。コロナ禍のタイミングで僕もDTMを覚えて、曲の作り方が変わって。ただ昨年、1年新体制になって、改めてメンバー間のコミュニケーションも意識的に取るようになったんですよね。今回のEPは、意思疎通をしっかり取りながらスムーズに曲作りが出来た感じがしますね。
――今のバンドの風通しの良さがすごく伝わってきます。「トキオ・ダンジョン」はバンドの初期衝動的な部分も感じますね。
僕が岡山から上京して、「音楽で飯食うぜ!」みたいな、はじまりのタイミングの曲です。メンバー3人とも上京組なんですよ。僕は18歳のときに出てきて、37歳になったので、気づけば人生の半分以上東京に居ることになりますね! 最初は東京って何でもキラキラしてみえて、わざわざ東京タワーを見に行ったりしていたんですけど、気づけば生活する場所になっていって。でも改めて10年振り返ったときにキラキラした気持ちを忘れちゃいけないな、とふと思って生み出しました。
――スキャットも遊び心満載ですし、きっと出口がある、希望がある、というところもみせてくれるなぁと。
やっぱり東京という”大迷路”の中で(笑)、いまだに慣れないですけど夢があって、何かを叶えたくて。今ぐるぐる迷っているっていうことは、結局「迷っているうちは、その夢をみている。」という捉え方もできるかなと。
――素敵な捉え方ですね! この曲をライブで披露するときは、当時の自分とも再会できそうな感じがしますね。「パパ」に関しては、YONAYONAからこの曲が生まれたか!と(笑)。
そう思います(笑)。バンドを今続けているモチベーションの1つに子どもの存在があって。もう一度気合いを入れなきゃな、という。世にある”幸せな父親が子供に歌っている曲”ではなく、“ファイトソング”というか”労働者ソング”というか。
YONA YONA WEEKENDERS「パパ」Half Documentary Music Video
――レコーディングは、いかがでしたか?
この曲と「ワン缶」は、バンドの熱量もパッケージングしたくて、キャリアで初めて合宿レコーディングを試みました。サポートメンバーのギターの一戸(祐介)君と、キーボードの高橋(遼)君も招集して、大きいスタジオでみんなで一発録りしました。まさにむきだしです。みんなで入って、それぞれ寄り添いながら演奏が組み上がっていく感じが、達成感、やり切った感がすごくありましたね。
――そして「パパ」とも、リンクするところがあると思います。「あっ!」は、『NHKみんなのうた』8月から9月の放送曲として書き下ろされたのですね。
楽曲「パパ」制作のときくらいにお話がきたんです。『NHKみんなのうた』って小さい頃に食卓で流れている”生活の風景の一部”という印象があったんで、自分の曲が流れるって思ったら、腕ぶん回して(笑)。良い曲書いてやるぞ!というテンションでつくりはじめましたね。
――生活の中で聞こえてくる。YONA YONAのスタンスとも繋がる部分もありますね。
そうですね。バンドとして初の試みだったんですが、YONA YONAのスタイルにもスッと馴染む感覚がありました。
――私の担当している番組『WEEKEND PLUS』は、週末の番組なんですけどご家族でドライブ中という方も多くて。「あっ!」もお届けしていて、反響があります!メロディーはポップで、サウンドはディスコソウルフレーバーで。どう生み出していかれたんですか?
テーマが、センチメンタルな”時間の有限性”みたいなところを歌っていて。夕方っぽいテーマなので、サウンドは親御さんとお子さんが一緒に楽しめる、明るい感じにしたいと思いました。70年代のディスコソウル、Earth, Wind & Fireの「September」みたいな、日本人にも馴染みのあるダンスナンバーをYONA YONAっぽくアウトプットしたら良いんじゃないか、っていうところからデモを作っていきましたね。
――タイトルも、声に出したくなりますよね!
よく子どもを公園に連れて行くんですけど、「時間って限りがあるものなんだ」と今認識した!と感じた出来事があって。夕方帰ろうとしたら、「1日終わっちゃうのが寂しくて、帰るのが嫌だ。」って泣きはじめたんですよ。グッときちゃって。それって大人もそうじゃないですか。日々に追われて何気ない瞬間を見逃しているんじゃないか、みたいな。子ども目線からも大人目線からも「時間って大切だよね」という“あっ”という間に過ぎていく時間の有限性と、大切さに”はっ”とする気づき。大人も子どもも共感できるメッセージなのかな、って。
――そのお子さんの声が、まさにこの曲の中に入っているんですよね。
そうなんです。<あっ>の部分と<はっ>の部分。
――お子さんも一緒に完成系は聞きましたか?
聞きました。まだピンときてなかったですけど。どこに自分の声が入ってるの!?という。(笑)
――もうちょっと大きくなったら(笑)、確実に聞こえてきますからね。それと思ったのが、タイトルの潔さもありますよね、10年前だったらこのタイトルにならなかった気が。
そうですね。結局「いい格好しても自分たちは自分たちでしかない」という境地になってます。特に今回のEPは、タイトルだけみると(笑)。
――「パパ」「あっ!」「ワン缶」と、ずばり!みたいな潔さが(笑)。「ワン缶」は、まさに“YONA YONAの夜”。飾らずに、大切にされていることが詰まってると思います。
EPラストに、まとめというか。10年振り返って変わることあれども、結局僕ら自身が変わったかというとそんなことなくて。やっぱりライブ終わって「もう一本飲もうぜ!」みたいな時間が楽しいからやっている、みたいなところもあるので。ゆらゆら揺れながら聞いてほしいですね。
EPを引っ提げてのツアー。その予感と未来への切実な想い
――EP「想い出の予感」のリリースツアーが決定していますね。10月の仙台公演から、福岡、広島、札幌、名古屋、大阪、東京と全国7都市を巡ります。どんなツアーにしたいか、今イメージとしていかがでしょうか?
10周年は1回しかないので、お馴染みのYONA YONAの良さも出していきたいですし、今だからこそ「昔の曲をこういう風にアウトプットできるんだ」みたいなところもみせたいです。10年の感謝も伝えたい。そしてもっとこの先も続いていくバンドでありたいので、タイトル通り“予感”みたいなものをファンの人にも感じてもらえるライブになれば良いなと思っています。
――今日お話させていただくなかで未来を思うワードがたくさん出てきますね。
このツアーがはじまる前に、決起集会のようなメンバー3人とサポートメンバー2人との飲み会が開催されまして。どんな話になるんだろう、と思っていたんですけど、未来の話ばっかりしていたんです。みんな同じ方向を向けているんだな、と。
――全日程、金曜から日曜のまさにWEEKENDのライブになっていますね。
そこに向かって平日を乗り越えてほしいなって思います!
――これからのYONA YONA WEEKENDERS。どうなっていきそうですか?
バンドを始めたときと同じような野心は変わらず持っています。ただ続けていくことって大変だなぁと思った10年でもありました。一方で、20年・30年現役でバリバリやってらっしゃる先輩が周りにいる。楽曲「パパ」での最後のシンガロングパートは、BRAHMANのTOSHI-LOWさんやKeishi Tanakaさん、知り合いのパパたちのシンガロングが入っていたりするんですけど、続けている人って親しみやすく、かつステージでみせる説得力がすごいあって、そういうバンドになれたらいいな、と思います。いろいろ波もあると思うんですけど、続けた先に何かが待っていると思っています。
メンバーへの素直な気持ち。おまけの一幕。
――最後に、こういうインタビューだからこそ。メンバーのスズキ(シンゴ)さん(Ba)、小原("Beatsoldier"壮史)さん(Dr)お2人に今だからこそ伝えたいことはありますか?
シンゴに関しては、YONA YONA WEEKENDERSを始めるキッカケをつくってくれた人なんです、実は。もともと僕はメロコアバンドをやっていたんですが、一度バンドを辞めて社会人になって。そのときに「このまま磯野の歌、音楽を終わらせるのはもったいない。」「手伝うから、もう一度バンドやったら?」と声かけてくれたのがシンゴで。そこから始まったっていうのはあるので、改めてありがとう、ですね(優しい微笑)。
小原くんに関しては、編成が変わってからの1年は「自分ががんばらなきゃ!」みたいな感じになっていた時期があったんです。今は優しさが出てきた、というか。最近は僕が持っていったデモも褒めてくれたんで。これからもその優しさを持ち続けてください、ということを言いたいです!(笑)。
取材・文=FM802 DJ 田中麻希 撮影=浜村晴奈
リリース情報
7th EP「想い出の予感」
2. パパ
3. トキオ・ダンジョン
4. あっ!
5. ワン缶
YONA YONA WEEKENDERS オフィシャルサイト
https://www.yonayonaweekenders.com/
ツアー情報
■YONA YONA WEEKENDERS ONEMAN LIVE 2026 “NOUKAI”
2026年12月26日(土)@横浜 YOKOHAMA Bay Hall
開場: 17:00/開演:18:00