KOTORI、過去最大の『“12” Tour』でライブハウスに虹を架ける渾身の「RAINBOW」横山優也がバンドの未来と信念を語る――「KOTORIはみんなに生かされている」
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KOTORI 撮影=ハヤシマコ
インタビューで重ねられる熱い言葉から、KOTORIというバンドがなぜ愛されるのか、信頼されるのか、その理由が溢れ出す。この夏、『FUJI ROCK FESTIVAL'26』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO』等各地のフェスに出演するさなかリリースされた最新曲「RAINBOW」は、冒頭より広がるワイドな音像から沸々と高ぶっていくビートに乗せ、エモーショナルなギターと伸びやかな歌声がライブハウスに虹を架けるような新たなアンセムに。現在は結成10周年ならぬ12周年に自らの足跡をたどる、全国12公演のワンマンツアー『“12” Tour』を開催中。12月4日(金)・5日(土)には東京・豊洲PITで主催フェス『TORI ROCK FESTIVAL'26』も控えるなど、過去最大を一歩一歩更新し続けるKOTORIの未来と信念を、横山優也(Vo.Gt)が語る。
言っちゃったから、帳尻合わせで頑張って食らいついていくのがバンドマン
横山優也(Vo.Gt)
――今年は『FUJI ROCK FESTIVAL'26』や『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO』等各地のフェスにも出演して、いい夏でしたね。フジはWHITE STAGEのトッパーだったし、日本のバンドの誰もが立てる場所じゃない。しかも、いつかWHITE STAGEで演奏するのをイメージして書いた曲が「GOLD」だったんですよね?
フジは他にもいろいろあって、例えばRED MARQUEEはシューゲイザー系のバンドがよく出ているイメージだったのでそこに合うような、「あそこでやったら気持ちいいだろうな」と思って「Anywhere」を書いて。「GOLD」は「昼でも合うような曲を」と思って作ったので、野外のWHITE STAGEは時間帯的にも完璧でした。その日にやった「SKY」や「We Are The Future」も、一番デカいGREEN STAGEを明確に想定して作った曲ですし。
――よくイメージできないことは実現できないと言いますけど、メンタル的に心掛けていることはあるんですか?
思っていることを後先考えずに言っちゃうことですね(笑)。そう言っちゃったから、帳尻合わせで頑張って食らいついていくのがバンドマンっぽいなと思うので。
――そして、現在開催中の『“12” Tour』をイメージして書いたのが最新曲の「RAINBOW」ということで。
『“12” Tour』は「結成12周年に今までの曲を全部やろう!」みたいなテーマなんですけど、12本もワンマンをやるのにリリースの予定がなかったので、せっかくだから曲を作ろうと。
――ただね、10周年を忘れていたので12周年ってどういうこと?(笑)
僕らは特に大きな目標も決めず、ただバンドを続けられたらいいみたいな感じだったので、気付いたら10周年を通り越していて(笑)。でも、誰も周年を覚えていないぐらいが僕らにはちょうど良くて。目標を決めちゃうと達成したときに燃え尽きちゃうと思うので。
――「RAINBOW」は歴代7曲目の「タイトルに色が付いている楽曲」ということですが、「Blue」「YELLOW」「RED」「EVERGREEN」「GOLD」ともう一曲は?
「chocolate」ですね。僕は自分でグッズを作ったりもするんですけど、Tシャツのボディのカラーに「チョコレート」があるんですよ。それで無理やりこじつけました(笑)。あと、僕はDTMでLogic Proというソフトを使っているんですけど、リバーブをかけると粒がひゃーっと飛び交うエフェクトがあって、それが虹色なんですよ。この曲のデモを作っているとき、その虹が踊っているように見えて。そこから「そういえば色が付いている曲は何曲目だっけ?」と数えて、「chocolate」を入れたら「RAINBOW」がちょうど7曲目になるぞと(笑)。ちなみに「chocolate」は、実家で飼っている「チョコ」という名前の茶色い犬について歌った曲なんですけど。
――言っちゃって後から何とかする、さっき話していたことに筋が通りましたね(笑)。
もう一つ言い訳ができるとしたら、2018年に『CLEAR』というミニアルバムを出したんで、一応「透明」もいけるかな(笑)。僕は(海外のトップエンジニアが登場する)『Mix with the Masters』のYouTubeを見るのが好きなんですけど、ブリタニー・ハワードやザ・キラーズ、フィービー・ブリジャーズ……僕の好きなアーティストのエンジニアをやっているショーン・エヴァレットが、ザ・ウォー・オン・ドラッグスのMIXを説明しているとき、「(周波数が)踊っているみたいだろ?」みたいに言っていて。機械すら踊らせる音楽にテンションが上がっちゃって、そのままバーッと作ったのが「RAINBOW」なんですよね。
モッシュやダイブを起こさなきゃ満足しないみたいになったら、それは音楽じゃない
――今春にはマネジメントの体制も変わり、もっと聴いてくれる人の世界を広げたい、広い空間をイメージして曲を書きたいという思いは、「RAINBOW」からも感じられますね。
去年出したEP「TSUBASA」からそれはあって。モッシュやダイブを起こさなきゃ満足しないみたいになったら、それは音楽じゃないと思うので。
――モッシュやダイブが起きているから=盛り上がっているライブ。そうじゃないライブは=盛り上がっていない、みたいになると、予定調和になっちゃいますもんね。
それがたまに起きたときは、「これはもうアガっちゃったんだな!」と思うけど、それが基準みたいになるとね。でも、こっちから見える景色としては、全員が違うノリで会場がうごめいている、みたいな方が「めちゃくちゃいいライブだな、気持ちいいな」と今は思うので。そういうライブってちょっと規模がデカくないとできないよなと思って、「TSUBASA」からスケールの大きさを意識し始めました。ただ、「TSUBASA」は結構エレクトロっぽい方向性だったので、「RAINBOW」ではもう少し素の真っすぐなロックに戻ってこようかなというところで、同期で四つ打ちを入れるのをやめて生ドラムにして。最初はザ・キラーズの「ミスター・ブライトサイド」みたいな曲を作りたいなと思ったんですよ。
――イントロのギターを聴いたとき、マジでこのままいくのかなと思いましたよ(笑)。「ミスター・ブライトサイド」は音楽っていいなと改めて思わせてくれる、憧れられる曲というか、今聴いてもちゃんと高ぶるリファレンスですよね。
しかもKOTORIとバンドの形態も近いですから。歌モノでギターロックであり、みんなが歌える。そこに僕はしっくりきて、こういう曲を作りたいなって。
――活動のスタンスで生きざまを見せてきたからこそ、いやらしくなくポップソングが書けるのはKOTORIの武器だなと思いました。
僕らはひねくれているので、みんなが知らないであろうものは分からせたいけど、王道みたいなところはあんまり見せたくない。ギターの上坂(仁志)と曲を作っていて、「これはちょっと分かりやす過ぎ」と言うときもあれば、逆に「分かりづら過ぎ」なときもあって。
――聴いていて「やるな~うまいな」とニヤリとさせるには、あるラインのにおわせが必要だし、バランスですよね。
そうなんですよ! なのに、アルバム『We Are The Future』の頃はその辺をフル無視で(笑)、ただただ好きな音楽を好き放題やっちゃって……今となっては大事な曲ばかりですけど、こっちがオープンにしないと入ってこれないと実感したんです。「これが分かる人だけでいい」じゃなくて、入ってきて初めて分かるから、順番が間違っていた。その開き具合はうまくなってきたのかなと思いますね。
――「RAINBOW」の歌詞にある<光の歌>や<僕の太陽>という力強いワードからは、音楽からもらえるエナジーや幸福感が溢れ出しています。
<僕の太陽>はお客さんのことなんですけど、虹って元々は一つの太陽光が七色のプリズムに分かれて人間の目に見えるようになるわけです。お客さんもみんな違う人間だし、それぞれに色を持っているわけじゃないですか。それがライブでは具現化されて、僕の目の前に広がる光景が虹みたいなんですよね。みんな自由でいいんだ、自分らしくいるのが大事だ、という意味もあるんですけど、結局、<光の歌>は「RAINBOW」自体のことなんですよ。ちょっとメタ的ですけどね。最近はいいライブができるようになってきたけど、狙っちゃできない。でも、ライブがヤバいときって、虹が出るようなすごい瞬間があることをみんなと共有したいし、それを『“12” Tour』で体現したいなと思って、初めて言葉にしました。
――「RAINBOW」は歌詞にも色が散りばめられていますが、<緑のビール>とは?
これは発砲酒なんですけど、「淡麗グリーンラベル」ですね(笑)。もうずっと飲めちゃう。お客さんもたぶん分かっていますね、常にアンプの上に置いているので(笑)。
――ここまで活動してきて、KOTORIはもう自分たちだけの夢じゃないんだなと思う瞬間が、今ではたくさんあるんじゃないですか?
(2024年7月にドラムの細川)千弘が抜けたときはぶっちゃけどうしようかなと思ったんですけど、その後にサポートをお願いしてライブをやったとき、KOTORIはみんなに生かされているというか、自分たちがどうこうじゃなくて、みんなで育てていくバンドな気がしたんですよ。自分たちが思うよりもいろんな人の中にKOTORI像がある。それはすごく幸せなことだなと思うんですよね
音楽があればみんな自由になれる、幸せになれる。そういう居場所を作りたい
――制作時に心掛けたポイントは他に何かあります?
ギターの上坂はよく「簡単にコピーされたくねぇ」みたいに言うので、意外と運指が難しい曲もあったりするんですけど、「RAINBOW」のギターソロは僕がデモで弾いているぐらいなので、めちゃめちゃ簡単なんですよ。僕から上坂に、「細かい音符じゃなくてひたすら伸びやかに、長い音符でくれ」とお願いしたので。「この曲はギターが主役で、ギターソロがピークだから」と伝えて、「もっと歪ませろ、もっといけ!」みたいな感じで(笑)、ギターヒーロー感のある気持ちいいソロが録れたなと。
――いざ『“12” Tour』も始まり、初日に「RAINBOW」を初披露した模様がMVになっていますが、ライブでやってみた感触はどうでした?
初日というのもあってガチガチでしたね。マジで「緊張し過ぎだろ!」という(笑)。でも、その場にいる全員が気持ちを共有して、ノリとかグルーヴを理解できたら、「RAINBOW」はもっと化ける。とんでもない曲になるなと思いました。『“12” Tour』では今までの曲を全部やろうと思っていたので調べたら、ライブでやれる曲が75曲ぐらいあって。
KOTORI「RAINBOW」Official Live Video / "12" Tour at Zepp DiverCity
――『“12” Tour』中にそれだけの曲数をどこかしらでやろうとなると、セットリストは全箇所変わってきそうですね。
同じツアーとは思えないぐらい違いますよ。だから動画撮影もオッケーだし、セットリストを公開してもいい。昔の曲をスタジオで練習していると、めっちゃ懐かしい気持ちになるんです。久々だとやっぱりミスるので、あの本番のヒリつき……あれはあれでめちゃくちゃ楽しいなと(笑)。最近のライブは怒濤のように何曲も連続で盛り上がる曲をやることが多かったんですけど、何かしら思い入れのある一曲一曲をしっかりやっていくのはやりがいも満足感もあるし、気付いたら時間が経っちゃっている疲労感も心地良くて。サブスクのプレイリストで言うベストというよりは、「隠れた名曲」みたいな感じですかね。
――聴き直して、「あの頃のKOTORIもいいな」みたいな一曲はありました?
それこそ、さっき言った「chocolate」はまず曲がいいし、音もいいし、ずっと聴いていたくなる曲ですね。音源を出した当初からしたら、「素晴らしい世界」や「トーキョーナイトダイブ」は、ここまで大きな曲になるとは思っていなかったです。「この頃はマジで言うことがなかったんだな」と思ったのは「ライジング」ですね。<今歌いたいことは何もないけれど>と歌詞に書いている(笑)。『“12” Tour』のセットリストを組むとき、アルバムごとに印を付けて分析しているんですけど、2ndアルバム『REVIVAL』の曲が異様に多くて。自分たちなりにアウトプットがうまくなって、今やっと表現ができるようになってきたからだろうなと。インストの「Eve of the revival」なんか、当時はよく演奏できていたなと思って。久しぶりにスタジオで合わせたら「むずっ!」ってなりましたから(笑)。
――12月4日(金)・5日(土)には、東京・豊洲PITでKOTORI主催の『TORI ROCK FESTIVAL'26』も開催されます。おととしは神奈川・CLUB CITTA’で2DAYS、去年は豊洲PITで2ステージ制、今年は豊洲PITで2ステージで2DAYSと、どんどん規模がデカくなっていますね。
そもそも『TORI ROCK FESTIVAL』は、「俺たちの好きなバンドを見てくれ、KOTORIが呼ぶなら間違いないから」という始まりだったんです。フジロックもそうじゃないですか。誰が出るかは後付けで、あの場所に行けば絶対に楽しい。そういうものにしたいんですよ。だからメンツも本当に好きじゃないと呼ばないし、背伸びして売れているバンドばかり呼んだところで、組み合わせが良くないと集客にはつながらない。先輩に関しては、僕らが憧れのバンドと対バンするイベント『DREAM MATCH』に出たことがある方を呼ぶというストーリーもちゃんとあるので。ただ、今年はSHANKの『BLAZE UP NAGASAKI 2026』と日程がかぶって、この間SHANKに会ったら「そんなことよりお前らは何で(『BLAZE UP NAGASAKI』に出るために)スケジュールを空けていないんだ」と言われて謝りました(笑)。まぁブッキングはそんなことは関係なしに最高なので、来れば間違いないと思います!
――いずれは各地の動物園で『TORI ROCK FESTIVAL』をやり、最終的には横山さんの出身地の宮崎県で『JIDORI ROCK FESTIVAL』をやると公言していますね。
さっきの話じゃないですけど、言っちゃったのでやらないとね。もう地元にスポンサーはいっぱいいるし(笑)、宮崎のラジオ局にも通っているので。各地の動物園を巡る方が難しいかも。宮崎なら土地はいくらでもありますけど(笑)。
――バンドとしての足場も固まってきて、KOTORIにとっては覚悟も感じる時期だなとも。
バンドが大きくなるタイミングはそれぞれあると思うんですけど、僕の中ではメジャー1枚目のアルバム『KOTORI』を2024年に出したときになりたかった状況に、やっとたどり着いた感覚で。『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2020』ぐらいから周りに人が増えてきて、「これはいくぞ!」みたいなタイミングが何回かあったんですけど、ここが最大の伸びどころかなと。「今やれることは全部やらないと」とは思っているけど、広げるために寄せるんじゃなくて、ちゃんと自分たちがこれまでやってきたことの良さを分かってくれる人を増やして、それをまた続けていく。そうやって大きくなれたなら、ずっと気持ちは変わらずにいられるなと思って。自分に正直でいることはすごく大事だなと思います。
――清濁併せ呑んで誰からも好かれたい、じゃなくて、KOTORIの理解者が一人一人集まる場所が作れたら。
今でもバンドが続いていることが幸せだし、それで生きられているのは本当にすごいことで。コロナ禍に「自分はいったい何者なんだ」と思うことはありましたけど、結局、音楽が必要なんですよね。SuiseiNoboAzの「3020」を聴いて僕は自分を取り戻したんですけど、じゃあもう何年後にでも残る曲を作ればいい、作りたい、そういうバンドになりたい。100年後にCDショップなりに自分の音源があって、全く知らなかった人が手に取ってくれる。それが僕のロマンで音楽をやる理由だなと思ったんですよ。音楽の前ぐらいはみんな解き放たれてほしいし、本能で音楽を受け取ってほしい。好きじゃなかったらそれでいいし、ちょっとでも好きなら体を動かしたりアクションを起こせば、周りのみんなに伝染して楽しくなっちゃうじゃないですか。『“12” Tour』でも『TORI ROCK FESTIVAL'26』でも、音楽があればみんな自由になれる、幸せになれる。そういう居場所を作りたいんですよ。自分で足を運んで、自分で感じたことを大事にしてほしい。僕が思う幸せな空間の一員になってほしいので、難しいことを考えず、ぜひ遊びに来てほしいな。良いか悪いか、踊れるか踊れないか、それだけでいい。でも、『TORI ROCK FESTIVAL'26』には踊れるバンドしか呼んでいないはずなので、そこは恥ずかしがらず体現してほしいな!
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=ハヤシマコ