のん 10周年&デビュー20周年記念ライブツアー・久慈公演に橋本愛、大友良英が登場 オフィシャルレポートが到着

2026.10.22
レポート
音楽

『のん自由(10)ツアー2026』

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のんが10月18日(日)に久慈・十文字チキンアンバーホールにて『のん自由(10)ツアー2026』を開催した。本記事では、同公演のオフィシャルライブレポートをお届けする。


“のん10周年”と彼女のデビュー20周年を記念する『のん自由(10)ツアー2026』が10月18日(日)、岩手県久慈市でキックオフした。ここでは、のんの縁地をめぐる今回のツアーの初日を2013年のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の舞台となった地、久慈・十文字チキンアンバーホールにおいて、橋本愛と大友良英をスペシャルゲストに迎え、アコースティック編成で行われたライブの模様をお届けしたい。

ホールを入ると、目に飛び込んできたのは、『あまちゃん』のご当地アイドルユニット、“潮騒のメモリーズ”のイラストの横断幕。のんが演じるヒロイン・天野アキと友人の足立ユイを演じた橋本愛が13年ぶりに凱旋する地元の熱い歓迎ぶりはホール内の様々な展示からも伝わってくる。はもちろん即完売。遠方から駆け付けたファンも多く、市内の喫茶「モカ」(「喫茶リアス」のモデルになったともいわれる)には朝から長蛇の列が出来ていた!『あまちゃん』以降、縁が続いている北三陸の小さな美しい街で開催された“のん10周年“アニバーサリー・ライブは、のんが音楽を始めるときに影響を受けた忌野清志郎と矢野顕子が歌う「ひとつだけ」のBGMが鳴り止むと同時に幕を開けた。

『のん自由(10)ツアー2026』

大きな拍手に包まれ、ステージに現れたのは黒いスーツ姿のボーイッシュなのん。「皆さん、ようこそ。のんです」。アコースティック・ギターを抱え「この10年で一番自由な日にしたい」とMC。1曲目は「夢が傷むから(Inspired by 東京百景)」。又吉直樹のエッセイ『東京百景』にインスパイアされてのんが書いた歌詞は、切なくて苦い青春ストーリー。アコギを弾きながら歌うさまも実に堂々としている。「ツアーの最初の公演を久慈にしたのは想いの強い場所だから。ここでワンマンなんて夢のよう」と語る。続く「春よ受けて立つ」は、2025年の3rdアルバム『Renarrate』からのナンバー。彼女の自由への希求を力強く歌ったこの曲は、今回のツアーのテーマにも相応しい。今年、「浜崎貴司GACHIスペシャル」で奥田民生やレキシと共演して以降、アコースティック・ライブに興味が湧いてきたというのん。一人でステージに立ち、ギターをかき鳴らしながら歌うのんの姿は成長という言葉だけではなく、ミュージシャンとしての矜持があった。

『のん自由(10)ツアー2026』

2曲をソロで歌った後、ギターのひぐちけいが登場。のんと共に音楽をつくり、ライブでも欠かせない盟友となったけいは、「すごく良かったよ」とのんに語りかけたが、「ウーン、リハーサルよりちょっと緊張したかな?」。そんな二人の友だち同士のような掛け合いがリラックスした空気を醸し出す。「今日はアコースティックでほっこりと、自由でゆるい時間でお楽しみください」という一言を添えて、のん+けいのコーナーへ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONが楽曲提供した「Beautiful Stars」、のんが作詞・けいが作曲した「Renarrate」を披露。「自分の20代を、ぎゅっと詰め込むようなイメージで」制作したという2ndアルバム『PURSUE』、そして自分を語り直すように制作したという3rdアルバム『Renarrate』からの2曲は、音楽活動をスタートしてからの彼女の自立した表現が横溢。〈今からでも どこへも行けるよ〉(「Renarrate」)という歌詞は、のんと名乗り、音楽を始めて解放された彼女の正直な気持ちだったのかもしれない。

「こうやって二人でアコギを弾くのは配信以来だけど、新鮮だね」。二人のプライベート感たっぷりのおしゃべりを挟んで、次に披露されたのは「エイリアンズ」。堀込泰行のキリンジ時代の名曲をのんが2017年にCMで披露し、話題を呼んだ曲だ。ここではけいがギターを演奏し、「のんになってからの宝物のような曲」をとしっとり丁寧に独唱。さらに、のん作詞・作曲の過去の自分を吐露した「薄っぺらいな」も歌い、二人の呼吸の合った演奏を締めくくった。

『のん自由(10)ツアー2026』

ここで、スペシャルゲストの大友良英が登場。「ご無沙汰しております。久慈は『あまちゃん10周年』以来3年ぶりです」と、大友が挨拶。『あまちゃん』の音楽を手がけて以降ものんのソロやのん&大友良英&Sachiko M3人によるユニット『のんとも。M』などで活動を共にしてきた。この日は、のん+大友+けいの3人のアコースティック編成でどんな曲をどういう風に演奏するか楽しみだったが、先ずはコロナ禍の2020年にリリースされたアルバム『ショーがはじまるョ!』から「Sherry」。フォー・シーズンズの1962年の全米No.1ヒットをのんがファルセットで見事に歌唱し、大友も「のんちゃん、めっちゃ声出るねー」と感心するほど。「いつでも君は」では大友がバンジョーを奏で、口笛を吹いて、のんがユーモラスにのどかに歌う。大友が「こんな歌をのんちゃんに歌わせていいのかな? と思った」という「眠れない」は、歌詞に〈そこのオヤジ このクソガキ〉などが出てくるものの、コロナ禍の人々の苛立ちや夜型の生活をしていた当時ののんをイメージして書いたとか。ノイジーな大友のギター・ソロ、のんのポエトリー・リーディングさながらの歌、けいのアコギは、3人だけの濃密な世界を作り上げていた。
のん、けいがはけて、ステージに大友のみが残る。「さっき、のんちゃんがスペシャルゲストと呼び込んで、自分が出ていったときの皆さんのガッカリ感(笑)。あと、数分間我慢してくだい」というMCをはさみ、観客を和ませる。
自身の展覧会が開催されている山口から久慈に駆け付けた大友は語る。「ドラマから13年経ち、自分がアキのお祖父さん天野忠兵衛さんの歳になってしまいました」。そして、単独で演奏されたのが『あまちゃん』の劇伴から「TIME」。あのメランコリックなメロディーを口笛とエレキギターのみで演奏し、多くのファンをグッとさせた。「潮騒のメモリー」は井上剛監督から何度もダメ出しをされたという裏話をして、完成型の一つ前のバージョンの「潮騒」のサビを少し歌唱(最終的には劇伴の「アキのテーマ」として着地)。こんな久慈公演ならではの特別な曲が次々と披露されるのだから堪らない。

『のん自由(10)ツアー2026』

「お若い皆さん、そろそろ主役の登場です」という大友の呼び込みに一段と大きな拍手が起きる。「アイドルになりたーい!」。足立ユイちゃんの声がした! 観客の誰もが歓声を上げ、涙腺が緩んだ違いない。舞台に登場したのは、“潮騒のメモリーズ”の天野アキ(のん)と足立ユイ(橋本愛)。あのイントロが流れ、二人がみんなが真似をした振り付けで歌いだすと会場のボルテージはマックスへ。歌い出しを橋本が、続いてのんが歌い、ペンライトがあちこちで揺れる。赤い衣装がアキ、青い衣装がユイというのもファンには嬉しい。東日本大震災から2年後に、日本を明るく面白く元気にした国民的ドラマのヒロインたちが13年後に揃って舞台となった街のステージに立つ。いまも生き生きと、笑顔で「潮騒のメモリー」を歌う二人に思わず胸が熱くなった。

『のん自由(10)ツアー2026』

「ユイちゃん、おかえり〜」という声と横断幕が彼女を温かく迎えた。「橋本愛ちゃんです」とのんが紹介すると、「ユイです。今日はお招きいただいてありがとう」と答える橋本はユイになりきっていた。二人が、“潮騒のメモリーズ”として歌うのは2013年の『第64回NHK紅白歌合戦』以来13年ぶり。「私たちの音源は出ていないし、生歌はめっちゃレアじゃない?」と橋本。当時まだ高校生だった彼女は、打ち上げや飲み会に参加できなかったそうだが、久しぶりに訪れた久慈は「懐かしさと変わらなさが嬉しかった。駅前のうちらの看板は新しくなっていたし、まめぶも美味しかった。甘じょっぱいの大好き!」と久慈愛を語った。『あまちゃん』以降も映画での共演はあったが、今回はのんが橋本に声をかけて実現。短い時間ながら、それぞれの道を歩んできたき二人の友情と絆=シスターフッドが生んだ奇跡のような特別な時間だった。「今日のことは記憶に深く刻まれました」という言葉を残し、橋本がステージから去り、けいが再びイン。のん+大友+けいのアコギの合奏で「あまちゃんのテーマ」が演奏されたのは驚いた。あの「あまちゃんスペシャル・ビッグバンド」による賑やかなインストゥルメンタル・ナンバーが、アコギだけで再現され、会場をおおいに盛り上げたのだ。原曲が良いとこういう編成でも十二分に成り立つという証明でもあった。

『のん自由(10)ツアー2026』

「今日は久慈でいろんな曲を演ってみましたが、こういう気持ちになるのは初めて。これは感動なのかな?」。いま、自分が感じていることを言葉を探すようにのんが語り始めた。「のんとして活動を始めて10年。芸能界に入って20年。デコボコした荒い道を乗り越えて、こうしてここに来ることができてほんとうに嬉しいです」。彼女が歩いてきた道は平坦ではなかったことは観客も知っている。だからこそ、この日のステージは特別なものになるだろうということも。
「私の道程を歌ったを私の分身のような曲です」と、紹介されたのは「荒野に立つ」。のんが思いの丈を打ち明け、けいの姉、ヒグチアイ作詞・作曲を手がけたドラマチックな曲をのんはギターを置いて独唱した。のんになって、荒野に立っていた彼女に音楽とギターは何よりも強い味方になった。俳優を続けながら本気で音楽に取り組み、自身で曲作りに挑み、ライブを重ね、こうしてワンマンツアーで久慈に戻って来たのだ。本編最後の曲は、「クライミー」だった。ハープを吹きながら、けいのギターに乗って軽快に自由闊達に歌うのんに、何があっても最後は立ち上がるタフで率直な『あまちゃん』のアキを重ねたくなるのはファン心理というものだろう。〈ファイティングポーズで泣いている〉(「クライミー」)ような彼女のガッツがこれからも新しい物語と音楽を紡いでいくことは確かなのだから。

『のん自由(10)ツアー2026』

アンコールで再び登場した大友が、「段取り間違えちゃってすみません」と言うと、「すみませんとかナシ! だって自由ツアーだから」とのんが諭し、大友が「はい。これからは自由に生きようと思います!」と返す楽しいシーンもあった。のんと大友の関係はいまでは“人生の親戚”のようで何とも微笑ましい。そして、最後に、のん+大友+けいで披露されたのが、Sachiko Mが作詞・作曲、大友が編曲したのんの2ndシングル「RUN!!!」。2017年に音楽デビューしてから9年。走り出したBabyは、全力で荒野を駆け抜けてきた。ギターをかき鳴らしながら爽快に歌い終えたのんに橋本愛が駆け寄る素敵な光景も目撃した。のん、大友良英、ひぐちけい、橋本愛の4人が並び満員の観客と一緒に記念撮影をして、『のん自由(10)ツアー2026』の初日、久慈公演は幕を閉じた。縁の地で縁のスペシャルゲストを迎え、スペシャルな曲と編成でのんの新たな歴史を刻んだステージだった。

『のん自由(10)ツアー2026』

『のん自由(10)ツアー2026』

『のん自由(10)ツアー2026』

文=佐野郷子(Kyoko Sano)
撮影=上飯坂一(Hajime Kamiiisaka)

ツアー情報

『のん自由(10)ツアー 2026』
久慈公演(Special acoustic edition):10月18日(日)OPEN 14:00 / START 15:00(会場:十文字チキンアンバーホール)
東京公演:11月1日(日)OPEN 16:00 / START 17:00(会場:Zepp Shinjuku(TOKYO))
神戸公演:11月7日(土)OPEN 16:00 / START 17:00(会場:神戸Harbor Studio)
券種全公演共通:¥8,500(税込)/ U25割 ¥4,500(税込)
※十文字チキンアンバーホールは指定席、その他はスタンディングとなります。
※東京/神戸公演は入場時別途ドリンク代が必要となります。
主催 : KAIWA(RE)CORD
企画 / 制作 :  KAIWA(RE)CORD / クリエイティブマンプロダクション
久慈公演共催:久慈市教育委員会
 
情報
※おひとりさま4枚まで

公演に関するお問い合わせは以下までお願いいたします。
 
久慈公演:10月18日(日)
GIPお問合せフォーム : https://www.gip-web.co.jp/t/info
 
東京公演:11月1日(日)
クリエイティブマンプロダクション:03-3499-6669 (月水金 12:00〜16:00)
 
神戸公演:11月7日(土)OPEN 16:00 / START 17:00(会場:神戸Harbor Studio)
キョードーインフォメーション : 0570-200-888(12:00〜17:00※土日祝日休業)
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