橋本絵莉子、『OVER LIFE tour 2026』が閉幕 ツアーファイナル・Spotify O-EAST公演のオフィシャルレポートが到着

レポート
音楽
18:00
橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

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橋本絵莉子が、10月18日にSpotify O-EASTにて『OVER LIFE tour 2026』ファイナル・東京公演を開催。本記事では、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。


2年3ヵ月の時を経た待望の3rdアルバム『OVER LIFE』を7月にリリースした橋本絵莉子がアルバムタイトルを冠した全国ツアー『OVER LIFE tour 2026』を開催。そのファイナルである東京公演が10月18日、渋谷・Spotify O-EASTにて行われた。なお、この『OVER LIFE tour 2026』は、1月に開催された『新春ライブツアー2026「春のせい」』に続いて今年2本目となる。

けっして多作なタイプではなく、ゆえにこれまではライブやツアーの本数も限られていた橋本だが、この1年間を振り返れば、アルバムに先駆けて昨年11月より収録曲から3曲の配信リリースを2ヵ月おきに行うなど表立った活動をいつにも増して精力的に展開。しかも『OVER LIFE』は、バンド時代を含めてほとんどの楽曲を歌詞先行で手がけてきた橋本が自ら進んで曲先行の作曲に挑み、そこから生まれた楽曲たちをメインとして作り上げられた意欲作だ。本作を携えて、過去最多となる5都市でのライブを敢行した今ツアーは、ソロ活動をスタートさせて7年余り、マイペースを保ちながらも新たな境地を切り拓き、果敢に自身の音楽道を邁進する“橋本絵莉子の今”をダイレクトに反映した、充実の旅路だったと言えるだろう。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

ぎっしりと埋め尽くされたオールスタンディングのフロア。Spotify O-EASTでのライブはこの日で3回目となるが、回を追うごとにオーディエンスの人口密度が高くなっているように感じるのは気のせいだろうか。期待の熱気がとめどなく立ち昇るなか、開演時刻通りに暗転した場内にI'm With Herの「The Obvious Child(Nashville)」が登場SEとして流れ、サポートメンバーの曽根巧(G.)、村田シゲ(B.)、北野愛子(Dr.)に続いて橋本が姿を現すとたちまち爆発的な歓声と拍手が渦巻いた。『OVER LIFE』のカバーアートにちなんでいるのだろう、全員がジャケットを羽織っているのも目に新しく、そうした粋な演出も観る者のテンションをますますブーストさせる。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

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橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

口開けは「ゾーン30」だった。『OVER LIFE』に向けての先行配信曲第二弾であり、アルバムの2曲目に位置して作品全体を軽やかに牽引する楽曲だ。北野が鳴らすスティックカウントを合図に一斉に溢れ出したバンドアンサンブルのなんと力強く躍動感に満ちていたことか。行く先もゴールも定まっていない当てどなさと、それ自体にもワクワクしてやまない無邪気な高揚に貫かれたこの曲は、まさに曲先という新しい世界に飛び込んだ橋本の心情とも鮮やかにリンクして、オーディエンスの感情をも前向きに掻き立てる。先行配信曲第一弾として次なるフェーズの到来をいち早く予感させた「春のせい」では前回のツアーで初披露されたとき以上の伸びやかさで場内を柔らかく包み込み、続く「コミュニケーション」では、ままならない人間関係を反芻しては苦悶する主人公の心模様を、低音のリフを軸にしたサウンドと橋本の切実ながらもポップな歌声で表現。どこか戯曲的でおどろおどろしく、それでいてコミカルな曲想はこれまでの橋本作品にはあまり見られなかったものであり、『OVER LIFE』のなかでもとりわけ異彩を放っているが、ライブとなればまたいっそう新鮮だ。曲中、ウッドブロックを叩きながら“大変だ/誤解だ”と歌声をはずませる橋本がなんとも楽しげで、観ているこちらの体もはずむ。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

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橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

「みなさん、こんばんは。今日は来てくれてありがとうございます。カレンダーを見ながら“本当にこの日で終わるんだな”って思っていたんですけど、無事、とってもいい天気の日曜日にライブすることができてすごくうれしいです。最後まで楽しみましょう」

そう挨拶したあとは、先行配信曲第三弾でもある「ストーリーテラー」を演奏。さらに「広い浅瀬」「人一人」など前作『街よ街よ』以前の楽曲も立て続けに披露して場内の興奮をいっそう押し上げていく。自身の半生をアップテンポなロックナンバーに昇華した人気曲「宝物を探して」では“18の春、フリーターになって/38の夜、嫌になって”と歌った直後、前日に誕生日を迎えた橋本が「43よ、43!」と茶目っ気たっぷりにアピールしてフロアを沸かせる一幕も。MCでは彼女の生まれ故郷である徳島県から始まった今ツアーでは11年ぶりに地元でのワンマンライブが叶ったことや、今年は1年に2回もツアーを開催できたこと、何より3作目となるアルバムを作ってリリースできた喜びを振り返り、「なので、とても嬉しい1年でした」と締めくくった橋本。まだ10月ではあるものの、彼女にとってはもはやすっかり年の瀬らしい。たしかに『OVER LIFE』のタームが昨年11月から始まっていることを思えば、そうした感覚になるのもわかる気はする。それぐらい濃厚な日々を駆け抜けてきたのだ。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

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橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

楽器をアコースティックギターに替え、橋本の弾き語りからスタートした「電車でガタゴト」の寄る辺なくも温かな音像。そよ風のような心地好さをまとったサウンドが次第に暴風のごとき凄みを増していく「ゆれる」に、三人三様のコーラスもフックとなってフロアをノリノリに揺らした「大人げないね」のダンサブルなグルーブ。過去作同様、アルバム制作にもがっぷり四つで関わっているだけあって、サポートメンバーのプレイが楽曲の世界観をひときわ立体的に仕上げていく様も重要な見どころ、聴きどころの一つだろう。作品はもとより橋本自身をも深く理解するメンバーと、その音に安心してすべてを委ねる橋本との、互いの信頼関係もこの音楽には欠かせないのだと見事に噛み合ったアンサンブルにつくづく思う。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

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橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

終盤へと差し掛かる本編、ハイライトは「ここで」で訪れた。かつて夢を求めて日常=生活を飛び出した自分が、今やそれを作り守る立場となったこと。ある意味、安全地帯とも呼べる場所に身を置きながら果たして何が言えるのかという赤裸々な問いかけと、それでももう“ここ”からは離れられないし離れたくないのだときっぱり腹を括った橋本のミュージシャン、アーティストとしての覚悟がこの曲には綴られている。“綺麗な私が作るものは/誰の心も汚さない”“誰の心も汚せない”、揺るぎない視線でまっすぐにそう歌う橋本。その凛とした声と姿勢に胸が震えて仕方がない。そうして本編ラストは「オーバーライフ」が飾った。これもまた、“生活”を見つめ、なんでもない日々であっても大切に慈しみながら生きていくのだという彼女の決意を宿した楽曲だ。アルバムのなかでも中核をなす2曲を続けざまに歌い上げ、「ありがとう」と笑顔で橋本が去ったあとに残る途轍もない余韻。すぐさまアンコールを求める拍手が鳴り渡ったのも道理だろう。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

ひとり戻ってきた橋本がアコースティックギターを抱えて奏でたのは『OVER LIFE』の1曲目「EMO」だった。口笛から始まる曲だからオープニング以外での披露は難しいのではないかと予想していたが、まさかアンコールの最初に聴けるとは。やさしく朴訥とした弾き語りがなんとも味わい深く染み込んでくる。すると、ステージにメンバーも静かに登場、4人の演奏となって音源にはない“続き”に突入したのだから驚かされてしまった。やんやの喝采を浴びながら「ツアーバージョンで2倍にしました!」と明かす橋本の笑顔が実にいい。しかも「一回聴いただけでは何を言ってるか分からないだろうから」と、手書きの歌詞のコピーを終演後、チラシと一緒に配布するという嬉しいお土産付きだ。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

「みなさん、また会いましょう」と約束を交わすと「再会」をオーラスに『OVER LIFE tour 2026』は幕を閉じた。メンバーと並んで深々と一礼し、「ありがとうございました!」とマイクを通さない生の声で感謝を告げた橋本は、名残惜しそうに手を振りながらステージを降りた。今後に関しては今のところ未定だが、再び会える日はきっとそう遠くないと期待して次の知らせを待っていたい。

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

橋本絵莉子『OVER LIFE tour 2026』

文=本間夕子
撮影=古溪一道

セットリスト

橋本絵莉子 OVER LIFE tour 2026
2026.10.18 東京・Spotify O-EAST

01. ゾーン30
02. 春のせい
03. コミュニケーション
04. かえれない
05. ストーリーテラー
06. 広い浅瀬
07. 人一人
08. 踊り場
09. 宝物を探して
10. 電車でガタゴト
11. やさしい指揮者
12. 冬のせい
13. ゆれる
14. 大人げないね
15. 今日がインフィニティ
16. ここで
17. オーバーライフ
[Encore]
18. EMO(ツアーバージョン)
19. 再会
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