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劇作家・岸井大輔の初個展「戯曲は作品である」の記録集を作る、のクラウドファンディング開始

2015.7.20
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「戯曲は作品である」(@京都アートゾーン)より

さらに戯曲を遠くに届けるために

 去る2015年6月13日(土)〜7月5日(日)にかけて、劇作家岸井大輔の初個展「戯曲は作品である」が京都アートゾーンで開催された(主催:京都造形芸術大学 ARTZONE 協力:京都造形芸術大学 アートプロデュース学科 キュレーター:堤 拓也)。

「戯曲は作品である」(@京都アートゾーン)より

 岸井は、劇場の外に出たり、ワークショップやレクチャーを演劇作品として提示したり、常に演劇の新しい可能性を切り開いてきた劇作家だ。人間の集団を「面白いかどうか、かっこいいかどうか」で捉え、まちやイベントに集まる人を眺めたり、企業なその組織を作品化する作風は、多くの公的なプロジェクトや芸術と縁の薄い領域でのプロジェクトを生み出してきた。2003年〜2007年に各地で制作されたお散歩演劇「potalive」、2009年〜2012年の東京アートやポイント計画参加の「東京の条件」などは高い注目を集めた。

 「戯曲は作品である」は、1997年から2015年に岸井によって書かれた代表作32本が展示された展覧会。演劇の上演や記録映像はなしに、あくまで戯曲の展示にこだわった。岸井の作品は、プロジェクトが行われている現場、上演されている現場で見れば非常にわかりやすいものの、遠くに伝えることが困難とされてきた。また、発表した当時は先鋭的すぎて受け入れられないことも多く、シンプルでユーモアあふれる表現は、発表の場に立ち会った人たちに強い印象を残しても評価されるときには肝心の戯曲が参照できない場合が多かった。そこで戯曲を展示するという形でまとめ、距離や時間を越えて遠くに届ける方法のさらなる実験として「戯曲は作品である」は行われた。おそらく業界初の企画だろう。

「戯曲は作品である」(@京都アートゾーン)より

 そして、展覧会の記録と言えば、図録!ということで、「戯曲は作品である」の記録集を作る、というさらなる実験をすべく、このたびクラウドファンディング「Makuake」にて支援の募集を開始した。

 「演劇表現の範囲が拡張される中、ほかの文学とは異なる性格をもつ、戯曲そのものの展覧会はこれから多く開催されるでしょう。人間がやることで意味をもつ戯曲は、ワークショップやまちづくりなどの現実の集団を面白くツールとして広く共有されていくでしょうが、そのはじまりの展覧会が、今回です。最近、モノよりもコトの芸術が言われる、ハードよりソフトの建築がはやる中、コトやソフトの記録や評価が困難であることについての議論が盛んです。

 ところで、演劇では昔から、上演そのものを批評したり記録したりするのではなく、戯曲と上演の関係を見てコトを批評し思索する手法がありました。出来事について考えることは大事です。ですが出来事そのものをとらえることは難しい。それで、コトの先だってある戯曲を改めて考えるのは重要でしょう。未来に価値が出てくることまちがいなしのこの記録集をぜひ作りたいです。ご支援、よろしくお願いします」(岸井大輔)

 図録には、展示されたすべての戯曲に加え、展示用に作成された立体物による戯曲群の写真や図面、ままごと主宰の劇作家・柴幸男とのトークイベント「劇作家は作家なのか?」など期間中に実施されたイベントの記録も掲載される予定。リターンとして、記録集の贈呈をはじめ、トークイベントやワークショップの回数券、入場券のほか、新作の上演そのものが準備されている(2018年まで)。