麻倉ももさん、雨宮 天さん、夏川椎菜さんが大きな第1歩を踏み出す! 「TrySail」1stライブレポート
「TrySail」1stライブレポ
13曲目の『Sail Out』を歌う前。熱気に満ちる会場へ向けて、雨宮天さんはこんなメッセージを届けました。
「TrySail(トライセイル)のユニット名は、造語ではなく実際にある言葉で、悪天候の時に張る"帆"のこと。これから私たちが様々な"Try"をしていく中で壁にぶつかる時もあると思うけれど、応援してくださるみなさんの力と私たちの力を合わせていけば、TrySailという帆を張って、悪天候の日も荒波の日も、きっと乗り越えていける」
2015年5月23日(土)、麻倉ももさん、雨宮 天さん、夏川椎菜さんの3人からなるユニット・TrySailの1stライブ『LAWSON presents TrySail First Live 2015 "Sail Out!!!"』が行われました。会場は、そのユニット名にふさわしく、眼前に横浜港をのぞむパシフィコ横浜・国立大ホール。5000人の観衆を前に、彼女たちの等身大な魅力が舞台いっぱいに吹き抜けた、堂々たる"出港の日"となりました。
TrySailは5月13日に1stシングル『Youthful Dreamer』をリリースしたばかり。その10日後の1stライブだけあって、当然ながらまだユニットとしての曲数もあまりなく、開催前はセットリストが読めないまま。カバー曲主体となるかと思いきや、新曲初披露、2ndシングル発売、そして2ndライブ開催(!)と、蓋を開けてみれば新たな発表が多く、会場のファンはそのたびに歓声を上げたのでした。本稿では昼夜2公演で開催された1stライブより、昼公演のレポートをお届けします。
●まずは30分のコント劇からスタート。サプライズゲストも…!?
開演のベルがなり暗転すると、舞台中央のスクリーンには「TrySail 30分劇場 『Yesterday Diver』」の文字。この日のライブは「虎井大学 物理学研究室」を舞台にした、演劇からスタート。3人は共同で研究論文を執筆中という白衣姿の理系女子大生に扮して好演。研究の中身は「Yourhful Dreamer」というタイムマシンであったり、舞台セットのホワイトボードの数式に「White+Black=Panda」と夏川さんが好きな動物のパンダが仕込まれていたり……と、宣伝や小ネタをはさみつつ劇は進みました。
「天(雨宮さん)とケンカしたので謝りたい」と言う麻倉さんを助けるため、夏川さんはタイムマシン(という名のただのロッカー)で一昨日の世界へ麻倉さんをワープさせる芝居を打ちます。そのワープを信じ込んだ麻倉さん、ウソがばれないように奮闘する夏川さん、それに翻弄される雨宮さんと、ボケとツッコミが連続する小気味のよいドタバタ劇。
劇中では、ふいにかかった校内放送で「本日もはじまりました~虎井大学放送部がお送りする"TryLetters"!お送りするのは、虎井大学のお天気お姉さん、豊崎愛生です♪」と、TrySailの3人と同じ事務所・ミュージックレインの先輩である豊崎愛生さんが、自身のデビューシングル『love your life』をBGMに話し始めるという仕掛けもあり! このサプライズな演出にも観客は大盛り上がりでした。
●3人そろってのデビュー曲から、ソロコーナーへ
劇が終わると、OPムービーが流れ、いよいよライブパート! それぞれのイメージカラーであるピンク、ブルー、イエローのレーザービームで会場はいっぱいに。この日の舞台は二階建て仕様で、1人に1つずつ階段や出入口も用意され、「3人」のTrySailという面を強調するセットに思えました。
1曲目は『Yourhful Dreamer』。MVで着ているものと同じ衣装で登場した3人は、緊張からかいくらか力が入っているようにも感じましたが、まっすぐ強く響いてくる歌声とパフォーマンスを見せます。麻倉さんが「明日、筋肉痛になるくらい楽しんでいていってください!」と煽れば、観客も応えるように大歓声!
ここからはソロコーナー。トップバッターは麻倉さんです。
夏川:「これから、かっこいいもちょ(麻倉さん)……クールもちょが見られます」
雨宮:「そんな芸人さんがいましたねぇ」
というゆるいフリから何を歌うかと思えば、TVアニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のEDテーマ、SCANDAL『瞬間センチメンタル』を披露。ガーリーな襟元が可愛らしい、ピンクのストライプのワンピースに衣装をチェンジした麻倉さんは、足でリズムを取りながら熱唱! 歌い終わりのMCでは、「私の中の"最大の不良少女"を引き出しました。みなさんは不良になったことあるんですか? あ、結構いる。だめだよー?」と、いつものふわっとしたキャラに戻るというギャップに、観客もつい笑みが。
麻倉さんは続いて、「次の曲もNHKの……あ、みなさんNHKって見たことある人いますか?」という天然すぎる振りから、TVアニメ『おじゃる丸』第6シリーズのEDテーマ『この町いつも~貧ちゃんのうた~』。二階に上がったり、手を振ったりしながら、のびのびと唄い上げました。
●あのアニメのEDをキュートに2人バージョンで! 夏川さんは名曲を熱唱!
「ここで、ビッグでキュートでスウィーティーな方をお呼びします。どうぞ! どうぞ!」とハードルを上げる麻倉さんに呼び込まれたのは、ひまわり模様のドレスを身にまとった夏川さん。4曲目は「同じアニメに出ていたので……」と、アニメ『ウィッチクラフトワークス』のEDテーマ『ウィッチ☆アクティビティ』を2人バージョンで。印象的なサビの「ピッピコピッピコ」のところで、脇を締め、からだを小刻みに上下にゆらしてリズムをとる姿や、間奏部分の手で耳を作ってピコピコさせるところは実にキュート。
ここからは2曲続けて夏川さんのソロパート。まずはアニメ『天体のメソッド』で夏川さん演じる古宮乃々香のキャラクターソング『流星のなみだ』では、夏川さんの腕の振りに合わせてスクリーンに星が流れる演出もあり、観客はしばし聞き惚れ。
休みを挟まず、聞けばハッと思い出すギターの音に合わせてエアギターを炸裂させた夏川さんは、アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』のOPテーマJUDY AND MARY『そばかす』をカバー。全力のパフォーマンスに少々息は上がったものの、最後までやりきった夏川さんが、暗転前に肩をすくめた決めポーズにも観客席はメロメロに。後のMCで「実は今日、ジュディマリ歌うからポニーテールにしたの(笑)」という裏話も飛び出し、観客はレアな夏川さんの姿を見られたことに。
●雨宮天3rdシングル曲をどこよりも早く披露!
明転すると、MCなしで雨宮さんのソロコーナーへ。星のちりばめられた白いシャツに、青いアシンメトリーなスカートという出で立ち。まずはデビューシングル『Skyreach』のカップリング曲『夢空』を伸びやかに、安定感もバツグンに歌い上げました。「Skyreachのリリースイベントで披露していた2曲でしたが、Skyreachはときどき歌う機会があったけれど、夢空もすごいく好きな曲だったので、TrySailの1Stライブで歌わせていただきました!」と雨宮さん。
そして、「私、雨宮天、3枚目のシングルのリリースが決定しました!」と、嬉しい発表にどよめく会場。初夏リリース予定のスマートフォン向けゲームの主題歌である『Velvet Rays』を、どこよりも早くライブで初披露! 「緊張していますので盛り上げてください!」の雨宮さんのお願いに、会場は一帯となってブルーのサイリウムを振ります。オーケストラが多めの、まさにファンタジーゲームの戦闘曲を思わせるロックナンバー。サビで片腕を上げる雨宮さんの決めポースがクセになる! これは次回以降のライブでも一緒に手を振り上げたくなる曲に仕上がっていると感じます。
●TrySailの新曲も連発!(リリースも決定!)
全員のソロコーナーが終わると、水色と白の「TrySailカラー」をベースにした、この日のための新衣装にチェンジして、3人が舞台上に揃い踏み。麻倉さんの「アイスクリーム屋さんみたいだよね」のひと言に、3人でアイスクリーム屋を開いたら……というラジオさながらの和気あいあいとしたトークに。
トークが一段落すると、夏川さんは「この日のために作っていただいた新曲を歌います!」と宣言! まずは『ホントだよ』。「どんなタイプの女の子が好き? どんなデートをすれば楽しいの?」と、女の子の恋心を歌った直球なアイドルソング。サビでは「ホント」「ウソだ」とコール・アンド・レスポンスもあり、レスポンスがキマった一瞬に麻倉さんの「ありがとー!」がピタッとハマって、会場は初披露曲とは思えないほどの一体感に。
続いて披露された『僕らのシンフォニー』は、合間のギターソロも印象的な、アップテンポなロックナンバー。「もっともっと自由になって その声を ここまで届けて」というサビの歌詞にもあるように、ライブで必ず盛り上がるであろう明るくさわやかな曲でした。
新曲続きの後には、TrySailとしてのカバーを1曲。歌はH2Oの名曲『想い出がいっぱい』。ここではTrySailの「挑戦」だったという、全員が主旋律と副旋律を交代しながらのハモリ、その美しい調べは「まさにTRYangle harmony!」といった雰囲気で客席をすっかり魅了。少しせつない歌詞は、まさに今日この時、1stライブのステージに立つ彼女たちを象徴しているような言葉にも思えました。大きな拍手の後、ここでまた1つ新たな告知が。TrySailの2ndシングルが8月19日発売に決定! 7月放映のTVアニメ『Classroom☆Crisis』のOPテーマにであることも発表されました。
夏川:「今日は、その曲をさっそきゅ!」(座り込む)
麻倉・雨宮:「さっそきゅー!」
夏川:「一生言われるんだろうなぁ……」
と、曲入り前に夏川さんが噛んでしまうも、気を取り直して早速その新曲の『コバルト』を披露。雨宮さんをセンターに、麻倉さんが「ガンガン盛り上がってくれたらと思います!」と煽るとおり、1stシングルとは雰囲気も打って変わり、低音が強調されたカッコイイ路線のナンバー。間奏で拳を突き上げる3人に合わせて、観客も乗っていきます。「コバルトに染まれ!」の歌詞の通り、舞台も会場もブルーに!
●2ndライブも決定! 出港した彼女たちは止まらない
続く13曲目は、1stシングルのカップリング『Sail Out』。後ろのスクリーンには晴天の海原、そこへ白い帆をなびかせて、トライセイルのマークが。「揺れるコンパス 旅立ちの海」「揺れるセイル 始まりの海」の歌詞どおりの爽やかな疾走感。最後には、舞台下手に夏川さん、中央でに麻倉さん、そして上手に雨宮さんが立ち、3人で「船」に乗っているような構図に。船頭の夏川さんと、後方から進行方向を指差す雨宮さんの姿もあって、まさに「TrySail出港!」のイメージ。
会場からのやまないアンコールにステージ上に帰ってきた3人は、この日のライブTシャツを着てステージに!そして、麻倉さんから「お知らせがありまーす!なんと、なんとなんと、次回のライブが決定しましたー!」の声に、会場は大歓声。2ndライブ日程は10月11日(日)で、場所は今回と同じくパシフィコ横浜・国立大ホール。6月1日から、TraySailのポータルサイトで先行受付もスタートとのこと。2ndシングル『コバルト』や、夏の『Animelo Summer Live 2015』出演を経ての2ndライブだけに、よりパワーアップしたTrySailの姿が見られることでしょう。
ここで、以前からやってみたかったという「ウェーブ」を会場のみんなと一緒に挑戦。観客は水色のサイリウムに切り替え、TrySailの3人が舞台を掛駆けるのに合わせて「ザー!」と声掛けする、というもの。「1stライブではじめてウェーブをやったけれど、これからもやっていくとしたら、みなさんも波の感じとかもっとスキルアップしていくかもね」と夏川さん。ウェーブがTrySailライブの名物になる……かも?
そして、TrySailのメンバーから、観客へメッセージが贈られました。
麻倉さんからは「1stライブがまさかのパシフィコ横浜だったけれど、TrySailのメンバーふたりとじゃないと立てないし、練習のときもすごくふたりに助けられて、やっぱり一緒でよかった。無事に沈没せずにすみました!(笑)」とメンバー間の信頼を思わせる言葉が。
雨宮さんは「新曲だらけで大変だったね……」と他のメンバーを見ながら振り返りつつ、「私たちはまたいろんなTryをさせていただくと思うんです。その度に、大丈夫かなって不安になったりすることもあると思うんですけれども、みなさんの応援に応えられるように、私たちも精一杯がんばっていきますので、これからも支えてください!」とファンに呼びかけました。
トリを務めた夏川さんは「みなさんにこのステージでたくさんの曲をみなさんに聞いていただけて、すごく自信になりました。今日の経験はこれからの私たちにとって、強い味方になってくれるかなと思っています」とライブを通じての成長と、今後の活躍を期待させるメッセージを送り、会場は温かな拍手と歓声で包まれました。
「本当に名残惜しいんですけれど、本当に本当に最後の曲です」と麻倉さんが告げ、ちょっとしんみりした空気を雨宮さんが「まだまだいけますか!元気残ってますか!思い切りいきますよー!」と再度盛り上げ、アンコールはデビュー曲の『Youthful Dreamer』をもう一回。ステージ上の3人は、直前のメッセージ通りにとても楽しそうな様子。最後までたどり着いた安堵感もあってか、この日の1曲目として歌った時よりさらに声も弾み、サビ前の「せーの!」もぴったり揃った!
フィナーレでは、マイクを使わずに、TrySailの3人は手を取り合い、会場の上手、下手、そして中央と3箇所で、肉声での「ありがとうございました!」と深いお辞儀を。最後は2階部分に上がり、あらためてお辞儀。まだ夜の部があることなんて感じさせないくらいに、フレッシュで、パワフルで、等身大な彼女たちのステージに、会場からはメンバー名を呼び続ける歓声がなりやみませんでした。出港したばかりの彼女たちの次なるステージが楽しみでなりません。
[文=松本塩梅]
■TrySail 1stライブ『LAWSON presents TrySail First Live 2015 "Sail Out!!!"』
【セットリスト】
30分芝居「Yesterday Diver」
M1.Yourhful Dreamer
M2.瞬間センチメンタル(麻倉・カバー)
M3.この町いつも~貧ちゃんのうた~(麻倉・カバー)
M4.ウィッチ☆アクティビティ(麻倉&夏川・カバー)
M5.流星のなみだ(夏川・カバー)
M6.そばかす(夏川・カバー)
M7.夢空(雨宮)
M8. Velvet Rays(雨宮・新曲)
M9.ホントだよ(新曲)
M10.僕らのシンフォニー(新曲)
M11. 想い出がいっぱい(カバー)
M12. コバルト(新曲)
M13. Sail Out
EN1.Youthful Dreamer
>>TrySail Portal Square