SEKAI NO OWARI日産スタジアムライブ、豪華演出の数々に14万人熱狂
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ステージに設営された高さ40メートルのセット。(Photo by Hajime Kamiiisaka)
SEKAI NO OWARIのワンマンライブ「Twilight City」が、7月18日と19日に神奈川・日産スタジアムで開催された。バンド史上最大規模の会場で行われた今回のライブには、2日間合わせて約14万人のオーディエンスが参加。スタジアムのメインスタンド側には、5日間かけて高さ約40メートルにもおよぶ巨大樹のステージセットが用意され、場内に足を踏み入れたファンを驚かせた。この記事では最終日、19日公演の模様をレポートする。
ライブの前にはオープニングアクトとしてオースティン・マホーンが出演し、華やかな歌声とバックダンサーを従えた華麗なパフォーマンスで会場を温める。そしていよいよSEKAI NO OWARIのライブへ。オープニングでは、空を走る列車がこの巨大樹に造られた街・Twilight Cityへ到着する様子がアニメ映像で描かれ、物語の幕開けを告げる。1曲目は「炎と森のカーニバル」。DJ LOVE(DJ)が「ようこそ、Twilight Cityへ!」と観客に呼びかけると、7万人の大歓声が場内に響き渡った。華やかに始まった1曲目から一転し、続いて披露されたのは「Love the warz」。Fukase(Vo)が「あなた方を処刑します」と歌いながら引き金を引く仕草がビジョンに大写しになると、客席からは悲鳴のような声が沸き起こった。
「虹色の戦争」「不死鳥」が終わると、Saori(Show Produce, Piano)は「涼しくなってきましたけど、皆さん熱中症は大丈夫ですか?」とオーディエンスを気遣う。そして「ライブ初披露の曲を、私のお気に入りの映像とともにやりたいと思います」と紹介し「PLAY」へ入る。歌詞とシンクロするRPGゲームを模したかわいらしいアニメーション映像と、SaoriとFukaseのボーカルが絡み合い、ファンタジックな世界が作り上げられた。
ここでFukaseとNakajin(Sound Produce, G)はステージ上手側へ移動。そこには駅を模したセットと、赤い列車が待ち受ける。「このTwilight Cityにはいろんな施設があるんですけど、ここは駅です! 列車が出発する時間なので、これに乗って皆さんの近くまで行っちゃいたいと思います」というNakajinの言葉の後、「ファンタジー」が始まった。FukaseとNakajinを乗せた3両編成の列車はアリーナ外周をゆっくりと走り、会場は大興奮。さらにアリーナ外周では曲に合わせて高い水柱が上がり、客席を大いに盛り上げた。
Saoriが「私たちで映画『進撃の巨人』のタイアップをやらせていただくことになりまして。そのために書き下ろした2曲を、今日は続けてやらせてもらいます」と語った後は、映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」前後編の主題歌となる新曲「ANTI-HERO」と「SOS」を連続で披露する。ダークなトラックにSaoriの奏でるドラマチックなピアノフレーズが重なる「ANTI-HERO」、Fukaseの高音ボーカルが歌う「守ること」を描いたSaoriの歌詞とストリングスが荘厳さを醸し出した「SOS」と、まったくタイプの違う2曲にオーディエンスは息を呑んで聴き入った。
そしてDJ LOVEのコーナーに入る直前には、FukaseとSaori、Nakajinが「次のライブでLOVEが何をしたら面白いと思う?」と相談し合う様子が人形アニメで再現される。スカイダイビング、火を噴くなどの無茶な提案にDJ LOVEは戦慄。「遊ばれてるだけでいいのか……俺が本当にやりたいのはこれだ!」という前フリVTRに続き、彼は巨大樹の中央にフライングVを下げて登場する。ヘヴィメタル風の衣装、さらにマスクにもメイクを施したDJ LOVEにオーディエンスは大喝采を送る。そんな彼はギターをかき鳴らしながら「俺は頼まれてこのバンドに入ったんだ」「なのにやってることは『ダンスをしろ』『次はミュージカルだ』」と、自身のバンド内での扱いや過去のライブでのソロコーナーについて激しくシャウト。最後はギターのネックから火花を吹き出し、圧巻のパフォーマンスで会場を沸かせた。
その後はSaoriのピアノをバックにした「ピエロ」、さらにNakajinのアコースティックギターが伴奏を務めた「スノーマジックファンタジー」と、シンプルな演奏でのパフォーマンスが続く。しかしいずれも巨大樹の上方での演奏だったため、高所恐怖症だというFukaseは「そもそも『ピエロ』ってそういう曲じゃん! 『危ないからやめたほうがいいよ』っていう!(笑)」と怯えた様子を見せ、オーディエンスを笑わせた。そしてライブは後半戦へ。「Death Disco」ではセット全体にプロジェクションマッピングのようにさまざまな文字が映し出され、さらに落下する水の流れが文字を映し出すスペースプリンターで「?」の文字を表示し、楽曲の世界を盛り上げた。
Saoriの「“PEACE”をテーマに曲を書いてほしいということで書いたんですけど、例えば世界平和みたいな大きなことも、周りの人や自分の人生を大切にすることで成り立つのではと思って書いた曲です」という紹介から、「第82回 NHK全国学校音楽コンクール」中学生の部の課題曲として書き下ろされた「プレゼント」へ。「スターライトパレード」ではイントロで来場者全員に配られたリストバンド型ペンライトが輝き、大歓声が沸き起こる。インディーズ時代の名曲「幻の命」に続く「ムーンライトステーション」では、先ほどFukaseとNakajinが乗り込んだ列車と同じ形のバルーンがスタジアム上空を飛び回り、歌詞の世界を再現した演出に7万人の観客から感動の声が起こった。本編最後を飾ったナンバーは「Dragon Night」。アコーディオンを抱えたSaori、フラッグとトランシーバーを手にしたFukase、力強く腕を上げるLOVE、バンジョーをかき鳴らすNakajin。オーディエンスはカラフルに明滅するリストバンドをはめた腕を上げ、大合唱で彼らのパフォーマンスを讃えた。
アンコールを求める「スターライトパレード」の合唱が響く中、Twilight Cityに再び明かりが灯る。メンバー4人がステージに現れて披露されたのは「RPG」。7万人のハンドクラップが響き渡ったあと、メンバーは本編の裏話を披露する。LOVEが「『ムーンライトステーション』のとき(の列車)、すごかったでしょ」と観客に問いかけ、Saoriは「昨日は強風でできなかったんですよ。今日だけです! 電車が飛びました!」とうれしそうに叫ぶ。さらにDJ LOVEは2016年春から全国ツアーを開催することを発表。オーディエンスからは狂喜の声が起こった。
ここでFukaseは今回の日産スタジアムに対する思いを語る。「昔、川崎でコンテストに出たときはビリだったり、『ベースとドラムがいないんじゃインパクトに欠けるね』って言われたり。傷ついたこともたくさんあった。でも僕は今、日本で一番大きなステージに立っています!」と話しながら涙ぐむ彼に、観客は励ましの声を送る。「僕が何を言いたいかわかりますか? みんなも負けるなってことです。すべての戦っている人に捧げます、『Fight Music』!」という言葉から曲が始まると観客はタオルを振り回し、彼の思いに応えた。そしていよいよ最後のナンバーへ。バンド初期からのおなじみのナンバー「インスタントラジオ」に、7万人は大熱狂。メンバー4人も笑顔で演奏を繰り広げ、スタンド席を下から上まで見渡す。アウトロのNakajinのギターソロに合わせてステージ上方には花火が打ち上がり、ライブは華々しく締めくくられた。曲が終わるとメンバー4人でマイクを通さない生声で「ありがとうございました!」と挨拶。彼らは深々と頭を下げ、ライブの成功をファンに向けて感謝していた。
SEKAI NO OWARIは7月29日にニューシングル「ANTI-HERO」をリリース。さらにライブ中に発表された通り、来年3月より11会場25公演にわたる全国ツアーを開催する。
SEKAI NO OWARI「Twilight City」
2015年7月19日 日産スタジアム セットリスト
01. 炎と森のカーニバル
02. Love the warz -rearranged-
03. 虹色の戦争
04. 不死鳥
05. PLAY
06. ファンタジー
07. ANTI-HERO
08. SOS
09. ピエロ -Twilight City arranged-
10. スノーマジックファンタジー -Twilight City arranged-
11. broken bone
12. Death Disco
13. プレゼント
14. マーメイドラプソディー
15. スターライトパレード
16. 幻の命
17. ムーンライトステーション
18. Dragon Night
<アンコール>
19. RPG
20. Fight Music
21. インスタントラジオ