己龍、アルルカンらV系5バンドが競演『ViSULOG 5th ANNIVERSARY』レポート

『ViSULOG 5th ANNIVERSARY』
2016.2.6(Sat)TSUTAYA O-EAST

ヴィジュアル系ポータルサイト・ViSULOGが誕生して、今年で5周年を迎えた。今や、「リアルなヴィジュアル系の動向を探る」うえでは欠かせない情報媒体となっているのも事実。ViSULOGは定期的にイベントも開催。それがシーンの活性化も担っている。

2月6日(土)、ViSULOGはTSUTAYA O-EASTを舞台に、サイトの誕生5周年を記念したイベント『ViSULOG 5th ANNIVERSARY』を開催。出演したのは、アルルカン、己龍、Chanty、DEZERT、ユナイト、(DaizyStripperはメンバーの体調不良で出演キャンセル)の計5バンド。今年もMCを務めたのは、ぽっくん(Stuppy)と山本貴也(ViSULOG)が行った。会場は2階に立ち見客まで大勢詰めかけるほどの大盛況。この日の模様を以下にお伝えしよう。

開演前に、この日のMCぽっくんと山本貴也が挨拶。加えて、己龍のGu.九条武政、アルルカンのGu.奈緒、ChantyのGu.千歳が姿を現し、コミカルなトークを展開。九条さんに至っては、「己龍がトリで登場するんですけど」と出順をばらしてしまう始末。でも、そこが己龍のリーダーでもある九条さんらしさと言えようか。

ViSULOGと同じ年に誕生したバンドという縁もあり、このイベントにも5年連続で登場しているのがユナイト。

冒頭を飾った「イオ」の時点からパワフルで開放的な楽曲を通し、場内へクライマックス並の熱狂をユナイトは描き出していた。むしろ、うずうずしていた観客たちの感情へ、騒ぎたいエナジーを一気に注入したと言うべきだろう。頭から絶叫飛び交うはしゃぎっぶりのステージが素敵だ。

優しい想い伝わる「small world order」に合わせ、ゆったり心地好く身体を動かしてゆく観客たち。サビではテンポもアップ。弾む演奏に身を預け、誰もが無邪気な笑顔浮かべ跳ね続けていた。どんどん気持ちが軽やかになっていく。そんなライヴ風景が場内に広がっていたのも嬉しいことだ。

「今年もこのステージに立つことが出来て嬉しいです。ユナイトもViSULOGさんと同期として長くやっていこうと思ってるのでよろしくお願いします」(結)

続いて、3月23日にリリースする最新シングル「ジュピタ」のC/Wに収録される「高級娼婦とカミキリムシ」をいち早く披露。特徴的なのが、舞台中央から左右に観客たちを分け、結の歌に合わせ、上手と下手で交互にヘドバンを繰り広げてゆく様。途中、Gu.LiNが客席へ乱入。クールでプチダークさを持った楽曲へみずからのプレイを通してアグレッシブな熱を注いでくれたのも印象的だった。

フリーキーなパーティナンバー「WONDER f∞l PEOPLE」では、タオル振りまわし、熱した感情をここぞとばかりにぶつけていた。高ぶった観客たちの感情は、もっともっと炸裂したくてウズウズ状態だ。

続く、アグレッシブかつパワフルでダークな「ice」の演奏に合わせ、観客たちが思いきり頭を振り乱してゆく。ユナイトのメンバーも攻撃モードで挑みかかっていく。高まる場内の熱気、だけど、これこそが気持ちを滾らせるライヴ会場特有の空気だ。

高らかに、エネルギッシュに歌と演奏を開放。最後の「universe」でも、舞台上、客席ともに気持ちを開放し、この楽しい瞬間を忘れたくない記憶として身体に刻み込んでいた。

ライヴ終了後に、ユナイトからGu.LiNとDr.莎奈が舞台へ登場。「ViSULOGのイベントは来年も1番手がいいです(笑)」と語っていた。来年も登場しトップバッターとなるのか!?　そこは来年をお楽しみに。

ユナイトは、3月23日に8枚目のシングル「ジュピタ」をリリースし、3月26日には、TOKYO DOME CITY HALL にて、『UNiTE. 5th Anniversary oneman live -U&U's in the FUTURE-』を開催する。

ViSULOGと共に育ってきたと言っても過言ではないChantyが2番手に登場。ライヴは、空間美を活かした爽やかな、次第に躍動感を増してゆくスケールあふれた「奏色」から幕を開けた。どこまでも広く突き抜けてゆく透明感を持った真っ直ぐな歌と演奏が、触れた人たちの心にも優しく光を注いでゆく。なんて胸くすぐる心地好い幕開けだ。

開放した空気へ一気に熱いエナジーを注ぎ込み、気持ちを瞬時に跳ね上げたのが「フライト」だ。演奏が進むごとにガンガン高ぶってゆく感情。何時しか場内中の人たちが拳振り上げ、声を張り上げ、心地好く熱狂のフライトを続けていた。破裂したい、そんな高ぶる感情をうずうず抱きながら、誰もが大きく手の花咲かせてゆく光景も。

渦を巻いた気持ちを一気に爆発させるように、ここでChantyは「おとなりさん」を叩きつけてきた。攻めのモードで歌と演奏をぶつけたメンバーたち。場内からは熱い叫び声も響いていた。

この日のChantyの気合いの入れようは半端ない。どの楽曲も何時もよりテンポアップして響いたのも、気迫が熱く伝わってきたからか!?　「おとなりさん」で高ぶった熱気をそのまま増幅させるように「やんなっちゃう」が炸裂。左右へモッシュしながら、サビではタオルを振りまわし、嬉しそうに熱狂へ身を溺れてゆく満員の観客たち。場内はすっかり祭りモードな熱気をはらんだ状態だ。

「Chantyの世界へようこそ！　ViSULOGさんとは永遠の追いかけっこを続けながら、一緒に歩み続けていけたら」という芥の言葉に続けて響かせたのが、白い空間の中、心地好く舞い踊ってゆく様が想い浮かぶ「天翔ける」だ。静寂な空間へ優しい色を塗り重ねるように、透明に近い色を持った旋律が哀切な景色を綴れ織ってゆく。陶酔に溺れるってこんな感覚か……。

最後は、3月11日から会場と通販限定で発売される新曲「貴方だけを壊して飾ってみたい」を初披露。ふたたび熱狂への階段を爽やかさを持って駆け上がりながら、短い時間の中とはいえ、しっかりChantyらしい世界へ5人は満員の観客たちを導いていった。

ライヴ後のゲストとして登場したのが、Vo.芥とDr.成人。トークでは、「芥の声がセクシー」という話題が中心に。最新作の中には、Chantyのメンバーが声優になりきったボイスが聞ける特典も含まれているそうなので、是非チェックしていただきたい。

Chantyは、3月11日より恋愛ゲーム「貴方日記～ユーフォリア～」とのタイアップアイテム『貴方だけを壊して飾ってみたい』が、会場＆通販限定で発売され、同日の池袋EDGEを皮切りに、『桜舞い散る木の下でキミが待ってるワンマンツアー』を開催する。ファイナルは、4月29日(金祝) TOKYO FMホールで行われる。

昨年に続き、このイベントに登場したのがアルルカン。Vo.暁の朗々とした歌声響く幕開け、だが、演奏は一気に加速度を増しだした。彼らのライヴは今にも炸裂しそうな狂気を内包した感情崩壊直前昂揚歌「PARANOIA」から幕を開けた。壊れる寸前な感情を、ただただ解き放つきっかけを求めるよう嘆き叫び、ぶつけてゆくメンバーたち。場内には、その様をじっと魅入る人たちと、早くも感情炸裂しながら暴れてゆく人たちの姿が入り乱れていた。

興奮求める感情を、一気に絶叫の奈落へ落し込むよう「Eclipse」が舞台上から放たれた。凄まじいエナジーを抱きながら炸裂した演奏。場内では全身全霊傾け身体を折り畳んでゆく大勢の人たちの姿が。この痛い熱狂を躍動の足掛かりにまだまだ興奮を高めていける。そんな感覚だ。

暴発した感情は、黒い狂気抱いた「私と理解」を通しますます増幅してゆく。攻めるように、いや、戦い挑む姿勢で歌をぶつけてゆく暁。場内では、終始身体を折り畳み、ヘドバンしながら絶叫してゆく人たちの姿が瞳に映し出されていた。狂気と驚喜渦巻く空間の、なんて居心地良いことか。

「僕たち、ダメ人間」。絶叫どころではない、狂声のやり取りを通して全身奮い立たせ暴れてゆく空間が、一瞬にしてそこには生まれていた。「ダメ人間」が触れた人たちの理性をすべて壊し、ただただ野生な感情晒す姿へと様変えていた。それは何を意味するか!?　本能のまま全力で、しかも最高に満ち足りた表情を浮かべ騒ぎ続けてたってことだ。ヤバいくらい理性を壊してくれるよなアルルカンのライヴは。それが、たまんない興奮なんだよ！

「踊りませんか！」。「人形」に合わせ会場中に起きた、左右にモッシュしてゆく光景。サビでは、昂揚導く歌に心痺れる感覚も。もはや壊れた理性に理屈なんか必要ない。ただただアルルカンが突き付ける熱狂の宴に溺れていけば良い。それがすべての答えだ。アルルカンのライヴが持つ正義だ。

「楽しめるときに楽しめる奴こそカッコいい、ぶっ壊していけるか！」。暁の煽りを合図に最後に叩きつけたのが、お馴染みの「像」だ。舞台上も客席も、興奮の満ち引きを繰り返しながら、この空間へ狂い咲く熱狂の祭りを描き出していた。延々繰り返される逆ダイと乱れ舞うモッシュの宴。感情を壊し騒げるこの感情こそ、ヴィジュアル系のライヴの楽しさだ。アルルカンのライヴでこそ味わえる汗まみれのエクスタシーだ。

ライヴ後のゲストとして姿を見せたのが、Ba.祥平とDr.堕門。堕門が戦場カメラマンのモノマネで、この日の感想を語ってくれた。

アルルカンは、3月2日にニューシングル「PARANOIA」をリリースし、『「傷」× ツケルTOUR-片鱗-』が、3月3日(木)岡山CARAZYMAMA 2nd Roomよりスタートする。ツアーファイナルは、『「傷」× ツケルTOUR FINAL-決別-』と題し、4月2日(土)赤坂BLITZにて行わる。

狂気をはらんだ歪むギター音が炸裂。セッション風の演奏は、次第に「「遭難」」へと形を変えだした。ミッドでヘヴィグルーヴな唸りの中、Vo.千秋が破滅へのプロローグを告げるようジワジワと歌いだした。破裂前の感情溜め込んだ歌声の持つ昂揚が、胸に痛い心地好さを持って響いてゆく。何か衝動を期待させる嬉しい幕開けだ。

頭の螺子を壊すようヒステリカルなフレーズと歌を通し、DEZERTは観客たちの理性をガンガンに壊しだした。緩急をつけたむしろ理性と暴発の境界線を行き来しながら、片方へ全力で感情を落し込みたい。「「宗教」」が与えてくれたのは、そんなキレる寸前の境地へ導いてゆく感覚だ。

感情壊す引き金は、「「君の子宮を触る。」」を通して一気に弾かれた。会場中の誰もが拳振り上げ、頭振り乱し、身体を思いきり折り畳みながら、昂揚した歌と堕ちるように唸るグルーヴが、感情炸裂という縄で全身をがんじがらめにしてゆく。そんな感覚だ。

沸き上がる感情。「「不透明人間」」の演奏に合わせ、観客たちが左右に駆けだした。激烈さと艶めいたドス黒さを持った楽曲が、冷静でいることを許すわけがない。カオスな熱狂にまみれ、ただただ暴れ続けてゆく。それ以外に正解なんて必要なのか!?

演奏は猛々しさを持って暴走破裂した。黒く重い唸りを持って「「殺意」」が襲いかかってきた。その演奏に身を任せ、身体動くままに暴れ続ければいい。それがすべての正解だ。凄まじい破壊力を持った歌に嬉しく撲殺されてゆくうえで、それが一番の楽しさと恍惚になるのだから。

「生きてるかー!?　死ね!!」。たがが外れ暴走……いや、暴動を起こすように凄まじい熱気を内包した「「包丁の正しい使い方～終息編～」」が、舞台上から重く降り注いできた。理性なんてとっくに壊れている。その空間にいることが、何よりもの恍惚なんだ。

これまでの狂気を昇華するよう、最後に「「擬死」」が奏でられた。途中から演奏はふたたび暴走へ。むしろ、痛くリアルな感情を持った歌が、歪んだ理性には最上級な熱狂の子守歌として響いていた。このドス黒く生々しい音楽こそ、生きる痛みを気づかさせてくれる最高の刺激剤なのかも知れない。

ライヴ後に舞台上へやってきたのは、Dr.SORA。「ViSULOGってなんの会社？」とSORAが質問する場面も。DEZERTは、2月13日仙台MACANAを皮切りに、『【楽しい食卓ツアー】DEZERT ONEMAN LIVE TOUR 2016』が開催される。ファイナルは、6月5日(日) ZEPP TOKYOで行われる。

トリを飾った己龍は、ViSULOGの2周年イベント以来の登場だ！　今宵の己龍のライヴは、ドラムス准司のドラムセッションを皮切りにスタート。唯のヴォーカル眞弥の煽りを受け、会場の人たちが絶叫を上げてゆく。一瞬のブレイク。ふたたび准司のドラムフレーズを合図に、演奏は疾走しながら昂揚抱かせる「天照」へ。高ぶり駆ける感情が、気持ちを嬉しく武者震わせていく。瞬時にして観客たちを、己龍の持つ狂った雅な舞台に欠かせない役者たちへ変えてゆく手腕は流石だ。

昂った観客たちへ突き付けたのが、おどろおどろしく痛い狂気はらんだ「紫触」だ。会場の人たちが震える興奮を噴火吐き出すが如く、凄まじい勢いと迫力のもと拳振り上げ、身体を折り畳んでいた。暴れ狂う様！　それこそが己龍のライヴを楽しむうえでの常識というべき定めだ。

「今宵は思う存分に暴れ祭ろうか」。ヒステリカルな宴の幕開けだ。誰もが暴れ狂う阿呆になり、手にした扇子や手自体をくるくる廻しながら、ついでに理性もくるくる廻し投げ捨て、「朔宵」が導いたきらびやかで狂った宴の中、満面の歪んだ笑顔浮かべ狂い咲いてゆく。そう、もはや誰もが熱狂の中で踊り子となり、ライヴという座敷の宴で存分に酔い狂っていた。

准司の攻めたドラムの演奏を合図に、熱狂の舞台劇は「泡沫」へ。激しく攻める演奏と雅に揺れる音色に、失禁しそうなほどの恍惚を覚えながら大勢の人たちが祭り狂ってゆく。サビで観客たちが大きく手の花咲かせる風景の、なんて艶やかなことか……。

雅で美しい始まり。だが、彼らがそんな優しい手を差し伸べるわけがない。演奏は一気に重いカオスな音の塊となり、触れた人たちを奈落の底の熱い舞台へ落し込んでいった。「煉獄」の演奏に引きずり込まれるよう、暴れ舞い狂う観客たち。途中には、メンバーどころか、観客たち全員も土下座させ、頭振り乱せる場面も。そう、これぞ雅ジュアル系己龍らしいスタイルだ。

彼らの手は一切緩むことはない。むしろますまず勢いを持って、ギラついた斬鉄剣の刃を剥き出しのままに振り降ろしてきた。「鬼祭」に触れ全力で逆ダイに興じてゆく、狂喜に恍惚覚える観客たち。その宴へ身を預けずに、頭振り乱さずにいるなんて、己龍のライヴでは不常識なこと。その熱狂は、いつしか会場をサウナ状態へと変えていた。

最後は、己龍のライヴではお馴染み。観客たちの誰もがタオル振りまわし、歌い叫び続ける「空蝉」だ。大サビで起きた歌の掛け合い。そこには何時もの己龍のライヴの風景が描き出されていた。イベントにも関わらず、その時間だけは、そこは間違いなく己龍のワンマンの宴の場に様変わっていた。この日のライヴを通し、改めて己龍の持つ底力を味わえたライヴになったのは間違いない。

やまぬ雌豚糞野郎どものアンコールの声を受け、ふたたび己龍のメンバーが舞台へ。最後の最後に5人は「誰彼刻」を叩きつけてきた。たたただ暴れ狂う。それ以外に何が必要か。誰もが最後の最後まで熱狂と恍惚を覚え、イベントの幕を盛大に締めくくっていった。

ライヴ後、舞台上に己龍の唯のヴォーカル眞弥と痛絶ノスタルジック代弁第壱人者兼ギター参輝が登場。9年前にぽっくんがSHOXXの編集長をやっていた頃にメンバー全員で編集部へ挨拶しにきたこと。その時に九条さんがゲタ履きだったことなどを語ってくれた。

己龍は、3月2日に14枚目のシングル「彩」をリリースし、そちらを引っ提げた『己龍全国単独巡業「彩霞蓋世」』が、3月13日(日) 川崎CLUB CITTA'を皮切りに開始される。千秋楽は、4月24日(日)TOKYO DOME CITY HALLで行われる。

ViSULOGが主催したこの日のイベント。ViSULOGは何時だって刺激的な情報と熱狂を届けてくれる媒体。また、刺激を与えるイベントも開いていただきたい。

撮影＝インテツ　文＝長澤智典