ロータス・カルテット 常に“いい音楽”をするための信頼感があるんです

2016.2.21
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クラシック


 鉄壁のアンサンブルと深遠な音楽性、そして溢れ出るパッションを武器に、日本が生んだ随一の国際的な弦楽四重奏団として、ドイツ・シュトゥットガルトを拠点に活躍する「ロータス・カルテット」。2016年春、ベートーヴェンやシューベルトを軸とするプログラムを引っ提げて、全国10ヵ所を巡るツアーを行う。「読書をするように、気軽に弦楽四重奏へ触れてほしい」とヴィオラの山碕智子。世界の檜舞台で活躍を続ける精鋭集団が、室内楽の愉悦を教えてくれる。

 ヴァイオリンの小林幸子と山碕、チェロの齋藤千尋らにより、1992年に結成。翌年には大阪国際室内楽コンクールの弦楽四重奏部門の第3位に。メロスをはじめ、アマデウス、ラ・サールなどの名門弦楽四重奏団から直接の薫陶を受け、97年には難関・ドイツBDI音楽コンクールでメロス以来となる弦楽四重奏部門での第1位受賞の快挙を達成。2005年からは第2ヴァイオリンにマティアス・ノインドルフが加入、特に東京クヮルテットの解散後は、唯一の日本発祥の国際的な常設弦楽四重奏団となっている。

 今回のツアーは、まず、“初お目見え”となる京都公演などで、彼らが「自分たちの聖書」と位置付けるベートーヴェンの弦楽四重奏曲から、第7番(ラズモフスキー第1番)と第14番を披露。「後期作品の中でも、第14番のパウゼなしのスピード感は、特に私たちに合っているかも(笑)。弾くこと自体が楽しみですね。これに組み合わせるならば、『長いけれど、第7番がぴったり』という感じで決まりました」と山碕は笑う。

 また、シューベルト晩年の佳品である弦楽五重奏曲を取り上げた、名古屋や東京などでの公演では、彼らの“師”であるメロス弦楽四重奏団に創立から解散まで在籍した、チェロのペーター・ブックと共演。山碕は「彼には、凄いオーラがあります。でも、決して『ついて来い』じゃない。寛容ですね。アンテナを縦横に張り巡らせていて、合わせて下さって、一番いい所を突き進んでいく感じ。ぜひ皆さんにも、体感していただきたいですね」と説明する。

 そして、「弦楽四重奏に大切なのは、“許し合う”こと。一番大事なのは音楽で、そこへ向けてどれだけ集中していけるか、が私たち4人にとって勝負ですね。そのためには、何でも受け入れるし、何でも言い合う。その根底には、常に『いい音楽のために』という信頼感があるんです」と山碕。「美味しいものは、誰でも分かりますよね。音楽でも、私たちが良いものを届ければ、必ずそう感じていただけるはず。まるで読書のように、音楽を共に体験できる環境を創っていきたい」と力を込めた。

取材・文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)


ロータス・カルテット
3/5(土)14:30
京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
問合せ:KCMサービス0570-00-8255
http://www.kojimacm.com

 
他公演
3/4(金) 宗次ホール(052-265-1718)
3/6(日) 第一生命ホール(トリトンアーツ・デスク03-3532-5702)
※全国ツアーの情報は上記ウェブサイトでご確認ください。