テスラは泣かない。のツアーファイナルで高らかに奏で示された「帰るべき場所」
テスラは泣かない。
「ジョハリの窓」release tour 2015-2016
“感電” -大変危険ですので真似しないでください- 2016.2.13 shibuya eggman
アンコールで新曲「Like a Swallow」を披露する前、村上学(Vo/G)から”ツバメは餌を探して飛び回った後、必ずヒナの待つ巣に戻ってくる鳥”という話があった。
弾むビートとメロディ、バンドサウンドのダイナミズムに彩られたテスラらしいこの新曲。大空を自在に飛び回って必ず帰るべき場所に戻ってくるという決意をこのタイミング歌った背景には、吉牟田直和(B)の一年間のバンド活動休止という出来事があることは想像に難くない。”音楽活動に専念するため学業へのけじめをつける”と活動休止の理由を明かした吉牟田は、3人の元へ戻ってくるという約束をステージ上で誓った。バンドは吉牟田復帰までの一年間、サポートベーシストを迎えこれまでと変わらずに活動を続けるという。4人はどこか晴れやかな表情であったし、知らせを聞いたファンも、驚きこそあったもののあたたかく受け止めていた。きっとこれまでの活動で培ってきたテスラは泣かない。とファンの関係性がそうさせたのだろう。まっすぐで飾らず、嘘がない。この日のライヴもそうだった。
テスラは泣かない。・村上学
テスラは泣かない。・吉牟田直和
2月13日、shibuya eggmanで行われた『「ジョハリの窓」release tour』のファイナル。一曲目の「Cry Cry Cry」から、飯野桃子(Pf/Cho)のコールに声と手を上げて応えるオーディエンスに、ときおり笑顔を見せながらドライヴ感たっぷりの演奏を繰り出すメンバー。凄まじく高いテンションでライヴはスタートした。2曲目の「Oh my God!」を終えた時点で村上は「まだ2曲しかやってないけど……最高です!」と手応えを口にする。
テスラのタイトでエッジーなサウンドは、リズムが要だ。鋭い音とプレイでそれを引っ張る實吉祐一(Dr)と、激しいアクションをみせながら正確さと華やかさを両立させたフレーズを繰り出す吉牟田、リズムの一部になったかと思えばメインリフにもなったりと縦横無尽な飯野のピアノと朗らかな歌声。そしてそこに村上が刹那的なエモーションを湛えた歌声で紡ぐメロディが乗ると、ポストパンクやニューウェーヴ的な無機質さとフィジカルで有機的なグルーヴが複雑に絡み合う。加えて散文的だったり文学的だったりする詞と、初見でも口ずさめるようなキャッチーな歌メロ、複雑なリフや構成といった各要素が、ギリギリのバランス感覚で成立しているのも特筆すべき点だろう。
テスラは泣かない。
巻き起こるクラップの中どんどん激しさを増していく「Lie to myself」や、「懐かしい曲を」と披露された暴れるピアノが気持ちよいダンサブルな「イムソン」など旧来の楽曲も織り交ぜながら、『ジョハリの窓』の楽曲が演奏されていったこの日。中でも、飯野がハンドマイクを手にステージ最前列まで出て歌い嬌声を浴びた「Sunday night sunny」でのカラフルなポップネスや、インストとしても成立しそうなくらいジャジーで大人な音の「さなぎ」、ドロージーなサウンドに村上の優しい声色が絡み展開もドラマティックな「Tonight」とアルバムの曲順をなぞった中盤戦は出色だった。
テスラは泣かない。・飯野桃子
テスラは泣かない。・實吉祐一
翌日がバレンタインということもあって、男性メンバーにチョコが欲しいか聞いたところ「お返しが面倒くさいから要らない」と一蹴された……という話を持ち出した紅一点の飯野が「わたしに対して雑!」と憤慨して笑いを誘うなど、キャラクターが垣間見えるMCはとても和やか。などと思っていたのも束の間、最前列で身を乗り出した村上がフロアを指差し、スリリングに疾走する「国境はなかった」で再び”上げるモード”へとチェンジすると、村上から「ロックナンバーをぶつけていきたいと思います!」との宣言も飛び出し後半戦へ。跳びまくるファンに「かかってこいよ!」と吉牟田が叫び、さらなる熱狂を生む。曲を追うごとに大きくなる歓声の中、「サラバ」で本編を終えた。アンコールで再びステージに戻ると、ラストは「Shake your hands saying good bye」で、半年近くに及んだツアーのファイナルを締めくくった。
テスラは泣かない。
冒頭の話にひとつ付け加えると、ツバメは南方で越冬した後も基本的に同じ地域、場合によっては同じ巣に戻ってきて、生涯営巣地を変えないのだそうだ。テスラは泣かない。の4人がこの日「Like a Swallow」で誓ったのは、この先どこへ行っても何が起きても”帰るべき場所に帰ってくる”ということ。言うまでもないことだが、それはファンが待つライヴハウスのステージの上だ。
文=風間大洋
テスラは泣かない。
-大変危険ですので真似しないでください- 2016.2.13 shibuya eggman
1. Cry Cry Cry
2016.03.27(日) shibuya eggman
出演:テスラは泣かない。 / 空想委員会 / ヒトリエ
OPEN:18:00 / START:18:30
前売¥3,000 当日¥3,500 (D代別)
【e+先行(先着順)】
2/14(日)10:00~
【一般発売:2/27(土)10:00~】
■e+ / ■ローソン
テスラは泣かない。presents『High noble MATCH!in KAGOSHIMA vol.3』