「真の自分でいるというのは今でもすごく大変なこと」エディ・レッドメインらが語る映画『リリーのすべて』への想い
リリー、アイナーを演じたエディ・レッドメイン『リリーのすべて』 (C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
3月18日から映画『リリーのすべて』が全国公開となる。同作はデヴィッド・エバーショフ原作の小説「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語」を映画化した作品。今から80年以上も前に、世界で初めて性別適合手術に踏み切ったデンマーク人リリー・エルベと、その理解者である妻の実話にもとづく物語だ。
劇中では、エディ・レッドメイン演じる風景画家アイナー・ヴェイナーは、肖像画家の妻ゲルダの依頼で女性モデルの代役を務めたことで、自身の内に潜んでいた女性"リリー"の存在に気づく。やがて、心と身体の不一致に苦悩するアイナーとゲルダは、夫婦で性別適合への道を模索していく。果たしてこの繊細で複雑なドラマを、キャスト・スタッフ陣はどのような想いで理解し作り上げたのか。
『リリーのすべて』 エディ・レッドメイン (C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
主演のレッドメインは「この作品は“リリー”という人物が本当の自分になるために辿った旅路の物語だ」と解説。「誰だって壁に直面する。その壁に立ち向かうか、逃げるか、もしくは、最悪なシナリオはそのままやり過ごすのか。自分らしくあるために必要な勇気と度胸を尊重すべきだ」とも語り、大きな決断を下したリリーの行動への称賛を惜しまない。
さらに、レッドメインは役づくりについて「今回この作品に出演して気づいたのは、真の自分でいるということは一見すごく単純なことのように思えるけど、実はそうじゃないという点だ」とも明かしている。さらに「リリーの時代から100年近くたった現代でも、社会はあの頃からそんなに進歩していなくて、真の自分でいるというのは今でもすごく大変なことなんだ」と語り、作品を通じて感じたトランスジェンダーなどをめぐる現状にも触れている。
『リリーのすべて』ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデル (C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
『リリーのすべて』 (C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
妻・ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルは「ゲルダがリリーにトランジションをするように促したことは素晴しかったと思うわ。ゲルダはできる限りリリーをケアして、彼女にとってそれは犠牲ではなかった。リリーへの愛は確かなものだったから」と語り、リリーに寄り添い続けた彼女の気持ちに想いをはせる。
トム・フーパー監督も「自分の本当の姿を見つけるベストな方法は、誰かに愛されることだ。誰かに深く愛されることで、自分の本当の声を見つけることができると思う」と語る。リリーの決断をゲルダとの出会いなくしてはなしえなかったものとして描いているのだ。
『リリーのすべて』婦人科医ヴァルネクロス (C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
また、脚本のルシンダ・コクソンは、「もしリリーが本当の自分になれなかったら、おそらく自ら命を絶っていただろうということ。つまり、手術を行った婦人科医のヴァルネクロスは彼女の命を救ったと言える」と、手術に踏み切った医師の勇気も称えている。リリーとゲルダだけでなく、二人に関わった人物たちにとっても大きな決断だったのである。
同作は本年度のアカデミー賞で主演男優賞(エディ・レッドメイン)、助演女優賞(アリシア・ヴィキャンデル)をはじめ4部門にノミネートされているほか、数多くの映画賞・映画祭賞で高い評価を得ている。これは、キャストやスタッフがいかにリリーとゲルダを理解しているかの表れなのだろう。
『リリーのすべて』は3月18日(金)より全国公開
原題:The Danish Girl
監督:トム・フーパー
脚本:ルシンダ・コクソン
出演:エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー、アンバー・ハード、マティアス・スーナールツ 他
提供:ユニバーサル映画/製作:ワーキング・タイトル、プリティ・ピクチャーズ
レイティング:R15+
配給:東宝東和
(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.