最先端を走るイラストレーターが表現する「ALIVE」とは?音とアートが交錯する驚愕の空間をレポート
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山下良平
SPICEでも開催前にニュースとして取り上げた、業界でも最注目のアーティスト。『躍動』をテーマにアートを制作する山下良平が東京・渋谷にある「LIVING ROOM CAFE by eplus」にて、展覧会を2016年2月19日(金)から3月21日(月・祝)までの1ヵ月の間、様々な企画とともに開催される。
開催期間中は店内にて山下良平の独自のアートが飾られ、その世界にいつでも触れることができるのだが、そんな展示中の企画の一つとして、音楽ライブとアートのコラボレーションがある。先日行われたそのMUSICxARTの模様をレポートしたい。
今回のMUSICxARTのコラボレーションは
2月20日に、最近頭角を現している、シンガーソングライター松崎ナオと
3月19日に、映画音楽などでも有名な明星/Akeboshiとのコラボを予定している。
そんな音楽とアートがクロスオーバーする空間が2月20日に早速繰り広げられた。
「1度きり」の、人間からのアウトプットの交錯
山下良平
訥々としながら、それでいて言葉を突き刺すように松崎ナオのピアノと歌、そしてベースのユニットで幕を開けたステージ。同じように山下も、実にフラットに訥々と大きなキャンバスにピンクの塊を投げつける。 山下良平
松崎のぶっきらぼうに聴こえて、実は繊細で染み渡るフレーズに耳を取られていると、キャンバスでも色と筆がどんどんと躍動していく。
染み渡るように、跳ねるように。
そして松崎は次曲で、楽器をアコースティックギターに持ち替えまた訥々と始める。切ない響きのアルペジオに載せて、今度はキャンバスに黄色が殴り入れられていく。そしてその黄色の暴れる曲線と共に、今度はアコギながら少し歪んだトーンで激しくサビを奏でる。
何かのわかりやすいアクションがあるわけではなく実にステージは冒頭からいっているように”訥々と”しているのだが、両者が楽器や歌で、はたまた筆で表しているものが実にうまく絡まり合い、そう”躍動”している。
キャンバスに水色が入れられ、なんとなく描かれているものが具現化してきたころには、実に自然とこの場所で起きている芸術を同時に見聴きし、総合的な世界観として受け入れている自分がいることを感じる。交互に音楽とアートを見ているのではなく、その場所でしか産み出されないであろう”1度きり”の人間からのアウトプットの交錯を感じている。それは”一つの行為”として、ごく普通の事として受け入れられるのだが、やはり1流同士のコラボというのは恐るべきだ。
そして、途中で演奏は休憩に入り、山下はその前半で受けたインスピレーションや空気を吐き出すように一心不乱にペイントを施し続ける。なぜか音がないにもかかわらず、彼の筆を通して音が聞こえる感覚を覚えた。彼の筆を通じて松崎の歌が聴こえてくるようなのだ。こういうタッチの時はこういう音が合うよなーとか想像してしまっている自分がいて、おそらくその場で見ていた大勢のギャラリーもそう感じていたに違いない。
少ししてまた松崎はステージに戻り、これまたとてもフラットなマインドでそこに降り立つ。この日の彼らの芸術は仕上げに向かう。この頃には山下が描き出すキャンバスにハッキリと”ヘッドホン”のようなものが姿を現し、それが光とともに音を放ち浮かび上がる鮮やかな絵が表現されていた。
また曲が始まり、激しくなったりたおやかに紡ぎだされたりしながら、色々な色相や色々な表情の光がヘッドホンを照らしていく。音に希望を、世界は音楽や芸術を祝福しているというようなイメージを感じさせる作品が完成。
山下良平
ここまでのライブのプロセスからこういう作品が生み出されるというのは意外だったのだが、振り返ってみると多くの描き出された”線”が直感的なのに必然だったとも感じられる。今日この場でしか生まれなかった、感じれなかったものが完成する感動。実に良いものを感じられたと大満足できるステージだった。
今回のコラボがこれだけ素晴らしかったのだから、次回は何が感じられるのか楽しみで仕方がない。是非とも多くの方にこれをみてもらいたいとおもう。
文=秤谷建一郎
山下良平・ALIVE!
日時:2016年2月19日(金)~3月21日(月・祝)
会場:LIVING ROOM CAFE by eplus
出演者:山下良平
2月19日(金) 松崎ナオ
3月19日(土) 明星/Akeboshi
※
※ライブエリアにご来店1名さまにつき500 円のパフォーマンス・チャージが必要となります。
※お席の御予約は公演開催日3 週間前より当店HP にて予約受付致します。なお予約の場合、おひとり様ワンフード・ワンドリンクのオーダーをお願いしております。
※混雑状況によっては相席をお願いする事もございます。御了承下さいませ。
”躍動”を一貫したテーマに絵画作品、イラストレーションを制作。マガジンハウス『Tarzan』 表紙をはじめ、ナイキなどのビジュアル制作や、音楽フェス『SUMMER SONIC』でのライブ・ペインティング、横浜マラソン2016公式ビジュアル作成などアート・ディレクションを含めた活動にも力を入れる。画家としての活動も本格始動し、自身のアートブランド『LIKE A ROLLING STONE』を立ち上げ絵画作品の発表、販売を行う。 2015年、大阪で開催されたアートフェア『UNKNOWN ASIA』で『イープラス賞』受賞。
略 歴
1973年 福岡生まれ
1994年 ストリート絵師活動開始
1996年 九州芸術工科大学(現九州大学)芸術工学部 画像設計学科 卒業
2002年 アトリエを横浜に移す。イラスト作成企業『現代絵師』設立。
2008年 FM802、アーティスト発掘プロジェクトdigmeoutオーディション通過
2008年 初個展『ART ADVENTURES』開催
2009年 SUMMER SONIC にてライブペイントパフォーマンス参加
2010年 アートブランド「LIKE A ROLLING STONE」設立。
2012年 大阪、東京、福岡で巡回個展「BUMP!」ツアーを開催。
2015年 アートフェア『UNKNOWN ASIA』で『イープラス賞』受賞。
シンガーソングライター:松崎ナオ (まつざき なお)
シンガー・ソングライター、ロックンローラー。東京生まれ。ギター(曲によってピアノ)弾き語り、時にはドラムス、ベースとの3ピースバンド。まっすぐに響く言葉を、たおやかな声に乗せて、よく鳴らしたギターと共に歌う。
実は稀代のメロディー・メーカーでもある。1998年にデビュー、これまでに9枚のアルバムを発表。最新作は、キャリア初のギター弾き語りによる『39』。NHK総合「ドキュメント72時間」テーマソング(放送中)の『川べりの家』がある。興味が湧いたらすぐ行動をモットーに愛のある音楽をテーマに勢力的に活動中。
明星/Akeboshi
明星嘉男によるソロ・プロジェクト。学生時代からバンド活動を行い、高校卒業後にリバプールの音楽学校LIPAに留学。在学中の2002年にミニアルバム『STONED TOWN』でデビューする。以降、井上陽水と共作した『Yellow Moon』や、イギリス・アイルランドでレコーディングを行ったアルバム『Meet Along the Way』などを発表し、松たか子や一青窈へも楽曲提供。
橋口亮輔監督の映画『ぐるりのこと。』『恋人たち』の劇伴や主題歌、村上春樹・是枝裕和・仲間由紀恵とコラボレートしたサッポロビールの2012年箱根駅伝特別CMなど、映画やCM音楽も数多く担当。2014年に発表した最新作『After the rain clouds go』では、全曲の作詞・作曲・ミックス・マスタリングを自ら手掛けた。ライブではピアノ弾き語りにサポートメンバーを加え、毎回異なる編成で行なっている。