KREVAの新しい音楽劇『最高はひとつじゃない 2016 SAKURA』 綿引さやかにインタビュー
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「最高はひとつじゃない2016 SAKURA」綿引さやか
2016年春、KREVAの新しい音楽劇「最高はひとつじゃない2016 SAKURA」が上演される。
KREVAのプロジェクトとしては3度目となる本作に、前回から引き続き出演する一人がミュージカル女優・綿引さやかだ。
「レ・ミゼラブル」でエポニーヌ役に大抜擢された経験を持つ綿引が、本作に何を思うか。29歳の今、考えていることをたっぷり伺ってきた。
――前回に引き続き、再びKREVAさんの舞台に出演することとなりましたが、ご感想は?
前回の公演を終えた瞬間から「絶対また出演させて頂きたい!」と思っていました。今回再演というより新作となりますので、またどんなものに出会えるのかな、どんな芝居を作れるのかなという気持ちでワクワクしています。
――とはいえ、KREVAさんのラップを歌にしていくことは、ミュージカル界から来た人にとってはやはり難易度が高いものでしょうか?
それはそれは高いですね。KREVAさんのラップは、(共演の)AKLOさんもおっしゃっていたのですが、ラップをされる方からみても難しいそうで、「ここにこの言葉数を入れるんですか!?」と、一つの場所に多く言葉を詰め込んだり、逆に敢えて空けたり、KREVAさん流のラップは奥深くて…。
――綿引さんからみたKREVAさんとはどんな方?
神様ですね!初めてお会いしたときからそうなんですが、KREVAさんって多くのファンがいらっしゃいますが、現場のみんなもファンにしてしまうんです。KREVAさんは本当にスタッフさんを大事にされるしキャストも大事にされる。スポットが当たりづらい方達にどんどん自らスポットを当てにいかれる方なんです。心遣いが熱い、私たちのリーダーです。もしくは心のお医者さん。自然と心が元気になるし、自分でも開けたことのない引き出しを開けてくださったり。カリスマ的な存在です。
「最高はひとつじゃない2016 SAKURA」綿引さやか
――2度目の出演だからこそ、今回出演するにあたっての目標はありますか?
いかに「自由さ」を出せるかですね。一人一人の魅力を演出家さんも脚本も引き出して下さる作品なので、今回ラップがセリフと音楽の間のような存在であるように、演じる役であり、「綿引さやか」という人物である自分の間で、自由さと色を出せたらと思っています。以前はラップも、ヒップホップのダンスも初めてで、どう自分を作ったらいいか意識しすぎてしまっていたんですが「ありのままの綿引さやかでいい」ということをKREVAさんに教えて頂きました。体当たりで挑戦しても受け止めてくださる作品でありカンパニーなので、どんどんと試していきたいなと思います。
――次に、綿引さん自身について詳しくお伺いします。まずは、この道に入ったきっかけは?
中学1年生から高校2年生までミュージカル部に在籍していました。女子校だったので宝塚歌劇団のように女性が男役もやる逞しい部活でした。そこでミュージカルの魅力に惹き込まれ、この部活との出会いこそがミュージカルの道に進むきっかけを与えてくれました。
――進路を決めるタイミングが早いですね!何かそう思わせる出来事などあったんですか?
中学3年生の文化祭で「ライオンキング」を上演したんです。文化祭だと他校からの学生が来ることもあり、半年間本当に頑張って準備したにも関わらず、本番前楽屋入りしようとしたときに、ある男子高生が「『ライオンキング』とかマジウケるんだけどー!暇つぶしに観ていくか!」とまるでバカにしたような口調で笑いながら劇場に入っていく姿を目にして、すごく悔しかったんです。 それで「この人を絶対に感動させたい」っ て思ったんです。そして終演後、お客様のお見送りをしていたらその男子高生が泣いて出てきたんです。そのときにミュージカルが持つ力を目の当たりにし、なんとも言えないやりがいを感じました。今思えばあの男子高生に感謝ですね。
――今頃、客席のどこかにいるかもしれませんね(笑)ちなみに、観る作品で好きなのは?
「レ・ミゼラブル」「サウンド・オブ・ミュージック」「美女と野獣」「マイ・フェア・レディ」「メリー・ポピンズ」。ハッピーになれたり、力をもらえるミュージカルが大好きです。
――「レ・ミゼ」はアンサンブルの中からエポニーヌ役に大抜擢されたと聞いたんですが。
まさかそのような形で選んで頂けるとは思ってもいなかったので本当に夢のようでした。最初のキャスト発表の際、既にエポニーヌ役の方達三名は決まっていて、発表もされていました。
ずっとエポニーヌ役でオーディションを受けていたので、今回も落ちてしまったと落ち込んでいたのですが、稽古が始まって、ロンドンから演出家がいらっしゃった際、急きょ歌を聴いていただけることになって…。
――それで最終的に「エポニーヌをやってください」と言われたときは…
「えっ…」って。世界のすべてが一度止まりましたね。人って本当に驚くとああなるんだなって思いました。「さやかにエポニーヌ役をやってもらうことに決めました」とすごく簡単な英語で言ってくださったんですが、まったく言葉がアタマに入ってこなくて。4月から7月まではアンサンブルとして出演させて頂き、7月からエポニーヌとしてデビューさせて頂きました。アンサンブルとエポニーヌの両方を準備することになるとはいえ、まずはアンサンブルに集中して、デビューが近づいてくるとエポニーヌの稽古も始まりました。エポニーヌとしてデビューした後もアンサンブルとしても出演していたので、二役をやらせていただけるというとても贅沢な経験でした。
――ちなみにエポニーヌ以外の役には興味ありますか?
ずーっとやりたかったのはエポニーヌなので、今はエポニーヌに心が向いています。とはいえ、素敵な先輩方がファンテーヌを演じてらっしゃる姿を見ると、いつかファンテーヌ役をやってみたいな、と憧れます。
――綿引さんは海外で修行も積んできたそうですが、現地のミュージカルでお好きな作品はありますか?
NYにいるときにいちばん好きだったのが「メリー・ポピンズ」。音楽もさることながら、タップや、華やかなセット、空を飛ぶメリーポピンズ・・・落ち込んでいる時、悲しい時も、まさに夢の世界へ連れて行ってくれる作品でした。
――最近は、ミュージカル界の方々が舞台を飛び出してTVドラマやバラエティ番組などに出演することも増え、一般の方々にその存在が少しずつ知られてくるようになりましたね。
今年はミュージカルブームが起こるって言われていますし!まだまだ敷居は高いけど、デートや家族で、映画を見に行くような感覚でミュージカルをもっともっと気軽に観ていただきたいなって思います。
――そんな綿引さんはミュージカル以外にやりたいお仕事ってありますか?
映像やディズニー映画の吹き替えはいつか挑戦してみたいです。映像でいうとそれこそ「glee」みたいなミュージカルドラマがあったら出てみたいです。…贅沢な話ですが、歌が歌えてお芝居ができたら楽しいだろうなって。
「最高はひとつじゃない2016 SAKURA」綿引さやか
――今年は20代ラストイヤーですね。女子的には気になるところだと思いますがお気持ちはいかがですか?
そうですよね!20代が終わってしまうのはとても寂しいですが、30代で輝いてる女性が沢山いらっしゃるのですごく楽しみでなんです!!
こういう仕事をしているといろいろな役を演じますが、素敵なレディになっていきたいという気持ちと、子ども心や遊び心を忘れないでいたいという気持ちの両方がうまく融合してくると、20代から30代になっていくときに味が出てくるんじゃないかなって思います。「29歳って20代の大先輩で、そこを超すと30代の後輩になるから急に気持ちが楽になるよ!!」と30代の先輩方がよくおっしゃっていて。人間的にも若さや少女らしさみたいなところと、素敵な大人の女性がうまく混 じり合ってくると素敵だなと思います。
――…とはいえ、20代のうちにやっておきたいことはありますか?
あります!実は20代のうちに海外でオーディションを受けたいって想いがあったんです。20代の最後にやるのか、30代の最初にやるのかまだわからないですが。20代のうちはどんどん転ぶことを恐れずに様々なことに挑戦していきたいと思います。世界で活躍するには何が必要なのか、自分に足りない物は何か、それを知るために受けたいです。NYだと毎週木曜に「バックステージ」という新聞が出てるんですがそこにオーディション情報がたくさん載っているんです。次の挑戦に向けてどんどん情報収集しないと!
その新聞を見ながらオーディション会場の列に並んで…ね!
――まさに「SMASH」の世界ですね!
※「SMASH」とは、ミュージカルを作り上げていこうとする人々を生々しく描いた海外ドラマ。
詳しくはこちら⇒http://www.smash-tv.jp/
そうなんです!私、「SMASH」が大好きで!オーディションに行くときや本番前は必ず「Let Me Be Your Star」(「SMASH」挿入歌)を聴いてます。
――ミュージカルをやっている方に「SMASH」の話をすると、「観た!」「好きなんです!」とおっしゃる方が多いんですよね。
劇中劇「Bombshell」は、一度本当に上演されたじゃないですか!もっとロングランでやってもらいたかったです。ミュージカルをやっている人にとってあのドラマは本当に「ミュージカルあるある」なドラマなんです。「SMASH」と「glee」は本当にハマりますね。
――頼もしい夢や目標の話を伺ったところで…綿引さんは以前から「夢を叶えるノート」というものを書いていたそうですが、今も書いているんですか?
恥ずかしいんですが、今も書いています。でも不思議とここに書いたことは本当に叶うんです。期限は書かずに「○○をやることになりました!」って進行形もしくは完了形で叶えたい夢を書いておく んです。「ラジオのDJになりました」って6年前くらいに願いを込めて書いたのですが幸せなことに今その夢も叶って。書いてあることが実現したら、その下にどういう形で実現したかを書いて おくんです。そうすると、こういうご縁で、このタイミングで、こんな形で実現するとは思わなかったな…と振り返ることもできて「起こること皆よし!」って思うんです。
――そのノートにはまだいろいろ書いてありそうですね!
ありますよー!まだまだ叶ってないこといっぱいありますから!
――では最後に。今回の舞台のタイトルにちなんで、ご自身にとって「ひとつじゃない最高なこと」は何ですか?
「人」ですね。人って見えない可能性や魅力をだれもがたくさん秘めていると思うんです。今回の作品で言えば、自分が得意とするフィールドと違うことをあえてやろうとするから、新しい可能性に出会うことができて、魅力が増していく、人ってそういう力をたくさんもっていると思うんです。だから素敵で、もっと知りたくなるんです。
★音楽劇上演に向けてKREVAへインタビュー
★内博貴のラップは100点満点中3点!? KREVAの音楽劇「最高はひとつじゃない 2016 SAKURA」
撮影・文=こむらさき
KREVAの新しい音楽劇
「最高はひとつじゃない2016 SAKURA」
<東京公演>
■日程:2016年3月25日(金)~4月3日(日)
■会場:東京芸術劇場プレイハウス (834席×14ステージ)
<大阪公演>
■日程:2016年4月8日(金)~4月10日(日) (5回公演 予定)
■会場:森ノ宮ピロティホール
<共通>
■音楽監督:KREVA
■原案:町田誠也
■脚本:野村昌史、馬場巧
■演出:野村昌史、田村敦史、馬場巧
■出演:
KREVA、内博貴、増田有華、綿引さやか、
AKRO、ブラザートム、Mummy-D(ライムスター)、小西真奈美 ほか