Welcome! [Alexandros]LIVE 2016 ゲストと創り出した極上のパーティ
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[Alexandros] photo by AZUSA TAKADA
Welcome! [Alexandros]LIVE 2016 2016.3.10 STUDIO COAST
[Alexandros]の冠番組としてスペースシャワーTVで放送中の『ウェルアレ』こと『Welcome! [Alexandros]』。ゲストを招いたライヴ演奏で人気を博しているこの番組が、スタジオを飛び出してオーディエンスの目の前で行うライヴツアー『Welcome! [Alexandros]LIVE 2016』のファイナルが東京・新木場STUDIO COASTにて行われた。
3回目の開催となる今回、東名阪の3箇所をまわり、全公演がSOLD OUT。ライヴハウスとしては最大規模であるこの会場にも、大勢のファンが詰めかけてパンパンに膨れ上がり、開演前からもう臨戦態勢だ。場内には番組のセットと同じように吊り下げ型の照明が設置されており、開演を待つステージには番組のロゴが映し出された紗幕が貼られている。
カウントダウンのコールからSEの「Burger Queen」が流れ出すと紗幕が落とされ、明るく照らされたステージに現れた4人。待ちわびていたオーディエンスに「世界中のどこよりも騒ごうぜ!」と川上洋平(Vo/G)が一声かけて「Boo!」へ。いきなり揺れまくる場内を、そのまま真っ赤な照明と鳴り響くサイレンが導いたのは「Girl A」だ。スケール感のある美メロとダークな推進力とがカオティックに場内をかき混ぜ、ボルテージは一層上昇していく。ここのところ屋外のフェスや大会場でのライヴが多い彼らだが、そのシャープなサウンドがダイレクトに刺さるライヴハウスで聴けるというのも嬉しいポイントである。
[Alexandros] photo by AZUSA TAKADA
『ウェルアレ』といえば欠かすことのできないのがゲストアーティストの存在で、この日のゲストは3人。最初に登場したのはグッドモーニングアメリカの金廣慎吾(Vo/G)だ。「The Bartender And The Thief」の陽性なビートは観るものを躍らせ、続く「Kids」ではセンチメンタルなアルペジオとザクザクとしたカッティングが鮮やかなコントラストを描き出す中で、金廣が高速の歌メロをバッチリ歌い上げてみせた。MCではグッドモーニングアメリカと [Alexandros]は対バンをしたことがないという話になり、金廣の「誘ってもいいですか? うるさい、キャーキャー言う人がいるんですけど」という投げかけに、磯部寛之(B/Cho)が「ココ(ステージ下手)に立ってる人でしょ?」と返し、笑いを誘っていた。
グッドモーニングアメリカ・金廣慎吾 / [Alexandros] photo by Yukihide “JON...” Takimoto
andropの内澤崇仁(Vo/G)とはハーモニーで魅せる。アコースティックギターを奏でながら届けたのは、「Run Away」。川上と内澤は、フレーズによって上に行ったり下に行ったり、ふとした瞬間にどちらの声なのか錯覚するほど声の相性が良い。ここで内澤の弾いたギターのコードは原曲からアレンジされていたのだが、驚くほどハマっていた。こういった発見もコラボならではだ。「Shout」は2人だけで椅子に腰掛けてのセッション。柔らかな音の合間に2人のつながり、関係性まで見えてくるような空間が広がっていった。
androp・内澤崇仁 / [Alexandros]・川上洋平 photo by Yukihide “JON...” Takimoto
そして3組目のゲスト、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎(Vo/G)とのコラボレーションでは大きな発見が。「Discommunication」を披露したのだが、この楽曲が[Alexandros]のサウンドと高い親和性を見せた。[Alexandros]の音楽性はUKロックからの色濃い影響やラテンのはねたリズムが印象的なだけにこの相性の良さと、そのキレキレの音、そしてパフォーマンスは誇張なしに鳥肌もの。菅原も「For Freedom」のブレイクで一旦演奏をストップさせてから「いけるか!?」と荒々しく挑戦的にアジテートしたりと、そのステージ巧者ぶりを見せつけてくれた。
これらのコラボレーションは、観る者だけでなく、ステージ上の面々にとっても特別なひととき。川上は「(ゲストと)一緒にバンドやってるような感じ」と、磯部は「仲間意識が強くなる。好きになっちゃいましたね(笑)」「久しぶりにテンパるっていう気分を味わった」と語り、まるで楽器を始めたばかりの少年たちが、軽音部の部室で色々な楽曲をコピーして遊んでいるかのような、そんな瑞々しい瞬間を楽しんでいることが手に取るようにわかる。もちろん観ているこちらも彼らのそんな表情に触れられるのだから楽しくないはずがない。このあたりも『ウェルアレ』が愛されている由縁なのだろう。
9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎/ [Alexandros] photo by AZUSA TAKADA
ここで『ウェルアレ』の主役である[Alexandros]のステージに話を戻す。この日は新旧バリエーション豊かなセットリストで、しかも意外な曲が意外なタイミングで飛び出すことも多々あった。前半から中盤にかけては「ワタリドリ」や「Starrrrrrr」といったキラーチューンを惜しみなく次々と投下。「任せたぜ、新木場!」と委ねる川上に対し、オーディエンスも全力で飛び跳ね、手をかざし、ともに歌う。磯部や白井眞輝(G)もステージの最前ギリギリまで出て演奏して喝采を浴び、独特に配置されたドラムセットから多彩なリズムとフィルを放ち続ける庄村聡泰(Dr)は、まるでEDMのアーティストが要塞のようなセットの上で大観衆を踊らせるかのように、強烈な肉体性で迫る。
反響するクリアなギターサウンドが浮遊感を生み、後半のダイナミックな展開もたまらないレアな楽曲「Waterdrop」から、リフトやクラウドサーフが続発した「city」に繋ぎ、待ってましたの「Kick&Spin」で最高潮に、という流れも特筆すべきで、フライングVで歪んだリフをぶっ放す白井、演奏しながら「来い、来い」とばかりに客席へ手招きする磯部、逆光のシルエット状態でクルリとスティックを回す庄村、ラストに「愛してるぜ、新木場!」と決めてみせた川上。もう“最高”以外の言葉が見つからない。
[Alexandros]・庄村聡泰 photo by AZUSA TAKADA
ライヴ後半に盛り込まれた、客席から楽器のできる人をステージに上げてセッションをする、という試みでは、なんとボーカル以外の全パートをファンとチェンジしてしまうという大胆な展開に。急遽演奏することになった5人のファンに会場は大きな声援と拍手を送り、彼らは見事「ワタリドリ」を1コーラスやり遂げてみせた。その後、[Alexandros]のメンバーに楽器を手渡しに来たローディがゲストの3人だったことも含め、これまたウェルアレならではだ。
そこから「東京では初披露の曲、やります」とドラマ主題歌としても話題の「I want u to love me」を投下したり、新曲「NEW WALL」をアンコールで演奏したりと、彼らは今後に向けての楽しみが膨らむような演出も忘れない。ラストの「Adventure」でゲストたちも再登場して、会場全体で大シンガロングする壮観な光景の中、終始熱狂に包まれながらもどこかあたたかなステージは幕を下ろした。
4月20日にはニューシングルが発売となり、6月には大阪城ホールにて『Premium V.I.P. Party』の開催も控えている[Alexandros]。楽しみは尽きないどころか、増していく一方である。
この日のライブの模様は3月から4月にかけてレギュラー番組「Welcome![Alexandros]」番組内にて最速オンエアされるほか、4月29日(金)23:00より特別番組「Welcome! [Alexandros] LIVE 2016 SPECIAL」でも放送されるのでお見逃しなく。
レポート・文=風間大洋
Welcome! [Alexandros] photo by Yukihide “JON...” Takimoto