敷居は低く、奥行きは深く。B-DASH新作ツアーの東京編をレポート

レポート
音楽
2016.3.24
B-DASH

B-DASH

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B-DASH TOUR 2016 –EXPLOSION-
2016.3.12 下北沢SHELTER

寒の戻りで真冬の様相の下北沢に冷房が施されている場所があったとしたら、この日のシェルター、ここぐらいだったんじゃないだろうか。B-DASHのリリースツアーかつ、場所はシェルターと聞いた時、正直ビビった。あのキャパに生え抜きのファン……フェスで遠巻きに楽しむのとはちょっとワケが違うぞ、と。しかし、90分26曲を駆け抜けた、その後に残ったのはシンプルに「楽しい」という感情だったのだから、ライヴって体験しないと分からない。

今回のライヴは、2月にリリースしたばかりのニューアルバム『EXPLOSION』に伴うツアー。GONGON(Vo、Gt)のブログでは、隔日ペースで曲解説が行われており、パッと聴きB-DASH節全開なこのアルバムで起こっているさりげない変化や、そのさりげなさの着地のさせ方について、けっこう雄弁なGONGONがいるのだが、その辺りのファンとのコミュニケーションはさすが15年選手。D.I.Yが血肉化してるというか、大げさにコンセプトを語るようなインタビューじゃないところが粋にさえ感じる。こっちからアクセスすればいくらでもバンドのナマの声を拾える、そこにベテランだけどフットワーク最高なメロコア・スピリッツを見たりもするのだ。

GONGON

GONGON

準備運動も万端なフロアの歓待を受けて登場したメンバーは、冒頭からニューアルバム同様「GIVE UP」からスタート。“ネバギバネバギバ”のシンガロング、いきなりステージに突っ込んだダイバーがGONGONのマイクスタンドを倒すハプニングすら、若干の苦笑いだけで演奏を進めていくタフさ。「どうも~。元気なのはいいけど、女の子もいるから気をつけてね」と、手練の噺家のような口調で話すGONGONが生み出す安心感たるや。随所に新曲を交えながら、「KIDS」「ハーコー」といった鉄板ナンバーも惜しげなく投下していく。ザクザク刻まれるパワーコード、レスポールの分厚い鳴り。それを下支えしながらメロディアスな部分も聴かせるTANAMANのベース、速い8ビートや2ビート主体ながら、ガッチリ土台を安定させるARASEのドラム。B-DASHのトライアングルはまったくもって無駄がない。

TANAMAN

TANAMAN

『EXPLOSION』にはダイエット関連の歌詞が多いのだが、ハードロック・テイストすらある「ALMA」のヘヴィさと、歌詞の<おにぎりダイエット>的な具体的かつサウンドとの乖離が痛快すぎる。続く“かっとばせ竹下!”の掛け声こそ「野球」だが、他は意味不明……。“めちゃくちゃ語”で音そのものを楽しんでほしいというB-DASHイズムは、実際ライヴでその絶妙なおかしみを体験しないと、本当のところの面白さは半分も体感できないだろう。それをダイバーが交錯する空間で改めて認識した。

中盤にはGONGONが「みんな今日ここでB-DASHがライヴすることを発見して、チケットをどうにか手に入れて、どうにかここにたどり着いてきてくれてありがとう!」と、グッとくる感謝の意を述べる。彼らの音楽同様、シンプルだけど深い。さらに沸くフロアに向かって、「でも次やる曲、ラブソングなんだけど。ちょっとスローな。みんな気に入ってるのか……」と言い終わる前に、「GONGON! それ俺、好きな曲!!」と客席からリアクションがあり、「良かった~、やっと安心して眠れるわ」と、彼らのレパートリーには珍しいミディアムスローかつ7thコードも入った、ちょっとオシャレで切ない「SNOW LOVE」をプレイ。一転、怒涛の2ビートに突入する「ホホイ」や、シンガロングがマックスに達する「情熱たましい」まで、4~5曲のブロックを立て続けに3本走ったところで、GONGONの実弟でバンドのアートワークやモロモロを手掛ける“ゴールデンメンバー”SOTAが登場。ステージ上に360°ムービーカメラを設置。「盛り上がってるとこ撮りたいけど、カメラは倒さないで!」と訴え、フロアも協力的に盛り上がる。

ARASE

ARASE

「じゃ、いきます、「やまびこ」!」と威勢良く言い放ったところ、「あ、1ブロック間違えたわ」と、すぐ仕切りなおして新曲「GET POW」へ。ヘヴィなAメロとメロディックなサビの落差がユニーク。そのままラウド/ミクスチャーなノリの「WATER POW」ではSOTAが短くラップする場面も。素なギターサウンドの「平和島」では、モッシュじゃなくて誰からともなく肩を組んでの大合唱。曲ごとのお楽しみはもちろんあるのだが、もし初見でも楽しむ気さえあれば入っていけるカジュアルさがフロアにもある。文字通り理屈抜き。メッセージじゃなく、曲が自然に身体を動かしてくれる良さがB-DASHのライヴには確実にある。ひたすら演奏し、煽りもせず、ただライヴ序盤より痩せてきたんじゃないか?と錯覚するような熱演を見せるGONGON(さんを付けたくなるのだが……)を見ていると、逆にすごく稀有な人に見えてくる。そんなステージ上とタフなフロアが、決まったルールなしでも暴れられる空間を作っているのはまちがいない。

B-DASH

B-DASH

終盤には、女子もガンガンにダイブしたキラーチューン「やまびこ」や、ギターもベースもサタニックな“ワルい”音で攻める「COUNTRY」などを連発、ラストはフロアが主役!とばかりに沸きかえる「Race Problem」で、本編23曲を1時間強で走り切った。

体力を使い果たした感のあるフロアは、それでもまだまだ足りないとばかりに“最初から”コールを上げる。再登場したGONGONは「B-DASH、決まったアンコールなかったから、今ちょっと嬉しかったわ」と感謝を述べつつ、投げ込んだTシャツが全部Sサイズだという、軽い自虐なのかファンに対しても「着れないだろう」という意味なのか……そんなところまで絶妙に笑わせてくれた。最初からは無理だけど、最初からやる気持ちで、とミュージックビデオではすさまじい数のTシャツに着替えて歌詞を表現した(ディレクションは加藤マニ)「BEAT BACK」がソリッドに刻み込まれ、間奏では負けじと誰もが垂直ジャンプを決める。ドラスティックな変化はなくても、やはり新作を作るたびに研ぎ澄まされていく彼らの曲、そしてアレンジはライヴでも実感することができた。数えると26曲目、この日のラストは再び鉄板の「ちょ」。シェルターの隅々まで笑顔で溢れかえったことは言うまでもない。

撮影=西槇太一 レポート・文=石角友香

B-DASH

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リリース情報
NEW ALBUM『EXPLOSION』

2016年2月17日発売
¥2,407(本体)+税
 
■収録曲
1.GIVE UP
2.GET POW
3.FRESH BORN
4.COUNTRY
5.3-MEN
6.FLAME
7.SNOW LOVE
8.ALMA
9.DREAM
10.BEAT BACK
11.WALK
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