土着的でリズミカルなオリジナルの振付を用いた圧倒的な群舞が特徴 注目のカンパニー・Baobabへインタビュー

2016.3.14
インタビュー
舞台

Baobab『DANCE×Scrum!!!』

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コンテンポラリーダンスの若手注目カンパニーBaobab。3/19(土)〜21(月・祝)に、あうるすぽっとでディレクション企画『DANCE×Scrum!!!』を開催する。ディレクターを務める、Baobab主宰の北尾亘さんにインタビューを行った。

――Baobabさん結成までの経緯を教えてください。

僕が幼少期から子役をやっていて色々な舞台出演させていただいていて、バレエやジャズダンス、ストリートダンスなど様々なダンスに触れる機会がありました。そして、桜美林大学在学中に、コンテンポラリーダンスと出会いました。木佐貫邦子氏や近藤良平氏の作品に出演し、その自由な作風に魅力を感じて創作活動を始めたのがグループ結成の前身ですね。卒業後、2010年の京都国際舞台芸術祭(KYOTO EXPERIMENT)の若手セレクション部門に選んでいただき、外部で初めて作品を発表する場をいただきました。それを機にまずは一人の状態でカンパニー化し、徐々にメンバーを増やしていき現在は5名のメンバーが所属しています。さらに、最近では過去の出演者や関わってくれた方などを「Baobabファミリー」と呼んで、多くの仲間とともに活動しています。

実は、公式には2009年結成と言っているんですが、大学在学時からBaobabの名前を使っていたこともあり、スタートの決定的なタイミングがとても有耶無耶なんです・・・。初めの頃はなめられたくなくて(笑)、焦って結成時期を早めに表記しようと思ったんですが、本当は旗揚げは2010年なんです・・。でも今になってみると「まだ若手」って呼ばれたい思いもあったりして、1年でも遅くしとけばよかったと思ったりもします(笑)。

 

―Baobabさんの作品の特徴や雰囲気、作風を教えてください。

とにかく踊ります!!(笑)僕が飽きっぽい性格なので、次から次へと新しいことをやりたがるので作品中の振付や構成など、情報量は基本的にいつも多目ですね。でもそれは同時に身体・集団のエネルギーとなっていることは確かです。そういったエネルギッシュな大人数での迫力ある群舞が最大の特徴です。

また、作品中で使用する楽曲に関して定評があり、音楽とダンスの相互作用を狙って、現代の感覚を大事に選曲しています。また、これは結成当初からの他のダンスカンパニーとの違いなのですが、演劇的要素を取り入れたり、俳優を起用することもあります。そういった個性あふれるキャスティングをすることで、集団性を描きながらそれぞれの出演者の人間味そのものをあぶり出すことも特徴の一つです。

最近はストリートダンスの発展に注目し、Baobab的解釈の元に、新たな身体性を生み出そうと試みています。これは団体の特性である“土着的身体”の新たな到達点になると考えています。

 

―『DANCE×Scrum!!!』について教えてください。

今回は単独公演ではなく、若手のコンテンポラリーダンスクリエイター、カンパニーを集めたフェスティバルです。公募で選ばれた団体を含め全12団体が集結し、ラグビーのスクラムを組むごとく共に肩を組み合いダンス界を盛り上げようという企画です。

昨年秋に35歳以下のクリエイターの公募をしました。26組の方々からご応募をいただき、同じ若手で恐縮ながらBaobabでセレクトをさせていただきました。どの方も作品性や身体に対する考え方、そしてダンスの現状を打破したいというような想いがひしひしと伝わってきて、私たちも気持ちが引き締まりました。

 

―『DANCE×Scrum!!!』の見どころを教えてください。

上演は劇場の中だけではなく、あうるすぽっとのホワイエ(ロビー)空間でも行います。作品上演は、舞台の<ステージプログラム>と、ホワイエの<フリープログラム>で成り立ちます。劇場から溢れ出したダンスと共に、お客様にはより間近でパフォーマンスを体感していただきたいです。上演後は、DJを招きアフターパーティーを開催します。今まさに間近で味わったダンスの興奮をそのままに、お客様自身も踊っていただいたり、ドリンク片手にアーティストと交流を持つことができる場にしたいと思っています。 Baobabの作品を見たお客様がよく「自分も踊りたくなった!」と言ってくださることもあって、沢山の方が体を揺らして下さると期待しています!

あ、あとタイトルに関して思いっきり流行に乗ってるような感じですが違うんです!これは、ラグビーブームの直前にタイトルを決めてまして、先見の明があったんですよ。普段はそういうひらめきは北尾から出ることが多いんですが、今回はプロデューサーの目澤がピーンときたんです!その後あれよあれよとラグビーが盛り上がって・・・そんなわけで、五郎丸旋風にあやかります。

 

―Baobabも作品を上演されるんですよね?

はい、今回はステージプログラムで短編新作を上演します。今作でのテーマは「熱狂」。集団と個人の関係を様々な形で見つめながら沸々と増していく熱量をそのままに、ステージから溢れんばかりのダンサーが躍動します。ストリートダンスに独自の解釈を織り交ぜたBaobab的身体の進化系をご覧いただけると思います。2016年一発目の作品ですので、ぜひご期待ください!

今回、Baobab初出演の方もいて、新鮮な気持ちで稽古をしています。様々なワークを行うのですが、その中で新しいスポーツを生み出しました(笑)。残念ながら作品には出てこないんですけど・・。

 

―どんなスポーツか気になりますか?

説明すると長いんですけど・・。フルーツバスケットを身体版に置き換えています。それぞれが3つ程度のパーツに分かれて、鬼はフルーツの使命の代わりにそのパーツを動かします。椅子は使用せず、指名されていない人は大きなアクションで至る所にスタンプを打ちます。指名されたパーツの人はそのスタンプを追いかけます。いつどこに押されるかわからないので、それを求めて稽古場中を走り回っています。「フルーツバスケット!」の代わりは、全員がパンケーキのように重なります。もちろんビリになったら負けなので、みんな必死に重なります。その光景たるや、まさにぶつかり合いのラグビーのようです(笑)。

 

―Baobabさんの今後の展望・野望があれば教えてください。

一つの目標であった中規模劇場での公演を、この『DANCE×Scrum!!!』で実現することができました。そして、今年の9月には吉祥寺シアターでの単独公演が決定しています。たった5年でここまで来れると思っていなかったので自分たちが一番驚いていますが、本当に嬉しいことです。それと同時に、この先もこういった劇場での継続的な作品上演をしていかなくてはいけないなという新たな使命感を持っています。

『DANCE×Scrum!!!』を通して、より多くの方にコンテンポラリーダンスの魅力に触れていただきたいと思っています。そして、興味を持ってくださった方に、更にまた新たなダンス表現に出会っていただけることが、コンテンポラリーダンスの最大の魅力です。このシーンの発展において、Baobabが担う部分が少しでも増えると嬉しいですし、それを願って活動したいと思っております。『DANCE×Scrum!!!』も今回だけで終わらずに継続を目指しています。規模や形は無限にあると思いますので、シーンを見つめながら影響力のあるフェスティバルとして公演を続けていきたいと思っています。

あ、そうそう!Baobabはメンバーがほぼ同年代なのですが、結成10周年を迎える頃には、メンバーやファミリーとともに本物のバオバブの木を見に行こうと約束しています。ついでにアフリカ野外公演なんてできたらいいですね〜!バオバブの木の幹の中がバーになっているところがあるらしくて、打ち上げは絶対そこですね。(笑)

 

―Baobabさんに関心を持たれた方に、メッセージをお願いいたします!  

Baobabの周りには、ダンスに向けたエネルギーを持った人がたくさん集まっています。まだ見たことのない身体表現、そしてエンターテメントの世界にぜひ触れてください!Baobabの木の下で、ぜひ皆様一緒に楽しみましょう!



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公演情報
Baobab『DANCE×Scrum!!!

 日時:2016年3月19日(土)~3月21日(月・祝)

 会場:あうるすぽっと

 特設サイト:http://baobabk08.wix.com/baobab-dance-scrum