中村祥子らが芸術選奨文部科学大臣賞を受賞
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平成27年度(第66回)芸術選奨の贈呈式が3月15日東京都内で行われた。舞踊部門ではKバレエ カンパニー ゲストプリンシパルの中村祥子、日本舞踊家の藤間蘭黄、音楽部門では大阪交響楽団の音楽監督・首席指揮者の児玉宏、評論等部門では東京大学教授・音楽評論家の長木誠司が、それぞれ文部科学大臣賞を、文部科学大臣新人賞はソプラノの中村恵理が受賞した。
(Photo:J.Otsuka & H.Yamada/TokyoMDE)
中村祥子は、海外のバレエ団で長くプリンシパル・ダンサーを務め、一際優れた実力を持つバレリーナとしてヨーロッパで高く評価されてきたこと、2015年に拠点を日本に移した後もKバレエ カンパニーの公演で主演、なかでも昨秋に上演された『白鳥の湖』では卓越した技術に加え、繊細で可憐な叙情性を存分に発揮し、まれに見る完成度の「オデット/オディール」は特筆すべきと、高く評価された。
受賞について中村は、「ご褒美をいただけたと思いました。19年間海外にいて経験を積んできたことをいづれは日本でお客様に伝えたいと思っていました。日本に戻った後にKバレエ カンパニーで様々な役を踊り、多くの方に観ていただけた後の賞なので、いままで頑張ってきてよかったと感じています。諦めず続けてきたことがいろんな形で繋がっていく、今後ももっと頑張りたい」と喜びを語った。
右:中村祥子 左:堂故 茂・文部科学大臣政務官
藤間蘭黄は、ファルフ・ルジマトフと岩田守弘と共演し、作・演出・振付(岩田と共作)を手がけた『バレエ・日本舞踊 夢の饗宴「出会いー信長 NOBUNAGAー」』等の成果に対して評価された。
児玉宏は、大阪交響楽団の音楽監督、首席指揮者として、ユニークかつ一本筋の通ったプログラミングと演奏内容で、日本のオーケストラ界に問題提起を続けてきた。このコンビが続けてきたブルックナー・シリーズの最終回として行われた同団第196回定期演奏会などでブルックナーの交響曲第9番を取り上げ、際立って充実した解釈を展開し、圧倒的な成果を上げたことが評価された。
長木誠司は、19世紀に頂点を築いたオペラ芸術が20世紀においてどれほど多様な変貌を遂げたかを、作曲家と作品の紹介にとどまらず、支えとなる社会機構や世界思潮との関係、運営と上演の実際にまで踏み込んで、幅広く詳細に論じた『オペラの20世紀 夢のまた夢へ』が世界的にも前例のない大著と評価された。
このほか、中村恵理は東京・兵庫で行われた「中村恵理 ソプラノ・リサイタル」の成果が評価された。
右:児玉 宏 左:堂故 茂・文部科学大臣政務官