(ネタバレ有)反逆者役・大島崚インタビュー! 舞台『CLOCK ZERO 〜終焉の一秒〜 WatchOver』レポート
-
ポスト -
シェア - 送る
舞台「CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ WatchOver」
「壊れた世界」で、少女は大人に変わり、運命の恋をする——。人気乙女ゲームを原作に、2013年より3作のシリーズを重ねてきた舞台版『CLOCK ZERO 〜終焉の一秒〜』。その最新作『WatchOver』が、3月22日まで、星陵会館ホールにて上演中だ。
「政府ルートor有心会ルート」「未来ENDor現代END」など、毎回異なるエンディングを用意し、ファンを喜ばせている本作。今回は、人気キャラである「反逆者END」「ビショップEND」の2パターンが楽しめる。今回取材したのは、反逆者END。「秋霖学園」で「特別授業」を受ける小学6年生の九楼撫子(井越有彩)。彼女は不思議な夢に悩まされていた。現実とはまるで違う、荒廃しきった夢の世界。撫子はある策略によって、「CLOCK ZERO」——時を止められ、その世界へと連れ去られてしまう。目覚めた彼女は、現実世界で知る友人たちと、10年後の大人の姿で再会することに。そのなかで出会ったのが、「反逆者」と呼ばれる青年(大島崚)。現実世界では、「トラ」と呼んでいた少年だった。反逆者は、反政府組織「有心会」の一員で、リーダーの長(黒藤結軌)の息子。政府との貴重な交渉材料である撫子に対し、なぜか荒々しい言動をとる。一方で、撫子に強く惹かれていき……?
見どころは、反逆者の強引さ。当初は何かと主人公を挑発し、階段に押し倒したかと思えば(床ドンならぬ階段ドン?)、主人公を守ってケガを負う。そして、「ここにいろよ」と胸に引き寄せたり、肩を抱いたり、頭をポンポンしたり、さらりと甘いしぐさ! 好き嫌いをこえ、激しく求め合うふたりに、「こんな恋がしてみたい」と思わずにはいられない……。
舞台「CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ WatchOver」
長の息子として複雑な生い立ちを抱え、自らの凶暴さに葛藤しつつも主人公に惹かれる難役を、大島崚が熱演。「Watch Over(見守る)」というタイトルに込められたとおり、瞳が重要な意味を持つ作品において、大島の凛とした目力に圧倒される。引き締まった身体から繰り出す俊敏なアクション、力強い歌声など、今後の活躍も注目したい俳優だ。反逆者が、撫子をどれだけ熱く見つめ、そしてどうあたたかく“見守る”のか、最後までそのまなざしが見逃せない。反逆者ENDでは、主人公が元の現実世界に帰るのか帰らないのか、究極の選択を突きつけられることに。そのもう一方のENDは、政府側のビショップ(北村健人)をメインにしたストーリー。昨夏上演の『リバースマインド』とは“逆バージョン”のENDで、観る側が恥ずかしくなるほどの幸せっぷりを見せつけてくれる。
他にも、新曲(ビショップEND)、新キャストなど、見どころは多数。神賀旭(石賀和輝)、放浪者(葵洋輔)、哲学者(悠斗)などメインキャラの見せ場もしっかり用意されている。その作品の魅力を、反逆者役大島崚に語ってもらった。
舞台「CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ WatchOver」
——やはりなんといっても、撫子との切ない恋愛が見どころですが。
もう一つのビショップENDは、幸せなENDですよね。前作が切ない終わり方だったので、今回ビショップが幸せになれて、よかったなと。僕も、次回こそ反逆者を幸せにしてあげたいです!
——どんなところにこだわって、反逆者を演じたのでしょうか?
反逆者は、心情の起伏がものすごく激しいんです。普段は冷徹な男の子なんだけど、感情がかき乱されると、突然ナイフを突きつけたりする。沸点が高まるとキレるけれど、理性も兼ね備えていて、自分を客観視して落ち着かなくてはいけないとも思っている。本当は、キレる自分自身が嫌でたまらない。父親から虐待を受けていた過去があり、父親と同じになることを嫌いながら、でもキレてしまう……。そのメリハリをどうつけるかが、最初はとても難しかったです。
——難しい役どころを、自分のなかでどう消化していったんでしょうか?
スタッフさんと密に相談しました。でも正直、ゲネプロまで、感情がつながらないところがあったんですよ。でもゲネプロでようやく「つながった!」と手ごたえを感じました。反逆者が撫子のどこを好きになったのか、観て感じてもらえたらうれしいですね。
——好きであればあるほど、ラストが切ないですが……。
そうなんですよ。あんなに好きなのに、と……。好きな感情を表せば表すほど重くのしかかってくるものがあります。私大島個人としては、撫子の選択は納得がいかない!(笑) でも、あれもひとつの幸せのカタチなんだろうととらえています。
舞台「CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ WatchOver」
——また、ブログなどを拝見していると、ビショップ役の北村健人さんとは、とても仲がよさそうですね。
共演ももう4回目です。これは本当にたまたまなんですけど、引っ越し先が、健人の家と徒歩5分だったんですよ。稽古の行き帰りも一緒だし、お互いの家にも行くし、なんでも話せる仲ですね。
——北村さんは、大島さんから見て、どんな方ですか?
芝居に対して、本当に熱い男。思ったことをはっきり言ってくれるので、年齢関係なく本音をぶつけ合える相手ですね。近くの銭湯にもよく一緒に行くんですけど、この間は集中稽古が21時に終わり、23時から夜中の2時半まで銭湯に(笑)。裸の付き合いというか解放感で、さらになんでも話しました!
——本当に仲良しなんですね。大島さんご自身についても伺いたいのですが、大島さんの性格は、これまで演じたキャラでいえば、誰に近いですか?
『ハマトラ』(ハマトラ THE STAGE -CROSSING TIME-)のバースデイは、「あれは素だよね」って言われます。ワイワイやるのが好きなタイプで、反逆者とは全然違う。バースデイみたいな役のほうが、たとえセリフをミスってもアドリブに持っていける。反逆者みたいな役は、スベったときがこわいです(笑)。
舞台「CLOCK ZERO ~終焉の一秒~ WatchOver」
——なるほど。では、役者としてのこだわりは?
“嘘をつきたくない”ですね。芝居って、言ってしまえば嘘じゃないですか。だからこそ、舞台でちゃんと生きること。そのためには、稽古で本音で相談するのが大切なんです。“気持ち悪さ”を残して舞台にあがったら、ダメだと思ってます。
——芝居に対する違和感を、稽古場で解消しておく、ということですね。
はい。役者って、向上心が前提で、負けず嫌いが多いんですよ。でも芝居は一人じゃできない。連携プレーなんです。だから、「このシーンはどこを見せたい?」とか、きちんと意見をすり合わせる。セッションして、関係性を作っておく。その仲のよさが、舞台にも表れると思っています。
——今後、どんな役に挑戦したいですか?
正統派の役どころが多くて、悪役をやったことがないんです。中二病みたいな発言ですけど、悪役をやってみたい!(笑) アメちゃんを舐め舐め、ヘラヘラ笑いながら事件を起こして楽しむようなヒールを演じてみたいです。
★舞台『CLOCK ZERO』初日フォトが到着 衝撃のエンディングに会場が騒然(写真多数)
文=荒川陽子