シンリズム “天才高校生”が高校生活最後のライヴで見せた“音楽が好き”という気持ち
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シンリズム
シンリズム ONE-MAN LIVE「春の虹」
2016.3.20(Sun)梅田Shangri-La
3月20日、大阪・シャングリラにてシンリズムのワンマンライヴが開催された。神戸在住・現役高校生シンガーソングライターとして活動する彼は、作詞・作曲・編曲を自ら担当。さらにギター、ベース、ドラムやシンセ、はてはプログラミングなど楽器演奏まで1人でこなすマルチプレーヤーとしても注目を集めている。今回のライヴは高校生活最後、そして上京前夜(春からは東京の大学に進学予定)という、門出とも言える記念すべきワンマンライヴということもあり、会場には多くのオーディエンスが集まっていた。
「手のなる方へ」で始まったステージ、まだ1曲目が始まったばかりだというのに早々に彼の持つ感性の高さに驚かされた。耳触りの優しい歌声、緻密に作られた音が心地よく身体を揺らしていく。この日のステージはバンド編成で、メンバーには高野勲(Key)、小松シゲル(Dr.NONA REEVES)、藤井謙二(G)、酒井由里絵(B)、西岡ヒデロー(Per/Tp/Conguero Tres Hoofers)という、なんとも贅沢な面々が集まった。18歳の若手アーティストを支えるべく全力でプレイするベテラン勢の音は言うまでもなく極上で、シンリズムが描いた音の世界観をしっかりと輪郭を持った音で表現していく。
シンリズム
「最後まで楽しんでください」、あどけなさの残る挨拶のあとに披露されたのは「話をしよう」。一音一音の主張は大きいが、曲のフィット感が心地よい塩梅でまとまり、すっと体に馴染んでいくように聴き入ることができる。続く「放人主義」、ゆらりと平熱を保ったまま続いていくかと思いきや、渋みのあるギターの音がジワジワと心拍数を上げていき、会場の熱気がぐっと上がっていることに気づかされる。MCでは、先日高校を卒業し、校則がなくなったことから小学生ぶりにパーマをかけ、スタイルチェンジをしたと告白。まだまだステージトークに慣れないのか、ふとした表情に18歳らしい無邪気さを感じてしまう。
和やかなMCから一転、ステージ中盤からは瑞々しいメロディを持つ楽曲群が続き、会場が一気に華やいでいく。4曲目「夢見るふたり」では多彩な音で楽曲を色鮮やかに魅せると、続く「Beautiful Sunday Morning」では音が芽吹くように弾むポップなメロでオーディエンスを楽しませる。その後も「superfine」「きっとなるだろう」とソフトなボーカル、甘口ながらも爽やかさを感じるポップなメロディで楽しませてくれる。
シンリズムのアレンジセンスをより確実に、より高感度な音に仕上げるバンドの音もたまらなく気持ちがいい。ジャジーなインストナンバー「喫茶aori」では、クオリティ高く作られた渋みのある楽曲、卓越したギタープレイに、ふとこれが18歳の奏でる音かと驚かされてしまう。すでにたくさんのメディアで書かれている“類稀なる才能”“天才高校生”なんて言葉はもう十分に体感しているが、それ以上に、彼自身から満ち溢れている“音楽が好き”という気持ちがどの楽曲からも感じ取れる。その気持ちはバンドメンバーも同じだろう。ステージで互いに笑顔を見せあい、その瞬間瞬間に奏でるシンリズムの音をバンドメンバー全員が一番楽しんでいるように感じ取ることができる。
シンリズム
ライヴ後半には大幅なパートチェンジが行なわれ、またもシンリズムの多彩な才能っぷりを感じさせられる楽曲が続く。シンリズムはベース、高野勲がギター、酒井由里絵がボーカル&キーボードに変更し、「カクテルの歌」を披露。グルーヴィーなリズムに女性ボーカルならではの華やかさ、柔らかさを合わせ、楽曲の持つ世界観をぐっと広げていく。「処方箋」ではねっとりとした大人の色香漂うシティポップの音世界を作りだし、どこまでも広がる表現力にただただ圧倒されてしまう。
SHISHAMO・宮崎朝子×シンリズム
11曲目「Music Life」では飛び入りゲストでSHISHAMO・宮崎朝子がコーラスで参加。清涼感、多幸感溢れるポップスで魅せると、ラスト「心理の森」まで自身の世界観へとオーディエンスをしっかりと引き込み本編が終了。
アンコールではシンリズム1人によるアコースティックスタイルで、原田真二「てぃーんずぶるーす」のカバーを披露。原曲の持つ少年性、なんとも言えぬ青臭さが彼の音にぴったりとハマる。最後に披露されたのは「春の虹」、シティポップの旨味をぎゅっと閉じ込めた楽曲はいつまでも聴いていたくなるような中毒性すら持ち合わせているようだ。アンコールを含む全14曲はあっという間に終了、満面の笑みを見せる彼の表情からこの日のライヴの充実ぶりを感じ取ることができた。
アンコール最後に披露された「春の虹」は4月16日、レコードショップの祭典『RECORD STORE DAY』に合わせ、7inchアナログEPとしてリリースが決定。さらに、4月16・17日に開催される『復活! 春の音泉祭』をはじめ、4月29・30日に開催される『ARABAKI ROCK FEST.16』にも出演するなど、フェスやイベント出演も続々と決定している。春からは上京し、大学生になるシンリズム。もちろんアーティスト活動も続いていくが、その天才的才能が今後どう伸びていくのか、これからの活動に期待したい。
文=黒田 奈保子
SHISHAMO・宮崎朝子×シンリズム
FMER-1552 ¥1,296-(税込)
SIDE A. 春の虹
SIDE B. 通学電車
FMER-1551 ¥1,296-(税込)
SIDE A. Music Life
SIDE B. 話をしよう
Tunes:https://itunes.apple.com/jp/album/music-life-single/id1050061763
レコチョク:http://recochoku.jp/album/A1002982223/
4/16(sat)服部緑地野外音楽堂
4/17(sun)服部緑地野外音楽堂
オフィシャルサイト http://www.shimizuonsen.com/event/spom16/
宮城 エコキャンプみちのく
【バンドメンバー】
Key:高野勲 / Dr:小松シゲル (NONA REEVES) / Gt:藤井謙二 /Ba:酒井由里絵 / Per,Tp:西岡ヒデロー (Conguero Tres Hoofers)
お問い合わせ:
OPEN / START / END:8:30 / 10:00 / 21:00 (予定)
お問い合わせ:ディスクガレージ 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)
OPEN / START:6/4(土) 13:00 / 15:00
END:6/5(土) 14:00 (予定) ※オールナイト公演
長野 こだまの森(長野県木曽郡木祖村)