THE ORAL CIGARETTES × THE BAWDIES 躍進を続ける急先鋒と貫禄のお祭りR&Rが大激突!

2016.3.23
レポート
音楽

THE ORAL CIGARETTES  Photo by 鈴木公平

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THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマンTOUR 2016
~復活・激突・BKW!!の巻~ 2016.3.20 新木場STUDIO COAST

定刻ジャスト。SEにのって超満員の場内が一斉にクラップを始める。『THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマンTOUR 2016 ~復活・激突・BKW!!の巻~』のファイナル公演の火蓋を切ったのは、THE BAWDIESだ。

ROY(Vo/B)「初めての人もいると思います。お祭り野郎の大宴会、そう覚えてください。クールな野郎と思ったら大間違いでございます!」

THE BAWDIES  Photo by 鈴木公平

その言葉通り、高い熱量とテンション、半強制的に体を揺らし笑顔になってしまうゴキゲンなロックンロールが吹き荒れていく。なんせ一曲目から「HOT DOG」だ。THE ORAL CIGARETTES(以下、ORAL)のツアーなので、集まったファンの割合で言えば、当然ORALファンの方が多い環境なのだが、そんなことはTHE BAWDIESとその音楽には全く関係ない。「ロックンロールとは音楽のジャンルじゃない、感情の爆発である」とROYは言っていたが、まさにそれを体現するかのようなパフォーマンスである。

THE BAWDIES  Photo by 鈴木公平

「NO WAY」「ROCK ME BABY」「YOU GATTA DANCE」……ブルース、R&B、ブギーといったクラシカルなエッセンスをスマートに昇華させたロックンロールを次々に投下しながら、ROYは持ち前の多彩なシャウトやファルセットを響かせつつツボを押さえたベースラインを弾きこなす。MARCY(Dr)はひたすらタイトに、軽快なリズムを放ち、TAXMAN(G/Vo)が小気味良いカッティングでそこに彩りを加えていく。そして3人が構築したシャープな音像の上を、JIM(G)が腕をブンブンしたり飛んだり跳ねたりと動きでも見せながら歪んだギターでアグレッシヴなニュアンスを加えている。この4人が揃ってこの楽曲たちが演奏されたら、それが何処であれたちまち彼らの空間が出来上がってしまう。

THE BAWDIES・MARCY  Photo by 鈴木公平

THE BAWDIES・JIM  Photo by 鈴木公平

途中には「LEMONADE」や「SUNSHINE」など大人なグルーヴに身を任せられるような時間も織り交ぜつつの1時間弱のステージは、「KEEP ON ROCKIN’」でフィニッシュ。出会い頭に一発かましてからの、最後の最後に一番の盛り上がりを持ってくるという、洗練されて巧みなステージをもって、ファイナルのステージに向かうORALへとバトンをつなぐ。心憎いほど痛快なロックンロール・パーティの時間であった。

THE BAWDIES  Photo by 鈴木公平

THE BAWDIESの焚き付けた会場の熱は、転換のインターバルを経ても全く冷める気配がない。というよりむしろ、ORALの登場を前に増してさえいる。ちなみに比喩ではなく、実際に熱気と湿度によって湯気が立ち上るほど。

この日の1曲目は「起死回生STORY」、2曲目が「A-E-U-I」だったのだが、この時点で現在のORALがいかにすさまじい勢いで加速しているのか、そしてこの日のライヴが会心のステージになることが容易に分かってしまった。4人はとにかくキレキレだし、ステージ前はもちろん、両サイドや後方、2階席にいたるまで、みな歌い、飛び跳ね、手をかざす。フロア前よりはもうぐちゃぐちゃ。すごいことになっている。

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也  Photo by Viola Kam(V’z Twinkle Photography)

「初っ端からキラーチューン祭り、始めちゃっていいですか、新木場!?」と山中拓也(Vo/G)が宣言していた通り、前半戦はこれでもか!とアッパーな人気曲が連打されていく。ハネる硬質なビートが牽引する「STARGET」ではフロアに何個もサークルが生まれ、鈴木重伸(G)の性急でスリリングなカッティングとリフが暴れる「MIRROR」では、山中とあきらかにあきら(B/Cho)を加えた前の3人が見事なユニゾンをみせる。「ツアーファイナルっぽいな、ええな!」と感慨を口にして続けた「モンスターエフェクト」までの6曲、ほぼノンストップ。山中は色気たっぷりの低く甘い声色と激しい高音シャウトを巧みに使い分けながら、容赦なくオーディエンスを煽り倒し、鈴木は長身ゆえに優雅にも映る大きなアクションから繰り出される繊細なテクニックを、あきらは人一倍高く構えたベースを振り回しながらのコーラスにスラップにと、そのプレイヤビリティを見せつける。そうやってガンガン振り切っていく前3人を後方からガッチリ支えるのは、もちろん中西雅哉の緩急自在のドラムプレイだ。

THE ORAL CIGARETTES  Photo by 鈴木公平

中盤には切ない想いをメロディアスに綴った「通り過ぎた季節の空で」、重厚でヘヴィなサウンドでシリアスにキメる「嫌い」なども披露され、決してテンションに任せて突っ走るだけではない、バンドとしての懐の深さも垣間見られた。かと思えば、MCになればキャラと親しみやすさ全開なのがORAL。さすが関西出身だけのことはある。ちなみにこの日最大のトピックスは「腹筋割れてる女子、男子からすると微妙である問題」であった(2番目は、鈴木の呼び名をどうするのか、だった)。

THE ORAL CIGARETTES・あきらかにあきら  Photo by 鈴木公平

心配になる程テンションの落ちないオーディエンスたちとの相乗効果で、より激しさを増した後半戦。最新アルバム『FIXION』の中でも彼らのサウンドが持つポップネスと妖しさが凝縮された「気づけよBaby」、「俺ら『FIXION』じゃ止まれないんですよ! 今日初公開の新曲、持ってきました」と提示されたORALの新たなフェイズを予感させる新曲、そして最早彼らのライヴに欠かせないナンバーとなってきた「カンタンナコト」と、次々にドロップ。会場全体がゆれる……考えてみれば今日はずっとゆれているのだが。

THE ORAL CIGARETTES・鈴木重伸  Photo by Viola Kam(V’z Twinkle Photography)

ラストは、待ってましたの「狂乱 Hey Kids!!」でまさに狂乱を巻き起こす。山中は最前列の前柵に乗っかって熱唱、全15曲を濃密に嵐のように展開しステージを後にした。アンコールでも中西が恒例の「まさやんショッピング」を繰り広げたり、THE BAWDIESの「SING YOUR SONG」のコール&レスポンスをもじった<しげさーん、しげさーん>(鈴木のこと)というコール&レスポンスが誕生したり、初のメドレーを披露したりと、存分に楽しませてくれたORAL。昨年7月のライヴ中断があって生まれた曲だという「Everything」を高らかに歌いあげ、全10公演、錚々たるバンドとまわった『唇ツーマン』は幕を下ろした。

THE ORAL CIGARETTES  Photo by Viola Kam(V’z Twinkle Photography)

「仲間のおかげで今ここに立てていることを伝えたかったから」「一緒に肩組んで、ロック業界を盛り上げたい」
そう言って対バンツアーを行った理由を明かした山中。彼はこう続けた。

「隣にいる仲間、しっかり大切にしろ。それが一番伝えたかったことです!」

THE ORAL CIGARETTES  Photo by Viola Kam(V’z Twinkle Photography)

様々なやり方、生き方が存在する中、彼らが信じて選んできたのは仲間ーーメンバーであり、まわりのバンドであり、ファンだ。それらがORALをここまで連れきたし、ORALはこれから先も仲間を連れて、一緒に大きなステージへと歩んでいくのだろう。その第一歩となるのは4月からのツアー、そして地元・奈良での初のホールワンマン。その道はどこまでも続いている。


撮影=鈴木公平 / Viola Kam(V’z Twinkle Photography) レポート・文=風間大洋

THE ORAL CIGARETTES / THE BAWDIES

セットリスト
THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマンTOUR 2016
~復活・激突・BKW!!の巻~ 2016.3.20 新木場STUDIO COAST
 
 
【THE ORAL CIGARETTES】
1. 起死回生STORY
2. A-E-U-I
3. Mr.ファントム
4. STARGET
5. MIRROR
6. モンスターエフェクト
7. 32歳童顔
8. 通り過ぎた季節の空で
9. マナーモード
10. 嫌い
11. 気づけよBaby
12. mist…
13. 新曲
14. カンタンナコト
15. 狂乱 Hey Kids!!
[ENCORE]
16. メドレー
17. Everything

 

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