NOISEMAKERがBUZZ THE BEARSと熾烈な2マンライヴを展開したTWINTOWER・第3回
NOISEMAKER Photo by TAKA_tallman
3月17日に代官山UNITで行われた、NOISEMAKERがホストを務める2マンライヴイベント『TWINTOWER』の第3回。ゲストにBUZZ THE BEARSを迎え、熱狂を生んだライヴではフルアルバムリリースという嬉しい知らせももたらされた。その公式レポートが到着したので以下に掲載する。
異ジャンル・マッチ最終対決は、とんでもなく熱い盛り上がりを記録した。TOWER RECORDSが立ち上げた新たなライヴ・イベント『TWINTOWER』は、2マンという形式で、一つのバンドをじっくり堪能できるゆえ、二つの個性がより明確に浮かび上がるという点で非常に面白い。また、ご当地というローカル性にこだわり、地方で頑張っているバンドや、地方から上京して一旗揚げるべく精力的に活動しているバンドを応援したい、という気持ちも込められている。もっと言えば、純粋にかっこいい音楽を知ってもらいたい、という主催者側の熱意もちゃんとある。
BUZZ THE BEARS Photo by TAKA_tallman
記念すべき第1回目のホストに選ばれたのは北海道発の4人組、NOISEMAKERだ。今年1月から代官山UNITにて3カ月連続でイベントは開催され、そのファイナルの相手は大阪発の3人組、BUZZ THE BEARS。彼らは同郷の先輩にあたるlocofrank、沖縄のMONGOL800を通過したメロディック・パンクで、英語と日本語の両刀使いが特徴的。加えて、フォーク調の人間味溢れるメロディを包含した男臭いサウンドも実に良い。この日も2ビートで畳み掛ける熱情ナンバーから、体を横に揺らしたくなるダンサブル感、切ない歌メロをフィーチャーした聴かせる曲まで、多彩なアプローチで観客を焚き付ける。ここ数作では飾り気ないユニークさも取り入れ、特に「B・A・N・D」はセリフっぽい語りを挿入した人懐こい曲調もライヴで抜群に映えていた。
BUZZ THE BEARS
NOISEMAKER Photo by TAKA_tallman
さあ、BUZZ THE BEARSがさんざん温めた会場の残り香を、NOISEMAKERはどういう形で受け止めるか。UTA(Dr)、YU-KI(B)、HIDE(G)がステージに姿を見せ、最後にゆっくりとAG(Vo)が登場。オープニングは最新シングル「Butterfly」の2曲目に収録の「Point of Origin」で幕を開ける。「全員、まとめてかかって来いよ!」とAGが扇動的なMCをかまし、演奏が始まれば早くもクラフドサーファーが飛び出す有様だ。じわじわ攻めるスケール感のある曲調だが、ウォーウォーの掛け声も付加した熱気も封じ込めているため、オープニング曲としての役割をきっちり果たしていた。それから大上段から振り下ろすヘヴィリフに目が覚める「PLATINUM SHOES」に突入すると、会場の沸点は一気に高まっていく。豪快なシャウトを決める一方で、男臭いメロディも途轍もなくカッコイイ。その熱に油を注いだのはリアーナのカヴァー楽曲「Rude Boy」だ。蠢くようなヘヴィネスと耳を捉えるキャッチーな音色のギャップを豪快に叩き付けてくる。この時点で観客一人残さずカオスの渦に巻き込むような攻めっぷりを発揮していた。
NOISEMAKER Photo by TAKA_tallman
そして、今日の対バンであるBUZZ THE BEARSに感謝の言葉を贈り、彼ら(BUZZ~)のライヴは笑顔を作り出す、それがライヴの醍醐味だとAGは熱く語りかける。また良き仲間、良きライバルとコメントを添えた後、NOISEMAKERのライヴはまさに音楽の壁を越え、ジャンルを越えた、情熱的な演奏へと駆け上がっていく。「音でボコボコにするから!」と叫ぶと、次は「DECLINE AND PROGRESS」をプレイ。グランジ、オルタナ、さらにその根っこにプリミティヴなロック衝動を掘り返した骨太グルーヴに圧倒された。
NOISEMAKER Photo by TAKA_tallman
それから必殺のアンセム・ソングと化した「Head and Tails」では、代官山UNITの天井に轟く大合唱を巻き起こす。「THE NEW ERA」を挟むと、ここで重大発表が告知された。5月25日にメジャー移籍後、初のフル・アルバム『ROAR』発表を解禁すると、会場からは大きな歓声が沸き上がっていた。その熱気にトドメを刺すように、最新シングル表題曲「Butterfly」をここで披露。峻厳な大自然が一瞬で脳裏に浮かぶようなギターフレーズを合図に、ポップに突き抜ける歌メロは本当に素晴らしい。観客はシンガロング、ジャンプ、ヘッドバンギングと様々なリアクションを見せていた。ラストは「DRIFTING CLOUDS」で締め括ると、バンドはアンコールに応え、再びステージに舞い戻る。何をやるのかと思いきや、さきほど告知したばかりの新作フル・アルバム「ROAR」より、まだ誰も聴いたことがないニュー・ソング「Flag」を解き放つ。この"Flag"とは夢の旗、希望の旗という意味があるとAGは解説していたが、ここから狼煙を上げてやる!というバンドの戦闘的な意志を封印した楽曲であった。最終曲「Her Diamond」で観客がぐちゃぐちゃに入り乱れる光景を作り出し、ようやくライヴは終了。BUZZ THE BEARS、NOISEMAKERとお互いの持ち味をぶつけ合い、高め合う理想的な空間がここにはあった。まだ機会があれば・・・いや、是非ともこんな濃厚な2マン合戦ならガシガシやってもらいたい。
NOISEMAKER Photo by TAKA_tallman
発売日:2016年5月25日