メガマソ 活動を休止して見えたバンドの現在、過去、そして未来
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メガマソ
ヴィジュアル系のなかでも、独自のファンタジックな世界観が異彩を放つメガマソは、2015年12月16日、東京・新宿ReNYで行なったバンドの9周年記念公演後から“少し長め冬眠”という名の充電期間に入った。現在は個々に活動を行なっている、インザーギ(Vo)、涼平(G)、Gou(B)の3人が久々に揃ってメディアに登場。充電期間に入った理由、現在の彼らの心境、メガマソに対する想い、また彼らが冬眠から目覚め、ファンとの再会を約束した12月10日、品川インターシティホールで行なう再始動&10周年記念のステージ『MEGAMASSO LIVE 2016[THE FIRST REUNION,SECOND NIMBUS]』のことなどを訊いた。冬眠前最後のライヴを収めたDVD『メガマソ2015ウィンターツアーファイナル「MEGAMASSO-サイレントガール、オープニングガール-」』とともに、彼らの復活ステージを期待して待っていて欲しい。
活動休止していま思うのは、風通しをよくしたかったんだなということ。
――まず、メガマソが冬眠に入った理由から教えてもらえますか?
涼平(G):僕らは冬眠に入った後、いまもメガマソとして月イチで会って番組をやったりしてるんですけど。メガマソの活動を止めることについて話し合った当初は、それぞれやりたいことを1年間やってみてバンドにフィードバックさせるということだったんです。でも活休していま思うのは、風通しをよくしたかったんだなということ。9年も一緒にやってると、メンバーの関係性はマンネリ化してきてしまうし、バンドの活動もルーティーンワークになってしまうんでね。そこが一番大きな理由だったのかなと思います。
インザーギ(Vo):メガマソというのがありつつ、個々にさらなる可能性があるかどうかを探る期間としての活休なんですけど、1回バンドを止めることによって、また新しい視点でメガマソを客観視できるじゃないですか? それを踏まえてどんな気持ちになるのかを、自分としては確認したいなと思ってます。
Gou(B):この3人で、事務所に入っては抜けてを繰り返し、レコード会社もメジャーに行ったりインディーズに戻ったりして。それでも止めずにやってきた3人だからこそ、頑張ってきた裏にはなにかしら歪みがあって。そういうことや、個々でやりたい仕事、いろいろなことが重るタイミングがここだったんだと思います。だから、活休を決めるまですごく時間をかけて、そのことを話し合い。メガマソの今後を考えた上で、ここで一旦止めようという結論だったんですね。だから、これはすごくポジティブな活動休止なんです。
――なるほど。ではメガマソのない生活がスタートしてみて、いかがですか?
インザーギ:全然抜けてないですよ。変わるのかなと思ってたんですけど、変わったものはなく(笑)、メガマソ感は強いです。月に1回会ってるのもありますし、それまでの活動が長かったので、体に染み付いてるんですよね。
Gou:活動中は2人に乗っかってたところがあったので、いま一人ですべてをしなきゃいけない環境になり「大変だな」と思ってるところです(笑)。
涼平:僕は変わってないですね。この冬眠期間中に個々の可能性を試すという目的もあるので、新プロジェクトを準備したりしつつも、いままでと同じように毎日曲は書いてるし、メガマソのこともやってるから。ただ(メガマソの)ライヴがないので、そこは僕は不安になりますね。ライヴがないということが。
インザーギ:僕は不安はないけどね。
Gou:不安はないけど、ステージに立ちたいなというのは思うかな。
「もう慣れましたけど、インザーギという名前には抵抗しかなかったですよ。だって親にいえないんですから」(インザーギ)
――では、ここからはいい機会なのでメガマソというバンドについて語って頂こうと思うんですが。このバンドは涼平さんがスタートさせたバンドということですが、お二人とも涼平さんと初対面だった訳ですよね?
Gou:はい。俺が友達同士でお遊びでやってたイベントライヴを涼平が見て、誘われました。俺は当時10代で、バンド歴も1年しかなかったんですけど、涼平の熱、想いがすごく強かったので、この人についていこうと思って入りましたね。
――ある意味、誰も知らなかった超フレッシュな新人Gouさんに続き、次に見つけてきたインザーギさんは、ヴィジュアル系とは縁のないフィールドにいた、歌って踊れる歌手(微笑)。
インザーギ:だから、いま考えたら「涼平すごいな」と思って(笑)。普通に考えても僕を誘うっていうのは賭けじゃないですか? しかもボーカリストですから。でも、涼平のアタックはすごくて。初めて会って話した次の日の昼にですよ? やるかやらないかをすぐに決めて欲しいと。
涼平:わははははっ(笑)。そうだそうだ。
インザーギ:話してるとき、Gouは僕を凝視するだけで一言も話さず、ヴィジュアル系のDVDとか見せながら涼平だけが延々喋ってて、僕も一言も喋ってないんですよ。
――涼平さんのマシンガントークが炸裂。
インザーギ:ええ、それだけだったんです(笑)。で、即「一緒にやろう」だったんで。それで「やる」と返事した3日後ぐらいからレコーディング、2カ月後にはライヴでしたからね。すごいスタートでした(笑)。
――インザーギという名前もすごいインパクトでしたよね?(笑)
涼平:候補を2つ持っていったら「こっちは絶対嫌だからこっちで」って(笑)。
Gou:消去法でこれになった(笑)。
インザーギ:取材の10分前に決めろといわれてね。
一同:爆笑
インザーギ:もう一つは死んでもありえない名前で。絶対にいわないけど(笑)。それでインザーギに。もう慣れましたけどね。
――最初は抵抗ありました?
インザーギ:抵抗しかなかったですよ。だって親にいえないんですから。
一同:大爆笑
インザーギ:だから、メガマソを始めた頃の大変さはいまでも覚えてますね。特にライヴ、ヴィジュアル系のライヴなんて僕には未知の領域でしたからね。
――冬眠に入る前のライヴで「昔のライヴ映像を見返したら驚くほどキャラが定まっていなかった」とおっしゃってましたもんね?
インザーギ:大変すぎてキャラのことまで考える余裕がなかったんです。だから…。
涼平:すごい煽りが上から目線になったと思ったら下手に出たり、ね(笑)。
Gou:上から下まで全部やったんじゃない?
インザーギ:それぐらい必死だったんだよ。でも、その必死さが誰にも伝わらないという。
一同:爆笑
インザーギ:どんなに僕が努力しても誰にも分かんないみたいで。
Gou:それがインザの残念なところであり、いじれるところだから(笑)。
「涼平が作る音楽は、難解なものに思えても聴いてるとポップに感じてくる。インザーギは、すごく難しい曲を簡単そうに歌っちゃうところがすごい。しかも踊れるし(笑)」(Gou)
――そんなある意味凸凹の3人が集まり、培ってきたメガマソのキャラクターというと?
インザーギ:それは涼平の世界観のなかにある音楽じゃないですか。それがメガマソの絶対的な強みであるしカラー。それが「メガマソの音楽は面白いよね」といわれるところだと思います。
Gou:涼平が作る音楽もそうだけど、インザーギの歌もだよ。涼平の作る音楽は聴いたことがないぐらい難解なものに思えても、聴いてるとポップに感じてくる。そこが魅力。インザーギは、涼平が作るすごく難しい歌をサラサラッと簡単そうに甘い歌声で歌っちゃうところがすごい。しかも踊れるし(笑)。
涼平:そうやって、この3人で届けていくところがメガマソのキャラクターだと僕は思います。難解な曲でもこの3人のバランスがあるからこそ、ポップに見えるんですよ。
――なるほど。あと、楽曲はどの曲もキャッチーなメロディが軸にありますからね。
インザーギ:メロディは綺麗ですから。
――それを歌うインザーギさんの安定感あるボーカルにナビゲートされて、メガマソの不思議な言葉、不思議な世界観が散りばめられた楽曲の中にリスナーは入り込んでいく訳ですが。入ってみると、幻想的なファンタジーと思える物語が、たまに人間界に降りてきて。
インザーギ:現実感が垣間見れるんですよね。
――そうなんですよ! そこもメガマソのキャッチーさを生んでいるところかな、と。
涼平:僕も歌詞を書くときはどんなにファンタジーな世界でも、絶対にそのファンタジーの中でどういう言葉を使い、肉付けで現実的なこと、リアルに感じてもらえるだろうかというのは常に考えて書いてますから。ファンタジーな言葉でファンタジーを描くと、それだけの世界になってしまう。そうじゃなくて、普段通勤電車に乗ってるときに、ふとこの気持ちとあの歌詞の部分がリンクしてるのかも、と共通点が見つかるようなファンタジーを書きたいと意識しているので。夢の中の世界なのに、どこかしらにリアリティー、現実とつながったものを感じてもらえるのかなと思いますね。
メガマソ
「もうメガマソ見飽きたなという人も、絶対新鮮に感じるだろうライヴになる。その自信は3人とも持ってます」(涼平)
――それでは、みなさんが冬眠から目覚める日。12月10日の品川インターシティホールでの再始動ライヴ。『THE FIRST REUNION,SECOND NIMBUS』というタイトルにはどんな意味が込められているんですか?
涼平:これは単純に、またここで再会できて、“NIMBUS”は後光という意味なんですけど。これはステージ上で僕らがこの次の光を見せるということです。僕、人間が立って後ろから逆光でメンバーのシルエットが映るというのが、僕の中でのライヴにおけるかっこいい照明のシーンなんですね。
――じゃあ当日はそんな登場シーンが?
涼平:ははっ(笑)。どうでしょう。
――ライヴはどんなものにしたいと思ってますか?
涼平:全席指定の公演はこれが初めてになるんですよ。だから、そこはどうなるのか単純に楽しみだよね?
インザーギ&Gou:うん。
涼平:僕は会場の下見にもスタッフさんと一緒に行ったんですけど。見せ方も変わると思うんです。これまでとは。ライヴハウスとは違う作りにしようよという話はしています。
――1年前のライヴとつながりを感じさせるような演出は?
涼平:それはもちろん考えてますよ。僕は、あの日のためにSEをいくつか書き下ろしてたんですけど。そういったものがうまくつながったものになるはずです。
――セットリストはどんな選曲になりそうですか? メガマソは150曲ぐらい持ち曲があるんでしたっけ?
インザーギ:そうですね。その中から厳選して。新宿ReNYもそうだったんですけど、僕はみんなが「メガマソを観てよかった」というハッピーなものが残る方向性なのかなと思ってます。変わるかもしれないですけど。
Gou:俺は黙ってベースを弾くだけ。いまのところは。
涼平:大丈夫? 宙吊りとかにならなくていいの?
Gou:わははは(笑)。それはもしかしたらあるかもだけど、いまは黙って弾く、までにしときます。
――インザーギさんのキャラは、冬眠から目覚めたら?
インザーギ:大きくかわると思います(きっぱり)。
涼平&Gou:ぎゃははは(大爆笑)。
涼平:上、下どっちに?
インザーギ:下にしとく?
Gou:じゃあ、オープニングでいきなりインザーギが土下座してて「お待たせいたしました」って(笑)。
インザーギ:それ、どんなキャラだよ(笑)。
涼平:じゃあ、俺は途中まで髭生やした男で、途中髭剃っていきなり女の子に早変わりとかしてみようかな(笑)。
――冬眠が明けたら全員がキャラ変更(笑)。
Gou:ねっ(笑)。初めてこのライヴでメガマソを観る人は、分からない曲展開や不思議な歌詞がいっぱいあると思うんですよ。だけど、こういう風にメンバーはすごく面白いと思うんで。この3人の空気感を楽しんでもらいたですね。
涼平:そうだね。僕らの直近の作品はYouTubeとかにMVがフル上がってるんですよ。そのMVの世界をそのままライヴで表現できるように頑張っているので、映像作品を見て気に入ってもらえたなら、ライヴはさらに楽しめると思うので、ぜひ遊びに来て下さい。
インザーギ:何が起こるか分からないですからね、この世の中。メガマソも始まった当初は10年やれるかどうかなんて考えてもいなかった。それでもこうして音楽ができてるんだから、ライヴ1本1本を僕ら自身大切にしていこうという気持ちになれた。だから、観に来てくれる子も、この日のライヴはこの日にしかないと思うから、もし迷ってたら観に来ることを選んで欲しいなと思います。
涼平:当日は、僕らがこの1年間で得たものを全部ここにぶつけるつもりでいますので、9年間観てきて、ちょっともうメガマソ見飽きたなという人も絶対新鮮に感じるだろうライヴになる。その自信は3人とも持ってます。そして、初めて来る子は、さらに新鮮な驚きを持って帰ってもらえると思うので、楽しに待っていて下さい。
インタビュー・文=東條祥恵
2016年12月10日(土)品川インターシティホール
OPEN 16:30/START 17:15
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前売 ¥4,500(tax-in)/当日 ¥5,000(tax-in)
全席指定
※3歳以上有料・3歳未満入場不可
2016年3月14日発売
¥5,000