LiSAの原点、ソロデビュー作『Letters to U』を通して語る“5年前と現在”

インタビュー
音楽
アニメ/ゲーム
2016.3.24
LiSA  撮影=菊池貴裕

LiSA  撮影=菊池貴裕

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日本武道館2daysライヴから始まった2015年は、LiSAにとって大いなる飛躍の年だった。3rdフルアルバム『Launcher』のリリース、国内のライヴハウスツアー、自身初のアジア・ワンマンツアー、1万5000人の観客を動員した年末の幕張メッセ国際展示場ライブ『LiVE is Smile Always~メガスピーカー~』。さらにスケールアップした活動を通し、カラフルなポップチューンとヘビィなロックナンバーを自由に行き来する音楽性、そして、エッジ―なボーカルを軸にしたパフォーマンス能力の高さは完全に認知されたと言っていいだろう。
そして2016年、LiSAはデビュー5周年を迎える。既に2ndミニアルバム『LUCKY Hi FiVE!』のリリース(4月20日)、全国16公演のホール&Zeppツアー『LiVE is Smile Always~Hi! FiVE』の開催がアナウンスされているが、今後もアニバーサリーイヤーを彩るアクションが期待できそうだ。
今回のインタビューでは5周年を記念したアナログ盤がリリースされる、ソロデビュー作でもあったミニアルバム『Letters to U』をフックにしながら、彼女自身の現在のテンションに迫った。アニバーサリーイヤーに突入したLiSAはいま“大好きな音楽を大好きな人たちといっしょに楽しみたい”という感情をさらに増幅させている。


――最初に2015年末に行われた幕張メッセ公演『LiVE is Smile Always~メガスピーカー~』について訊きたいと思います。LiSAさん史上最大規模のワンマンライヴだったわけですが、いま振り返ってみるとどんなライヴでしたか?

去年はとってもパワーアップできた1年だと思っているんですね。武道館2daysライヴから始まって、いろんなテレビ番組、いろんなイベントにも出させていただいて、自分の好きなもの(音楽)に対する自信が付いてきたというか。幕張のライヴでも、私が好きだと思っている音楽でみんなと一緒に思い切り遊べたし、すごく楽しかったですね。

――ライヴ自体も凄まじいクオリティだったと思います。セットリストからもこの5年間の軌跡がリアルに感じられたし、何よりもLiSAさん自身のパフォーマンスが本当に素晴らしくて。あれほどのテンションで激しく動き回りながら、ボーカルもダンスも最後までまったくキレを失わないのはすごいことだと思いますが、フィジカルのトレーニングもかなり積んでるんじゃないですか?

いまはキックボクシングをやってます。ライヴのための体力づくりというのもあるけど、とにかく定期的に身体を動かしたいんですよね。ただ走るだけだと、根気がなかなか続かないというか、途中で飽きちゃったりするんです。「暇だなー」って思っちゃうので(笑)。ライヴの前に集中したいときは音楽を聴きながら走ったりもしますけど、ふだんからコンスタントに走るっていうのはぜんぜん出来なくて。だったら、楽しいことをやりながら体力作りできたほうがいいなって思って。キックボクシングって、脳みそも使うんですよ。たとえば(トレーナーに)ミットを持ってもらって「キック! 次、アッパー!」って言われるじゃないですか。そうすると「えっと、アッパーってどれだっけ?」って考えるので(笑)。“3分ラウンドやって1分休む”というのを繰り返して、腹筋もやって。アッという間に1時間くらい経っちゃいますね。

――LiSAさん、キックボクシングに向いてるのかも(笑)。

そうですね(笑)。あと、ライヴ当日までの精神的なコントロールも上手くできるようになってきたんですよね。ライヴの2日前まではしっかり準備して、前日はとりあえず1回忘れるというか、ライヴを楽しむことだけを考えられるようになって。当日のリハになったら、また「今日のライヴのためにがんばろう」というふうに切り替えられるし。

――いままではスイッチの切り替えが難しかった?

そうですね。ギリギリまでずっと準備してたし、前日、不安で眠れないこともあったので。100点を目指してるのに自分の中では完璧ではなかったと納得できないライヴもあって……。いまはそのあたりのコントロールも上手くなったと思うし、みんなと一緒にすごく楽しめてますね。

LiSA  撮影=菊池貴裕

LiSA  撮影=菊池貴裕

――この5年間で積み重ねてきた経験も当然、活かされてますよね。ライヴの演出についてはどうですか?

ライヴの演出などには最初から関わっていて。曲のテンポもそうだけど、どちらかというと、言葉(歌詞)だったり、歌の意味を大事にしたくなるんですよね。そういう部分に対するこだわりは強いかな、あと、最近は前日にセットリストを変えたり、いきなり「骸骨(の模型)を使いたい」って言い出したりするので、バンドのメンバーやスタッフさんは大変だと思います(笑)。

――骸骨って、幕張のライヴのとき「DOCTOR」で使っていた…?

そうそう(笑)。ライヴの前日に整体に行ったら骨格標本があって「ライヴで使いたいな」と思ったから、お願いして借りてきたんですよ。切り裂いた白衣を着せて、「DOCTOR」って書いて、マイクスタンドに括りつけて。

――骸骨とLiSAさんが絡む演出、すごいインパクトでしたよね。

良かったです。そういうことも余裕がないと思い付かないと思うんですよ。フラットな状態のときにパッと思いつくというか。それが出来るようになってきたのも、精神的なコントロールが上手くなったからじゃないかなって。

――そして2016年はデビュー5周年イヤー。LiSAさんのなかではどんなビジョンがあるんですか?

まず2ndミニアルバム(『LUCKY Hi FiVE!』)の作詞に関しては“メガスピーカー”が終わってからにしようと思ってましたね。それまでの集大成じゃないけど、あのライヴが終わった後で見えてくるもの、感じられるものがきっとあるだろうと思ったので。告白をしたり、ちゃんと“好き”って伝えた後にその人との未来を想像するみたいに、ライヴで発信したことを踏まえたうえでその後の計画を立てたかったんですよね。

――実際に幕張のライヴの後で見えてきたもの、感じられたものというのは…?

“メガスピーカー”のときにみんなと遊んだことで、「私が好きなことを思い切りやるんだ」という気持ちがさらに大きくなりました。ライヴが終わったときに「今日めっちゃ楽しかった」って素直に思えたし、この後の5周年イヤーも絶対に楽しいだろうなって。未来に対してワクワクできたんですよね。「この人たちがいれば、もっと楽しいことがいっぱいできるな」っていう。以前からそういう気持ちはあったんだけど、それがさらに明確になったっていう感じかな。

――すごく大きい変化ですよね、それは。

うん、とても大きいです。卑屈っぽかったですからね、私(笑)。それを絶対に見せちゃいけないと思っていたし、ダメな自分、マイナスな自分を許してあげられなかったので。すごく不安だったんですよね。「風邪をひいちゃったらどうしよう」「受け取ってもらえなかったらどうしよう」「気に入ってもらえなかったらどうしよう」「捨てられちゃったらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」って。でも、この5年間でみんなとの信頼関係を作ることが出来たんですよね。みんなのことを信じられるようになったし、LiSAというアーティストも信じられるようになって。そうやってひとつひとつ乗り越えてきたことで、どんな毎日でも楽しめるかもしれないって思えるようになったんじゃないかな。

LiSA  撮影=菊池貴裕

LiSA  撮影=菊池貴裕

――なるほど。5周年を記念してアナログ盤がリリースされるソロデビューミニアルバム『Letters to U』についても聞かせてください。レコードってふだん聴いたりします?

私はずっとCDばっかりだったから、レコード自体をあまり見たことがなかったんですよ。お母さんの机のなかにレコードがあって、「よくわからないけど、可愛いから飾っちゃおう」っていうことはあったけど(笑)。でも、アナログ盤を出せるのはすごく嬉しいです。デビューミニアルバムを違うかカタチでリリースできるのもそうだし、偏った意見ですけど“レコード=ちょっと古いもの”というイメージもあるから、昔に戻れるという感覚もあって。

――「Believe in myself」「妄想コントローラー」なども重要な楽曲も収録された、まさにLiSAさんの原点と言える作品ですからね。すべての作詞をLiSAさんが手がけていますが、いま振り返ってみるとどんな作品ですか?

セルフライナーノーツに「不器用な私の、全力で精一杯の音楽」と書かせてもらったんですけど、ホントにそのままだと思っていて。このときの歌詞を読んだり、曲を聴いたりすると、ただただ一生懸命で必死だったなって思うんですよね。何も信じられなかったし、何を信じていいかもわからなかったけど、未来には希望があるかもということだけは信じようとしていて。そのままの気持ちがちゃんと音楽のなかに詰まってるんです。カッコつけないでアルバムを作れたというのはすごく良かったし、そのときの自分にとっても感謝していて。デビューミニアルバムで自分をさらけ出せたからこそ――ひとりぼっちで寂しいとか、不安を抱えていたこととか――その後もウソなく、そのときどきの自分の状態で音楽を積み重ねることが出来たと思うんですよ。5年前に等身大の自分を素直に出せてなかったから、いまの私はなかったんじゃないかな。

――デビューのタイミングで「ここで素直な自分を表現する必要がある」と感じていたんですか?

それは思ってなかったです(笑)。ガルデモ(TVアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」)をやらせてもらってるときは「作品のなかで自分が出来ること、作品を愛している人のために出来ることは何だろう?」と考えて、ガルデモの(2代目ボーカリスト)ユイに入り込もうとしていたんですね。その後LiSAとしてデビューすることになって「自分に何が出来るだろう?」って考えたときに、「自分を愛してもらって、選んでもらうためには、最初から“私、こういう人なんです”ってちゃんと伝えたほうがいい」というのは思いましたね。そうしないと、ずっと嘘をついたまま付き合うことになってしまうので。最初から「私、こんな感じなんけど、友達にならない?」というようなアルバムを作って、それを認めてもらえたら「このままの自分で歌っていいんだ」って思えるだろうなって。

――自分のリアルな感情を表現するって、勇気も必要だったでしょうね。

でも、捨てるものは何もなかったですからね。最後のチャンスじゃないけど、「自分が歌ってる意味って何だろう?」って迷っていたし、だったら、まずはさらけ出すしかないなって。自分がアピールできるものは自分しかないので(笑)。

――「こういうサウンドで歌いたい」ということも明確だったんですか?

いや、それもハッキリしてなかったですね。ただ「私にしか出来ないことをやりたい」という気持ちはあって、だからこそ個性的なクリエイターといっしょにやってみようと思って。ガチでぶつかるというか、勝負を挑みにいく!という感じでしたね。あと「自分のやりたいことを伝えるためには、自分で作らなくちゃいけない」と思って「Believe in myself」を作ったんです。それまで曲を作ったことも歌詞を書いたこともなかったから、すごく大変だったんですよ。まずアコギを持って、コードを弾いて、それを録音して、いろんなメロディを歌ってみて…。「自分がやりたいことはこれです」ということを曲にできたことも大きかったですね。

――デビューから5年経って、いまはLiSAさんがやりたいこと、好きなことをさらに高い精度で体現できるようになってますよね。

そうですね。私が好きなことをわかってくれるクリエイターもいてくれるし、やりたいことをカタチにしてくれるプロフェッショナルの方々もいて。すべて自分で出来るわけではないですからね、私は。いろいろ失敗もしたし、悩んだり考えたりしてきましたけど、5年経って、さらに良いカタチで新しいミニアルバム(『LUCKY Hi FiVE!』)を届けられると思います。

――めちゃくちゃ楽しみです。今回のミニアルバムも全曲で歌詞を手がけていますが、やはり「自分の言葉で伝えたい」という気持ちが強かったんでしょうか?

絶対に自分で歌詞を書かないといけないと思っているわけではないんですけど、“メガスピーカー”のライヴでいろんなことがハッキリしたっていうのもあるし、そこで感じたことを素直に書きたいなって。好きな人にしばらく会えないと「私のこと本当に好きかな」とか「他にも楽しいことがあるんじゃないかな」って思う時間もあるんだけど、会ってみると「やっぱり好きだ。最高だ、君たち!」って実感できるので。いまは無敵な状態ですね。


撮影=菊池貴裕 インタビュー・文=森朋之

※近日、最新作『LUCKY Hi FiVE!』についてのインタビューも公開決定!

LiSA 撮影=菊池貴裕

LiSA 撮影=菊池貴裕

リリース情報
2nd ミニアルバム『LUCKY Hi FiVE!』
 
2016年4月20日(水)発売
 
・初回生産限定盤(SVWC70141-70143 / 3,500 円 +税)
LiSA 『LUCKY Hi FiVE!』

LiSA 『LUCKY Hi FiVE!』

・通常盤(SVWC70144 / 2,500 円 +税)
LiSA 『LUCKY Hi FiVE!』

LiSA 『LUCKY Hi FiVE!』

収録曲:新規書きおろし楽曲、全7曲を収録
M-1:「ラブリーデイ」(作詞:LiSA、古屋 真 作曲:野間康介(agehasprings) 編曲:堀江晶太)
M-2:「Hi FiVE!」(作詞:LiSA、田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:akkin)
M-3:「Psychedelic Drive」(作詞:LiSA 作曲:横山直弘(from 感覚ピエロ) 編曲:堀江晶太)
M-4:「She」(作詞:LiSA 作曲:PABLO a.k.a. WTF!? 編曲:PABLO a.k.a. WTF!?)
M-5:「halo-halo」(作詞:LiSA 作曲:小南泰葉 編曲:江口 亮)※NHK ワールド TV「J-MELO」2016 年 4 月~エンディングテーマ
M-6:「Get free」(作詞:LiSA、古屋 真 作曲:Ryota Kawamura、Rebecca Hollcraft 編曲:akkin、RIO)
M-7:「終わらない冒険」(作詞:LiSA 作曲:高橋浩一郎 編曲:akkin)
 
特典:
【初回生産限定盤(CD+BD+DVD)】
※BDとDVDの収録内容は同じです。
・リードトラック「Hi FiVE!」ミュージッククリップ(日本を代表する映像クリエイター・関 和亮監督による作品)
+「Believe in myself, Believe in the dream」(2015 年のアジアツアーにて撮りおろした影像作品)収録 Blu-ray&DVD 付
・撮りおろし 48P ブックレット
・三方背スリーブケース仕様
・5th ANNiVERSARY『Hi! FiVE』記念ステッカー封入
【通常盤(CD)】 
・「LiSA DiSCOGRAPHY HiSTORY」ブックレット付
・5th ANNiVERSARY『Hi! FiVE』記念ステッカー封入
※初回生産分のみ

アナログ盤・LiSA 1st ミニアルバム『Letters to U』
LiSA 『Letters to U』

LiSA 『Letters to U』

 発売中
 
収録曲:『Letters to U収録楽曲、全 7 曲を収録
商品形態:完全数量生産限定盤(LP)※30cm アナログレコード 5,000 セット限定発売! 
品番 / 価格:SVWJ-7760 / 2,800 円 +税
特典:LiSA セルフライナーノーツ / 
復刻 B3 サイズ販促ポスター同梱 / シリアルナンバー付番

 

ツアー情報
全国ホール&Zeppワンマンライブツアー
『LiVE is Smile Always~Hi! FiVE~』
 
4/20(水)NHK ホール(東京) 
4/21(木)NHK ホール(東京)
5/1(日)神奈川県民ホール(神奈川) 
5/7(土)大阪オリックス劇場(大阪) 
5/8(日)名古屋センチュリーホール(愛知) 
6/4(土)福岡市民会館(福岡) 
6/10(金)Zepp Tokyo(東京) 
6/11(土)Zepp Tokyo(東京) 
6/19(日)金沢市文化ホール(石川) 
6/25(土)仙台市民会館(宮城) 
7/9(土)広島上野学園ホール(広島)
7/10(日)三木町文化交流プラザ(香川) 
7/16(土)新潟テルサ(新潟) 
7/23(土)Zepp Nagoya(愛知) 
7/24(日)Zepp Namba(大阪)
7/30(土)Zepp Sapporo(北海道)
 
LiSA「LiVE」情報ページ
http://www.lxixsxa.com/live/

 
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