「夜が明けても夜を歌っていきたい」Aimerのビルボードライブ・ツアーをレポート
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新世代のシンガーソングライターAimerのビルボードライブ・ツアー東京公演が3月27日、28日の2日間、六本木・ビルボードライブ東京にて行われた。
2011年メジャーシーンに突如登場したAimer。作品リリースやライブなど精力的に活動しているものの、プロフィールもあまり公表されておらず何とも謎が多い。そのため彼女のライブこそ、彼女を知る一番の場所であり、ファンもまたそれを一番よく知っている。今回のビルボードライブ・ツアーは大阪公演も合わせると3日間・全6ステージ、すべて満席となった。ファンで埋め尽くされた開演前の会場からは、普段とは違った緊張感と、期待が充満しているのがうかがえた。
ピアノの演奏が始まると、黒のワンピースでAimerがオンステージ。深々と一礼し椅子に腰かけ「あなたに出会わなければ」を感情豊かに歌い上げた。MCでは「こんばんは、Aimerです。お越しくださってありがとうございます」と観客に向け拍手を送り、歌う姿とは一変してキュートさが垣間見えた。
ライブ中盤には、荒井由美の「卒業写真」、『Bitter & Sweet』にも収録されているColdplayの「Viva La Vida」、ジャズ・スタンダードの「Lullaby of Birdland」とカバー曲を立て続けに披露。ジャンルも雰囲気も異なるそれぞれの楽曲を見事にAimerの色に染め上げる彼女のオーラと表現力に驚かされる。歌い方や声の表情にもバリエーションがあり、彼女が稀有な存在であることを、今回披露したカバー曲で再度認識させられた。
そして終盤の「冬のダイヤモンド」や「Brave Shine」では、独特なビブラートと感情を爆発させるようなロングトーンを連発。ライブについて、「いつもは旅をするようなイメージだけど、今回は夜明けの前に旅を思い返しながら(旅の)話をするような気持ちで臨んでます」と、自身もリラックスしたステージとなったようだ。その後「夜が明けても夜を歌っていきたい」と語り、思い入れの強いナンバー「六等星の夜」をしっとりと歌い上げた。アンコールでは、「キズナ」とエリック・クラプトンの「Change the world」を披露し、メンバーの宗本康兵(ピアノ)、遠山哲朗(アコースティックギター)とともに最後まで深々とお辞儀をし、感謝の言葉を述べステージを後にした。
深い闇の中に一筋の光が射しこむような景色が歌の中に感じられるほど、Aimerの声には“夜”という世界に優しく寄り添ってくれる不思議な力が宿っている。孤独なイメージの強い“夜”が好きになる、そんな時間をAimerは与えてくれた。
なお、5月11日には2016年最初のシングル、Aimer×chelly(EGOIST)×澤野弘之という、夢のコラボレーションを実現した注目シングル『ninelie EP』のリリースも決定している。
Text:神人 未稀
Photo: Yuma Totsuka
◎公演情報
【Aimer Billboard Live Tour】
ビルボードライブ大阪 2016年3月21日(祝・月)
ビルボードライブ東京 2016年3月27日(日)・28日(月)※追加公演
◎リリース情報
Aimer『ninelie EP』
2016/5/11 RELEASE
<初回限定生産盤(CD+DVD)>
SECL-1882
1,620円(tax in)
<通常盤(CD)>
SECL-1884
1,350円(tax in)