音のない音楽イベント?「中野サイレントDJパーク」レポート

2016.4.4
レポート
イベント/レジャー

©Acperience.LLC

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桜舞う中野のセントラルパークにて開催された実験的イベント「中野サイレントDJパーク」。このイベントは、参加者がワイヤレスヘッドホンを使うことで、周囲に騒音被害を出すことなく音楽パーティーを開催する「サイレントディスコ」というイベント形式が基礎になっている。だがサイレントディスコを開催するにはワイヤレスヘッドフォンを多数用意しなくてはいけないし、そもそもヘッドフォンは自前のがいい、という人も多いはず。そこを解消したのが今回のイベントだ。

受信端末を自分のヘッドフォンに装着、これで準備は完了

「中野サイレントDJパーク」は、通常のサイレントディスコと違い、ピンジャックを挿すことのできる受信端末を貸与することで、来場者それぞれの愛器を使ってサイレントディスコに参加できるというところに大きな変化があった。他人とヘッドフォンを共有するのに抵抗がある人にとっては、これは嬉しい配慮だろう。 また運営側としても、無数のワイヤレスヘッドフォンを用意しなくていいというメリットもある。

DJブースも本格的な機材を用意。 ©Acperience.LLC


ヘッドフォンで屋外レイヴを堪能する人たち。 ©Acperience.LLC

さて実際気になるのは音質と範囲だが、まずは音質について。筆者はイヤフォンとヘッドフォンを両方用意して参加したのだが、イヤフォンでは十分に堪能できたものの、ヘッドフォンではインピーダンスの問題で音量不足が否めなかった。その為近所のオーディオショップにてポータブルアンプを購入して試したところ、非常に良好な環境で音楽を堪能できた。範囲についても周辺10メートルくらいは問題なし。

今回は実験的なイベントということも有り、小規模にテント1つで運営。 ©Acperience.LLC

色々と都市部での野外イベントに夢が広がるこの企画だが、主催しているのは都市型レイブイベント『Re:animation』主催者でもある合同会社アクペリエンスの杉本真之氏。新宿シネシティ広場、中野区役所前広場などで3000人超を集めるイベントを開催する杉本氏が次に狙うものはなんなのか、現場で話を聞いた。

 

――今回のコンセプトは実験的な部分が大きかったと思うんですが、手応えはどうでしたか?

Wi-Fiやブルートゥースではなく、アナログ電波なので、音質をどこまで担保できるかが課題でしたが、発信される音のクオリティは問題ないレベルまで引き上げることができたと思います。

――そうですね、参加してみても音質にほとんど問題はなかったと思います。課題になってくるのは、人数が増えた時とかでしょうか?

実は、今回の方式では理論上、端末が何個でも問題ありません。参加する人数が増えると回線が混雑してラグが起きることもないです。​

――それはすごく安心できる要素ですね! 開催してみての課題点なども見つかりましたか?

課題としては、今使っている受信機の再生品質がさほど高くないので、音楽イベントを開始するのであればポータブルアンプのようなアタッチメントを着けるなど、運用の改善が必要ですね。最終的には、ミニアンプ内蔵の受信機を作ってしまえればよいのですが、一足飛びにはいかないので、工夫しながらパーティしていきたいです。

――今回このような取り組みを実施したのは何か今後のイベント運営に関して狙いがあるからでしょうか?

僕が仕掛けている「Re:animation」は”超都市型レイブイベント”という名目でやっているので、出来る限り都市部の野外で音を出して街の人を巻き込みながら盛り上げていきたいという思いを持っています。でも実際問題として騒音問題などで出来ないこともまだまだ多いのが現状です。このサイレント企画が軌道に乗れば、色々と相談できる自治体や場所も増えますし、夢は広がっていくんじゃないかなと。

――その「Re:animation」ですが、アニメファンとテクノファン、両方への融合をかなり強烈にアピールしてますよね。次回のリアニ9の魅力を語って頂ければ。

2010年にスタートした歌舞伎町発の都心型屋外フェスティバルとして、今年で6周年ですが、ようやく新宿に帰ってくることになりそうです。まだクラウドファンディングが始まったばかりで、目標金額が達成しないと実施されないので、まだ開催決定では無いんですけれども。今回もHIROSHI WATANABE a.k.a.KAITO​、ヒゲドライバー、彩羽真矢といった多彩なアーティストを筆頭に、アニメとテクノの境界線を縫いながら多彩な音楽が素敵な時間と空間を作ってくれると思います。

――「Re:animation」他のフェスにはない求心力が有りますよね、足を運ぶ来場者だけでなく、関わる人を皆ハッピーに向かわせるというか。

そこは来場者の皆さんにすごく助けられていますね。帰るときに皆さん自主的にゴミを集めてくださったりして、本当にフロアーが始まった時よりも綺麗になって帰ってくるというか(笑)。感謝しきりです。

――今回のイベントから、今後提供していく面白さ、楽しさについて目標となることはありますか?

リアニメーションはクラウドファンディングで資金調達して、入場料無料で開催している野外DJフェスティバルです。開催のための目標金額は350万円ですが、500万円以上の資金が集まれば、サイレントDJブースを設置するストレッチゴールを設けています。フェスの1フロアとしてそれまでに運用を詰めたいと思いますので、ご興味ある方はぜひご支援ください!

街に親和性のあるイベントを目指すと杉本氏は語ってくれた。

「街角でジャズセッションが行われるように、DJが鳴り響くような街との親和性を目指したい」と語る杉本氏。マナーを持って最大限楽しむ方法を模索することで、街が音楽に包まれる日も来るかもしれないと思わせてくれた。今後の開催に期待したい。

 

イベント情報
中野サイレントDJパーク(β) 終了
 日時:2016年4月2日
 会場:中野セントラルパーク・サウス パークアベニュー
 
 
イベント情報
Re:animation9

 日時:2016年7月10日(予定)
 会場:新宿歌舞伎町シネシティ広場&新宿BLAZE