野島 稔(ピアノ)「横須賀から巣立つ新たな才能に注目したい」

2016.4.15
インタビュー
クラシック

野島 稔(ピアノ)

横須賀市に生まれ、ピアニストとして国際舞台で活躍し、現在は東京音楽大学学長を務める野島稔。その名を冠したコンクール『野島 稔・よこすかピアノコンクール』が今年で10年目、第6回を迎える。会場は国内最大級のオペラハウス仕様を誇る、よこすか芸術劇場。若きピアニストたちが真摯に音楽と向き合うステージは、第1次予選から本選まで全日無料で一般公開される。これはピアノファンなら必見だ。
 「若い人たちが真剣に取り組んでいるフレッシュな姿は、何にも代え難い輝きをもっていますね。昨今の若い人は驚くほど優秀で、高度な作品も皆よく弾きこなします。その意味では甲乙つけ難いのですが、このコンクールでは技術面ばかりでなく、音楽的な豊かさをどう表現しているか、将来的な伸びしろがあるかどうかを審査基準としています。華やかなヴィルトゥオーゾであることだけが、ピアニストのあり方ではありません。たとえ地味でも、その人固有のものを示せるような、勇気のある音楽家に育ってほしい。このコンクールをひとつの経験にして、日本の音楽界の層を厚くするようなピアニストに成長してほしいですね」と審査委員長の野島は語る。

 毎回80人ほどが“参戦”する1次予選では、ショパンと、リストからプロコフィエフまで、さまざまなエチュードを組み合わせて8〜10分演奏する。2次はベートーヴェンのソナタの15曲中から1曲選び、全楽章を弾く。8名に絞られる本選では、自由なプログラムで40分の演奏が課せられる。
「ベートーヴェンのソナタにはシンフォニックな面や室内楽的な要素など、ピアノによる表現の枠を超えた要求があります。ベートーヴェン自身『緩徐楽章こそが勝負どころ』と捕らえていたようですし、全楽章を通じてしっかりと勉強してもらいたい。1次と本選は、どの作品を選び、どう組み合わせるかに表現力が問われます。音楽作品のあるべき姿を壊すような抜粋をしたり、弾ける曲だけ弾いたりするのではなく、最終的には客席の聴衆の心に届くような選曲をしてもらいたいですね」

 審査員には、野平一郎と若林顕のほか今年から東誠三と上野真が加わる。
「どの方も、現役ピアニストとしても教育者としても活躍しておられます。2つの視点をもつ審査員から、コンテスタントが具体的なアドヴァイスを貰えるように、交流会も設けています」

 審査委員によるコンサートはいまのところ未定だが、ファンとしてはぜひ実現してほしいところだ。
 昨年の覇者である野上真梨子を始め、佐藤彦大(ひろお)、中桐望など、このコンクールから育った活躍中の若手は多い。今年はどんな才能が見出されるのか、注目したい。

取材・文:飯田有抄
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)


第6回 野島 稔・よこすかピアノコンクール
第1次予選:4/23(土)〜4/25(月) 
第2次予選:4/26(火)・4/27(水)
本選・表彰式:4/29(金・祝) 
よこすか芸術劇場
問合せ:横須賀芸術文化財団(よこすかピアノコンクール事務局)046-828-1603
http://yokosuka-arts.or.jp