カイワレハンマー 活動休止直前のライヴで再会を誓う「さよならじゃなくて、いってきます」
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カイワレハンマー
Zepp DiverCity TOKYO ワンマンライブ ~quad4s~
2016.3.31 Zepp DiverCity TOKYO
いま、新時代のエンタテインメントが盛大に花開いている場として注目を集めているYouTube。そこで絶大なる人気を誇るBEMA(マホト)とimigaによる2MCヒップホップユニット=カイワレハンマーが、第1章の締めくくりにしてさらなる未来へのスタートを切るワンマンライヴを、Zepp DiverCity TOKYOにて開催した。個々のスキル向上とさらなるステップアップを期し、このライヴをもって1年間の活動休止に入るというトピックも相まって、
カイワレハンマー・BEMA
18時、定刻通りにライヴはスタート。カイワレハンマーの名が投影されていた幕が振り落とされると、上下2段のセットが組まれたステージの段上にBEMAとimigaが登場。絶叫としか表現しようのない大歓声の中で放たれた1曲目は、「TOP&GO 突破口」! アンセミックなサウンドをバックに、マイクを手にした2人が高々と拳を掲げるや、オーディエンスも共鳴し、大きな声をステージに届ける。BEMAはimigaを、imigaはBEMAを指差し「最後に笑うのはお前って決まってんだ!」と宣言すると、またも歓声が上がった。これは活動休止を悲しむためのライヴじゃない。笑って進むためのパーティなんだと、開始数分のパフォーマンスで有無を言わさず納得させられてしまった。とてつもない爆発力だ。
カイワレハンマー・imiga
1曲目を終えてのMCでは、BEMAが「袖で自分の心臓の音が聞こえたの。無いでしょ! すげえよ!」と、2500人を前にした感慨を語り、「後ろでプンプン鳴らしてる人は」とDJ Sugar-Gを紹介。「今回はせっかくDJがいるってことで、俺らがまだCD発売する前の、ライヴでやったことないやつをメドレー形式でやろうかなと思います!」と、ライヴならではの演出で沸かせる。
メドレーパートは「動画配信」や「FLOWER」など、ファン感涙の数曲をノンストップで連発。切れ味鋭くライムを重ねるBEMAと、全身を使ってフロウに思いを乗せるimiga。それぞれに異なる魅力を持った2人のラップが折り重なり、いつ果てるとも知らぬカタルシスが生み出されていった。「CRASH」の曲中で、「余計なモンぶっ壊してゼロから始めようぜ」とBEMAが言い放ち、ただでさえ攻撃的なサウンドをヘッドバンギングでさらに掻き回す。
カイワレハンマー
アスリート顔負けの運動量で攻め立てた怒涛のメドレーが終わり、短いMCを挟んだと思いきや、まだまだライヴは加速を始めたばかり。なだれ込むように「Rush Hour」に突入し、imigaがステージ上段を下手へ上手へとダッシュしフロアをアジテートする傍ら、がなるようなBEMAのラップが炸裂。「テメーらまだ跳べんだろうが!」と観客にジャンプを求め、「ギュウギュウじゃん! 満員電車じゃん!」と、自ら生み出した熱狂を満足げに見渡す。次なる「だーくwwww」ではエキゾチックな音空間でズブズブの酩酊感に浸らせつつ、後半ではビートチェンジし、一気にZeppがダンスフロアと化していく。
さらに、アグレッシブなパフォーマンスから一転し、ゆるい雰囲気でグッズ紹介をしたかと思えば、続く「一方通行」と「三角係」はメロウなトラックに乗せてしっとりとラップ。笑わせたり、切ない気持ちにさせたりと、楽曲ごとに様々な気持ちを詰め込んで、ライヴは展開していく。
カイワレハンマーの原点を垣間見せたのは、ライヴ中盤に組み込まれた『BEMA vs imiga』だ。即興で互いにリリックをぶつけ合うMCバトルを組み込んだこの曲で2人は、音楽のセンスから互いの人気まで、まさに歯に衣着せぬ舌戦を繰り広げる。アドリブのDISすら極上のエンタテインメントにしてしまうヒップホップの面白さと、カイワレハンマーのスキルの高さを同時に証明したシーンでもあった。
カイワレハンマー
ここでBEMAが一旦舞台からはけて、なんとimigaによるソロ演目がスタート。ストリングスの華やかなメロディの中で「2階席も見えてるぞ」と、心から語りかけるように言葉を紡いだ「リアルtxt」、ミラーボールが光を振りまいた「Img.link」と2曲を続ける中で、imigaは2人の出会いをこんな風に振り返った。
「まさかソロを歌うことになるとは思いませんでした(笑)。みなさんありがとうございます。先ほどの『BEMA vs imiga』は、MCバトルといって、罵りあって、口喧嘩みたいな感じなんですけど、俺とBEMAの出会いって実はMCバトルからだったりするんです。みなさん知ってますかね? ちらほら知ってる人もいるみたいですけど。そこからいつの間にかマイク握って、いつの間にかこんな素晴らしいステージに立って……きっかけはああいうMCバトルだったんですけど、リスペクトがあるからこそディスり合うことができまして。それがきっかけで皆さんと繋がれて。本当に感謝しております。本当、誇りに思ってます。ありがとうございます!」
カイワレハンマー・BEMA
そんな一幕を挟んで、入れ替わるように、舞台にはBEMAが登場し、さらに、天使と悪魔に扮したへきトラハウスが現れると、大爆笑と驚きの声が上がる。「天使と悪魔」を初披露するにあたり、カイワレハンマーとも縁が深い2人をサウプライズゲストに迎えるニクいサービス精神だ。へきトラハウスのダンスを指揮するかのように、壇上に据えられた玉座から見下ろすBEMA。高速で放たれる鋭角のラップはえも言われぬ色気をはらんでおり、先ほどのimigaソロとはまた違うカラーを演出した。
降り注いだ羽根を「掃除して!」とBEMAがへきトラハウスに命じ、「スタッフさんがやるんじゃないの!?」と非難されながらも、「やっぱ相方がいいなぁ」とimigaを呼び込んで、ライヴは終盤戦へ突入。遥かなる高みを思い描くように揃って天を指差した「Higher Goals」の曲中、BEMAは「このライヴで1年間、活動を休止するけども、また来年、みんなで一緒に這い上がろう。そんな気持ちを込めて書いた曲です。さあ皆、手を振ってくれ!」と振り絞るように叫ぶと、高鳴る心臓のようなビートに合わせてオーディエンスは大きく手を左右にスイング。BEMAが「俺たち、カイワレハンマーでよかったよ」とつぶやき、imigaが「当たり前じゃんかよ」と返した「Slow」では、スポットライトの下、背中合わせのままで呼吸の合った歌声を重ね、その感動的な光景に、客席からは暖かい拍手が送られた。
カイワレハンマー・imiga
本編のラストは、BEMAが「最後の曲です。俺たちのホームは、自分たちの家じゃなくて。お前たちの前、このステージの上がホームだから」と語っての「home」。どこか卒業式を思わせる切なくも壮大なピアノサウンドの中で「さよならじゃなくて、いってきますだから。歌え! そんなんじゃ俺たち行けねーよ!」とBEMAが叫ぶと、「ラララ……」の声がZeppを満たす。その声の中、拳を合わせる2人。再会を誓い、互いを鼓舞するように。
鳴り止まぬ「カイワレ!」のコールの中、アンコールの「Sprout」では銀テープが降り注ぎ、ダブルアンコールでは「TOP&GO 突破口」をプレイ。
「最後に笑うのは誰? 俺たち? 俺たち〝全員〟なんだよ!!」
BEMAが叫んだように、この活動休止は、最後に皆で笑うための布石なのだ。2017年、カイワレハンマーはとんでもなくスケールアップして戻ってくるに違いない。
撮影=Michaël レポート・文=矢野裕也
カイワレハンマー
2016.3.31 Zepp DiverCity TOKYO
1.TOP&GO 突破口
2.動画配信
3.startribe
4.let's get started
5.FLOWER
6.音楽投稿
7.CRASH
8.Rush Hour
9.だーくwwww(DEEP REMIX)
10.一方通行
11.三角係
12.Break Down
13.BEMA vs imiga
14.リアルtxt(imigaソロ)
15.Img.link(imigaソロ)
16.天使と悪魔(BEMAソロ)
17.コノ速サナラ言エル
18.Higher Goals
19.げえむのすたるじっく
20.Slow
21.えんじょいひっぷほっぷ
22.サマーロード
23.home
[ENCORE]
24.頭隠して尻隠さず
25.Sprout
[ENCORE2]
26.TOP&GO 突破口