Raphael、3人でできるパフォーマンスの限界を更新した『蒼の邂逅』レポート

レポート
2016.4.13
Raphael/撮影=外林健太

Raphael/撮影=外林健太

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Raphael『KAZUKI 17th memorial「蒼の邂逅」』
2016.4.7(Thu) Shibuya O-EAST

YUKI(Vo)、華月(G)、YUKITO(B)、HIRO(Dr)によって1997年に結成されたRaphael。史上最年少で武道館公演(2000年3月当時)を成し遂げた、“天使”の名をバンド名にした彼らの音と歌詞は、多くの聴き手を惹き付け、癒し、多くの支持を集めた。しかし、第二期Raphaelと称し第二章「秋風の狂詩曲」のリリースを翌日に控えていた2000年の10月31日に、リーダーであった華月が急逝。YUKI、YUKITO、HIROの3人は、華月が亡くなる前から決まっていたツアーをギターレスでまわり、惜しまれながらも2001年に活動を休止したのだ。

そして2012年4月7日。華月の誕生日に、彼らは長い沈黙を破り、同年の10月31日11月1日にZepp Tokyoで復活ライヴを行なうことを発表したのである。十三回忌にあたるこの年の復活ライヴは、10月31日『天使の檜舞台 第一夜 白中夢』、11月1日『天使の檜舞台 第二夜 黒中夢』と名付けられた、待ち望まれた再演だった。

そして。2016年4月7日。
十七回忌を迎える今年、華月の誕生日に、彼らは再びファンたちと再会するライヴを試みたのである。

このShibuya-O-EAST『KAZUKI 17th memorial「蒼の邂逅」』と、5月23日の横浜Bay Hallを皮切りにスタートする全国ツアー『Raphael Live Tour 2016「癒し小屋」』は、YUKI、華月、YUKITO、HIROが出逢ってちょうど20年目にあたることと、“メンバーの中で音楽を卒業する者がいるため”の、最終公演でもあったのだ。

この日のShibuya-O-EASTのチケットは即日完売。デビューから20年近くが経ち、活動が止まってしまってから15年が過ぎようとしているというのに、いまだにこんなにも多く彼らRaphaelを求める人たちがいることに、彼らの音楽性と歌詞に込められたメッセージ性の威力に改めて驚かされた。

19時ちょうど。朗読から幕を開けたこの日。ステージ後ろのスクリーンにカウントダウンが表示され、ステージ袖に待機するメンバーのリアルタイム映像が映し出された。そこには華月のギターを胸にしっかりと抱いたYUKIと、YUKITO、HIRO、そしてサポートギターのANCHANG(SEX MACHINEGUNS)と咲人(NIGHTMARE)の姿が。5人は手を重ね、気合い入れをすると「シナゴーグ前奏曲イ短調~第一楽章~」をSEにステージへと向かった。大きな歓声が彼らを包んだ。

彼らがこの日1曲目に選んでいたのは「「…」~或る季節の鎮魂歌」。

Raphael:YUKI/撮影=外林健太

Raphael:YUKI/撮影=外林健太

3年前に行なった『天使の檜舞台 第一夜 白中夢』『天使の檜舞台 第二夜 黒中夢』の再演も、ゲストギタリストの参加はあったが、あくまでもRaphaelの“再演”であり、当時のRaphaelを出来るだけ“そのまま”の状態で届けたライヴであった。しかし今回の『KAZUKI 17th memorial「蒼の邂逅」』は、もちろん、YUKI、華月、YUKITO、HIROであることは絶対としながらも、YUKIが中央で歌いながらギターを弾き、上手に咲人とANCHANGのギターサウンドを響かせながらの魅せ方であったため、新たなRaphaelとしてのライヴであった。

Raphael:YUKITO/撮影=外林健太

Raphael:YUKITO/撮影=外林健太

今回はサポートやスタッフの力を借りながらも、“3人でできるパフォーマンスの限界を更新していくことをテーマとして、Raphaelをみんなに楽しんで欲しかった”というYUKI、YUKITO、HIROの想いが強く感じ取れたライヴであったと言える。華月の映像をふんだんに使い、出来る限りの“再演”をつとめた3年前のライヴは、“楽しさ”よりも“悲しみの行き場”“悲しみを吐き出す場所”を作ったライヴであり、“悲しみからの解放”を目指したライヴであったことから、どれだけ忠実に当時のRaphaelで届けられるかを考えたライヴであったように思う。そして結果、そのライヴは集まってくれたファンたちと、長い沈黙の中での苦しみを解放へと導くことが出来たのだ。もちろん、解放とは忘れることとは違う。YUKIもこのライヴのMCの中で言葉にしたが、悲しみや涙は拭いされることは今もこの先も無いが、今回のライヴの目的は、深い苦しみの淵からの解放の先にあった、涙を笑顔にするための時間であったのだ。彼らは、本来のRaphaelのお役目を果たすための時間をここに設けたのである。

Raphael:HIRO/撮影=外林健太

Raphael:HIRO/撮影=外林健太

ギター歴5週間というYUKIが中央でギターを弾きながら歌った「「…」~或る季節の鎮魂歌」「Sacrifice」と続けられた頭の2曲で、集まったオーディエンスは、この日のライヴとこの先に続くライヴの意味を、しっかりと理解し、気持ちを切り換えて受けとめていたように思った。

3曲目には、YUKIが華月の後ろにまわり、左手でギュッと華月を引き寄せて歌う姿がとても印象的だった「promise」を届けたのだが、この日は、YUKIが咲人の後ろに周り、当時の魅せ方を再現する場面も見られた。決して忘れたわけではなく、ちゃんと当時の自分たちを尊重しながらも前に進んだRaphaelを魅せてくれた彼らの想いは、とても愛おしいものだった。

Raphael:YUKI/撮影=外林健太

Raphael:YUKI/撮影=外林健太

彼らの成長が伺えたのは、そんな精神的なものばかりではなく、バンドとしての成長も素晴しいものだった。Raphaelとしては長い間ブランクがあったものの、YUKIとHIROはバンド活動を続けていることもあり、YUKIの歌唱は当時以上に個を極める最高のスキルを放つものであり、サウンドのボトムを固める重要な位置にあるHIROのドラミングも、安定感のある重厚なプレイに変化していたことも、Raphaelのサウンドを、よりヘヴィに成長させていた。ベーシストとしては数年のブランクがあったYUKITOも、やはり、Raphaelとしての自らの原点に戻ると瞬間的に当時が蘇るのか、YUKITOのベースが楽曲をリードする「人間不信」や、耳を劈くハイスピードナンバー「Gebet~祈り~」や、スラップが際立つ「症状3 XXX症」では、YUKIの歌に絡ませた素晴しいハモリも聴かせてくれたのだった。

Raphael:YUKITO/撮影=外林健太

Raphael:YUKITO/撮影=外林健太

どの曲も、華月が(一部YUKIと共作)16歳から19歳のときに作られたものだが、そのどれもが高い音楽性と才能を感じさせるものであり、YUKIが代弁者となり歌い届けられた、自らの身を切り裂いて紡がれた華月の言葉(歌詞)は、当時は“未来”であった情景が“過去”へと移り変わり、よりリアルに聴く者の胸を打った。

まったく色褪せていない楽曲や歌詞たちは、改めて彼らの音楽家としての秀でた才能を意味するのもであったと感じた。

Raphael:HIRO/撮影=外林健太

Raphael:HIRO/撮影=外林健太

ライヴ後半に置かれた「エルフの憂鬱」からは、華月の映像と華月本人のギターテイクをアンプから実際に流し(俗にいうリアンプ)、4人だけのRaphaelで届けられたのだが、「lost graduation」を歌った後、YUKIは、改めて16歳という若さでこの曲を書いた華月の才能を讃えた。そして。再び華月の形見として譲り受けた、華月によって“月姫一号機”と名付けられた青いギターを持ち、「eternal wish~届けぬ君へ~」のギターソロで、華月の奏でる透明なアルペジオに自らが奏でるギターフレーズを重ねたのだった。

それは、言葉に出来ないほど美しく透明な時を描いた瞬間となった――。

Raphael/撮影=外林健太

Raphael/撮影=外林健太

アンコールでは、3人で「秋風のラプソディ」と「Evergreen」をアコーステックで届け、再びANCHANGと咲人をステージに呼び込み、カントリー調の「ハックルベリーの恋」と、軽快なリズムながらも、明るく、そして、とてもあたたかく聴き手を包み込み、そっと癒してくれる「夢より素敵な」を届け、ライヴを締めくくった。

そして。この日のライヴ終了後、今回行なうことになったツアーの本当の意味を、オーディエンスに伝えたのだった。

それは、“音楽を卒業することになった”YUKITOから、手紙の朗読という形で伝えられた。

Raphael:YUKITO/撮影=外林健太

Raphael:YUKITO/撮影=外林健太

華月とYUKITOの出逢いから始まったRaphael。自分たちももちろんのこと、多くの人たちが愛してくれたRaphaelというバンドを、自らが脱退するという理由で止めてしまうことを、自らの言葉で伝えたのだ。Raphaelを求めてくれるファンたちを目の前に、自らの言葉で“解散”という事実を伝えるのは、とても辛かったことだろう。YUKITOは必死に込み上げる涙を我慢し、震える声でその手紙を読んだ。

そんなYUKITOの両脇に立ち、静かに見守っていたYUKIとHIRO。この日と、この先にあるツアーが、それ故の、大切な時間であったことと、だからこその、“3人で出来るだけのことをして、Raphaelをみんなに楽しんで欲しかった”ことがYUKITOから告げられると、涙に包まれた会場からはあたたかな拍手が起こっていた。

彼らはこの先、5月23日の横浜Bay Hallを皮切りに全国ツアー『Raphael Live Tour 2016「癒し小屋」』へと旅立つ。

撮影=外林健太 文=武市尚子

Raphael/撮影=外林健太

Raphael/撮影=外林健太


 
セットリスト
Raphael『KAZUKI 17th memorial「蒼の邂逅」』
2016.4.7(Thu) Shibuya O-EAST

OPENING MOVIE
SE. シナゴーグ前奏曲イ短調~第一楽章~
01. 「・・・」~或る季節の鎮魂歌
02. Sacrifice
03. promise
04. さくら
05. 小夜曲~悲愴~
06. 花咲く命ある限り
07. Sweet Romance
08. 人間不信
09. Gebet~祈り~
10. 症状3 XXX症
11. エルフの憂鬱
12. 展覧会の絵(Hiro Dr Solo)
13. 窓際の夢
14. Dear
15. 拝啓ナーバス
16. lost graduation
17. eternal wish~届かぬ君へ~
[ENCORE]
18. 秋風のラプソディ
19. Evergreen
20. ハックルベリーの恋
21. 夢より素敵な

 

リリース情報
アルバム『Never -1997040719990429-』
2016年5月18日発売
AVCD-93418 ¥3,000+税
<収録曲>
01. Imitation White
02. Sacrifice
03. eternal wish~届かぬ君へ~
04. 人間不信
05. 窓際の夢
06. White Love Story
07. 症状1.潔癖症
08. 症状2.分裂症
09. 症状3.XXX症
10. Sweet Romance
11. follow you
12. 夢より素敵な

 

ライヴ情報
『Raphael Live Tour 2016「癒し小屋」』
2016年5月23日(月)神奈川県 Yokohama Bay Hall
2016年6月2日(木)愛知県 DIAMOND HALL
2016年6月3日(金)愛知県 DIAMOND HALL
2016年6月12日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
2016年6月21日(火)大阪府 BIGCAT
2016年6月22日(水)大阪府 BIGCAT
2016年7月2日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2016年7月3日(日)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2016年7月11日(月)東京都 赤坂BLITZ
2016年7月12日(火)東京都 赤坂BLITZ
2016年7月16日(土)広島県 SECOND CRUTCH
2016年7月17日(日)広島県 SECOND CRUTCH
2016年7月24日(日)福岡県 DRUM LOGOS

 

『天使の檜舞台 第壱夜「華弦の月」』
2016年8月6日(土) 豊洲PIT
OPEN 16:00 / START 17:00

『天使の檜舞台 第弐夜「悠久の四重奏」』
2016年8月7日(日) 豊洲PIT
OPEN 16:00 / START 17:00

[出演]
Raphael
 …and more!! 
[チケット料金(前売)]
スタンディング:¥5,800(tax in)ドリンク代別
【チケット先行予約受付】
[受付期間]4月8日(金)12:00~4月24日(日) 23:00
[受付URL]http://eplus.jp/raphael-ohp/

 

 

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