A9 不動のメンバーで歩み続けてきた11年、いま5人の心にあるものとは?
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A9
将(Vo)、ヒロト(G)、虎(G)、沙我(B)、Nao(Dr)という不動のメンバーで、アリス九號.、Alice Nine、そして事務所独立後にはA9とバンド名表記を変えながら、活動を続けてきた彼ら。A9としての2nd EP『LIGHT AND DARKNESS』を4月13日にリリースし、本作を携えた全国ツアーを目前に控えた5人に訊く、いま心の中にあるものとは。ロングインタビューの前編となる今回は、独立後のいまの彼らにスポットを当て、次回の後編では最新作『LIGHT AND DARKNESS』をメンバー5人が徹底分析する。
――まずは、A9にとって欠かせないSPICEは? という質問なんですが。それぞれ思い浮かんだものを教えて下さい。
将(Vo):ライヴでのお客さんのリアクション、そのなかの笑顔じゃないですかね。お客さんから受け取るポジティブな“念”をエネルギーにしていくのか、ネガィブな念をエネルギーにしていくのか、バンドによっていろんな選択があると思うんです。僕らは結成7周年のときに日本武道館でライヴをやって、そのときに“光を求めていくバンドなんだな”ということをすごく実感した瞬間があったんですね。なのでSPICEは、お客さんの笑顔、お客さんから受け取るポジティブな光だと思います。
ヒロト(G):アクシデントとトラブル(苦笑)。11年バンドをやってきて、1~2年おきくらいに何かしら起こるんですよ、予期せぬことが。でも、その度に一つ(バンドが)固まり、進む。それを繰り返してここまできた気がします。
Nao:パッションです。あっという間でしたけども、間もなくバンドは12年目に入るんですね。この5人でバンドを組み、情熱がなかったらここまで来られなかったと思います。
沙我(Bs):パッションもですけど、僕は変化ですかね。2年おきに変化していくのがベストだと思うんです。バンドは変化していかないと厳しいんじゃないかな。変化するとお客さんからは賛否両論起きますが、その都度バンドがちゃんと、お客さんを変化した方向に連れていければ続くし、連れていけなければ終わる。そんな感じじゃないですかね。
虎(G):メンバーです。メンバーがSPICEとなって独特の味のカレーができてる。
――A9はカレーなんですか(笑)?
虎:はい。ルーじゃなく、スパイスから作るカレー。
Nao:どうしよう。俺だけスパイスじゃなくてジャガイモだったら。
一同:(爆笑)。
虎:確かに、Naoさんは野菜だわ(笑)。
A9/将
――A9という新しいバンド名はどうですか? バンド名が変わるって、いいものですか?
将:やっぱりそこは変わらない方がいいですよ。
――実は私自身A9というのが正直まだ馴染んでいなくて、「アリスナインが」ってついいってしまうんですよね。
虎:すいません(苦笑)。
将:でも、それが素直な意見だと思います。
沙我:A9と書きますけど、それをどう呼ぶのかはみなさんに任せているので。読み方はいってないですから。
将:そう! 表記がA9というだけで。
沙我:読み方は別に決まってないんですよ。
――そうなんですか?
沙我:はい。Aと9が隣同士でいるだけだから。
一同:(笑)。
沙我:それをどう読むか。
Nao:人によっては“永久”と呼んでるかもしれないし。
――じゃあ“アリスナイン”と呼んでもいい訳ですね。
沙我:ええ。好きなように呼んでください。
――わかりました。でも、メンバーは変わらないのにバンド名だけが2回も変わるバンドって、なかなかいないですよね?
沙我:自分たちも嫌ですよ。
一同:(爆笑)。
沙我:好きで変えてる訳じゃないんで。
ヒロト:だから、そこは運命として受け止めるしかないですよね。自分たちも受け入れて進んでいるので、みなさんにもポジティブに捉えて欲しいなと思います。
A9/ヒロト
――では、事務所を独立されて環境がガラッと変わったと思うんですが。そのなかで自分自身こんなところが変わったなと思うところは?
将:やらなきゃいけないことが増えるので、個人的な技能が成長たと思います。僕はおもにデザインとかを担当してるんですけど、いまはそれも業者さんと直接やり取りをして進められるようになったので、“物を作ってる”という充実感はこれまで以上に得られているかな。
ヒロト:変わったというより、各々得意なことをするようになったんだと思うんですよ。僕でいうと、とにかく人と会う機会が増えました、昔よりも。事務所に所属してた頃はスタッフの方に任せていた部分を、いまは自分が動いて、人と会って話をするようになって。それが自分には得意なことだったんだなと、いまさら気づいたんですよね。だから、いまはとにかく人と顔を合わせまくってます。
Nao:Alice Nineの「春夏秋冬」という曲のような生き方に変わりました。“明日がないかもしれない”と(微笑)。そんな気持ちで1日1日を生きてます。いままですごく甘えてた部分があったので、自分に対してより厳しく。そして、やるべきことを追求するようになりました。こういう風に変われることができて、一人の人間としてもすごくいい機会だったと思ってます。
沙我:メジャーからインディーズに戻って、事務所も辞めて。やることなすこと、現実的に自分たちがやりたいことと予算のバランスを見ていくうちに、自分のプライベートな生活まで昔よりお金に対してシビアになりましたね。っていいながら、昨日ピザ食いましたけど(笑)。
Nao:さすが沙我君!
沙我:「やっぱ我慢できねぇや」って。
一同:(笑)。
沙我:俺ね、そういうので自分は食費だけは削れない人間なんだなっていうのも分かったんですよ。
Nao:そしたらさ、ピザ焼く窯を作っちゃえば?
虎&将:窯!!(笑)。
沙我:それも思ったよ(微笑)。
Nao:窯があればいつでも食べれるじゃん!
沙我:いずれ作るか。My窯。
ヒロト:そしたら、生地作って自分の好きな具材のせて焼けばいいだけだもんね。
A9/虎
――どうせなら、それをA9の新しいビジネスの一つにしたらいいじゃないですか。
沙我:でも、俺んちの周りはピザ屋やイタリアンの店に囲まれてるんですよ。だから、勝算がない(笑)。家の周りがそんな環境だから、食費を削るどころか、我慢できなくなるときのほうが多くなる訳ですよ(苦笑)。
虎:俺は、“やらなきゃな”という感じだけですね、変わったのは。いいところはいいんですけど、ヤベェなというところもたくさん見えてくるので。そのことについて考えることが多くなったのが、変わった部分かな。でも、自分たちをそうやって客観的に見られるのはいいことだし。逆に、勘違いしてた部分を勘違いしなくなったからこそ、“こうやりたいな”ということも出てきましたし。事務所って、そうやって勘違いさせるものなんだなということも分かりましたね(笑)。勘違いをさせて働かせるのが事務所なんです(笑)。だから、事務所を辞めると途端に現実味がポンと出てくる。それを見たときに、みんな落ち込むんじゃなく、逆に「やってやるぞ!」とやる気になれて、いまこうして動けてるのがよかったですね。
ヒロト:ロックバンドこそコントロールされてちゃダメなんだと、すげぇ思いましたね。コントロールしてる側にいないと、ロックバンドとして説得力ねぇなと。そういうことも、独立してから気づいた部分です。
A9/沙我
――なるほど。去年は独立後初となるSTART—UP EP 『銀河ノヲト』を発売し、そのアルバムを掲げて国内ツアーと2回目のアジアツアーを回られました。みなさんが感じたアジアツアーの“LIGHT AND DARKNESS”を教えてもらえますか?
虎:DARKNESSしかないですよ。
一同:(爆笑)。
将:DARKNESS AND DARKNESSですから。
Nao:DARKNESS AND DARKNESS AND DARKNESSですから。1回目の衝撃はそれぐらいすごかった。でも、2回目は抗体ができてたので、大したことねぇなという感じで乗り切れましたけどね。
――例えば、どんな衝撃に出会ったんでしょうか。
Nao:トイレがないとか、排泄物に出会ったり。
将:路上にあらわれて。
Nao:あれ? ここに? 誰が? って(笑)。2回目はそういう部分の抗体はあったんで。
沙我:でも、2回目のほうが長く感じなかった?
ヒロト:感じた!!
沙我:もう慣れててサプライズがないから、長いなって単純に思った。
将:冒険感がない分ね。
沙我:1回目は、見知らぬ土地に行くというサプライズだらけだったのでワクワクもあったんですけど、2回目は「あっ、あそこかぁ(苦笑)」って。飯とか、知ってる苦労が付随するものとして分かる訳ですよ。でも、そのなかで、だんだんとシステムが出来上がっていくんです、バンド内で。飯食うときは、まず虎さんの毒味から始まるんですね。虎さんに食ってもらって、チェックしてもらうんです。
Nao:メンバーが食べられるかどうかを(笑)。
沙我:最初は(この役目は)ヒロトかなと思ってたんですけど。
Nao:そうしたら、実はヒロトが一番神経質で。椅子とかにはタオルを敷いて座りますからね。すごくないですか?
ヒロト:公共交通機関は座る前にすべて除菌ティッシュで拭いてから座ってましたから。
沙我:っていう感じだったんで、野性味あふれる虎さんにチェックしてもらうことになって。「いけそう」っていわれたらみんなで口つけて、逆にヤバイときは「これは八角がめっちゃ入ってるからヤバイ」とか教えてくれる。虎さんはどんなものでも、ゲテモノみたいなものでも食えるから(笑)。この人は今後どこの国に行っても生きていけると思います。
A9/Nao
――そんなA9は現在、2nd EP『LIGHT AND DARKNESS』を引っさげて、全国ツアー『TRUTH IN LIGHT AND DARKNESS』を開催中。今回のツアーに対する意気込みをそれぞれ聞かせて下さい。
将:今回はA9にしかできない二部構成のステージになると思うので、それを通して心が動く瞬間を共有したいという気持ちでこのツアーを回ります。いろんな娯楽がありますが、それを差し置いてもぜひ遊びに来て下さい。
虎:うまくいったら新しい感じになって、ウチらの売りにもなるんで。「やってみたい」という気持ちでいっぱいです。
ヒロト:後々振り返ったら、ターニングポイントになりますね。そんな重要な時期の重要なツアーです。1本1本いままで以上に違う演奏、違うライヴ感が出るツアーになりそうなので、どこも見逃さないつもりで来て欲しいです。
Nao:前回のツアーで行けなかったところにも行くので、見に来て欲しいと思います。
沙我:いままでよりもハードルが高い、1本1本やりながら積み上げていくようなツアーになると思うので、最初と中盤、最後ではまったくライヴが変わってくるはずなんです。だからこそ、生モノとして見に来て欲しいなというのはあります。
インタビュー・文=東條祥恵
A9『LIGHT AND DARKNESS』
NINE-0002 ¥2,500+税
NINE HEADS RECORDS
[収録曲]
01. PRISMATIC
02. DARKNER AND DARKER
03. SILVER
04. INSOMNIA
05. ANIMUS
06. BLOSSOM
07. THE SOUNDS OF GALAXY
4.16(SAT)ステラボール
4.21(THU) 札幌cube garden
4.24(SUN) 青森Quarter
4.26(TUE) 新潟NEXS NIIGATA
4.27(WED) 仙台darwin
4.29(FRI) 郡山Hip Shot Japan
5.1(SUN) 金沢AZ
5.3(TUE) 京都FANJ
5.4(WED) Kobe SLOPE
5.6(FRI) 名古屋ボトムライン
5.8(SUN) 浜松窓枠
5.13(FRI) 岡山CRAZY MAMA KINGDOM
5.15(SUN) 広島クラブクアトロ
5.19(THU) 大阪BIG CAT
5.21(SAT) 福岡BEAT STATION
5.29(SUN) TSUTAYA O-EAST