A9、真新しいステージを作り上げた『TRUTH IN LIGHT AND DARKNESS』ツアー初日レポート
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A9
A9 TOUR 2016 「TRUTH IN LIGHT AND DARKNESS」
2016.4.16(Sat)品川ステラボール
「ツアーの初日。今回は違った感じで始まったと思ったら、虎(G)さんが上手にいたり、Nao(Dr)さんも近くにいたりしてみんなも驚いたよね」という将(Vo)のこの日の第一声で、オーディエンスのなんともいえない緊張感がやっと解けていった。「この後も楽器をいろいろ用意したり、まだまだ新しく企んでることがあるので、最後まで楽しんでいって下さい」と続ける将の言葉に、フロアのドキドキ、ワクワク感はさらにどこまでも高まっていく――。
先日発売されたばかりのA9の衝撃作、超スタイリッシュで大人っぽくグルーヴィな2nd EP『LIGHT AND DARKNESS』を携えての全国ツアー『A9 TOUR 2016 「TRUTH IN LIGHT AND DARKNESS」』が4月16日(土)、東京・品川ステラホールでついに開幕。そこで、アリス九號.、Alice Nine時代を含め、いままで見たことがなかったような彼らの新たな音楽体験、その全貌が露わになった。最新作同様、今回のツアーも彼らは“衝撃作”といえる真新しいステージを作り上げてきたのだ。
A9 将
ツアーはこの後5月29日、再び東京に戻って行なうファイナルのTSUTAYA O-EAST公演まで続いていくため、セットリストや演出の詳細はここでは割愛。今回のツアーのポイントだけ触れておこう。
「今回、二つのコンセプトでライヴをやってみたんだけど」と観客に語りかけた将の言葉通り、本ツアーは通常の1本のライヴを二部構成にして、前半と後半でまったくコンセプトが異なったステージを見せていくものになっている。二部構成というとアコースティックとバンドサウンド、昔の曲と最新作というようなものをイメージしがちだが、実際のステージはそんな単純な枠組みは超越していて、どちらもいまのA9を表現するにあたって欠かせない“本編”となりうる内容がしっかり凝縮したものになっている。それでいてコントラストは見事に違うので、観客は1本のライヴを観ただけで、2本のツアーを巡ったような感覚が味わえるという、独特かつ贅沢な味わいを漂わせているのだ。
A9 HIROTO
それでは、気になるその内容についても少しだけ触れておこう。
まず第一部。「俺、あのときとてつもなく緊張したよ」とNao(Dr)がいうように、ここではメンバーの登場の仕方からしてこれまでとは違うので、ライヴに行かれる方は絶対にこのシーンを見逃さないで欲しい。ライヴが始まってから、まず最初に驚くのは5人の立ち位置だ。いままでのライヴとは違うこのメンバーのフォーメーションは、彼らがスタジオでリハーサルをやっているのときの姿を再現したもの。「俺はNaoさんが見える位置にいるから超やりやすいんだけどね」と話していたのは虎(G)。ここでは、メンバー同士が自然と寄り添ってそれぞれアイコンタクトで会話していくシーンや、タイミングを合わせる細やかな仕草など、いつもは見慣れていないバンドのリアルなやり取りを含めたパフォーマンスに何度もドキドキさせられた。
A9 虎
第一部は、最新作のシックでオシャレでグルーヴィな雰囲気が全編通して感じられるものになっていて、そこに「みんな知らなかったらどうしようかと思ったよ」という沙我(B)チョイスの旧曲、さらにはそのトーンに合わせて大胆アレンジを加えた昔の曲のアクトが加わる。それらをさらにオシャレにバックアップしていくのが、曲ごとに用意された映像。「このために俺、目薬3本消費してどれだけ徹夜しまくったか」と話す虎のクリエイティビティを詰め込んだ映像にも注目してもらいたい。そして、冒頭で将がいっていた通り、例えば「INSOMNIA」は沙我がベースをギターに持ち替え、トリプルギターでアルバムの音を再現したり、他の曲では将がアコギ、虎がベースをスラップでカッコよく演奏するシーンなども第一部の見どころとなっている。
A9
ヒロト(G)が書いた「THE SOUNDS OF GALAXY」のロングバージョンでシームレスにつないで始まる第二部。こちらは、ステージ上のメンバーのフォーメーションはいつものスタイルに戻ってスタートする。第二部のほうは、これまでのライヴに近いものになっていて、メンバーのトークも満載。ここでは最新作に加え、なぜか「WHITE PRAYER」など『Alpha』(2007年11月発売)の楽曲が次々と登場していくところが一つの特徴。沙我はそのセレクトについて「最新作といい感じにつないでくれるチーズのような存在」だからだとオーディエンスに解説していた。
A9 沙我
最新作に収録されたナンバーのなかでも「ANIMUS」はすでにみんなのなかでA9の最新型アンセムとして、第二部の中盤で爆発的な盛り上がりと一体感を作り上げていった。続いて、いまの季節にぴったりの彼らの春ナンバーも披露された。ここではお花見の話になり「俺、虫がダメだから花見は無理」という虎が、引っ越し先でゴキブリを見つけてヒロトに電話で助けを求めたことや、セミがいたときはマネージャーを呼んだというエピソードをメンバーが次々と暴露。和みかけた場内に「花見しなくても、みんなが“花”だから」ととびきりの笑顔で虎がいい放ち、フロアからは黄色い悲鳴が上がった。そこから後半はヒロトの「A9はお前たちの体が欲しいー! ここからはお前たちと俺たちのぶつかり合いだ!」という絶叫から、ライヴの定番曲へと突入。そこから両者が熱く高まり、最後はみんなを笑顔にしてライヴは終了した。
A9 Nao
終演後は、スクリーンを通して6月24日、7月5日に東京・新宿ReNYにて沙我と将の生誕を祝う『SAGA&SHOW BIRTHDAY FEATURE LIVE『SS』』を開催すること、さらに8月28日には東京・新木場COASTにてバンド結成12周年、改めて本当の初心へ戻ってみようというコンセプトでアリス九號.の始まりとなった作品名『名前は、未だ無ひ。』を掲げたライヴ『XII ANNIVERSARY LIVE”NO NAME”−名前は未だ無い-』を行なうことを発表。その後には『12.24 DIFFER ARIAKE』という気になる文字も加わり、今後の活動予定が一気に伝えられた。
A9
しかし、その前にまずはこのコントラストの強いニ部構成の最新ツアーに参加してほしい。特に、新しい試みがたくさん盛り込まれた第一部はライヴを重ねる度にまだまだ変化していきそうな予感がするので、その完成形を最終公演で再び体感してもらいたい。
文=東條祥恵
>>A9インタビュー:不動のメンバーで歩み続けてきた11年、いま5人の心にあるものとは?
>>A9インタビュー:衝撃的サウンドの変化を提示した『LIGHT AND DARKNESS』全曲解説
2016年4月13日発売
NINE HEADS RECORDS/NINE-0002 ¥2,500+税
[収録曲]
01. PRISMATIC
02. DARKNER AND DARKER
03. SILVER
04. INSOMNIA
05. ANIMUS
06. BLOSSOM
07. THE SOUNDS OF GALAXY
4/21(THU) 札幌cube garden
4/24(SUN) 青森Quarter
4/26(TUE) 新潟NEXS NIIGATA
4/27(WED) 仙台darwin
4/29(FRI) 郡山Hip Shot Japan
5/1(SUN) 金沢AZ
5/3(TUE) 京都FANJ
5/4(WED) Kobe SLOPE
5/6(FRI) 名古屋ボトムライン
5/8(SUN) 浜松窓枠
5/13(FRI) 岡山CRAZY MAMA KINGDOM
5/15(SUN) 広島クラブクアトロ
5/19(THU) 大阪BIG CAT
5/21(SAT) 福岡BEAT STATION
5/29(SUN) TSUTAYA O-EAST
2016/6/24(FRI)新宿ReNY
-Show side-
2016/7/5(TUE)新宿ReNY
A9 XII ANNIVERSARY LIVE“NO NAME”-名前は未だ無い-
2016/8/28(SUN)
新木場STUDIO COAST
※5月上旬、FC先行予定