J ツアー最終日に体現した、途切れることのない心の炎

J LIVE TOUR 2015～2016 -TOUR the eternal flames FINAL-
2016.5.7(sat) EX THEATER ROPPONGI

「これからとんでもない“10days”が君たちを襲います。覚悟しとけよ！ ここからがソロ20周年に向けたカウントダウンだ!! お前ら、熱くなっていこうぜ」————そう叫んだJ（Vo&Bs）に、フロアからは歓喜の声が沸き起こった。

Jが記念すべき10枚目のソロアルバム『eternal flames』を掲げて、昨年9月から2回にわたって開催していた全国ツアー。その追加公演として、5月7日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて行なった『J LIVE TOUR 2015～2016-TOUR the eternal flames FINAL-』。この日のアンコール、Jが「俺、発表ごとがあるんだ」といってオーディエンスの期待を煽った後、すでに発表されている8月のバースデーライヴ2daysに続けて『J 2016 LIVE 10 Days of GLORY-10 Counts for DESTRUCTION-』と題した対バン形式のライヴイベントを行なうことを、集まったファンにサプライズ発表。「10日間いろんな場所で、いろんなゲストを招いてとんでもないライヴをしよう思ってる。ゲストがすごいんだよ。俺も手が震えるよ（笑）」と興奮気味に告げた。

『eternal flames』————まだその炎は、途切れちゃいない。

定刻通りに舞台に現れたJは、フロアに勢いよくペットボトルを投げ込み、ライヴはいきなり「Go Charge」で開幕の狼煙を上げた。“この曲で始まるってことは突撃だ！”といわんばかりにさっそく観客が前方へとうねりだし、フロアの真ん中にはモッシュの渦が生まれる。このツアーの初期段階から機動力がすごかった最新アルバム曲「Verity」は、「Go Charge」の先にあるアンセム曲へと成長。いまは躊躇なくこのような鮮やかなメロディも放出できる。そんな心地よい開放感の根元、その奥にはコイツがいまもちゃんと燃えてるんだぜとすかさず「PYROMANIA」をぶっ放すJ。さっきまで頭上を転がっていたダイバーたちも含め、観客それぞれがライターの炎を掲げて、Jとオーディエンスがその気持ちを確認し合う瞬間は、何度見てもゾクゾクする。そこから時を経たいまの自分を言葉で綴った「I Know」で、ライヴは序盤最大の山場を迎える。

Jならではのミドルレンジを生かしたざらついた男らしい歌声で、ラフで豪快で、リラックスしたその奥にロマンチズムとセンチメントという哀愁を感じさせるこの大人のミディアムバラードを届けるときの、Jの説得力がすごいのだ。本当にこの曲はいまのJに見事にハマっていて、Jのボーカルからも歌の隅々まで気合がほとばしっているのが伝わってきた。ラウドでグルーヴィーなロックミュージックにオーディエンスを鼓舞していく熱いメッセージを乗せ、熱量をどこまでも増幅させていくJと「I Know」のような大人のロックを歌うJ。そのどちらも変わらない、両方とも自分の中にあるかつて胸を焦がしたロックの炎から生まれているんだということを、Jはこのライヴを通して次々と体現していく。

盛大なコールとハイジャンプを巻き起こした「SIXTEEN」、「go crazy」でいつか見た景色へとみんなを引き連れていった後は、MCで「今回のアルバム『eternal flames』は通算10枚目のオリジナルアルバム。自分の思いを詰め込んで作ったアルバムです」と、新作について触れ、その作品に収録されたミディアムバラードを立て続けにパフォーマンス。3連の甘いメロディが印象的な「Immortal galaxy」は、サポートドラムの有松益男（BACK DROP BOMB）が畳み掛けるウエイト感ある粋なビートの連打が曲を癖のあるナンバーに仕上げ、「dream on」は間奏でmasasucks（the HIATUS、FULLSCRATCH、RADIOTS）がギターで感動ポイントを刺激。そして、このツアー初披露となる「with you」、「Jayne」と大切なナンバーを届けていった。

その後は、サポートメンバーたちと繰り広げる“ガチ”な熱いセッションでフロアの体温を高め、「東京、全開でいくぞー!! 」とお立ち台の上からJが叫び、これを合図に後半戦へ突入。「BUT YOU SAID I’M USELESS」のイントロが響くとフロア一帯でクラップが起こる。曲間でJが「masa（＝masasucks）！」「ゴッチン（溝口和紀・G／ex.ヌンチャク）！」と両サイドに構えるギタリストをコールして煽り、そこにJのベースも加わりパワフルなユニゾンをキメたあとに、それらのすべてのエネルギーをmasasucksがギターソロへと直結させてフロアへぶっ放していったときの開放感はたまらなかった。そのmasasucksと溝口が迫力あるパワフルなプレイで曲を引っ張っていく「never gonna die」から、「addiction」を投下。腕を突き上げながら、会場は一丸となってシンガロング。そうしてフロアのテンションが最高潮に達したところで、観客のoiコールが沸き起こる場内に「break」を解き放ち、会場全体がものすごい一体感に包まれていったところで、本編は終了した。

観客の「J！」コールに呼ばれ、本編で着ていたチェック柄のノースリーブシャツをツアーTに着替え、再びステージに現れたJは、まず今回のツアーを振り返り「とても大きな意味を持つツアーだった」と伝えた。10作目という節目のアルバムだったこともあって『eternal flames』は1回作った曲を何度も見直し、ゴミ箱に捨てるということを繰り返して「“これが俺だ。間違ってないよな”といえる音をRECした」作品だったこと語った。そうして作った作品も今回のツアーも、自分の思い、こだわりを込めてより純度の高い音楽活動を目指したものだったからこそ「ツアーが終わったら何も無くなるんじゃないか」と心のなかで思っていたこともファンに告白した。

「でも、いいライヴが新しい刺激を与えてくれて。最終日、ここに立っている俺は充電MAX!! すでに漏電気味で（笑）。新しい曲も書き始めているし、新しい計画を立てたりしています」

それを聞いて湧き上がるオーディエンスは、誰よりも早く新しい計画『J 2016 LIVE 10 days of GLORY-10 Counts for Destruction-』をJ本人からサプライズで伝えられ狂喜乱舞。「ファイナル、あと少し熱くなっていこうぜ」とJが鼓舞してベースを鳴らし、アルバム曲の中でも、オーディエンスが“これきた”感満載で大盛り上がりに燃え上がった「Believer」からアンコールがスタート。

「デカイ声で歌ってくれ！」といって放った「NOWHERE」のサウンドで心地よい風を呼び込んだ後、「最後にこの曲にすべてを込めて。お前たちの胸にある永遠の炎を俺たちに見せてくれ！」と叫んで始まった「Feel Your Blaze」。これをみんなで大合唱したときの達成感。ここで再び、各々のなかにある炎がとぎれないように火を大きく燃やしてライヴは終了。

「この熱を持ったまま、ガンガン行きたいと思います。次会うときまで、何があっても、くたばんなよ！」

再び、メラメラと心の炎を着火されたフロアからは終演のアナウンスがあった後も「J！」コールが鳴り止まない。その熱を受け、Tシャツを脱いで上半身裸になって再び姿を表したJはとびきりの笑顔で「また会おうぜ。GOOD NIGHT！」と挨拶してステージを後にした。そして会場を出るファンたちには、この炎が途切れないように『J 2016 LIVE 10 days of GLORY-10 Counts for Destruction-』のフライヤーが配布された。

撮影＝Hiroe Yamauchi　　文＝東條祥恵

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