Fear, and Loathing in Las Vegas 熱狂とともに走りきり、締めくくった初単独ツアー
Fear, and Loathing in Las Vegas
『FIRST ONE MAN SHOWS TOUR 2016』 2016.5.7 Zepp Tokyo
今年1月に行なった初の日本武道館単独公演の興奮も冷めやらぬ中、バンドとして初のワンマンツアー『FIRST ONE MAN SHOWS TOUR 2016』を行なったFear, and Loathing in Las Vegas(以下、FaLiLV)。今夏には大阪で開催する初の大型主催イベント『MEGA VEGAS』も控えており、2016年に入ってから初物づくしな彼らだが、今回のツアーは札幌、福岡、名古屋、東京のZeppを廻るというもの。最終日となった5月7日(土)Zepp Tokyo公演は、これまたバンドにとって初となる、前日の名古屋公演と2日続けてのワンマンライヴ。異常なまでのハイボルテージでステージを繰り広げる彼らなだけに、さすがに体力の消耗も激しいはずだが、そんな疲れを微塵も感じさせない灼熱の90分間となった。
Fear, and Loathing in Las Vegas
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フロアに流れているBGMの音量が少し大きくなったことに気づいたオーディエンス達がクラップし始めた直後、場内が暗転。大歓声をあげ、すでに臨戦態勢が整っている超満員のオーディエンス達の前に、メンバー全員がステージにダッシュで飛び出してきた。オープニングトラックは「Chase the Light!」。イントロの8bitサウンドが鳴り響いた瞬間に、フロアからは凄まじい歓声とオイコールが巻き起こり、「楽しんでいこうぜ!」とSo(Vo/Pro)が絶叫。ステージから放たれた爆音に、一瞬でフロアがカオスと化した。続出するクラウドサーファーを煽るように、Minami(Vo/Key)もフロアに身を乗り出し、熱狂を煽っていく。
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そこから続けて、Sxun(G)のメタリックなフレーズから「Scream Hard as You Can」へ。「そんなもんかお前ら!」とSoが再び激しく焚きつければ、Taiki(G)もギターをかつぎながらフロアを挑発。そんな狂騒を煽りに煽る前線に負けないパフォーマンスを交えながら、Tomonori(Dr)は一撃一撃がとにかく強烈なドラミングでボトムを支え、そこに絡んでいくKei(B)も暴れ回りながら、時折すさまじいフレーズを盛り込んだりと、ステージのどこを観てもひたすら見せ場のオンパレード。瞬く間にたちこめた熱気で室温が上昇し、椅子に座ってレポートしているだけで汗が噴き出してくる、文字通りの灼熱地獄となっていた。
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今回のツアーのセットリストは、これまでに彼らが発表してきた全作品から満遍なく曲をピックアップして構成するというコンセプトで、しかも各会場で異なる流れを持つものになっていた。東京公演では、最新作『Feeling of Unity』はもちろん、「Take Me Out!!」や「Solitude X'mas」といった1stフルアルバム『Dance & Scream』収録曲や、未音源化の「Why Couldn't I Say The Last Good bye To You?」といった初期曲を、鍛え抜かれた最新モードのFaLiLVとして披露し、オーディエンスを歓喜させていた。他にも、極悪なブレイクダウンを交えた「In the End, the Choice is All Yours」やビッグスケールを描き出す「Journey to Aim High」では、Sxunと、ショルダーキーボードに切り替えたMinamiがお立ち台に立ってソロを披露したりと、ピーク状態をまったく落とすことなく曲を乱打していく。
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また、SxunのMCでわかったこととして、この日はFaLiLVのワンマンを初見のオーディエンスがかなり多かった。というのも、FaLiLVが、関東地方で行なった単独公演は、これで2度目。初公演となった武道館(という事実がやっぱりどう考えてもすごすぎる)も、がソールドアウトしていたため、「どう頑張っても観れない」というオーディエンスはまだまだ多いだろう。しかし、これまでのツアーや大型フェスで彼らのライヴを体験しているオーディエンスは多く、ワンマンは初見とは言えども、筋金入りのフリークばかり。彼らのライヴに飢えていることがよくわかった。事実、曲展開がめまぐるしく繰り返される彼らの楽曲がしっかりと身体に染み込んでいて、ジャンプにツーステップにヘッドバンギングにと、すばやくモードを切り替える。そして、フロントマンの2人のみでなく、楽器隊もフロアのノリをしっかりと先導していくのもあって、どれだけ複雑な構成であろうとも、フロアにいる誰ひとり置いて行かず、激しい絶頂へと導いていた。
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Sxun「これからも、自分達の音楽をもっと突き詰めて、もっとかっこいい曲、もっとおもろい曲を作って、もっと激しいライヴをやってみんなを楽しませて行くから、これからもラスベガスについてきてください!」
クライマックスは、オーディエンスが手を合わせて何度も上げ下げする「Virtue and Vice」から、「全員で頭真っ白になるまで、全部出しきろうぜ!」というSoのアジテーションを挟んでの「Stay as Who You Are」。メタルコアな前半パートでは、真っ赤に照らし出されたステージからオーディエンスの全体力を奪うかのように獰猛な音塊をぶっ放し、一点、後半ではレイヴィーで多幸感のあるエレクトロサウンドでフロアを一体化させつつ、歌詞に綴られた<I'll never fade away forever>という一節で、バンドの信念を高らかに宣言していた。全曲終了後、「ありがとう!」と連呼するSoは、「俺達はこれからもこうやって、めっちゃくちゃ熱いライヴをぶちかまして行くから、これからも一緒にライヴしようぜ!」と叫び、初の単独ツアーを締め括った。
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FaLiLVは、冒頭に記したように、8月19日に大阪・舞洲サマーソニック大阪特設会場にて、主催イベント『MEGA VEGAS』を開催することになっているが、この日のMCで、ゲストアーティストの第一弾としてでんぱ組inc.が出演することが発表された。両組はかつて『「PHASE 2」 Release Tour Final Series』にて共演しており、あの興奮が再び大阪で蘇ることとなる。引き続き、第2弾アーティストも発表されることになっているが、様々な音楽を飲み込んでいるFaLiLVなだけに、どんなジャンルのアーティストが登場し、どんな景色を繰り広げるのか予測不能。今夏の一大イベントとして、是非とも楽しみにしていてほしい。
撮影=Shingo Tamai / Taio Konishi レポート・文=山口哲生
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