旬のアーティスト全11組が大阪城の下に集結! Rockin'Radio!-OSAKA JOH YAON-をレポート

2016.5.20
レポート
音楽

Rockin' Radio

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「Rockin'Radio!-OSAKA JOH YAON-」
2016.5.15 大阪城音楽堂

大阪No.1ミュージックステーション・FM802が主催する、旬のロックバンドが集結する関西発オムニバスロックイベント「Rockin'Radio!-OSAKA JOH YAON-」が5月15日(日)に開催された。毎年春に行われ、4回目となる今回も舞台は例年どおり、野外ステージの大阪城音楽堂。まさに五月晴れといった青空の下、オープニングアクトを含む豪華全11組が登場し、それぞれのロックを大阪の空に響かせた。聴きごたえ、観ごたえたっぷり! 11:00のスタートから7時間半以上に及ぶ、グッドミュージック三昧の1日をご報告!!

 

 

11:00の開場と同時に始まったのはオープニングアクト。ここで登場したのは毎週金曜放送中のFM802「ROCK KIDS 802 FRIDAY」と音楽プラットフォーム「Eggs」が行った投票により選ばれた2組だ。

Rockin' Radio / Shout it Out 写真提供:FM802 撮影:渡邉一生

まずトップを飾ったのは、地元・大阪府堺市を拠点に活動するShout it Out。オープニングナンバーの「光の唄」は、10代のメンバーを中心とした彼ららしい初期衝動と疾走感がたっぷりで、入場中の観客の気持ちをはやらせる。その証拠にアッと言う間に客席が埋まり、さらに会場後方でも立ち上がりステージに向け手を伸ばす人の姿が……。追い打ちをかけるように「たくさんの人のおかげでここに立てた。ただの前座で終わるわけにはいかない!」(山内)と、今の自分たちをさらけ出すような「若者たち」や、“今を生きる”決意を乗せた7月6日(水)リリースのメジャーデビューシングル「青春のすべて」などを立て続けに披露。ドキリとさせられる生々しい言葉とストレートなギターロックは、胸に突き刺さり多くの人の記憶に焼き付いたはずだ。

Rockin' Radio / Brian the Sun 写真提供:FM802 撮影:渡邉一生

 続くもうひと組のオープニングアクトは同じく大阪発の4人組、Brian the Sun。1曲目「アレカラ」は、じわりと響くボーカルからスタートし、これまでの会場の空気を変える。時にメロディアスに、時にダンサブルにと表情を変える、彼らの楽曲の自由なムードは観客にも伝わり、その身を思い思いに音楽に任せ揺れ出す。加えて「神曲」では、心をチクッと刺激するような言葉がキャッチーなサビに乗り、初夏の大阪城音楽堂の緑豊かな景色と溶け合い広がる。またMCでは、森(Vo&G)と白山(B)の大阪出身らしい掛け合いでリラックスした空気も感じさせ、自分たちのペースで会場をリード。そんな堂に入ったライヴに、今後の活躍が楽しみになる。そしてラスト、6月1日(水)リリースのメジャーデビュー曲「HEROES」では、MCの軽やかさと対照的にシリアスな横顔も見せ、熱を帯びる余韻を会場に残して行った。

 

 

 ここでイベントのMCを務めるFM802のDJの3人、土井コマキ、飯室大吾、鬼頭由芽が登場。高らかに「Rockin’Radio」の開幕を告げると、オープニングアクトで既に高まりに高まった会場の期待の塊が一気に爆発したように歓声が上がる。

 

Rockin'Radio! / WANIMA 写真提供:FM802 撮影:JP

 その期待を受けて立つかのように勢いよく現れたのが、PIZZA OF DEATH RECORDSの新星・WANIMA。リバーブたっぷりの「ワニマー ピザ オブ デス」のコールで煽る「ここから」は、1曲目にも関わらずシンガロングで客席と圧倒的な一体感を生み出し、ロックキッズたちのWANIMAへの愛の大きさを感じさせる。彼らの愛に応えるかのようにMCでも「今日は(モッシュ禁止だから)手でモッシュ! #手でモッシュ!!」「長髪が苦手な人、すみません! 朝イチからウザくてすみません!! タニマです、あ、ワニマです(笑)」(KENTA)とたたみ掛けると、もちろんライヴも「つづくもの」「いいから」「TRACE」へと曲を重ねるごとにヒートアップ。オーディエンスも待ってました!とばかりに晴天の下で夢中になって踊る。そして攻め立てるように放たれるWANIMAの音が形作る景色は爽快そのもので、これぞ“Rockin'Radio!の醍醐味”といったところ。また一方、熊本出身の彼らは、4月に起きた熊本地震に関するコメントも「熊本に協力してくれた人ありがとうございました。熊本のためにWANIMAが動くときは力を貸してください」(KENTA)と残し、最後は彼らのあふれる感謝の気持ちを「THANX」に乗せて締めくくった。

 

Rockin' Radio / SUPER BEAVER 写真提供:FM802 撮影:渡邉一生

 その後、会場のテンションも気温もグングン上がるなか、「うるさければ耳を塞いで でもあなたの声は聞えてるよ 大切だから言わせてよ」と、莫大な熱量を感じさせる4人のユニゾンで、切り裂くように1曲目「うるさい」をスタートさせたのは、SUPER BEAVER。スピードと重厚さが共存する彼らの音楽に、ヒリッと観客が舞台へ集中したのが伝わって来る。次の「あなたを100%信用して歌います」(渋谷)の言葉で始まった「らしさ」は、ひと言ひと言、語りかけるように紡ぎ出すボーカルと、強く優しく心をなでていくバンドサウンドが、彼らの人となりを表しているよう。MCでは、6月1日(水)にドロップするアルバム「27」と、FM802が同日に開局27周年を迎えるという偶然の一致を発表し、「これが“呼ばれた”ってこと。もし(一致が)計算だったらすごい媚び方だよ(笑)」(渋谷)と、今日の出演がどこか運命的なものであると冗談交じりに話し、柔らかな空気も作る。その後「青い春」「証明」という、彼ららしい衝動と普遍が入り混じり、人の温度感を感じるナンバーでグッと客席と舞台の距離を縮めると、最後の曲には「たかだか音楽だけど、でもこれ(音楽)にすべてを乗せて歌えないかなと……」(渋谷)と、ロックバラード「人として」をセレクト。頷くようにして聴き入る観客の姿は、SUPER BEAVERの思いが確かに伝わったっていること物語っていた。

 

Rockin' Radio / ドラマチックアラスカ 写真提供:FM802 撮影:渡邉一生

 次に「のっけからついて来れないなんて、ムリムリ~」(ヒジカタ)と、会場をいっきに“アゲムード”に変えたのはドラマチックアラスカ。「無理無理無理」の気持ちよく躍らせてくれる四つ打ちダンスロックが鳴り響くと勝手に体が動き出し、誰もが心も体も開放する。彼らのほど良くゆるい空気感が野外ライヴの気持ち良さをさらに増幅。そんな観客の気持ちを察したかのように、次は会場を突き抜ける拍子木の音から始まる「ニホンノカブキ」へ。「よぉ~っ」の掛け声や、和を感じさせるギターリフが、彼ら独自の世界へ引き込む。客席からも「よっ、アラスカ!」の声が上がり、「東京ワンダー」「人間ロック」と続けば、ポップかつどこか怪しげな“アラスカワールド”が会場を支配。加えて、これでもかとばかりに最後にサプライズが! 夜の本気ダンスの米田貴紀と、この日バンドの出演がないフレデリックの三原健司が登場し、「アラウミドスメドレー」を繰り広げる。今、人気急上昇の関西3バンドの“いいとこ取り”のナンバーに、悲鳴にも近い歓声も聞こえ、すべての人が踊りまくる光景は、まさにこの日ここでしか見られない貴重なワンシーンとなった。

 

Rockin' Radio / サンボマスター 写真提供:FM802 撮影:JP

 盛り上がりも最高潮!と思わせたが、さらに続けて会場を熱く熱く湧かせたのが、次のサンボマスター。「大阪春の陣、よろしく!」(山口)のひと言から、「世界をかえさせておくれよ」「ミラクルをキミとおこしたいんです」とおなじみのナンバーを連続で響かせれば、オーディエンスも高まりきって「うぉ~」という地鳴りにも似た雄叫びが……。当然、「あんたらと恋人になってやる」「俺はおめえとミラクルを起こすために来たんだ」と早口でまくし立てる“山口節”も炸裂。そして名曲「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」が流れ出せば、何度も聴いているはずのこの曲なのに、初めて聴いた時と変わらない感動が生まれ、サンボマスターの魂に触れている感覚を覚える。気付けば、全員で「愛と平和!」大コール。そして観客のみならず、演者も客席に出て拳を突き上げているのだから、やはり圧巻!というべきパフォーマンスだ。照りつける太陽とサンボマスターのステージの組み合わせは、盛り上がりを別次元へと押し上げ、高揚感が半端ない。最後は「できるんだ!できるんだ! できるんだーっ!」(山口)のアジテーションから「できっこないをやらなくちゃ」へ。ミドルテンポがジワッと胸を熱くし、ラストの「アイワナビーア君の全て!」の絶叫でバースト! 約30分とは思えないハイカロリーアクトだった。

 

 

Rockin'Radio! / Suchmos 写真提供:FM802 撮影:渡邉一生

 そしてこの日、リハーサルから体を揺らす人が最も多かったであろう、Suchmosのステージに。茅ヶ崎からやって来た彼ららしく、SEも波の音。「今日はいい波持って来たからいい感じに揺れよう!」(YONCE)とコールし、大阪城音楽堂がビーチの雰囲気に包まれる。「Pacific」「YMM」と、ゆらゆら揺らめく開放感たっぷりのヨコノリナンバーが流れると、その心地良さに思わず恍惚とした表情を表す観客が続出。「Get Lady」では、YONCEのファルセットを交えた英詞ボーカルが、会場を漂い満たしていく。そして、「(大阪城)天下人の城ですよ。俺たちの天下取りの第1歩だ!」と、まさに天下取りに大手をかけたヒットナンバー「STAY TUNE」がスタート。もちろん、このパーティチューンを待ちわびていた人は多く、いっきに会場が沸騰。90年代のAcid Jazzシーンを思わせるグルーヴは今目にしている風景を鮮やかに色づけ、Suchmosの存在を観客の心に刻み付ける。そしてラストは「ジーンズが色あせてボロボロになるようにずっとやってる曲」(YONCE)と、7月に発表する3rd E.P.「MINT CONDITION」から「MINT」をチョイス。クールなアクトはもちろん、ライヴならでは、「これがヨコノリ!」と叫ぶYONCEの熱っぽさも堪能できた全5曲になった。

 

Rockin' Radio / Keishi Tanaka 写真提供:FM802 撮影:JP

 イベント後半戦、16:30過ぎ。暑さもピークを越えた頃、ハッピーな空気をまとって姿を見せたのは、Keishi Tanaka。軽快なリズムの「Wonderful Seasons」でステージの幕を開けると、さらにテンポアップして「It’s Only My Rule」へ。突き抜けるサックスとトランペットの音色に寄り添う伸びやかなボーカルは爽快感、抜群。さらに「Foggy Mountain」ではアコースティックギターを手に取り、どこかほっとするような優しい音の波紋をステージから最後尾の芝生エリアにまで広げていく。曲の最後では「霧を待つ僕ら 星を呼ぶ僕ら」のシンガロングが起り、会場が一つに。さらにアッパーでキャッチーな「Hello, New Kicks」でキラキラとしたパーティムードを生み出すと、もう1曲!とばかりに「Floatin' Groove」が始まる。弾ける鍵盤の音につられ、オーディエンスも思い思いにKeishi Tanakaのグルーヴに身を委ねる。自由度の高い彼の音楽の気持ちよさを堪能していると、Keishi Tanaka自身もステージから降り、歌いながら歩き出し、なんとアリーナを突っ切って芝生エリアにあるPA席付近まで! これには客席はもちろん大盛り上がり。最後方でのんびり座って見ていた人も総立ちになり、最後までハッピームード満点でクライマックスを飾った。

 

Rockin' Radio / cero 写真提供:FM802 撮影:渡邉一生

 そして17:30頃、涼やかな風にインストゥルメンタルの「Summer Soul」を乗せ、夕暮れの始まりを告げたのはcero。髙城の奏でるフルート、トランペット、サックス、SEのノイズ音、1曲目からアッという間に辺りはcero独特の音世界一色に……。ゆったりとしたベースと軽やかな鍵盤が絡み、難解なようで抵抗なくスッと体にしみ込んでくる「Elephant Ghost」、そして詩を音読するようなラップとさまざまな音色が重なり、どこか夜の色合いを含む「わたしのすがた」と続き、曲ごとにわくわく、ぞくぞくする気持ちがどんどん膨れ上がっていく。続く「Yellow Magus」では、メロウかつソウルであり、さらにダイナミックさもミックスされた彼らの音のパワーを発揮。言葉少なに展開されるステージだが、その音楽からは表現が無限であることと、ceroからのメッセージが十分に伝わってくる。ラストの「Orphans」はすべてが小気味いいアレンジと、ふっと背徳感も匂わせるような言葉に、浮遊感もマックス。わずか5曲で、思う存分に脳内トリップを楽しませてくれた。そして気づけば大阪城音楽堂もすっかり夕方のひんやりとした空気に包まれる。

 

Rockin' Radio / 夜の本気ダンス 写真提供:FM802 撮影:JP

 18:30少し前、夜の足音が近づいて……となれば!と言わんばかりに登場したのは、夜の本気ダンスだ。「僕と一緒に歌ってくれませんかー?」(米田)と、「By My Side」からスタート。「yeah yeah yeah」のサビでは、1曲目から準備万端!というように全員が叫びながら手を高く天へと伸ばし、踊る、踊る……。さらに「ロックミュージックで踊れますか?」(米田)と、「fuckin' so tired」に続く。シャープなビートに誰もがさらに煽られ、気分も上々に「ナナナナ……」のコール&レスポンス。またMCタイムでも、下ネタや同日同時間に大阪府内で開催されている別イベントのことに触れ、音楽同様にキレッキレのトークを繰り広げる。そこから前述の別イベントに負けないための強力ゲストとして呼び込まれたのは、髭の須藤寿! 「来たよ~♪」(須藤)と、彼独特のフワッとしたテイストで表れた須藤と共に「ボニー&クライド」(髭)と「Dookie Man」の2曲を披露。少しスイートでハスキーな須藤のボーカルが加わったスペシャルなアクトは、この会場にいた人だけが聴くことができたもの。これが「Rockin'Radio!-OSAKA JOH YAON-」の“お得”なところだ。完全に日も暮れ照明がステージを照らし出すなか、四つ打ちダンスロック「WHERE?」、そして「Crazy Dancer」を連発。歌って踊って、踊って歌って、全員が完全燃焼の状態となった。

 

Rockin' Radio / クリープハイプ 写真提供:FM802 撮影:渡邉一生

 時刻も19:00を過ぎついにラストステージに! この日の大トリを務めたのは、クリープハイプ。1曲目は「イノチミジカシコイセヨオトメ」で、エッジーなリリックを乗せたトレードマークのハイトーンボーカルが空高く響き渡り、会場は“クリープハイプ色”に染まる。さらにブルーのライトに照らされ始まった「憂、燦々」で、まさに“青い世界”を歌い上げ観客の心をさらうと、自然発生的にクラップも起る。「最後にやらせてもらうことはあまりないのでうれしいです!」(尾崎)とMCでは感謝を述べつつ、「初めてFM802に出た時は、二日酔いで控室みたいな所で寝かせてもらって……徹夜で働く人たちの匂いがする布団で寝たんですよ」(尾崎)と、おかしくも大人には少しホロ苦いエピソードも告白。ひょっとしたらそんな経験が尾崎の唯一無二の詞世界につながるのかもしれないと思わせると、そんな大人の心のひだや哀愁を詰め込んだ「二十九、三十」へ。一語ごと噛みしめるように聴き入る観客の、照明に照らされうっすら浮かび上がる横顔に彼らの心が動いたことを感じる。さらに「バンドのことは忘れても、この曲の感じが残ればいいなと思います」(尾崎)とアコースティックギターを手にして弾き語りのイントロからラストの曲「傷つける」へ。ささやくようであり、絞り出すような歌声に思わず全観客が曲の世界に入り、静寂が訪れる。それは上空を行く飛行機の音が聞こえるほどだった。

どこか寂しさにも似た感情が胸に沸き上がると同時に、会場にはアンコールを求める拍手が……。数分後、それに応じて4人が再登場すると、「あんなしっとりと終わるのは……(笑)」と尾崎からもひと言。さらに「いろんな意味でイキましょう!」(尾崎)の言葉どおりに欲望と愛情が入り混じる「HE IS MINE」で最後の最後も躍らせ、ファンにはおなじみの「今度会ったら セックスしよう!」のコールもビシッと決め、“全員昇天”の大団円を迎えた!

 

終演後はイベントMC3人に加え、会場に来ていたFM802のDJ陣が壇上に……。観客を背に記念撮影で盛り上がった。豪華ラインナップが全力のパフォーマンスを見せた1日。その充足感に満ちた観客の笑顔からも、大成功に終わったことは言うまでもない。そして、「Rockin'Radio!」が、完全に毎年初夏の風物詩になったことも明らか。来年の開催が、今からもう待ち遠しい!

 

文=服田昌子

 

このライヴの模様はこの後ラジオでオンエア!!詳しくは↓

オンエア情報
5月20日、5月27日
21時~「ROCK KIDS 802 FRIDAY」の番組内で
↑Rockin’Radio!の模様が特集オンエアされます。

http://funky802.com/service/homepage/index/1521