MAN WITH A MISSION、"新たなる進化"と"変わらない良さ"を出しきったツアーファイナル

レポート
音楽
2016.5.19
MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

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The World’s On Fire TOUR 2016 2016.5.18 新木場STUDIO COAST

最早アリーナクラスの会場をゆうに埋めることのできるモンスター・バンドへと進化を遂げた狼5匹組バンド・MAN WITH A MISSION(以下、MWAM)。そんな彼らが4thアルバム『The World’s On Fire』のリリースツアーで選択したのは全国24箇所25公演からなる”ライヴハウスツアー”であった。当然のことながらチケット入手は超激戦となり、全公演がSOLD OUT。ライヴハウスとしては最大規模を誇る新木場STUDIO COASTでのファイナルを含む2日間も、当然SOLD OUTのなか行われた。

プレミアと化したチケットを幸運にも入手したファンが埋め尽くす場内が暗転した次の瞬間、いきなり緑色のレーザーがフロアに向けて立体的に照射され、ツアータイトルの刻まれたバックドロップが何やら妖しげに紫色に浮かび上がった。SEはいつものバッド・レリジョンの「Man With a Mission」ではなく、デジタル風の低いサウンドが響く。登場する5匹に興奮を抑えきれない声が飛ぶ中、突如として「Survivor」の硬質なギターリフが投下され、そのヘヴィではあるものの重々しさを感じさせない切れ味鋭くタイトなアンサンブルで、あっさりとライヴの火蓋が切って落とされた。

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

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「カカッテコイ!!」とジャン・ケン・ジョニー(G/Vo/Rap)が絶叫して雪崩れ込んだのは「Dive」。疾走するイントロ、差し込まれるスクラッチ、「モット来イヨ!」という容赦ないアジテーション。オーディエンスは無我夢中で前へ前へと押し寄せていく。巨大かつ横に広い会場で人が渦を巻いていく様子は迫力十分だ。ジャン・ケン・ジョニーからの最初のMCでは「食ベラレル準備ハ出来テルカ、逆ニ食ベテヤロウッテイウ準備ハ出来テルカ? 要スルニ、オ前ラ全員カカッテコイッテコトダ!」と会場にさらなる燃料を投下する発言。いやはや、本当に容赦ない。続く「Give it Away」では中央のお立ち台でトーキョー・タナカ(Vo)とカミカゼ・ボーイ(B)が絡んだり、DJサンタモニカ(DJ)が客席に飛び込んだりといった一挙手一投足にも大きなリアクションがあり、ボルテージは上昇する一方だ。

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

この日はアルバムリリースツアーのファイナルにあたるため、割合としてはアルバムからの楽曲が多くほとんどの収録曲をやったのだが、体感的にはむしろ既存曲が多く感じるほど。新曲中心のライヴの場合、いまひとつノりきれないまま進んでいくことも少なくないのだが、そんな状況は皆無だ。アルバムの楽曲たちがしっかりと浸透している事実や、それ以前の楽曲と並べても違和感のない一貫性を持っている現れであることは間違いないが、なんといっても既存の人気曲の入れ込み方が完璧なのだ。

メドレーでは最初期からの人気曲を揃えていたし、「Take What U Want」では冒頭にスペア・リブがお馴染みのドラムフレーズを叩き出した瞬間に「待ってました」とばかりに大歓声が上がり、トーキョー・タナカがマイクスタンドごと客席にマイクを突き出せばシャウト部分を会場全体が絶叫。中盤から後半にかけて演奏された「Get Off of My Way」でお馴染みの”ゲロンゲロン”と左右の手を交互に頭上にかざすノリ方や、「FLY AGAIN」のサビで掲げた両手を左右に展開するのもそうだが、随所に鉄板で盛り上がる曲をちゃんと入れてくれている。ミュージシャン側の主張やエゴはもちろん大事なのだが、それ以前にファンが何を求めているか、もっと言えば「MWAMのライヴに来た人は何を聴きたくて何をやりたいのか」を彼らはちゃんと分かっていて、大切にしているのだ。それは選曲に限らず演出やステージアクションにおいても同様で、それを徹底しながら常に新たなフェーズも提示してくれるあたり、MWAMの魅力における重要な要素であることを改めて実感した。

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

ライヴに話を戻す。途中、「バンドハライヴハウスカラ生マレルモノダト信ジテオリマス」「コレカラモバンドハモチロン、ライヴハウスシーンヲ支エテヤッテクダサイ」というこのツアーの真意が垣間見えるようなMCも挟みながら、エモーショナルでメロディアスなサビをボーカルの2匹のハーモニーが際立たせた「followers」、不穏なリフとディープサウンドをどこか軽快なリズムが導く「Mirror Mirror」、ジャン・ケン・ジョニーが高速ラップを繰り出し、トーキョー・タナカの雄々しく吠え、ゼブラヘッドとのコラボレーション楽曲をMWAMのみで見事に完遂した「Out of Control」、その大きなスケールがすっかりアンセムとして浸透した「Seven Deadly Sins」など、『The World’s On Fire』収録の楽曲をライヴならではの迫力と演出で届けていく。演出面でいうと、この日は炎が出たりテープが出たりといった大掛かりな演出はなく、あくまでもライヴハウスサイズに則ったステージ作りであったのだが、十二分に視覚面のスペクタクルを感じさせてくれた。特にステージ後方のタワー型の照明は上下に動き、どこか有機的にさえ感じさせていたのだが、唯一、ごくシンプルなスポットライトを浴びて披露されたのは「ワンダーランド」。ジャン・ケン・ジョニーとサポートのギタリスト・E.D.ヴェダーのみで、アコースティックギターの音色と情感たっぷりの歌声で会場を包んでいった。

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

ちなみにこの日、いつも以上に脚光と黄色い声を浴びたのはスペア・リブ。まずインターバルで流れたミッション動画が「スペア・リブ(6)がバンドとは別に夜な夜な黒い交際をしている」と週刊誌にすっぱ抜かれ、ジャン・ケンが尾行したところ、実はゴリゴリなメタルコアのバンドをやっていたーーというストーリーであったし(当然フィクション)、DJサンタモニカとドラム×DJプレイのセッションで沸かせた後には2匹で仲良く手をつないでみたり、しまいにはキス(?)をしてみたりと、しゃべることのない2匹が会場に向けて音とジェスチャーで語らう時間は、観客の心を奪いまくっていた。

本編を締めくくったのはアルバムの表題曲「The World’s On Fire」。その前のMCでは地震被害により延期を余儀なくされた九州地方の会場についても触れ、「我々、必ズヤリマスノデ待ッテテクダサイ」と語ったMWAMは、その言葉を裏付けるかのように優しさと力強さを感じさせるサウンドを展開。決して激しい楽曲ではないが、クライマックスに相応しく確かな想いと、それをしっかりと眼前のオーディエンスに伝える熱が存在した。アンコールで再び登場した後は、直近のシングル2作品「Memories」と「Raise your flag」で畳み掛け、コール、シンガロング、ジャンプ、クラップとライヴの醍醐味を凝縮したパフォーマンスを叩きつけ、ステージを去っていった。

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

彼らの、そしてほとんどのバンドマンにとっての原点であり、主戦場であるライヴハウス。良いライヴをして人気が出れば出るほど会場が大きくなり、その至近距離で音と息づかいまでも味わう肉弾戦の醍醐味に触れづらくなる……というジレンマはあるものの、このツアーはやはりファンにとって格別の体験として刻まれたに違いない。その一方で、MWAMは大会場への適性が非常に高いバンドであることもまた事実。彼らの音楽にはライヴハウスで音と汗とダイバーでもみくちゃになるのがよく似合うメロコア由来の成分と、スタジアムクラスでド派手にかますハードロックやメタル由来の成分、「踊る」というフィジカルと本能に訴えかけるダンスやミクスチャーの成分とが高次元で融合している。

この日発表された追加公演の東京開催、会場は幕張メッセ。しかも2DAYSだ。今回のツアーで涙を飲んだ方、今度はどデカい会場と演出で『The World’s On Fire』のライヴに触れてみてほしい。そっちも間違いなくかっこいいし面白いはずだ。彼らは期待を裏切らない。


レポート・文=風間大洋

MAN WITH A MISSION Photo by Nobuyuki Kobayashi, Daisuke Sakai (FYD inc.)

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セットリスト
The World’s On Fire TOUR 2016 2016.5.18 新木場STUDIO COAST

1. Survivor
2. Dive
3. Give it Away
4. Take What U Want
5. database
6. followers
7. Get Off of My Way
8. Mirror Mirror
9. Out of Control
10. Emotions
11. メドレー
(DON’T LOSE YOURSELF~evils fall~DANCE ENERYBODY)
12. ワンダーランド
13. Seven Deadly Sins
14. FLY AGAIN
15. The World’s On Fire
[ENCORE]
16. Memories
17. Raise your flag
 
リリース情報
映像作品「狼大全集Ⅳ」
2016年6月29日(水)リリース
[初回生産限定盤]DVD2枚組 SRBL-1705~06 ¥4,380+税
[通常盤]DVD1枚組 SRBL-1707 ¥3,780+税
[Blu-ray]Blu-ray1枚組 SRXL-98 ¥4,780+税
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