"今最も危ないバンド" NATURE DANGER GANG　リーダー・SEKIが語る「無意味であることの意味」とは

先日結成3周年を迎えた今最も危険なバンドNATURE DANGER GANG。どこからどこまでがステージで、一体誰がメンバーなのか、それすらわからないパフォーマンス。でもなぜだろう、メンバーも観客もみんなすこぶる楽しそうなのだ。「生きてるってなんだろう？」良くも悪くも五感を刺激するバンドNATURE DANGER GANGの謎に迫るべく、リーダーのSEKIにインタビューを行った。

－－バンド結成の経緯について教えていただけますか？

最初どついたるねんのリミックスをSoundcloudに上げていたのをDJの黒木さんという人が評価してくれて、そこから聞いてもらえるようになったんです。その流れがあったあと、Have a Nice Day!を見に行った時に、今のレーベルの社長と知り合って売り込んだという感じですね。

－－メンバーは元々のお知り合いだったんですか？

初期メンバーはそうですね、僕の音楽仲間というか友達です。NATURE DANGER GANG（以下、NDG）を組む前にやってたバンドの奴とか地元の仲間とかですね。

－－前のバンドでもずっとボーカルをやられてたんですか？

いや、ボーカルをやりだしたのはNDGからです。それまでずっとドラムやってました。高校の時から10年くらい。正直、緊張しいなんで人前に出るの恥ずかしいんですよ（笑） 楽器やるのが好きだったんですけど、楽器やめて歌ってみたら周りからすげー褒められちゃって、あれ？みたいな。でもそれはそれで心地よくて、一回パフォーマーとしてライブをやって受け入れられてみたら「ああ、やってよかったな」と思いました。恥ずかしさは未だになくならないけれど、できるようになりましたね。

－－メンバーの中で一番の推しメンはどなたですか？

キャラが濃いのは春太郎ですね。元落語家なんです。専門学校で出会って、一番最初に会った時あいつは綾波レイのTシャツをビリビリにして安全ピンでとめているみたいな、オタクとパンクを融合したファッションをしていましたね。こいつやばいなと思いました。めちゃくちゃ派手で金髪で、でも話してみたらすごく面白くて。それで仲良くなったって感じです。
・・・やばい、俺めっちゃまともに答えてる(笑)

－－ぼく脳さんにインタビューした際もおっしゃっていましたよ。「きっとSEKIさんは真面目なことしか言わないだろう」って。

あー、そうやってあいつは俺を笑おうとするんだよ(笑)そういう奴なんだよ！
でもたぶん、ステージがやばい奴ほど普通だと思います。本当にやばい奴は楽屋が一番やばいんです、人前で何したらいいかとかわからないんですよ。あと、本当にやばい奴って、人前にでると格好つけると思うんですよね。よく思われようとするから。俺らは自分をやばくみられたいなんていう気持ちは1mmもないですよ。

－－ぼく脳さんが「判断基準はとにかくウケるかウケないかだ !」とおっしゃっていて、それが印象的だったんですが。

あいつが熱く語っているとろ見たかったなぁ(笑) ぼく脳ってTwitterとかと全然キャラ違いますよね。芸術家肌みたいな感じかと思ったらガンガン体育会系だし。熱いこと言うし(笑) 運動神経もいいんですよ。あいつは、ステージで後列にいる時とかにめっちゃ面白いことしていたりするんですよ。メンバーを笑わそうとしてるんでしょうね。観客にも面白いことはしますけど、メンバーに面白いと思われたいんだと思います。あのわけわかんない格好とか楽屋で絶対笑っちゃうもん。

－－衣装はみなさん自前なんですか？

自前です。俺の場合は、以前プロレスのリングでライヴするときがあって、俺はオカマレスラーの『ピンキーちゃん』っていうキャラでやることになったんですね。それが思いの外盛り上がって、「かわいいー！」って言われたんですよ(笑) その時、「あれ、かわいいって言われるの嬉しい！」ってなって。そこからチャンスを見つけては女装しています。結構女装願望があるんですよ。女の子の服が好きなんです。女の子と買い物行くのもすごい好きです。最近着てるレオタードも、嫁と買い物行ったときに見つけて「かわいい！」と思って買った物です。セールで安くなってたし、700円くらい(笑) でも最近ちょっとやりすぎてますね。色物すぎてカッコよさねえなみたいな。次のライヴは自分がマジでかっこいいと思う格好しようって思ってます。

－－パフォーマンスをしていて、信念のようなものはあるのでしょうか。

特になんにも考えてないですね、ノリなんで。単純にみんなを楽しませたいし、盛り上げたいと思っています。盛り上げることについては、クラブやライヴハウス行っても自信があったんです。自分の曲かけて、一番盛り上がるっていうのは快感ですね。

－－プライベートは何をして過ごされているんですか？

ラーメン屋で働いて家帰って曲作ってるだけです。ほぼそれです。あとは時々、IKEAに行って家具を見たりとか(笑) 食べログで点数の高いラーメン屋探して行ってみたり。普通だと思いますけどね、逆にどう思われてるんですかね？

－－ヒッピーのような…「酒・たばこ・女」みたいなイメージですかね。

いやいや（笑） お家が一番です！ 家で酒飲みながら曲作っている時が一番楽しいですから。音楽を作るのがとにかく楽しいんです。結局ドラムとかやってましたけど、練習が嫌いなんですよ。でも曲作るのはすごい楽しくて。曲作りはモ ノ作れるじゃないですか。作る行為はそれが最終的に練習みたいになるんで。だからずっと飽きずに続けていられてるんです。

－－今後のNDGはどのようになっていくのか、展望を聞かせて下さい。

知名度は上げて行きたいですね、有名になりたいです。例えば動画を作っていろんな人に見てもらったら、どんどん間口が広がるようになると思うんです。ライヴの良さを伝えるのに、音源だけだとわかりづらいじゃないですか。いろんな事に挑戦しながら、柔軟に対応していけたらいいなと思ってます。

－－いままでの人生で影響をうけたものはありますか？ぼく脳さんは『クレヨンしんちゃん』とおっしゃってましたけど。

僕も『クレヨンしんちゃん』ですね。俺もあの記事読んだときに「俺もクレヨンしんちゃん！」って思ったんですよ。俺クレヨンしんちゃんになりたかったんですもん。以前、Twitterで俺のこと「しんちゃんみたい」って書かれていて、すごい嬉しかったことありました。あと、『おしゃれ手帖』っていう漫画です。とにかくシュールなアホ漫画。めっちゃ下世話でくだらないんだけど、あれにはめちゃくちゃ影響受けてますね。最終的に意味がないんですけど、無意味なものっていいじゃないですか。NDGもなんの意味もないんで。

－－「NDGに意味はない」とおっしゃいましたが、NDGのパフォーマンスを深読みしている人は多いと思いますよ。

深読みしてくれたら最高です。俺的には歌詞を評価してほしいですね。俺と幼馴染の野村っていうのが「意味のないこと」をノートに書いて、それを物語に仕立てたり、テーマを決めてから言葉を引き抜いたりして作ってます。そのノートがいまもう5冊くらいありますよ。暇なとき読むと面白いです。そういう意味ではめちゃくちゃこだわり抜いて作ってるんで。

－－音楽では影響を受けたものはありますか？

ボアダムスとか好きです。以前同じイベントでボアダムスのアイちゃんがDJをやっていた時に、俺の曲をかけてくれていたことがあったんですよ。「俺この人に認知されてるどころか曲かけてくれるんだ!?」 みたいな。あれは嬉しかったな。あと音楽じゃないけど一番影響をうけているのは幼馴染の野村ですね。野村がいなかったら多分バンドも組んでいないです。出会っていなかったらもっともっと普通だったと思います。EXILEとBBQとスノボが好きだったと思いますよ(笑)
 
 

－－今後のご予定はありますか？

7月に自主企画をclub asiaでやる予定です。あと今、新メンバーを募集していて、オーディションをやってます。

－－どんな人に入ってほしいですか？

ただただ美しい女性(笑) そして歌がうまい人。一人年末でやめてしまったので、いま女の子不足というところで。 ハーフの子とかいいですね。

－－南米とか？

ああ！南米最高っすね！！！けどなんか好きになっちゃいそうで怖いんですよ。野村と二人で「好きになっちゃったらどうする？」って話しています(笑) 黒人もいいなあ。たまんねえなあ。あとギタリストも募集しています。だからギターが弾ける美女だったら最高っすね(笑)

NDGのぶっ飛んだパフォーマンスからは想像できないほど、SEKIは真面目な男だった。温和で人当たりの良い、音楽愛にあふれた人物であった。そんな人間味溢れる彼が率いるNDGに、観客は魅せられ続けている。ライヴに行けばわかるが、観客は皆本当に楽しそうなのだ。この記事を見た方はこれを機に是非一度、彼らのライヴへ足を運んでみて欲しい。日常の憂いを忘れて、ただひたすらに美しい無意味の価値に身を任せ、盛り上がってみるのも良いのでは。新メンバーオーディションも開催中とのこ となので、「NDGに参加したい！」という猛者はそちらも要チェックだ。

インタビュー・文＝nobprometheus　撮影＝morookamanabu ／nobprometheu