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天王洲のオシャレな画材屋「PIGMENT(ピグモン)」でオリジナル絵具できるかな?

2016.6.10
レポート
アート

PIGMENT

画像を全て表示(22件)

昨年7月に天王洲アイルにオープンした「PIGMENT(ピグモン)」をご存じだろうか。

近年アート事業にも力を入れている寺田倉庫が手掛け、今話題の建築家・隈研吾氏が内装をデザインしたオシャレな画材ラボである。

ちなみに、「ピグモン」と聞いて、ウルトラマンの怪獣を連想された方は少なからずいらっしゃるでしょうが・・・

 

全く関係ありません!!

 

「PIGMENT」とは、英語で顔料のこと。

「PIGMENT(ピグモン)」の壁一面にズラリと並べられているものが、「PIGMENT」です。

その数、なんと4200色以上。もちろんすべて購入可能です。

 

「PIGMENT(ピグモン)」には、顔料以外にも、古墨や絵筆、膠(にかわ)など希少性の高い日本ブランドの伝統画材が、まるでミュージアムのように美しくディスプレイされています。

膠・・・動物や魚の皮を原料に作る接着剤。日本画の必須アイテム。

 

かつて、こんなに眺めているだけでワクワクする画材屋さんがあったでしょうか。

絵を描く人はもちろん、絵を描かない人にもオススメです。

 

さてさて、そんな「PIGMENT(ピグモン)」では、原則毎週土日に、

厳選された画材に触れながらプロの技法を間近に学ぶことができる「T-Art Academy(ティー・アートアカデミー)」が開催されています。

今回は、その中から初心者の方でも気軽に画材に親しみやすい「ゼロから画材を学ぼう!オリジナル絵具づくり」を特別に体験させて頂きました。

 

果たして、無事にオリジナル絵具は完成するのでしょうか?!

 

講師を務めてくださるのは、「PIGMENT」の岩泉所長です

画材のプロフェッショナル!

 

まず、岩泉所長が取り出したのは、水干絵具なるもの。

天然の土、もしくは胡粉や白土に染料や顔料で着色した微粒子の日本画絵具とのこと。

 

「今日は、これで水彩絵具を作ります」

「えっ、これが水彩絵具になるんですか?!」

この時点では、絵具感(?)は全くありません

 

「もちろん、このままでは水彩絵具になりません。 とあるものを混ぜて、伸ばしていきます。とに~さん、何だと思いますか?」

「(油?それじゃ、油絵具だよな。水彩だから・・・)水!」

「違います。正解は、これです。」

水彩絵具は意外なもので出来ている!

 

そう言って、所長が取り出したのは、アラビアゴム(アラビア糊の原料)。

そして、ハチミツです。

 

“これらを混ぜると、水彩絵具に・・・?”

 

ちょっと想像がつきません。

化学の授業のような場面。絵を描くには理系の知識も必要か。

 

ホワイトボードで理論を説明してもらいましたが、やはり想像がつきません。

というわけで、所長がお手本を実演してくれることに。

はじめに、適量の水干絵具を大理石の板の上に乗せます。

ご家庭に大理石がない場合は、ラップをかけたまな板で代用できます。

 

そこに、アラビアゴムとハチミツをくわえます。

ハチミツは無くても構いません。ただ、ハチミツがあったほうが艶と絵画の保湿効果が出ます。

 

そうしたら、あとは、このマーラーなる道具を使い、

顔料を潰しながら8の字を描くようにして、ひたすら練っていきます。

引くときでなく、押すときに力をこめることのがコツ。

 

そんな画的に地味な作業を続けること数分。

あれだけ粉っぽかった顔料に、変化が現れ始めました。

 

ちゃんと水彩絵具になってきた!!

 

「この色を、もう少しパステル調にしたい。 そんな時は、胡粉(貝殻の微粉末から作られる顔料)を足して、調整していきます」

赤の顔料に胡粉を加えるほどに、色はピンクに近づく

 

すると・・・・・

 
 
おー!全然違う色になりました!!
 
 

「さらに、もっとパステルにしたいときは、『一番強い白』を足してみましょう」

『一番強い白』ことチタニウムホワイト。名前からして強そう。

 

「ちなみに、青の顔料を足せば、紫色が作れます」

 

絵具作りを見ているというよりは、理科の実験を見ているかのようでした。
だんだんと所長が、でんじろう先生に見えてきました。

 

では、いよいよ僕もオリジナル絵具作りに挑戦です。

赤や青よりも堅いという黄色に、あえてチャレンジ

 

所長はスムーズに顔料を潰していましたが。

やってみると、これがなかなかに難しい。

堅さは、フリスクぐらいを想像してもらえるとよいでしょうか。

その何倍の大きさのものを、粒子状になるまですり潰さなければならないのです。

 

マーラーを8の字に動かすこと、5分。

 

ようやく絵具っぽくなってきました。

オリジナルな色を追及するべく、ここに『一番強い白』を投入。

再び、マーラーを8の字に動かします。

 

最初はあんなりゴリゴリとしていたものが、すっかりなめらかな状態に。

マーラーを動かす作業に、今や心地よさすら感じています。

“ランナーズハイ”ならぬ、“絵具混ぜハイ”。

絵具作り、ストレス解消にいいかもしれません。

 

所長曰く、練れば練るほど、良い絵具になるとのこと。

レンブラントやフェルメールの時代は、画家の弟子たちが8時間くらいかけて制作していたそうです。

さすがに、そこまでは練っていられないので(笑)

このあたりで、完成したことにしましょう。

 

かくして、オリジナル絵具が誕生しました。

完成したオリジナル絵具は、専用のケースに。 贈り物にも最適です♪

 

まさに、世界に一つだけの色。

「とに~イエロー」です。

 

せっかくなので、完成したばかりの「とに~イエロー」で、サインを書いてみることに。

果たして、どれだけ美しい色なのでしょう?ワクワクします♪

 

・・・・・・・・あれ?

想像してたより、鮮やかじゃありません(汗)

なんというか、うにクリームスパゲティーみたいな色です。

 

と、ここで所長より、

「水彩絵具なので、筆にもっと水を含ませてみた方がいいですよ」とのアドバイス。

試してみると、

筆に含ませる水の量で、色が変わります。絵具は奥が深い。

 

「わっ、本当だ!」

 

自分で言うのもなんですが、綺麗な色です。

まさか、自分に絵具作りの才能があったとは(←完全に調子に乗っています)

 

 

仕事柄、美術作品をよく目にしていますが、色を美しいと思ったことはあっても、その色がどう作られているかまでは考えたことがありませんでした。

これからは、「赤が綺麗!」ではなく、「この綺麗な赤の絵具を作り出した人、天才!」と思うことになるでしょう。

今回の体験を通じて、美術を鑑賞するレベルが上がった気がします。

 

絵を描く人はもちろん、絵を描かない人にもオススメしたい講座でした。

他にも画材ラボPIGMENTならではのプログラムが盛りだくさん。今年6月~7月にかけては、中国山水画の技法を学べたり、表装(書や絵画を紙や布で裏打ちし、掛軸や額に仕立てること)を体験できる講座も開かれます。また、ワークショップのみならず、美術家の会田誠が現代美術と画材の関係性を語るアーティストトークも行われるとのこと!あなたにあった講座を探してみてはいかがだろうか?

T-Art Academy(ティー・アートアカデミー)、是非ご体験のほどを。

 

イベント情報
T-Art Academy(ティー・アートアカデミー)​

T−Art Academyでは画材ラボPIGMENTの上質な素材をいかして、美術大教授や画材メーカーによるワークショップを開催。
趣味で創作する方、プロアーティスト、アート研究者など幅広いユーザーに至高の知識をご提供します。

日時:原則、毎週土曜日・日曜日
会場:PIGMENT(ピグモン)
東京都品川区東品川2-5-5 Harbor Oneビル 1F

詳細:https://t-art-complex.com/academy/index.html