フローリスト 長谷川奈美|こんな日本アーティストがパリで活躍中 【第9回】
-
ポスト -
シェア - 送る
フローリスト 長谷川奈美
フローリスト 長谷川奈美
ユニクロ・パリ店の装飾や、一流レストラン、パリコレのファッションショーの装飾までこなす、フローリスト長谷川さんにお話を伺ってきました。レストランで装飾をされる長谷川さんの手際の早さに、ただただ圧倒された筆者。その姿からは、職人としての芯の強さまでも感じられます。「圧倒的に実力主義」と彼女が語るアートの本場・フランスで、彼女が仕事をする上で意識していることとは何なのか。
――パリで活動されるようになったキッカケを教えてください。
フランスはアートのセンスにおいて世界で一番だと思っているからです。東京で自分の店を持てるまでになりましたが、もっともっとセンスを追求していきたいという思いが強くなり、渡仏を決めました。
長谷川さんが手がけた「パリコレ」ファッションショーでのデコレーション
長谷川さんが手がけた「パリコレ」ファッションショーでのデコレーション
――パリでフローリストとして働いてみて、日本との違いは何か感じられますか。
日本で花を装飾に使う際には、その"場"よりも「花をいかに目立たせるか」ということが重視されているように思います。一方パリでは、"場"と花の調和を大切にしているように感じます。私はどちらかというと「その場に合う花を活けたい」という思いがあるので、パリの方がしっくりくるように思います。
また、フランスは日本よりも圧倒的に実力主義だなとも感じています。名のあるフローリストだからとちやほやされるのではなく、作品が全てです。技術とセンスを持ち合わせていれば、有名無名に関わらず、目にとめて仕事の依頼をくれるお客様がいるのです。
うれしい事にこれまで私が活けたレストランの作品を見て、ファッション・ブランドや、有名なレストランからオファーをいただくこともありました。
長谷川さんの作品
他にもパリで仕事をしていて特に感じるのは、自分のポリシーをしっかり持ったクライアントさんが多いということです。なので、例えばレストランで花を活けさせていただくにしても、しっかりシェフと話し合って進めていきます。レストランの店内の雰囲気だけでなく、季節ごとに変わる料理も見せていただき、シェフのポリシーを伺いながら、それに合うクリエーションを考えさせてもらうのはとてもやりがいがありますし、楽しいです。
レストランで装飾中の長谷川さん
――これからの活動予定を教えてください。
フランスのフラワー・アレンジメントというと、ブーケばかりが有名ですが、他にも様々なスタイルや技術がたくさんあります。ところが、残念ながらあまり日本には伝えきれていないように思います。
また、パリに花留学をする日本人の方は少なくないのですが、本格的にフランスで技術を学んで帰ることは簡単ではありません。そこで、私自身が花留学の生徒さんの受け入れをし、花の名前をフランス語で教えることから始め、実技のレッスン、研修先の紹介まで行っていこうと思っています。こうしたフランスの生きた技術やセンスを、生徒さんを通して日本に伝えて行く事ができたらなと思っています。
会社員だったころから活け花とフラワー・アレンジメントを習い始め、その後生花店勤務。カラー・コーディネートや、テーブル・コーディネート・スタイリストについても学ぶ。
1998年、表参道「同潤会アパート」にて初の展示会「Exposition」を開催。
2000年、東京に店舗「Très joli」オープン。
2002年、最も輝いているフラワーデザイナーの1人として選出。「Tulip Kiss」のイベントで表参道新潟館にて「Exposition」を開催。
2006年、渡仏。パリでいくつもの花屋にて勤務後、現在はフリーとして、パリの一流レストランを始め、LVMHのパーティ装飾、パリコレ・ファッションショー、ブティックでの装飾だけでなく、フラワーアレンジメントのレッスンや、フランス花留学の手助けも行っている。