HARUHI 計り知れない可能性と17歳とは思えない熟練ぶり
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HARUHI
HARUHI「ひずみ」 プレミアムライブ
6月11日(土)都内某所
米ロスアンゼルス生まれ、13歳の頃から楽曲製作を開始し、その類いまれな音楽センスや歌声が音楽業界で話題に。そして今年5月に、映画『世界から猫が消えたなら』の主題歌に起用された「ひずみ」でメジャーデビューを果たしたシンガーソングライター、HARUHI。6月11日に、シングル購入者限定のプレミアムライヴが、都内で開催された。
都内で彼女のワンマンステージを観られる最初の機会ということもあってか“どういうステージを見せてくれるのか?”と期待の視線をステージに向けていた観客が多く、ある種の緊張感に包まれていた会場。そこに、まるで友達に挨拶をするような気さくな笑顔で登場したHARUHI。もう何度もステージに立っているかのようなリラックスした雰囲気で、現在17歳だとは信じられない。パフォーマンスに関しても同様。挨拶がわりにと最初に披露した「Round & Around」(未発表曲)は、ギター、ベース、ドラム、キーボードというバック・バンドと共にセッションを楽しんでいるような雰囲気。歌声も、聴く者の心を惑わせるような妖艶さを放っていて、まるで円熟したジャズ・シンガーのよう。そして「みなさん、こんばんは。(今日は)楽しみましょう」と伝え、今度は「Knocking Down」(未発表曲)を披露する。1曲目とは異なり、90年代のグランジを思わせるエモーショナルなサウンドにのせ、自身の思い(もしかしたらフラストレーションかも)をぶつけるように歌う姿に、観客はますます引き込まれていった様子だった。
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たった2曲だけでも、表現力の幅広さを轟かせた彼女。その次に披露してくれたのが、バラードだ。「Patience」(未発表曲)は、ピアノのシンプルで美しい音色からスタートする楽曲。自身のなかにあるネガティヴな感情を吐き出し、そこから希望や光を見いだそうとする真摯な姿勢が歌声から伝わってきて、心が揺さぶられた。続く「あたたかい光」は、メジャーデビュー・シングルにも収録されTVCMソングにも起用された、すでにおなじみのナンバー。前曲同様のバラードではあるが、こちらは家族や友人、そして音楽、自然にいたるまで、彼女の人生を取り巻いてきたすべてへの感謝の気持ちが伝わってきた。曲を披露していくごとに、類いまれで幅広い彼女の音楽センスを感じる。そして、自身が作詞・作曲を手がけた「The Lion is Calling Me」をパフォーマンスする前に英語詞ということで、少し照れくさそうな表情でを見せながらも、楽曲のストーリーを丁寧に説明してくれた。その結果、英語曲でありながらも、ライオンの声に導かれて、自分の世界を見つけていくという楽曲の主人公の心の動き、また自由に世界を飛び回っている姿が、目の前に迫ってくるように見えてきた。この曲で、さらに観客との距離が縮まったように思う。結果、こちらもシングルのカップリングに収録された本人作詞・作曲によるエモーショナル・チューン「Empty Motion」では、会場全体に躍動感が生まれ、HARUHI自身もビートにのせて、笑顔で跳ねる姿が印象的だった。
そしてあっという間にステージはフィナーレへ。デビュー曲である「ひずみ」を披露する。小林武史プロデュースによる、生きることの喜びや感謝の思いを綴ったバラード曲。そのひと言ひと言を噛み締めるように、丁寧に歌い上げる彼女の歌声に、そこにいる誰もが心酔している様だった。そして歌い終えると、惜しみない感動の拍手が彼女を包み込んだ。また、アンコールでは新曲も披露。他の楽曲にはないせつない表情がうかがえたナンバーで、今後シングル曲として聴きたくなる仕上がりだった。
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全8曲(アンコール含む)、40分程度であったが、計り知れない可能性と共に、17歳とは思えない洗練さ・熟練ぶりも感じさせたステージ。彼女のその表現力ならば、これから国境、カテゴリーなどにとらわれず、多くの人の心に響く音楽を紡ぎだせるに違いない。そんな予感というより、確信が持てたパフォーマンスだった。
レポート・文=松永尚久
HARUHI
2016年5月11日発売
【初回生産限定盤】AICL-3104~3105 ¥1,500- (税込)
【通常盤】AICL-3106 ¥1,200- (税込)