『安蘭けい ドラマティック・コンサート 愛の讃歌』~「私、欲張りなんです」(安蘭)
-
ポスト -
シェア - 送る
安蘭けい
安蘭けいが7月14日(木)に、Bunkamuraオーチャードホールにて『安蘭けい ドラマティック・コンサート 愛の讃歌』を上演する。これまで様々な舞台公演の合間を縫って定期的にコンサートを実施してきた安蘭だが、今回はどんなステージとなるのだろうか。たった一日、たった一回だけのコンサートについて、話をきいた。
――今回、タイトルに「愛の讃歌」という言葉があるのですが、誰の発案なのですか?
これは演出の原田(諒)先生が決めてくれたんです。最初、この言葉を聞いたときに「あまりにも重い」と思ったんです。誰もがシャンソンのエディット・ピアフを思い浮かべるし、きっとその曲を歌うんだろうなと想像されるでしょうし。でも、原田先生たっての想いがあってこのタイトルになりました。原田先生はタイトルを決めるときに「軽くはしたくない」と思っているそうで。私が「重い」と感じたのはある意味狙い通りだったと。このステージで表現するボリューム感やドラマチックなところを「愛の讃歌」という言葉で表現したかったそうです。
――確かに歌う楽曲自体、どれもこれも様々な舞台の代表曲ばかりですしね。この中で特に安蘭さんの思い入れがある曲といえば?
ずっとやりたかったのは『エビータ』。『エビータ』の「アルゼンチンよ、泣かないで」を歌いたくてリクエストしたんです。いちばん初めに『エビータ』を観たのが劇団四季の舞台、その後マドンナが出演した映画で観ました。アントニオ・バンデラスも超かっこよかったし。一人の実在する女性を自分なりに解釈して演じるのが好きなので、そのときも高校生くらいだったと思うんですが、その年代の頃ってこういう女性に憧れがありましたね。本当のエビータの生き方、そしてマドンナの生き方、女性の強さを感じてかっこいいなーと思っていたんです。
安蘭けい
――今回のセットリストですが、『エリザベート』に『サンセット大通り』『シカゴ』『エニシング・ゴーズ』……ミュージカルファンなら、もうどこを切り取っても嬉しいラインナップですね。
ミュージカルでも古き良き時代のものを持ってくる原田先生の想いに何かがあるのかも。『エニシング・ゴーズ』は、ちょっとおふざけもあり~の、という内容にしたいなと思っています(笑)
――『RENT』の「Seasons of Love」も歌うんですね! 今年の年末に来日公演もありますし、最近日本のミュージカル界に何度目かの『RENT』ブームが来ているような肌感覚です。
『RENT』はやってみたかったんですよ! 以前来日したときはこういうロックオペラの舞台は初めてくらいの頃で。HIVや同性愛を扱ったりとセンセーショナルな物語で、当時は何回も観に行ったんです。
あと、『エディット・ピアフ』をやったときのシャンソンも何曲かやりますよ。他にはスペシャルゲストで石丸幹二さんがいらっしゃるので…何を歌うのか、いろいろ想像されると思います。それを裏切る形になるかもしれませんが(笑)
――石丸さんとは、今年秋に『スカーレット・ピンパーネル』で共演されるんですよね。
そうなんです。これまで石丸さんとは、コンサートなどではご一緒したことはあるんですが、舞台となると初めてで。このコンサートが予行演習みたいになるのかな?
安蘭けい
――若手男性キャスト(良知真次、中河内雅貴、青柳塁斗、原田優一)との共演も注目なのですが。
実はこの4人と共演歴がないんですよ。本当に初めての共演で。だからこそすごく楽しみなんです。「歌と踊りがバランスよくやれて、プリンシパル的な役もされているポテンシャル高い人」…という視点で原田先生初めスタッフの方が選んでくれました。
――ちなみに演出の原田さんとはいつ頃からご存知だったんですか?
宝塚時代は原田先生が演出助手だったんです。だから演出している姿をまだ見ていなくて。その後、宝塚以外の舞台演出デビューされてすごく評価されている。みんなでびっくりしているんです。演出家にいつも怒られていた時代を知っているから(笑)。昔の私のこともある程度は知っていると思うので、やりやすいですね。
原田先生はよく外部の舞台を観に行ってて、劇場でバッタリあう事が多かったんです。「こんな作品を観てるんだ、本当に勉強熱心だなあ」って思っていました。いろいろな事が演出家としての糧になっているんだろうなって。
あと、宝塚つながりでもう一つ。このコンサートの振付を担当してくれるのが百花沙里さんという、私が現役のときの下級生で!すごく仲良かったんです。スタッフリストにその名前を見たときは「まーたんが!!」って驚きました。外部で振付をするのが初めてなんですって。
――初めて尽くしのコンサートになりそうですね! では、そのまま宝塚時代の話も聞かせてください。石丸さんと共演する『スカーレット・ピンパーネル』は、宝塚時代にも出演されていましたよね? その頃の事、思い出しますか?
こんな曲あったなあ、相手役の遠野あすかちゃんが歌ってたなあって、今徐々に思いだしてます。自分が演じたパーシー・ブレイクニーの歌も「ひとかけらの勇気」以外は結構忘れてるんです。このフレーズは覚えているけど、全部は歌えない……という感じ。サビは覚えているんだけど、その前のメロディはこうだったかな…って。だから、すべてが新鮮に感じると思います(笑)
私はやった舞台をどんどん忘れるんです。許容量が決まっているのか、やっては忘れ、また次のを入れてってやっていかないと覚えられなくて(笑)だから舞台が再演になったときは思い出すのが本当に大変で!「ああ、そういえばあんなことをやったわ……」って、一つずつ思い出す作業をしています。きっとファンの方のほうが私よりずっと覚えていると思いますよ。
安蘭けい
――いらっしゃいますよね、Wikipediaのような方が(笑)。歌といえば、年齢と共に嗜好が変わることってあると思うのですが、好きな歌の傾向が変わったりしましたか?
そうですね。昔はポップが好きで今はバラードも……と思ったんですが、そもそも昔から曲より歌詞が好きでした。歌の中に物語がある曲が好きなんです。だから子どもの頃からシャンソンは好きでした。
――結構大人びた子どもだったんですね!
曲の中に込められたドラマが好きなので、そこは今も変わらないかな。とはいえ普段、ミュージカルナンバーはほとんど聴かないですね。それよりも今流行っている曲を聴きたくて。最近はブルーノ・マーズとか洋楽を聴いてます。英語がわからないから音楽としてサラッと聴けるし。ミュージカルナンバーは物語がたっぷり入っているので聴き流せないんですよ。自分に置き換えてしまったりもするし、職業として聴いてしまうので家では聴きたくないー……ってなっちゃって。全く自分と関係ないミュージカルナンバーなら聴けますけどね。出たことがない作品とか。
――ところで、安蘭さんは「出演する作品はミュージカルで!」というようなこだわりってありますか? つい先日『白蟻の巣』というストレートプレイの出演が発表されてたばかりですが。
私、芝居が好きなんです。だからストレートプレイは年一回は挑戦したいと思っています。もちろんミュージカルは「拠点」なんですが、よりよいミュージカルを演じるには芝居力をもっと鍛えないとと思っているんです。ミュージカル音楽も芝居がないとただの曲になってしまうので、そういう風にはしたくないですし。だから芝居をもっと勉強したいと思っていて、芝居畑の人と一緒にやらせていただきたいと常に思っています。だからこの「白蟻の巣」の話がきたときは「やった!ガッツリ芝居ができる!」って喜んだんですよ。私、欲張りなんですよ。これもやりたい、あれもやりたい…なんでも手を出したいんです。TVドラマも何度かやらせていただいていますが、映画は特に舞台寄りな感じがするので色々挑戦したいと思っています。
安蘭けい
■日時:2016年7月14日(木)
■会場:Bunkamuraオーチャードホール
■演出:原田諒
■振付:百花沙里
■出演:
安蘭けい
良知真次、中河内雅貴、青柳塁斗、原田優一
■スペシャルゲスト:石丸幹二
■公式サイト:http://hpot.jp/stage/aran