2人の名ギタリスト沖仁&渡辺香津美が初共演から5年、東京文化会館で3年ぶりの公演決定

インタビュー
2016.7.13
仲仁

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スペインの権威あるムルシア”ニーニョ・リカルド”フラメンコギター国際コンクールの国際部門で日本人初優勝を飾った沖仁と、YMOやジャコ・パストリアスらとの共演でも知られる世界的ジャズ・ギタリストの渡辺香津美。日本ギター界をリードするこの2人は、2011年に初共演して以来、鮮烈で感動的な演奏を各地で繰り広げてきた。この度、7月20日に3年ぶりとなる東京文化会館での公演が決定し、本番を真近に控えた沖が、聴きどころや意気込みを語ってくれた。

毎回、最後の共演になるかもしれない覚悟で……

昔から渡辺香津美の大ファンだったという沖が、渡辺のライブを訪ね、渡辺が自身の公演に沖を呼ぶ、という形でスタートしたというこの公演。沖は5年前の初共演時の衝撃を「香津美さんの変幻自在な音の嵐の中で、がむしゃらになって刀を振り回して応戦しているような心境でした」と熱く語る。一方の渡辺も、「彼の演奏を初めて聴いた時から、これまでのギタリストにはない、スペイン的な小気味のよいグルーブとフレーズにフレッシュな風を感じていました。いつか出会うだろうと思っていたら、ひょっこり彼が僕のパフォーマンスを覗きに来てくれて」とコメント。その相思相愛ぶりがよく伝わってくる。

今回の舞台に選ばれたのは、上野・東京文化会館の小ホールで「奇跡」と称えられる独特の音の反射環境を持つ649席の空間で、沖も大好きなホールのひとつだそうだ。
 

仲仁

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――プログラムですが、昨年8月にビクターエンタテインメントから発表したライブアルバム『沖仁 con 渡辺香津美 エン・ビーボ!~狂熱のライブ~』の収録曲も演奏されるそうですね。

僕が書いた2人のテーマで、親密で爽快な曲想が特徴の「沖仁 con 渡辺香津美のテーマ」。タンゴの革命児ピアソラの傑作で、香津美さんが2本のギター用に編曲してくださった「リベルタンゴ」。静謐でセンチメンタルなメロディが魅力のメセニー「アントニア」(沖と渡辺が共作した編曲版)などをお届けする予定です。
 

――2人のデュオで必ず演奏しているというのが、スーパー・ギター・トリオ(パコ・デ・ルシア&アル・ディ・メオラ&ジョン・マクラフリン)の熱い演奏で有名な「地中海の舞踏~広い河」ですが。

僕たちのデュオの醍醐味のひとつは、やはり燃えるようなギター・バトルにあると思うので、この傑作は絶対に外せません。原曲はギター3本で演奏されますが、僕たちは香津美さんの手によるギター2本用の編曲版を使っています。
 

――今後の2人の共演や録音の予定や展望は。

香津美さんは僕にとってあこがれの存在。そんな方と共演できて本当に幸せですが、だからこそ、失敗をして失望されたら、それで終わり。僕は毎回、これが最後の共演になるかもしれない覚悟でこのデュオに臨んでいるんです。ですから、今後のことを考える余裕はないですし、今回も一期一会の緊張と情熱を持って臨みます。

仲仁

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フラメンコギターが醸し出す独特の美しさとは……

長野県に生まれ、幼少時代はピアノや尺八(!)を習っていたという沖。その後、伝説のロックバンドBOØWYなどに憧れて14歳でエレキギターを始め、高校卒業後にカナダでクラシックギターを学んだ。だが、その頃、フラメンコギターの大巨匠ビセンテ・アミーゴの録音に出会った彼は、そのあまりの美しさに衝撃を受け、ビセンテの母国スペインに留学。アンダルシア地方などで地元住民と暮らしながら、約3年半に渡ってフラメンコギターを学んだ。

――フラメンコギターの特徴や魅力とは。

シープレスと呼ばれる糸杉が素材に使われており、クラシックギターよりも軽量。そのため、音の立ち上がりが鋭く、明るく歯切れのよい音色が特徴です。例えるなら、”耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで生き抜いた老人男性のしゃがれ声”と言ったところでしょうか。


そんな孤高で研ぎ澄まされた沖のフラメンコギターと共演する渡辺は今回、曲目に合わせて、スチール弦、ガット弦、とエレキなど、少なくとも3種類のギターを弾き分ける。また、沖の方も音色や機能性の異なるフラメンコギターを2~3本用意して、曲目ごとに変えて演奏する。沖が叩き出すフラメンコ・スタイルのビート感と、それに呼応する渡辺のギター・テクニックの多彩な掛け合いを存分に楽しめることだろう。
 


――最後に、演奏を今回初めて聴く方々へのメッセージを。

東京文化会館の小ホールという素晴らしい音響空間を舞台に、フラメンコとジャズのギター・デュオのイメージを”いい意味で”破る演奏をご用意していますので、皆さん、ぜひ会場に足をお運びください!

沖仁

沖仁

沖はこの公演後、11~12月には全国5ヶ所で『沖仁 CONCERT TOUR 2016 Guitarra Flamenca』を、11月は他にも、フラメンコギタリストで沖の盟友・智詠と共演し、長崎と福岡で『沖仁 CONCERT TOUR 2016 Dos Guitarras』の開催を予定している。
 

取材・文:渡辺謙太郎

ライブ情報
『沖仁 con 渡辺香津美』
■共演渡辺香津美(Jazz Guitar)
7月20日(水) 東京文化会館 小ホール 18時30分開演

『沖仁 CONCERT TOUR 2016 Guitarra Flamenca』
■共演:智詠(Flamenco Guitar)、容昌(Perc.)、伊藤彩(Vin.)、今井香織(Cello)
11月3日(木祝) 東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
11月18日(金) 大阪・サンケイホールブリーゼ
11月24日(木) 宮城・仙台電力ホール
11月29日(火) 愛知・名古屋市芸術創造センター
12月3日(土) 北海道・道新ホール

『沖仁 CONCERT TOUR 2016 Dos Guitarras』
■共演:智詠(Flamenco Guitar)
11月14日(月) 長崎・長崎県美術館
11月15日(火) 福岡・Gate’s7 

 
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