the GazettE バンドの真なるコアが明らかになる覚醒の予感
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the GazettE/RUKI
STANDING LIVE TOUR 2016 DOGMA-ANOTHER FATE-
2016.7.6(WED)豊洲PIT
人は飾りを捨て、自らをさらけ出したときに、初めてその本性が現れる。バンドもまた同じこと。“the GazettEとは何か?”“the GazettEの音楽とはどうあるべきか?”を追求して生まれた最新アルバム『DOGMA』を昨年8月に発表して以来、彼らが行なってきた活動は、まさしくthe GazettEが纏う皮を一枚ずつ剥ぎ取るような作業であったように思えてならない。そして7月6日、『STANDING LIVE TOUR 2016 DOGMATIC-ANOTHER FATE-』が遂に開幕。その初日となった豊洲PITの狂乱は、the GazettEの真なるコアが詳らかにならんとする覚醒の予感に溢れていた。
豪奢なセットを伴った『DOGMATIC-UN-』から始まり、一転セットを廃してシンプルに魅せた『DOGMATIC-DUE-』と合計42本に上る国内ツアー、さらに最終公演として国立競技場第一体育館にて行われた『LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC-FINAL-「漆黒」』にとどまらず、北南米・アジア・欧州を廻った15本のワールドツアー『DOGMATIC-TROIS-』を経ての『DOGMATIC-ANOTHER FATE-』は、国内8箇所10公演の2年ぶりとなるスタンディングツアーだけに、詰めかけたオーディエンスは初っ端から怒涛のヘッドバンギングで会場を揺らしまくる。RUKIの咆哮を合図に大きくうねって飛び跳ねるフロアの様は、“カオス”以外の形容が見つからないほど熱狂的なもの。そうして暴れ狂う客席にRUKIが問いかけた。
「ここにいる奴らって……暴れん坊? 暴れられない奴らは後ろに下がったほうがいい。コイツらライブ中盤になると、だんだん本性表すから。やっちまえ野郎ども!」
the GazettE/麗
the GazettE/葵
その後も挑発的なボーカル、楽器隊の分厚いユニゾン、ディストーションの利いた凶暴なギターフレーズ、スピード感抜群の荒ぶるリズムメイクが場内の空気を大きく掻き回す。まさしくフィジカルを剥き出しにした恐れ知らずの所業に、デジタリックな要素を「BIZARRE」が妖しく差し込んでからはディープな楽曲世界へと誘うゾーンへ。麗の泣き叫ぶようなギターソロと、葵が半身をのけ反らせて放つ狂おしいアウトロが、場内を真っ赤に染めるライティングと相まって、絶望と希望を混ぜたドラマティックな情景を描き出す。静と動、熱と冷を巧みに演じ分けるリズム隊の緩急あるプレイも見事で、RUKIの生々しいボーカルが別離の哀しみを歌い上げるナンバーでは、さらなる深淵へとダイブ。当然、オーディエンスは息を呑んで舞台上の世界に没入するわけだが、海外ツアーを終えたばかりの彼らの目には、逆にそれが新鮮に映ったらしい。
「久しぶりに日本の皆さんの前でライブをすると……シーンとなる時間があるでしょ?(それが)心が痛い。でも、その静寂すらも楽しみますよ。ここからノンストップでイキますので、皆様どうか生きて帰ってください!」(RUKI)
the GazettE/REITA
the GazettE/戒
その言葉通りにメンバーの動きもいっそう躍動感を増し、REITAは上手へ、麗は下手へとスイッチ。「INCUBUS」では弦楽器隊による“Un,deux,trois”のパワーコーラスに拳があがるが、こんなロマンティックな響きの文言をデスボイスで叫ばせるという発想自体、彼らの特異なセンスを表しているだろう。そして、終盤では大合唱を巻き起こし、ステージの上も下も一つになったヘッドバンギングの嵐にRUKIは投げキスを。それでも凱旋公演に対する彼の期待は高く、「身体がなまってんじゃねぇの!? お前らの暴れてる姿が見たいんだ!」と一喝。さらに戒は立ち上がって暴力的なビートを叩き込み、オーディエンスと声を交わし合う狂騒の宴を繰り広げるが、メタルからエレクトロまでを咀嚼した彼らの音には単なるラウドロックの枠には収まりきらない独特の情緒があり、それがthe GazettEの本性を垣間見せた。
オーディエンスの求める想いと5人の赤裸々なパワーがぶつかり合ったツアー初日。その両者の惹き合う力が整ったとき、ライブの熱は最高値まで高まるものだが、今の5人の基準は感情を覆い隠すことなく、真っ直ぐに爆発させる海外ライブになっている。つまり、このツアーで彼らが隠し持つポテンシャルはまだまだ高いということ。8月1、2日の新木場STUDIO COASTで、その未知なる力がどこまで引き出されてゆくのか期待は尽きない。
レポート・文=清水素子
the GazettE
the GazettE「UNDYING」
【通常盤】SRCL-9044 ¥1,296 (tax-in)
<収録曲>
01. UNDYING 02. MALUM 03. VACANT
7月10日(日) 仙台PIT 17:00/17:30
7月13日(水) Zepp DiverCity TOKYO 17:30/18:30
7月20日(水) CLUB CITTA’川崎 17:30/18:30
7月21日(木) CLUB CITTA’川崎 17:30/18:30
7月25日(月) Zepp Nagoya 17:30/18:30
7月27日(水) なんばHatch 17:30/18:30
7月29日(金) 博多DRUM LOGOS 18:00/18:30
8月1日(月) 新木場STUDIO COAST 17:30/18:30
8月2日(火) 新木場STUDIO COAST 17:30/18:30